「くそ…一体どうなってるんだ…」
暗く混沌とした意識の中、ヤクトはよろよろとからだをおこした。
「たしかあの時、あの黒い奴が現れて、そんで…どうなったんだったかな」
ヤクトは周りを見回したが、誰もいなかった。
「カウベル…、不動、どこに行った…!」
しかし、いくら叫んでもそこにいるはずの相棒達は返事をしてくれない。まるで消えてしまったかのように。
「どういうことだ、みんないなくなるなんて…」
ヤクトは立ち上がり、相棒達を探した。幸い、敵の姿は見えなかったが、この状態では探すのもままならなかった。
「ここも派手にぶっ壊されたからな…。早いとこ探さないと」
廃墟と化した戦場の中を、ヤクトは歩き始めた。
暗く混沌とした意識の中、ヤクトはよろよろとからだをおこした。
「たしかあの時、あの黒い奴が現れて、そんで…どうなったんだったかな」
ヤクトは周りを見回したが、誰もいなかった。
「カウベル…、不動、どこに行った…!」
しかし、いくら叫んでもそこにいるはずの相棒達は返事をしてくれない。まるで消えてしまったかのように。
「どういうことだ、みんないなくなるなんて…」
ヤクトは立ち上がり、相棒達を探した。幸い、敵の姿は見えなかったが、この状態では探すのもままならなかった。
「ここも派手にぶっ壊されたからな…。早いとこ探さないと」
廃墟と化した戦場の中を、ヤクトは歩き始めた。
ネット界の侵略者 出撃、特殊部隊 その1
話は数時間前にさかのぼる。
「どうやら集ったようですね」
会議室に集った参加者たちに説明を始める担当者・鈴原は、今まで起きた事件の数々を説明し始めた。
「今まで起きた事件の事はご存知だと思います。あなた達を呼んだのも、この事件を解決していたただくためです」
鈴原は近くにあるパソコンで、プロジェクターを使いデータを映し出した。
「まず、これをご覧ください。これは今まで被害にあわれた営業所や施設などのデータです。R・B・M(ロボットバトルシステム)があるところや、データバンクがある場所などを集中して襲われています」
そこには、様々な施設が混乱に落ちいている場面が映し出されている。その中には、近日オープンする場所もあった。
「そこって、今度オープンする…」
「そうです。先日、そこの施設もホストに大ダメージを被りました。現在のところ、復旧の見込みが立っていない状態です」
そのことを聞いた一同の話し声がぴたりとやんだ。
「…作戦は一刻を争います。今、敵がどのような手を使って他の施設を襲うのか、わからない状態です。ですから、あなた達には早期殲滅をお願いしたいのです」
「ですが、どうやって敵を見つけるのです?今の状態では相手の居所すら見つけられない」
鈴原はその問いに静かに答えた。
「まず始めに先発隊を派遣します。そのあと相手に動きがありましたら、後発隊が行動を開始します」
「ちょっと待った、先発隊ってのはすなわち囮、という意味じゃないのか?そうだとしたら、誰がその役を担うんだ?」
参加者の一人の質問に、再び周りが騒ぎ始めた。
「そんなこと、誰がやるんだろう」
「そんなのやるのは命知らずしかやらねえよ」
殆どの参加者は、その作戦に否定的のようだった。無理もない、囮になるということは、パートナー神姫を危険な目にあわせるということになるのだ。
「皆さん、作戦内容には否定的のようですね。では、別の作戦に…」
鈴原が言いかけたそのとき、一人のオーナーが手を上げた。
「その役目、私たちにやらせていただけませんか?」
手を上げたのは和多だった。
「今後被害が広がるのは必至です。これから次の作戦を考えるのにも時間がかかりますし、今行動に移さないとこの地域だけではなく、他の地域にも飛び火してしまいます。ですから、私たちがやります」
和多が立候補した事によって、周りはますますどよめいた。
「和多さん一人ではなんですから、自分も行きましょう」
後ろの方から誰かの声が聞こえた。
「好村さん」
好村という男はすっと立ち上がり、続けて話した。
「もしもの事があってはいけませんから、和多さんの神姫のサポートを私のアスティとリオーネでやります。宜しいでしょうか?」
「いいでしょう」
先発を希望する好村と和多の行動に、他のオーナーたちの表情が変わった。そしてその後、オーナー達が次々と参加すると言い始めた。
「俺、やります」
「和多さんたちがやるなら、私も」
意外な反応を見せるオーナー達の顔色を見つつも、鈴原は落ち着いた声で答えた。
「先発隊はあくまでも相手をひきつける役目を担っていますから、少数で行動することが好まれます。よって、先発隊には和多さんの神姫、ヤクトとカウベル、好村さんの神姫、アスティとレオーネで行います。ほかのオーナーと神姫は、私の指示があるまで待機してください」
話が終わると、和多と好村以外のオーナー達は会議室から去って行った。
「さて、お二人にはネットルームに移動していただき、出動の準備をしていただきます。セッティングはルームの中で済ませてもかまいません」
鈴原の指示通り、和多たちはネットルームへ移動した。
「どうやら集ったようですね」
会議室に集った参加者たちに説明を始める担当者・鈴原は、今まで起きた事件の数々を説明し始めた。
「今まで起きた事件の事はご存知だと思います。あなた達を呼んだのも、この事件を解決していたただくためです」
鈴原は近くにあるパソコンで、プロジェクターを使いデータを映し出した。
「まず、これをご覧ください。これは今まで被害にあわれた営業所や施設などのデータです。R・B・M(ロボットバトルシステム)があるところや、データバンクがある場所などを集中して襲われています」
そこには、様々な施設が混乱に落ちいている場面が映し出されている。その中には、近日オープンする場所もあった。
「そこって、今度オープンする…」
「そうです。先日、そこの施設もホストに大ダメージを被りました。現在のところ、復旧の見込みが立っていない状態です」
そのことを聞いた一同の話し声がぴたりとやんだ。
「…作戦は一刻を争います。今、敵がどのような手を使って他の施設を襲うのか、わからない状態です。ですから、あなた達には早期殲滅をお願いしたいのです」
「ですが、どうやって敵を見つけるのです?今の状態では相手の居所すら見つけられない」
鈴原はその問いに静かに答えた。
「まず始めに先発隊を派遣します。そのあと相手に動きがありましたら、後発隊が行動を開始します」
「ちょっと待った、先発隊ってのはすなわち囮、という意味じゃないのか?そうだとしたら、誰がその役を担うんだ?」
参加者の一人の質問に、再び周りが騒ぎ始めた。
「そんなこと、誰がやるんだろう」
「そんなのやるのは命知らずしかやらねえよ」
殆どの参加者は、その作戦に否定的のようだった。無理もない、囮になるということは、パートナー神姫を危険な目にあわせるということになるのだ。
「皆さん、作戦内容には否定的のようですね。では、別の作戦に…」
鈴原が言いかけたそのとき、一人のオーナーが手を上げた。
「その役目、私たちにやらせていただけませんか?」
手を上げたのは和多だった。
「今後被害が広がるのは必至です。これから次の作戦を考えるのにも時間がかかりますし、今行動に移さないとこの地域だけではなく、他の地域にも飛び火してしまいます。ですから、私たちがやります」
和多が立候補した事によって、周りはますますどよめいた。
「和多さん一人ではなんですから、自分も行きましょう」
後ろの方から誰かの声が聞こえた。
「好村さん」
好村という男はすっと立ち上がり、続けて話した。
「もしもの事があってはいけませんから、和多さんの神姫のサポートを私のアスティとリオーネでやります。宜しいでしょうか?」
「いいでしょう」
先発を希望する好村と和多の行動に、他のオーナーたちの表情が変わった。そしてその後、オーナー達が次々と参加すると言い始めた。
「俺、やります」
「和多さんたちがやるなら、私も」
意外な反応を見せるオーナー達の顔色を見つつも、鈴原は落ち着いた声で答えた。
「先発隊はあくまでも相手をひきつける役目を担っていますから、少数で行動することが好まれます。よって、先発隊には和多さんの神姫、ヤクトとカウベル、好村さんの神姫、アスティとレオーネで行います。ほかのオーナーと神姫は、私の指示があるまで待機してください」
話が終わると、和多と好村以外のオーナー達は会議室から去って行った。
「さて、お二人にはネットルームに移動していただき、出動の準備をしていただきます。セッティングはルームの中で済ませてもかまいません」
鈴原の指示通り、和多たちはネットルームへ移動した。
「それでは、自分の神姫をカプセルの中に入れてスタンバイしてください」
マシンナリースタッフが用意してくれたカプセルに、二人はそれぞれの神姫を中に入れた。
「ヤクト、カウベル、そして不動、気をつけていくんだぞ」
カプセルに入ったヤクト達を、和多は念を押した。
「分かってるよ、用はあいつ等をおびき寄せたらさっさと戻ればいいんだろ」
「さくっと言うんですね~、私はちょっと心配です」
トライクモードに換装された不動にまたがったカウベルは、少し不安そうな顔つきになった。
「ダイジョウブデス、ワタシガフタリノサポートヲシマスカラ」
珍しく不動が元気付けるように話した。
「お前、いつの間にしゃべれるようになったんだ?」
「ムカシカラデスヨ」
ヤクトの突込みにも冷静に返す不動。
「おしゃべりはそれくらいにして、発進の準備をするんだ」
「はいはい、それじゃ、行きますか」
ヤクトは不動の後部に設置されたパッセンジャーシートにまたがった。
「準備OK」
「いつでもどうぞ」
ヤクトとカウベルは発進に備えて姿勢を低くした。
「好村さんのほうも準備終わりましたか?」
「OKです。それじゃ、アスティ、リオーネ、準備はいいか?」
好村は相棒であるアスティとリオーネに声をかけた。アスティはイーダタイプの神姫、リオーネはムルメルティアタイプの神姫で、それぞれ性格も基本装備も正反対の神姫である。
「ああ、いつでも発進OKだ」
「リオーネさん、そんなに硬くならないの」
緊張で硬くなっているのか、リオーネの話し方はギクシャクしていた。
「そ、そうか、すまない」
アスティはトライクのシートに、リオーネはスナイパーライフルとガトリングを背負ってパッセンジャーシートに座っている。このポジションは、ヤクトとカウベルに似ていた。
「あれ、あっちも同じポジションになってるな」
カプセル越しであちら側の様子を見ていたヤクトが物珍しそうにしていた。
「あっちもトライクだからな、高速戦闘になるから、このタイプを選んだんだろう」
「そうだな、そんな理由なら仕方ねえな」
和多の答えに、ヤクトは少し納得したような顔つきになった。
「それでは、目的地まで転送しますので、発進の準備をしてください」
「「「「了解」」」」
四人の神姫は鈴原の指示に従い、発進の姿勢に入った。
「それでは、システムを起動してください」
鈴原は近くのスタッフにシステム起動の指示をした。
「よし」
「いきます…」
覚悟を決めた四人の神姫は、発進までの時間を静かに待った。
「では、先発部隊、出動!!」
鈴原が叫んだその瞬間、ヤクトたちはネット空間へと飛び込んで行った。
マシンナリースタッフが用意してくれたカプセルに、二人はそれぞれの神姫を中に入れた。
「ヤクト、カウベル、そして不動、気をつけていくんだぞ」
カプセルに入ったヤクト達を、和多は念を押した。
「分かってるよ、用はあいつ等をおびき寄せたらさっさと戻ればいいんだろ」
「さくっと言うんですね~、私はちょっと心配です」
トライクモードに換装された不動にまたがったカウベルは、少し不安そうな顔つきになった。
「ダイジョウブデス、ワタシガフタリノサポートヲシマスカラ」
珍しく不動が元気付けるように話した。
「お前、いつの間にしゃべれるようになったんだ?」
「ムカシカラデスヨ」
ヤクトの突込みにも冷静に返す不動。
「おしゃべりはそれくらいにして、発進の準備をするんだ」
「はいはい、それじゃ、行きますか」
ヤクトは不動の後部に設置されたパッセンジャーシートにまたがった。
「準備OK」
「いつでもどうぞ」
ヤクトとカウベルは発進に備えて姿勢を低くした。
「好村さんのほうも準備終わりましたか?」
「OKです。それじゃ、アスティ、リオーネ、準備はいいか?」
好村は相棒であるアスティとリオーネに声をかけた。アスティはイーダタイプの神姫、リオーネはムルメルティアタイプの神姫で、それぞれ性格も基本装備も正反対の神姫である。
「ああ、いつでも発進OKだ」
「リオーネさん、そんなに硬くならないの」
緊張で硬くなっているのか、リオーネの話し方はギクシャクしていた。
「そ、そうか、すまない」
アスティはトライクのシートに、リオーネはスナイパーライフルとガトリングを背負ってパッセンジャーシートに座っている。このポジションは、ヤクトとカウベルに似ていた。
「あれ、あっちも同じポジションになってるな」
カプセル越しであちら側の様子を見ていたヤクトが物珍しそうにしていた。
「あっちもトライクだからな、高速戦闘になるから、このタイプを選んだんだろう」
「そうだな、そんな理由なら仕方ねえな」
和多の答えに、ヤクトは少し納得したような顔つきになった。
「それでは、目的地まで転送しますので、発進の準備をしてください」
「「「「了解」」」」
四人の神姫は鈴原の指示に従い、発進の姿勢に入った。
「それでは、システムを起動してください」
鈴原は近くのスタッフにシステム起動の指示をした。
「よし」
「いきます…」
覚悟を決めた四人の神姫は、発進までの時間を静かに待った。
「では、先発部隊、出動!!」
鈴原が叫んだその瞬間、ヤクトたちはネット空間へと飛び込んで行った。