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無頼18「ガラクタ置場とある神姫」




雲行が怪しくなってきたある日の空。
私は河原を飛んでいた。
たまには散歩もいいかな、って思った矢先にこれだ。


そして雨が降り出す。


どこかに雨宿りとでも行きますか。
そう思って旋回しようとしたら、あるものが目に映った。


ガラクタだらけのスクラップ置場。


気がついたら、私はそこに向かっていた。



~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~



早いうちに環境改善に乗り出したこの町には、酸性雨は降らない。
でも、最近は近辺の工場で発生した事故が原因で有害物質が紛れ込んでいるという。
それを警戒するのは当然である。
濡れた前髪をかき分けると、声がした。

「ジュラさんじゃないですか」
ふり向くと、バイクの部品らしきものを持ったジーナスが立っていた。
「奇遇ね。…あなたも雨宿り?」
聞くとジーナスは少し笑いつつ一言。
「いえ、ガラクタ漁りですよ」


……


降り続く雨。
まるで永久(とわ)に続くかのように、どこまでも降り続ける。

「なにかお目当ての物でもあったの?」
バイクの部品を見ればだいたい見当はつくけど、一応は聞いてみた。
「ええ。この前ここを通った時に、使えそうなオートバイを見つけたので」
そういいつつ、奥から古ぼけたバイクを押してきた。
見た感じ、かなり古い型のようだった。
セルモーターがついてない証拠として、イグニッションキーがなくキックスターターが内蔵されていた。

「やっぱりバイクは欲しかったんですけど、すごく高いですからね」
神姫用のバイクは高い。
たとえ1/12でも普通のバイクと同等の値がつくのだ。
「さすがに一部の部品は、買ってもらうしかないみたいですけど」
そういって、ちょっと暗い顔をした。


…バイクのヘッドライトが、鈍く光を反射している。
暗闇から救い出されたのを、喜ぶかのように。
「……なんだか、そのバイク見てると思いだすなぁ…」
「?、なにをですか?」
ふともらした言葉に、はてなマークを浮かべるジーナス。

「昔のこと。…聞きたい?」
ちょっと聞いてみた。
「はい、ぜひ聞かせてください」
答えはすぐに返ってきた。

正直、この事を話すのは少し抵抗がある。
でも、たまにはこういう話もいいかもしれない。
「えーっと…、たしか…」



~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~



そう…だいたい1年前だったかしら。
私がこの世に生を受けたのは。

どこにでもいるサンタ型神姫、それが私。
私のマスターは、どこにでもいる少年だった。
「えっ? ジュラさんのマスターって長瀬さんじゃなかったんですか」
「せかさないで。んーっと…」

私のマスター…―記憶がとんで、もう名前を思い出せないけど―は、友達のいない一人っきりの子だった。
とてもやさしくて、心の澄んだ人だったわ。
…お世辞にも、顔はよくなかったけど。

あと、やさしすぎる性格仇になってたのかな。彼は学校でいじめに遭っていた。
形人君たちの学校とちがって、常にピリピリしてたみたい。
マスターは時々ボロボロになって帰ってきては、破かれたノートの内容を新しいノートに書き写していた。
教師たちは、この事をなかば黙認していたみたい。面倒だから。
「そんな…」
「私から見れば、形人君は温室育ちの世知らず。あの人はそこらの木の上で育った弱者ね」

ちょっと、言いすぎたかしら?
両方の意味で。
ジーナスの目にはうっすら涙が浮かんでいるような気がした。
「…続けてください、何があったんですか?」


そんな彼の数少ない心の支えが、彼の母親と私だった。
父親はロボット嫌いで、そいつの単身赴任中に私は買われた。
そんなにひどいのかと母親に聞いたら、「見つかったら壊されて捨てられる」と言われたわ。

それでも、私とマスターはしあわせな日々を送っていた。
笑い、泣き、そして愛しあった…。
「愛しあった?」
「そ。あーんな事やこーんな事を、実際に」
そういって、大きい棒を抱きかかえるフリをしながら、舌を出した。
「……!?!」
理解したらしく、顔を真っ赤にして頭をかかえだすジーナス。面白い反応ね。



~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~



でも、その時間はアッサリ崩壊した。
そして、"今の私"の時間が流れだす。

全ては、私が眠っている間に起こった。
だからどうなってたかは知らない。


気付いた時には、暗いカゴの中だった。
「…って、その状況は一体…?」
「今からいうのは推測よ、あくまで」

たぶん、何かの所要で急に帰ってきたと思う。
そして、私を見つけてどこかへと売り払った。
「…こんな事、思い当たらないほうが不思議だわ」
「リセットなしに売り払う…!? そんな事が可能なんですか?」
「「里親を探すリサイクルショップ」、最近流行ってるじゃない」
ジーナスはその言葉をうけて、少し苦い表情をした。

"里親を探すリサイクルショップ"
その人にとって不必要、もしくは一緒にいられなくなった神姫を、リセットせずにそこに売却するのだ。

しかし、そこで待っているのは天国か地獄。
今ジーナスが思い出した事は、この町の外で起きた事件だと容易に想像できる。


2週間前、ある男が逮捕された。
そいつは盗品、もしくはリサイクルショップで買い取った神姫を、自分の神姫に虐殺させていた。
家じゅうトラップとセンサーだらけ、家宅捜索時には大量の神姫の残骸が発見されたとか。

ちょっとした事―どこにでもある意見の対立―でそこに投げ出された神姫が、生還して真実を伝えた。
今はあるセンターで名を馳せる" 拳銃使いの悪魔" である。(あるオーナーと神姫参照)


「私は、彼女より運が悪かったみたい」
私が引き取られた先は、なんと裏業界!
ロボット工学三原則を守っていたら、すぐに屍となりそうな所よ。
オーナー名義は私のマスターのまま―どうやら使い捨てにする気だったらしい―私は宴に駆り出された。
手に持たされたのはリアルバトル用を超過する威力の武装、コイツで殺しあえってね。


「その場に居る人間、皆殺しにしてやったわ」
「…それで?」

私は、同じ境遇の子たちと一緒に抜け出したわ。
マスターを殺された"猛獣たち"が追いかけてきて、散り散りになっちゃったけど。



~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~




どこまで飛んだかわからない。
ただ、少しでも遠くに飛んだ。

「ひどくつらい体験だったわ」
カラスの群れに襲われるわ、ノラ犬にかみ殺されそうになるわ、季節外れの台風に弄ばれるわ…。
台風に遭った時にコンパスが壊れて、どっちの方角に飛んでるか判りづらくなった。
それでも、マスターからどんどん遠ざかっている事だけは分かったけど。


気付いたらこの町の、このガラクタ山に身を潜めていた。
バッテリーは切れる寸前、右腕がちぎれ飛んでもう飛べもしなかった。
さらに頭を損傷した時に記憶が破損したらしくて、マスターの名前を思い出せなくなっていた。

「神様はずいぶんむごい仕打ちをしてくる」、そう思ったわ。

誰にも知られず、気付かれずにこのまま朽ち果てていくのか。その時ね、覚悟を決めたのは。
その日は今と同じ、雨の日だったわ。
動けない私を、ガラクタから滴り落ちる雨水が濡らしていった。


ふと、気付けば夜になっていた。
正確な時間は、午後8時27分。
その日は、12月24日。

ガラクタの隙間からのぞく星空が、目に焼きついた。
死を覚悟していたのに、急に死にたくなくなって声を出して泣いたわ。
でも、無慈悲にもバッテリーはあと1分で完全に消耗してしまうと出ていた。
そうなれば、私はこのままガラクタの仲間入り。…いや、もうなっていたわ。


星に、…一度は文句を言った神様に願ったわ。
「奇跡を起こしてください」と。
本当は、サンタクロースである私が奇跡を起こすべきなんだろうけど。

「でも、最後まで言う前にバッテリーが切れたわ」
そのまま、私の意識はぶっつり途絶えた。



~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~



「気がついたら、神姫センターのメンテナンスショップにいたわ」
もう見れないと思っていた明るい蛍光灯の光。
私の体は新しいものに交換されていた。
最初に私に話しかけたのが、ラスターだったわ。

『気が付きましたか? よかった』
はじめは「お迎えが来たのか」と思ったけど、ラスターに手を握られて現実の事だと理解したわ。
『マスター! あの子が目覚めましたよ!』

次に姿を現したのが祁音、今よりも髪が短かったわ。
『気分はどうだい? 名前を言えるかい?』
どこにでもいそうな優男、第一印象はそれね。
『私は…』
おぼろけの記憶から、何とか自分の名前を思い出したわ。

『ファウンド』


……


あれからも、色々あったけどそこは省略させてね。
結果的にいえば、私はすでに存在しないはずの神姫になってた。
シリアルナンバーから問い合わせたんだけど、データが消去されてたらしいの。
「まあ、人殺しだしね」
「さらっと言われると、むしろ安心してしまいますね」

私はどこからきたのかも、記憶データ破損時に判らなくなっていた。
もう、記憶の中にしか「あの人」存在しない。

私は一人ぼっち。

その私を「ジュラーヴリク」として引き取ったのが祁音。
まあ、彼から託された"任務"は今までの体験にくらべたらまともだしね。
その事も省略、長くなっちゃうからね。

「…すごく波乱万丈な経験をされているんですねぇ」
「まあ、ね」


……


( BGM:Gentle Jena 「planetarian ~ちいさなほしのゆめ~」より)


雨は、やんでいた。
夕暮れが近づいてきている。
そして、少しずつ星が見え始める。

「そろそろ帰った方がよさそうですね」
「ええ、雨もやんだ事だし」


「あ、いたいた」「ジーナス!」
堤防から歩いてくる人影。
形人君とヒカルだ。
「ジュラ、君もいたのかい?」
「ええ、雨宿りにね」
話した内容はむろん秘密、こっそりジーナスに言った。


「ジュラさんはどうするの?」
「私は一人で帰れるわよ、もちろんね」
もう、帰る場所を忘れはしない。
ぜったい、忘れたくない。


……


私は、そのまま日が沈むのを待った。
やがて、月と星空があたりを覆う。
町の明かりにまけないほどの、美しい無窮のきらめき。

「マスター…。いつかまた、会えるよね?」
星空にむかって、私は呟いた。


祁音たちがむかえにくるまで、私はずっとガラクタ山の上で星空を見上げ続けていた。



END









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