舞台は2036年、世界が平和なまま迎えた約30年後の未来。
ただ一つ変わったことは、『神姫』と呼ばれるフィギュアロボが人気を集めていること。
全国の主要都市には神姫を購入できる「神姫センター」なる施設が建ち、
その中ではその神姫達を戦わせる「武装神姫バトル」が行われ、絶大な人気を得ている。
これは、一人の少女と一体の神姫の果て無き挑戦である……
ただ一つ変わったことは、『神姫』と呼ばれるフィギュアロボが人気を集めていること。
全国の主要都市には神姫を購入できる「神姫センター」なる施設が建ち、
その中ではその神姫達を戦わせる「武装神姫バトル」が行われ、絶大な人気を得ている。
これは、一人の少女と一体の神姫の果て無き挑戦である……
朝…それは果てしなく、清々しいもの。
少なくとも私…長月スバルは、そう感じている。
そんな爽やかな朝に、最高の瞬間が訪れた。
「遂に手に入れた…私のマオチャオ~ッ!」
ついつい、お気に入りの神姫を見ると叫んでしまうのは私の悪い癖だ。
「…うぅ…何事ですか。マスター」
「ふわぁ…眩しいです」
「…またですか」
そのせいで、私の神姫たちが起きてきてしまう。
上から、天使型アーンヴァル「春姫」、犬型ハウリン「彩里」、忍者型フブキ「神無月」。
おかげで、フブキの神無月には、毎度のことながら呆れられている。
「起こしちゃってごめんね」
「いいえ、別に構いません。もしかして…この子の起動ですか?」
さっすが、私の神姫!察しが良いな。
「そ。あとは、CSCを入れるだけかな」
「手伝った方が良いですか?」
春姫が上目遣いで私を見る。
あぁ…ダメ!そんな目で私を…私を…
「姫、そろそろ起動を…」
神無月の言葉で、遠い世界に行きかけた私の意識が戻る。
「やばいやばい、また行きかけてしまった。じゃあ、そろそろ起動(お)きよっか?」
しばらくすると…CSCを装着し終えたマオチャオがゆっくりと目を開く。
「Kemotech製、Automaton神姫…猫型マオチャオ、KT36C1…セットアップ完了、起動します」
そう言い終えると、マオチャオは私の前にちょこんと可愛らしく立った。
「無事起動(お)きたましたね、マスター」
「ですが、お時間の方はよろしいのですか?」
春姫の安堵の声に対し、神無月の厳しい声が飛んだ。
「時間?今日は日曜日だし、学校も無いから大丈…」
ふと見た携帯の液晶画面に表示された時間と日付を見て、私は絶句した。
AM7:55 9月1日 月曜日…
「…あれぇ?壊れたかな、この携帯。まだ変えたばっかりなのにぃ…」
「壊れてもいませんし、日付も9月1日で間違いありません。
そもそも、姫は昨日からその子を見つめっぱなしでした。
気付いてなかったと?」
私のボケもスルーして、神無月は滅多に見せない怪訝な顔をしてそう言った。
もしかして、若干キレてる…?
「…つーことは、私、24時間くらい起きてたってこと?」
恐るべし!長期休暇。
長い休みのあまり、曜日感覚がずれて今に至る…と。
「姫!ですから時間が…」
「うわーん。せかっく起動(お)きたのに、話す暇も無いなんてぇ~」
「自業自得です」
「そうそう、マスターが悪い」
「少しは自覚をしましょうよ…」
「?」
訳の分かっていないマオチャオをよそに、神無月と彩里、
それに春姫と三体の神姫たちにキツイ言葉を浴びせられながら、私は渋々学校に行く準備をする。
そんな時、マオチャオが私の袖を引っ張った。
「ん?どうしたの?」
「私の名前…」
おぉう!学校に間に合う、間に合わないの問題じゃない!
起動(お)きたばかりの神姫に、名を付けずして何が神姫オーナーか!
「ごめん、ごめん。すっかり忘れてた。
ちょっと待ってね。えっと…確かここに…」
ゴソゴソと机の中を漁ると、あった…紐付きの小さな鈴。
「これを首に掛けて…と。
貴女は、香鈴。香るに鈴で香鈴っていうの。どうかな?」
私はニッコリと笑って、マオチャオ改め『香鈴』を見つめながらそう言った。
「うん!気に入ったよ!それで貴女のことは何て「スバルお姉ちゃんで!!」」
香鈴の喜ぶ声を聞きながら、私は真っ先に呼び方を叫んだ。
「無駄に早いですね。マスター」
春姫が呆れた声でそう言った。
「だってだってぇ、こういう子にお姉ちゃんって呼ばせるの夢だったんだもん。
…って、うわっ!?時間が!
ゴメン春姫、あとのことは最年長者である君に任せた!
う~!あ~!遅刻ぅ、遅刻ぅ~っ!」
バン!と扉を開けて、叫びながら私は家を出て行った。
少なくとも私…長月スバルは、そう感じている。
そんな爽やかな朝に、最高の瞬間が訪れた。
「遂に手に入れた…私のマオチャオ~ッ!」
ついつい、お気に入りの神姫を見ると叫んでしまうのは私の悪い癖だ。
「…うぅ…何事ですか。マスター」
「ふわぁ…眩しいです」
「…またですか」
そのせいで、私の神姫たちが起きてきてしまう。
上から、天使型アーンヴァル「春姫」、犬型ハウリン「彩里」、忍者型フブキ「神無月」。
おかげで、フブキの神無月には、毎度のことながら呆れられている。
「起こしちゃってごめんね」
「いいえ、別に構いません。もしかして…この子の起動ですか?」
さっすが、私の神姫!察しが良いな。
「そ。あとは、CSCを入れるだけかな」
「手伝った方が良いですか?」
春姫が上目遣いで私を見る。
あぁ…ダメ!そんな目で私を…私を…
「姫、そろそろ起動を…」
神無月の言葉で、遠い世界に行きかけた私の意識が戻る。
「やばいやばい、また行きかけてしまった。じゃあ、そろそろ起動(お)きよっか?」
しばらくすると…CSCを装着し終えたマオチャオがゆっくりと目を開く。
「Kemotech製、Automaton神姫…猫型マオチャオ、KT36C1…セットアップ完了、起動します」
そう言い終えると、マオチャオは私の前にちょこんと可愛らしく立った。
「無事起動(お)きたましたね、マスター」
「ですが、お時間の方はよろしいのですか?」
春姫の安堵の声に対し、神無月の厳しい声が飛んだ。
「時間?今日は日曜日だし、学校も無いから大丈…」
ふと見た携帯の液晶画面に表示された時間と日付を見て、私は絶句した。
AM7:55 9月1日 月曜日…
「…あれぇ?壊れたかな、この携帯。まだ変えたばっかりなのにぃ…」
「壊れてもいませんし、日付も9月1日で間違いありません。
そもそも、姫は昨日からその子を見つめっぱなしでした。
気付いてなかったと?」
私のボケもスルーして、神無月は滅多に見せない怪訝な顔をしてそう言った。
もしかして、若干キレてる…?
「…つーことは、私、24時間くらい起きてたってこと?」
恐るべし!長期休暇。
長い休みのあまり、曜日感覚がずれて今に至る…と。
「姫!ですから時間が…」
「うわーん。せかっく起動(お)きたのに、話す暇も無いなんてぇ~」
「自業自得です」
「そうそう、マスターが悪い」
「少しは自覚をしましょうよ…」
「?」
訳の分かっていないマオチャオをよそに、神無月と彩里、
それに春姫と三体の神姫たちにキツイ言葉を浴びせられながら、私は渋々学校に行く準備をする。
そんな時、マオチャオが私の袖を引っ張った。
「ん?どうしたの?」
「私の名前…」
おぉう!学校に間に合う、間に合わないの問題じゃない!
起動(お)きたばかりの神姫に、名を付けずして何が神姫オーナーか!
「ごめん、ごめん。すっかり忘れてた。
ちょっと待ってね。えっと…確かここに…」
ゴソゴソと机の中を漁ると、あった…紐付きの小さな鈴。
「これを首に掛けて…と。
貴女は、香鈴。香るに鈴で香鈴っていうの。どうかな?」
私はニッコリと笑って、マオチャオ改め『香鈴』を見つめながらそう言った。
「うん!気に入ったよ!それで貴女のことは何て「スバルお姉ちゃんで!!」」
香鈴の喜ぶ声を聞きながら、私は真っ先に呼び方を叫んだ。
「無駄に早いですね。マスター」
春姫が呆れた声でそう言った。
「だってだってぇ、こういう子にお姉ちゃんって呼ばせるの夢だったんだもん。
…って、うわっ!?時間が!
ゴメン春姫、あとのことは最年長者である君に任せた!
う~!あ~!遅刻ぅ、遅刻ぅ~っ!」
バン!と扉を開けて、叫びながら私は家を出て行った。
オーナーであるスバルが居なくなった部屋は、騒がしさが消え静寂が辺りを支配する。
「まさに嵐ですね…姫は」
「まぁ、いつにも増して賑やかだったことは確かだね…」
「気にしたら負け…マスターはいつもそう」
神無月と彩里、春姫の三体は「「「はぁ~…」」」と、ため息を吐いた。
「?」
最後の最後まで、訳の分からない香鈴だった…。
「まさに嵐ですね…姫は」
「まぁ、いつにも増して賑やかだったことは確かだね…」
「気にしたら負け…マスターはいつもそう」
神無月と彩里、春姫の三体は「「「はぁ~…」」」と、ため息を吐いた。
「?」
最後の最後まで、訳の分からない香鈴だった…。