都会の中、しかしここの空気だけは朝の澄みきったそれをまた格別なものにする
ここというのは私の御主人様、鳳条院 葉月様のご自宅である鳳条院本家
まぁ正確に言うと今現在の私、及び御主人様の現在地は鳳条院本家敷地内にある武道場の中なのだが…これがまた立派な道場だと私は思う
中学校や高等学校にあるそれとほとんど変わらないくらいのもので、普通の家には…と、ここは『普通』ではなかった
なにせ兼房様のご趣味で建てられたのだけれどSPの訓練場にもなっている
その別、私はここで香憐さんが稽古をしていたのを見たことがある
ご主人様曰く、香憐さんはこのお屋敷の中でもトップクラスの使い手だとか
明人さんも本家にいるときはここで香憐さんから直々に鍛錬を積まれたのだと御主人様から聞いたことがある
それはそうと、意外に思われるかもしれないが私の御主人様も合気道二段、剣道初段の腕前だそうだ
「護身術代わりにって香憐姉さんがしつこくて;」
と仰っていたのだが偶にではあるものの今もこうして早朝から道場で座禅を組まれるところからするになかなかにその姿勢は堂に入ったものと感じさせる…が
「はぁ……」
その空気を崩したのは意外にも御主人様だった
「御主人様?」
「どうしようレイア…」
その問いかけが何に対するものなのか私はすぐに合点がいった
「バトルロイヤルの件…ですか」
「うん…」
御主人様の悩みの種とは他でもない
御主人様が在学中である龍ノ宮大学にある武装神姫サークルとの一連の件についてだった
正直、御主人様が今回の賭けを受けたのはその場の勢いに流されてというところがほとんどであり、今になって冷静に考えてみるとかなり不安要素が多いことに今更ながらに気付いてみても時すでに遅しなんだけれど…
「うーん、何で受けちゃったかなぁ…」
心当たりがないわけでもない
実際、何度断っても勧誘してくるあの二人…生田と八代といったか…には迷惑していたわけだし、それがなくなるチャンスとしては魅力的だったわけだ
「調子に乗ってたわけじゃないんだよ?」
「いや、まぁ、御主人様の性格からしてそこは仰らずとも私にはわかりますが…」
でもそれがまったく関係していないでもなかった
これでも一応、私は鳳凰杯最終トーナメント出場者なのだ
…ミュリエルには負けてしまったけれど
その自信というか今となっては慢心ではあるが、それがなかったというわけでもない
実際はじめ話を振られた時は50人ほどだと聞かされていたわけで
「ねぇ、れいあぁ~、何かいい方法はないかなぁー」
ちょ、そんな前後に揺さぶらないで下さいぃぃ
「いい方法と言われましても……あ、」
ふと、思いついたのは思いついたのだが
「な、なに!?何か思いついたの?」
「あ、はい…」
藁にもすがるとまではいわないが、かなり期待のこもった瞳で私を見る御主人様
「なに、どんなの?」
でもまぁ私の中ではこの案が一番現実的且つ効果的な案をではないかと思う
「えとですね…つまり、今回の一件はバトルロイヤルに勝ってしまえばOKなわけですよね?」
「うん、まぁそうなんだけど…相手が150人もいるんだよ?」
「まぁ確かにそうなんですが…あの方なら何とかして下さるかと思うんです」
「あの方って?………ま、まさか…」
「はい、御主人様のお兄様、明人さんとノア姉さまたちに…」
「却下」
「えぇ!?」
速攻で却下されてしまった
「な、なぜですか御主人様!?」
「…兄さんたちには迷惑かけられないよ。これはあくまで私の問題なんだし」
その気持ちは解らないでもない
けれど…
「でも、明人さんならきっと…」
「うん、でもね…」
「『それならいつまでも兄に甘える妹のまま』というわけですか?」
御主人様と私以外の第三者の声に私は慌ててその方向を見る
と、そこには
「か、香憐姉さん!いつの間に…」
今は明人さんのお世話のため明人さんの住むマンションに移った香憐さんが武道場の入り口近くにいた
彼女の肩には彼女の神姫の孫市ちゃんがいる
彼女と昴さんのランちゃんと私は起動の時期が近いためかなり親しかったりする
ノア姉さま達が学年が上の先輩だとすると孫市ちゃんたちは同学年のクラスメイトの様なものだろうなと明人さんが言っていた
「様子を見に来たんですよ。それよりどうなんです?当たっていますか?」
「う……」
図星だったのだろうか御主人様は赤面して次の言葉が出ないようだ
「兄に甘えることができるのは妹の特権、しかしそれはあくまで「妹」として。葉月様が明人様に望むこととは少しの違いようで全く違うことですからね…」
優しい顔でそんなことを言う香憐さん
「お二人の御傍に何年使えているとお思いですか?」
今度は悪戯そうな笑みに変わる
ここというのは私の御主人様、鳳条院 葉月様のご自宅である鳳条院本家
まぁ正確に言うと今現在の私、及び御主人様の現在地は鳳条院本家敷地内にある武道場の中なのだが…これがまた立派な道場だと私は思う
中学校や高等学校にあるそれとほとんど変わらないくらいのもので、普通の家には…と、ここは『普通』ではなかった
なにせ兼房様のご趣味で建てられたのだけれどSPの訓練場にもなっている
その別、私はここで香憐さんが稽古をしていたのを見たことがある
ご主人様曰く、香憐さんはこのお屋敷の中でもトップクラスの使い手だとか
明人さんも本家にいるときはここで香憐さんから直々に鍛錬を積まれたのだと御主人様から聞いたことがある
それはそうと、意外に思われるかもしれないが私の御主人様も合気道二段、剣道初段の腕前だそうだ
「護身術代わりにって香憐姉さんがしつこくて;」
と仰っていたのだが偶にではあるものの今もこうして早朝から道場で座禅を組まれるところからするになかなかにその姿勢は堂に入ったものと感じさせる…が
「はぁ……」
その空気を崩したのは意外にも御主人様だった
「御主人様?」
「どうしようレイア…」
その問いかけが何に対するものなのか私はすぐに合点がいった
「バトルロイヤルの件…ですか」
「うん…」
御主人様の悩みの種とは他でもない
御主人様が在学中である龍ノ宮大学にある武装神姫サークルとの一連の件についてだった
正直、御主人様が今回の賭けを受けたのはその場の勢いに流されてというところがほとんどであり、今になって冷静に考えてみるとかなり不安要素が多いことに今更ながらに気付いてみても時すでに遅しなんだけれど…
「うーん、何で受けちゃったかなぁ…」
心当たりがないわけでもない
実際、何度断っても勧誘してくるあの二人…生田と八代といったか…には迷惑していたわけだし、それがなくなるチャンスとしては魅力的だったわけだ
「調子に乗ってたわけじゃないんだよ?」
「いや、まぁ、御主人様の性格からしてそこは仰らずとも私にはわかりますが…」
でもそれがまったく関係していないでもなかった
これでも一応、私は鳳凰杯最終トーナメント出場者なのだ
…ミュリエルには負けてしまったけれど
その自信というか今となっては慢心ではあるが、それがなかったというわけでもない
実際はじめ話を振られた時は50人ほどだと聞かされていたわけで
「ねぇ、れいあぁ~、何かいい方法はないかなぁー」
ちょ、そんな前後に揺さぶらないで下さいぃぃ
「いい方法と言われましても……あ、」
ふと、思いついたのは思いついたのだが
「な、なに!?何か思いついたの?」
「あ、はい…」
藁にもすがるとまではいわないが、かなり期待のこもった瞳で私を見る御主人様
「なに、どんなの?」
でもまぁ私の中ではこの案が一番現実的且つ効果的な案をではないかと思う
「えとですね…つまり、今回の一件はバトルロイヤルに勝ってしまえばOKなわけですよね?」
「うん、まぁそうなんだけど…相手が150人もいるんだよ?」
「まぁ確かにそうなんですが…あの方なら何とかして下さるかと思うんです」
「あの方って?………ま、まさか…」
「はい、御主人様のお兄様、明人さんとノア姉さまたちに…」
「却下」
「えぇ!?」
速攻で却下されてしまった
「な、なぜですか御主人様!?」
「…兄さんたちには迷惑かけられないよ。これはあくまで私の問題なんだし」
その気持ちは解らないでもない
けれど…
「でも、明人さんならきっと…」
「うん、でもね…」
「『それならいつまでも兄に甘える妹のまま』というわけですか?」
御主人様と私以外の第三者の声に私は慌ててその方向を見る
と、そこには
「か、香憐姉さん!いつの間に…」
今は明人さんのお世話のため明人さんの住むマンションに移った香憐さんが武道場の入り口近くにいた
彼女の肩には彼女の神姫の孫市ちゃんがいる
彼女と昴さんのランちゃんと私は起動の時期が近いためかなり親しかったりする
ノア姉さま達が学年が上の先輩だとすると孫市ちゃんたちは同学年のクラスメイトの様なものだろうなと明人さんが言っていた
「様子を見に来たんですよ。それよりどうなんです?当たっていますか?」
「う……」
図星だったのだろうか御主人様は赤面して次の言葉が出ないようだ
「兄に甘えることができるのは妹の特権、しかしそれはあくまで「妹」として。葉月様が明人様に望むこととは少しの違いようで全く違うことですからね…」
優しい顔でそんなことを言う香憐さん
「お二人の御傍に何年使えているとお思いですか?」
今度は悪戯そうな笑みに変わる
「ははは…やはりお姉さんなだけに香憐さんには弱いですね御主人様」
「うむ、というよりただ楽しんでらっしゃるようにも見えるが…」
香憐さんの肩から飛び降りて私の座っている隣へと見事に着地した
「と、いうと?」
「姫様はどうにも葉月様の反応を楽しんでいるように思うのだ。以前も『超お宝アルバム(葉月様用)』というものを見せていただいたんだが…一つ一つ説明していく度に身悶えしなさるんだ…」
「な、なんですかその『超お宝アルバム(葉月様用)』って…」
「なんでも成長記録用の写真をプライベート用に再編集なされたそうなんだ。時に伊織様と一緒にご覧になる時もあるそうだとか…」
「あー」
お母様のことだ、目をキラキラさせながら
『香憐ちゃん、グッジョブ!!』
等とおっしゃているのだろう
ん、待てよ…
「孫市ちゃん、もしかして…」
「ああ、レイアの考えた通り、あるよ『超お宝アルバム(明人様用)』
あ、あんですとーー!!?
明人さんの成長記録用の写真…つまりそれは子供のころの明人さん!?
ちょ、ちょっとそれは…見てみたいかも…
「ま、孫市ちゃんは見せてもらったの?そ、その『超お宝アルバム(明人様用)』…」
「いや、残念ながら姫様曰く『貴方にはまだ少し早いかもね、これは人を虜にする恐ろしさが…』と、はぁはぁ息を荒くしながら申されていた」
「あ、あははは………」
香憐さん、キャラ変っちゃってるよ…
「うむ、というよりただ楽しんでらっしゃるようにも見えるが…」
香憐さんの肩から飛び降りて私の座っている隣へと見事に着地した
「と、いうと?」
「姫様はどうにも葉月様の反応を楽しんでいるように思うのだ。以前も『超お宝アルバム(葉月様用)』というものを見せていただいたんだが…一つ一つ説明していく度に身悶えしなさるんだ…」
「な、なんですかその『超お宝アルバム(葉月様用)』って…」
「なんでも成長記録用の写真をプライベート用に再編集なされたそうなんだ。時に伊織様と一緒にご覧になる時もあるそうだとか…」
「あー」
お母様のことだ、目をキラキラさせながら
『香憐ちゃん、グッジョブ!!』
等とおっしゃているのだろう
ん、待てよ…
「孫市ちゃん、もしかして…」
「ああ、レイアの考えた通り、あるよ『超お宝アルバム(明人様用)』
あ、あんですとーー!!?
明人さんの成長記録用の写真…つまりそれは子供のころの明人さん!?
ちょ、ちょっとそれは…見てみたいかも…
「ま、孫市ちゃんは見せてもらったの?そ、その『超お宝アルバム(明人様用)』…」
「いや、残念ながら姫様曰く『貴方にはまだ少し早いかもね、これは人を虜にする恐ろしさが…』と、はぁはぁ息を荒くしながら申されていた」
「あ、あははは………」
香憐さん、キャラ変っちゃってるよ…
「と、兎に角!兄さんにはこの事は知らせないでいいからね!」
私と孫市ちゃんが話している間に向こうでも話が進んでいたようだ
「ですが葉月様…」
「たしかにこの状況で私のわがままなのかもしれないけど…でも…」
「いえ、ですから…」
「香憐姉さんの言うこともある…だけど兄さんが私を見る目が変わるとは思って…いや、少しは変わってほしいけど…でもやっぱり…」
「あの…」
「兄さんには小さいころからずっと守ってもらってばっかりだし…けど、そんな兄さんだからこそ…というかそういうところが私は…」
あーあー、御主人様が暴走モードに入ちゃってる…
「止まりそうもないな…」
「あ、あははは」
私と孫市ちゃんが話している間に向こうでも話が進んでいたようだ
「ですが葉月様…」
「たしかにこの状況で私のわがままなのかもしれないけど…でも…」
「いえ、ですから…」
「香憐姉さんの言うこともある…だけど兄さんが私を見る目が変わるとは思って…いや、少しは変わってほしいけど…でもやっぱり…」
「あの…」
「兄さんには小さいころからずっと守ってもらってばっかりだし…けど、そんな兄さんだからこそ…というかそういうところが私は…」
あーあー、御主人様が暴走モードに入ちゃってる…
「止まりそうもないな…」
「あ、あははは」
そんなこんなで数分後…
「でもやっぱり兄さんには!!」
「葉月様、大盛り上がりの中失礼しますが…明人様はすでにご存じなのですよ?」
え?
「……はい?」
「ですから、明人様はすでに昴様から大方の事情をお聞きになっていまして…今頃は龍ノ宮に向かわれているころではないかと…」
御主人様の動きが固まる
と、いうか私もそれは予想外だったのだが…
「ホントなの孫市ちゃん?」
「うむ、事実だ」
うーん、なら私としては願ってもないんだけれど…
さっきまで一人で葛藤し続けていた御主人様はというと
なんか油の切れたロボットみたいなぎこちない動きになってしまった
そしてなんとか一言声にした
「な、な、なんですってぇぇぇ!!??」
朝の静かな鳳条院家に御主人様の叫びが木霊したのだった…
「でもやっぱり兄さんには!!」
「葉月様、大盛り上がりの中失礼しますが…明人様はすでにご存じなのですよ?」
え?
「……はい?」
「ですから、明人様はすでに昴様から大方の事情をお聞きになっていまして…今頃は龍ノ宮に向かわれているころではないかと…」
御主人様の動きが固まる
と、いうか私もそれは予想外だったのだが…
「ホントなの孫市ちゃん?」
「うむ、事実だ」
うーん、なら私としては願ってもないんだけれど…
さっきまで一人で葛藤し続けていた御主人様はというと
なんか油の切れたロボットみたいなぎこちない動きになってしまった
そしてなんとか一言声にした
「な、な、なんですってぇぇぇ!!??」
朝の静かな鳳条院家に御主人様の叫びが木霊したのだった…
「こちらがサークルメンバーのリストになります」
今居さんがプリントアウトした用紙を俺たちに一枚ずつ配ってくれた
「どれどれ……ん、各自の神姫も載せてあるな」
「はい、一応小さくてもうちもサークルですので全員で大会にも参加するんですよ。そのエントリーのために纏めておいたものなんです」
ほう、さすがは会長さん
さて、敵のメンバーのほどは…
今居さんがプリントアウトした用紙を俺たちに一枚ずつ配ってくれた
「どれどれ……ん、各自の神姫も載せてあるな」
「はい、一応小さくてもうちもサークルですので全員で大会にも参加するんですよ。そのエントリーのために纏めておいたものなんです」
ほう、さすがは会長さん
さて、敵のメンバーのほどは…
ファースト 1 今居 加奈子・鷹千代 (エウクランテ) 『紅羽の鷹千代』
セカンド 2 生田 誠吾 ・エメラ (ハウリン)
3 八代 御影 ・タイガ (ティグリース)
4 重村 浩二 ・天照 (飛鳥)
5 成瀬 京ノ介・クライシス (フォートブラッグ)
6 雪野 こなみ・ガウェイン (サイフォス)
3 八代 御影 ・タイガ (ティグリース)
4 重村 浩二 ・天照 (飛鳥)
5 成瀬 京ノ介・クライシス (フォートブラッグ)
6 雪野 こなみ・ガウェイン (サイフォス)
サード 7 明石 直哉 ・欄丸 (紅緒)
8 石弓 正晴 ・ラファエル (アーンヴァル)
8 石弓 正晴 ・ラファエル (アーンヴァル)
ふむ、こんな感じか…
「サークルメンバー以外は素人なのか?」
「はい、この大学の中であと、いるとすれば…葉月さんとフォレストさんですね」
まぁ葉月とアルはこちら側だからな
「そういえば明人先輩は鳳凰杯の最後でフォレストさんと闘っていましたね」
「ん?ああ…」
なるほど、この子は俺とアルの関係を知らないんだな
まぁそりゃそうか、知ってるほうがおかしいしな
「凄かったです。私たちもあそこにいたんですけど…」
「え?もしかして…鳳凰杯出てたのか?」
「あぅ…はい。一応サークル参加しましたが予選落ちで…」
あらまぁ…
「今居は上がり症だからな。普通のバトルくらいは平気なんだが…いかんせん、あのような馬鹿でかい舞台はだめなんだ」
そう言って今居さんが出してくれたコーヒーを口に運ぶ涼さん
「あぅ…涼さん…」
「マスター、私としましても、やはりもう少し堂々として頂きたくば…」
「あぅぅ…鷹千代まで…」
んー、なんとなく面白い関係みたいだな鷹千代と今居さんって
「でもな、こんな馬鹿弟子でもあのでかい舞台で平然としてられるんだ。お前だってなれるさ」
「涼さん…」
何気に励ましているのだろう
いや、まぁおれの場合場馴れしてるというか…大会の類はかなり経験してるしなぁ
「それにしたって今居君と鷹千代ちゃんは大きな戦力だよ」
薫の言うことはもっともである
ふむ…
「サークルメンバー以外は素人なのか?」
「はい、この大学の中であと、いるとすれば…葉月さんとフォレストさんですね」
まぁ葉月とアルはこちら側だからな
「そういえば明人先輩は鳳凰杯の最後でフォレストさんと闘っていましたね」
「ん?ああ…」
なるほど、この子は俺とアルの関係を知らないんだな
まぁそりゃそうか、知ってるほうがおかしいしな
「凄かったです。私たちもあそこにいたんですけど…」
「え?もしかして…鳳凰杯出てたのか?」
「あぅ…はい。一応サークル参加しましたが予選落ちで…」
あらまぁ…
「今居は上がり症だからな。普通のバトルくらいは平気なんだが…いかんせん、あのような馬鹿でかい舞台はだめなんだ」
そう言って今居さんが出してくれたコーヒーを口に運ぶ涼さん
「あぅ…涼さん…」
「マスター、私としましても、やはりもう少し堂々として頂きたくば…」
「あぅぅ…鷹千代まで…」
んー、なんとなく面白い関係みたいだな鷹千代と今居さんって
「でもな、こんな馬鹿弟子でもあのでかい舞台で平然としてられるんだ。お前だってなれるさ」
「涼さん…」
何気に励ましているのだろう
いや、まぁおれの場合場馴れしてるというか…大会の類はかなり経験してるしなぁ
「それにしたって今居君と鷹千代ちゃんは大きな戦力だよ」
薫の言うことはもっともである
ふむ…
「ねーご主人さまー」
「んー?」
「私たちなんだけど、私とノアねえとユーナ、三人とも出ていいの?」
大学から家へ帰り、晩飯の後のひと段落
そんな疑問を俺に問いかけてきたミコの位置は…俺の膝の上
ちなみに神姫素体じゃないのよ、HVIF…
そんな位置で背中を俺に預けてくるミコさん
うん、まぁこいつがべったり甘えてくるのは今に始まったことじゃないけどさ
ソファーの間のテーブルを挟んだ向かい側のユーナの不機嫌さが気にかかる…
「…ふん」
そっぽ向かれてしまった
うーん、俺が悪いのか?
「確かにそうですね」
え?同意!?
「私たち三人に対して指揮官であるご主人さまは一人…」
ああ…そっちか…
ノアがキッチンから茶を淹れてきたようだ
「その点においてはあまり深くは考えてはいないんだがなぁ」
いや、ほんと
「でもさぁ~いくらご主人さまでも三人同時に指揮はできないでしょ~?」
体の向きをこちらにかえておれの首に両手を回しながらミコが首をかしげた
「ノア」
「はい」
「おまえは単独行動したとしても…まぁ素人ぐらいなら十人程度同時にさばける…どうだ?」
「なっ!?」
俺の一言に反応したのはノアではなくユーナだった
「ちょ、アニキ!いくら姉さんでもサポートなしで同時に十人ってのは無茶じゃ…」
「んまぁ流石に『γ』じゃきついかも知れんが…『α』ならどうだ?ん?」
少し挑発気味にノアに話をふってみる
ノアは半分呆れたように溜息をつくと
「損な役回りですね…」
と一言
いやまぁ確かにそうなんだが…
「そう言ってくれるなって。お前の力をそれだけ買ってるんだ。頼りにしてるんだよ」
茶を出すノアの頭に手をのせ髪をなでる
「………」
「ノア…」
少し真面目にノアを見つめる…と
「…わかりましたよ、ご主人様はずるいお方です…」
横に目をそらしながらそう答えてくれた
「確かにな、悪いが頼むぜ?」
「仕方ありません。何とかしますよ、あなたの信頼を裏切らぬように…」
「あ、姉さん…ま、マジかよ…」
「ふっわ~、ノアねぇカッコいいー」
さて、残るはミコとユーナなんだが…
と、そこで来客を知らせる玄関のチャイムが鳴った
「誰でしょう、この時間に…」
パタパタとスリッパをならしノアが玄関へと向かう
「ね、ね、ご主人さま!私も頑張っちゃうんだから!」
そう言いながら抱きついてくるミコ
「こ、こらアネキ!いつものことだと思って黙ってみてりゃ調子に乗って…」
そこまでユーナが言いかけたところでさっきよりも速い速度でパタパタとスリッパを鳴らしながらノアが血相を変えて帰ってきた
「ご主人さま!」
「ど、どうした…そんなに慌てて…」
「葉月さんです」
玄関窓の覗きで確認したのだろうが……そ、それはまずいな
何がまずいってこの状況が
葉月にはまだノア達のVHIF については伏せてある
ここはとりあえず
「全員、可及的速やかに神姫素体へ換装!!」
「了解しました」
「う、うん!」
「お、おうよ!」
「んー?」
「私たちなんだけど、私とノアねえとユーナ、三人とも出ていいの?」
大学から家へ帰り、晩飯の後のひと段落
そんな疑問を俺に問いかけてきたミコの位置は…俺の膝の上
ちなみに神姫素体じゃないのよ、HVIF…
そんな位置で背中を俺に預けてくるミコさん
うん、まぁこいつがべったり甘えてくるのは今に始まったことじゃないけどさ
ソファーの間のテーブルを挟んだ向かい側のユーナの不機嫌さが気にかかる…
「…ふん」
そっぽ向かれてしまった
うーん、俺が悪いのか?
「確かにそうですね」
え?同意!?
「私たち三人に対して指揮官であるご主人さまは一人…」
ああ…そっちか…
ノアがキッチンから茶を淹れてきたようだ
「その点においてはあまり深くは考えてはいないんだがなぁ」
いや、ほんと
「でもさぁ~いくらご主人さまでも三人同時に指揮はできないでしょ~?」
体の向きをこちらにかえておれの首に両手を回しながらミコが首をかしげた
「ノア」
「はい」
「おまえは単独行動したとしても…まぁ素人ぐらいなら十人程度同時にさばける…どうだ?」
「なっ!?」
俺の一言に反応したのはノアではなくユーナだった
「ちょ、アニキ!いくら姉さんでもサポートなしで同時に十人ってのは無茶じゃ…」
「んまぁ流石に『γ』じゃきついかも知れんが…『α』ならどうだ?ん?」
少し挑発気味にノアに話をふってみる
ノアは半分呆れたように溜息をつくと
「損な役回りですね…」
と一言
いやまぁ確かにそうなんだが…
「そう言ってくれるなって。お前の力をそれだけ買ってるんだ。頼りにしてるんだよ」
茶を出すノアの頭に手をのせ髪をなでる
「………」
「ノア…」
少し真面目にノアを見つめる…と
「…わかりましたよ、ご主人様はずるいお方です…」
横に目をそらしながらそう答えてくれた
「確かにな、悪いが頼むぜ?」
「仕方ありません。何とかしますよ、あなたの信頼を裏切らぬように…」
「あ、姉さん…ま、マジかよ…」
「ふっわ~、ノアねぇカッコいいー」
さて、残るはミコとユーナなんだが…
と、そこで来客を知らせる玄関のチャイムが鳴った
「誰でしょう、この時間に…」
パタパタとスリッパをならしノアが玄関へと向かう
「ね、ね、ご主人さま!私も頑張っちゃうんだから!」
そう言いながら抱きついてくるミコ
「こ、こらアネキ!いつものことだと思って黙ってみてりゃ調子に乗って…」
そこまでユーナが言いかけたところでさっきよりも速い速度でパタパタとスリッパを鳴らしながらノアが血相を変えて帰ってきた
「ご主人さま!」
「ど、どうした…そんなに慌てて…」
「葉月さんです」
玄関窓の覗きで確認したのだろうが……そ、それはまずいな
何がまずいってこの状況が
葉月にはまだノア達のVHIF については伏せてある
ここはとりあえず
「全員、可及的速やかに神姫素体へ換装!!」
「了解しました」
「う、うん!」
「お、おうよ!」
玄関先でなんとかノア達が換装するまでの時間を稼いだあと、リビングに葉月とレイア、後香憐ねぇと孫市を連れて行きVHIFについて葉月にばれるという事態はさけられた
「あれ?誰かほかにいたんじゃないの?」
「ど、どうしてだ?」
「ちょっと物音が騒がしかったから…」
「そうでしたか?私たちはそれほど気になりませんでしたね孫市?」
「は、手前も姫様と同じく…」
香憐ねぇたちのフォローが入る
大体のことは察してくれているみたいで助かる
「んで、どうした?こんな時間に…」
「あ、その、えっと…兄さん?」
「ん?」
「龍ノ宮での大会…出るってホント?」
まぁそのことだろうとは思ったが、というかそれしかないだろ
「ああ、でるよ」
「えと、それは…私と生田君達のことがあるから…」
「まぁ、そうだな」
それしかないだろうがあえて聞いてくる感じだな、葉月
「えと…兄さん?」
「却下だ」
「まだ何も言ってないのに!?」
「俺たちに迷惑かけるから出るな…ってところだろうが。そんなこと言わんでも却下だ」
「あ、あぅ…」
「だから言ったじゃないですか…明人様には言いに行くだけ無駄ですと」
香憐ねぇはやれやれといった感じである
「で、でもぉ…」
困った時に出す声は御袋そっくりだな葉月…
埒が明かん
ここはすっぱりと言い切っておくべきだな
「葉月」
「な、なに?兄さん…」
「あのな、迷惑もくそもあるかよ…おまえは俺のたった一人の…」
そう、たった一人の
「あ…」
「あれ?誰かほかにいたんじゃないの?」
「ど、どうしてだ?」
「ちょっと物音が騒がしかったから…」
「そうでしたか?私たちはそれほど気になりませんでしたね孫市?」
「は、手前も姫様と同じく…」
香憐ねぇたちのフォローが入る
大体のことは察してくれているみたいで助かる
「んで、どうした?こんな時間に…」
「あ、その、えっと…兄さん?」
「ん?」
「龍ノ宮での大会…出るってホント?」
まぁそのことだろうとは思ったが、というかそれしかないだろ
「ああ、でるよ」
「えと、それは…私と生田君達のことがあるから…」
「まぁ、そうだな」
それしかないだろうがあえて聞いてくる感じだな、葉月
「えと…兄さん?」
「却下だ」
「まだ何も言ってないのに!?」
「俺たちに迷惑かけるから出るな…ってところだろうが。そんなこと言わんでも却下だ」
「あ、あぅ…」
「だから言ったじゃないですか…明人様には言いに行くだけ無駄ですと」
香憐ねぇはやれやれといった感じである
「で、でもぉ…」
困った時に出す声は御袋そっくりだな葉月…
埒が明かん
ここはすっぱりと言い切っておくべきだな
「葉月」
「な、なに?兄さん…」
「あのな、迷惑もくそもあるかよ…おまえは俺のたった一人の…」
そう、たった一人の
「あ…」
「『妹』なんだからな」
「「「……………」」」
ん?なぜここで時が止まる?
「……………ああ、御もっともなのですが明人様…」
「……………若君…それは…」
「…い、いも……」
なぜかガックリと膝をつく葉月
「葉月様!お気を確かに!」
「ふぁいとです、葉月様!」
ずーんと暗くなって落ち込んでしまった葉月を励ます香憐ねぇと孫市
いや、なんのこっちゃわけがわからんのだが
「明人さん、明人さん」
落ち込む葉月の傍からとことこと俺の近くにやってくるレイア
「ん?どうしたレイア」
「えっと…私も頑張りますが150もの数は無理です。御主人様に変わり申しますが、どうぞお力添えお願いします!」
ぺこりとお辞儀をするレイア
あーなんだ、どうしよう
めちゃめちゃ可愛いんだが…
「ああ、葉月と…レイアのためになんとかするさ」
「あ、いや…私のためだなんてそんな…」
赤くなってアタフタしているレイア
くぅ、ますます可愛い…
「いや、どうにかするのはアタシ達だし…」
「ご主人さま…鼻の下延びてる…」
「はぁ…この方からの信頼を守ろうとしている私は…」
落ち込む葉月に励ます香憐ねぇと孫市
アタフタしているレイアに萌える俺
それにあきれる三人娘という異様な空間を残したまま大会まであと少しの夜は更けていった…
ん?なぜここで時が止まる?
「……………ああ、御もっともなのですが明人様…」
「……………若君…それは…」
「…い、いも……」
なぜかガックリと膝をつく葉月
「葉月様!お気を確かに!」
「ふぁいとです、葉月様!」
ずーんと暗くなって落ち込んでしまった葉月を励ます香憐ねぇと孫市
いや、なんのこっちゃわけがわからんのだが
「明人さん、明人さん」
落ち込む葉月の傍からとことこと俺の近くにやってくるレイア
「ん?どうしたレイア」
「えっと…私も頑張りますが150もの数は無理です。御主人様に変わり申しますが、どうぞお力添えお願いします!」
ぺこりとお辞儀をするレイア
あーなんだ、どうしよう
めちゃめちゃ可愛いんだが…
「ああ、葉月と…レイアのためになんとかするさ」
「あ、いや…私のためだなんてそんな…」
赤くなってアタフタしているレイア
くぅ、ますます可愛い…
「いや、どうにかするのはアタシ達だし…」
「ご主人さま…鼻の下延びてる…」
「はぁ…この方からの信頼を守ろうとしている私は…」
落ち込む葉月に励ます香憐ねぇと孫市
アタフタしているレイアに萌える俺
それにあきれる三人娘という異様な空間を残したまま大会まであと少しの夜は更けていった…
続く
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