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3.僕と彼女とコーヒーと



無機質な電子音が、僕を眠りの淵から引き上げようとしている。
毎日毎日繰り返される、同じ状況……慣れたものだ。
さしたる抵抗もなく僕は眠りから這い出し、せめてもの反撃とばかりに、目覚まし時計に一発くれてやる。
ぺし。
普段ならこれで大人しくなるはずの目覚まし時計が、今日は一向に鳴り止まない。
ぺし、ぺし。
続けて二度、三度と叩いても、やはり変化なし。
おかしい、どこか壊れてしまったのだろうか。

別に高い買い物でもないが、まだ買い換えてから三ヶ月ほどしか経っていないし、壊れるほど強く叩いているわけでもない。
そもそも壊れるなら音も止まってほしいものだ、スイッチだけ壊れて音が鳴り続けるなど迷惑にもほどがある。
まあ壊れてしまったものは仕方がない、店に持っていって修理してもらおう。
保証書はどこへしまったっけ?

そんなとりとめのない思考を経て、眠気を引きずっていた意識が十分に覚醒した頃、ようやく僕は気付いた。
この人騒がせな電子音の元凶が、目覚まし時計ではなく携帯電話だということに。

「……」

自分の間抜けさ加減に少々うんざりしながらも、通話ボタンを押して電話に出る。

「はい……」

『もしもし、山城だ……って、酷い声だな、まさか寝起きか?』

電話の主は大地だった。
彼がプライベートで僕に連絡を取るとは珍しい。
他の人間に対してどうかは知らないが、彼と僕とのやりとりはほとんどが会社、もしくは仕事帰りのバーや飲み屋で完結することが常だったからだ。

「おはよう大地……珍しいね、電話なんて。今何時?」

僕が眠気を引きずる声で尋ねると、受話口の向こうから呆れたような溜め息が飛んできた。

『おはようじゃねえよ、もう十二時だぞ。お天道様がかんかんだ、二つの意味でな』

言われて僕は、携帯電話を持ったまま立ち上がり、カーテンを開け放つ。
なるほど確かに、太陽は空の天辺で燦々と輝いていた。
さすがに自分でも呆れる。
陽光の眩しさに、眠気は一気に吹っ飛んでいった。

「参ったな……昨日ちょっと遅かったからさ」

言い訳したところで昨夜のこと……僕の新しい家族のことを思い出す。
起動用バッテリーで動いていた彼女は、あの後すぐにスリープモードに入ってしまったので、僕は彼女の為のメンテナンス環境を整えてやる必要があった。
クレイドルと呼ばれる充電用装置の接続や、スキャニングソフトのインストール、それから実際にソフトを使っての簡易メンテナンスなどなど。
モニターに表示された彼女のコンディションを表すウィンドウを眺めながら、やっぱりロボットなんだなあ、なんてことをつらつらと考えていた。
全ての作業が終わり眠りについたのは、結局午前三時を過ぎた頃だった。

『そっか。ひょっとして神姫の関係か? ……おい、そんなに慌てるな、ってこら!』

途中からのセリフは僕に向けたものではなかった。
受話口の向こうが騒がしい、大地の他に誰かいるようだ……なんだか聞き覚えのある声のような気がする。
ばたばたと妙な音の後で、聞こえてきたのは、僕を再び眠りに誘うような間延びした声だった。

『狩野クン、おはよ~。彼女の様子はどう?』

電話の声と生の声は違って聞こえるとよく言うけど、若山さんの場合は口調が特徴的なのですぐにわかる。
大地の様子から察するに、昨日の神姫がどうなったかが気になって仕方なかったのだろう。

「おはよう若山さん。神姫のことなら心配ないよ。無事起動して、今はクレイドル……だっけ? その上でスリープモードに入ってるよ」

『そっかあ、よかった~。でも随分遅くまで寝てるのね~……ひょっとしてタイマー設定してない?』

タイマー?
そんな機能があるなんて初耳だ……最も、僕自身神姫のことについてはまだまだわからないことだらけなんだけど。

『タイマー設定しておけば、毎日決まった時間に自分で起きてくれるわよ~。まあ、毎日自分で起こしてあげるっていうのもありだけどね。乙女の寝起きゲット! みたいな~』

後半やけに楽しそうに喋ってたのは気のせいだろうか。
相変わらず掴み所のない人だ。

『まあそれはともかく、その辺のことも含めて後で詳しく教えてあげるから~って、ちょっときゃあっ!』

また受話口からどたばたと騒がしい音が聞こえてくる。
今度は大地が若山さんから電話を取り上げているんだろう。
朝から仲の良いことで……もう朝と言える時間でもないけど。

『あー……騒がしくてすまんな。まあ聞いての通り、成海がお前の神姫のことが気になって仕方ないみたいなんだ。ついでに俺もちょっと気になってるけど』

何がどうついでなのかはこの際気にしないでおこう。
何にでも首を突っ込みたがる大地のことだ、興味本位に違いない。

『で、だ。今日お前の家に様子を見に行きたいと思ってるんだけど、どうだ? 成海のヤツに色々教えてもらうのもいいと思うぞ』

大地の提案は僕にとってもありがたいものだった。
何しろ僕は神姫のことについては『ど』のつく素人だ。
インターネットで探せば情報はいくらでも出てくるだろうけど、やはり詳しい人間に直接教えてもらえるのは助かる。

「そうしてもらえると助かるよ。時間は……午後二時くらいでいいかな?」

『オーケー。いきなり押しかけるみたいで悪いな』

「気にしないでよ、別に用事があったわけでもないしさ」

『そっか。じゃあ、また後でな』

通話を終えて、電話を置く。
クレイドルを見ると、ノエルはまだすやすやと眠っていた……ってタイマーを設定していないんだから、起こすまで起きないのは当たり前か。
同じくスリープモードだったパソコンを立ち上げ、ノエルのメンテナンスツールを呼び出す。
コンディションは……うん、問題ない。
バッテリーも十分に回復している。

「ん……んんー」

起動コマンドを送ると、彼女はむにゃむにゃ言いながら目を覚ました。
ふあ、なんて欠伸してる姿が微笑ましい。

「おはようノエル。気分はどうだい?」

「あ、はいっ。おはようございます! 各部位チェック……完了、問題ありません!」

僕が声をかけると慌てて起き上がり、居住まいを正す。
そのあまりに人間くさい行動に、僕は思わず噴き出してしまった。

「そんなにかしこまらなくてもいいよ。これからは家族同然なんだ、もっと気楽にやっていこう」

「あ……」

僕の言葉に、ノエルはほにゃっとした笑顔を浮かべた。
堅苦しい関係は彼女も望むところではなかったのだろう。
そんな彼女の頭をこしょこしょと撫でてやる。

「さて、起きたばかりで早速だけど、午後から友達が来ることになったからね……急いで仕度をしよう」

ほわほわになってるノエルをそのままに、僕は食事の用意をするためキッチンへ向かう。
すると、ノエルも慌てて僕の後についてくる……クレイドルの段差につまづいて転ぶことも、忘れなかった。



「さて、今日の朝食は何にしようか……」

時刻は昼であったとしても、今日最初の食事なのだから朝食でいいのだ。
何にしようか、とは言いながらも、僕の朝食のメニューは大抵決まっている。
僕は卵とベーコン、それから何種類かの野菜を冷蔵庫から取り出した。

「暁人さん、何してるんですか?」

「ん? 食事の用意だよ……そういえば、ノエルは食事はするのかい?」

食パンをトースターに放り込みながら僕は訪ねた。
神姫は基本的にバッテリーによる電力供給で動いているし、それ以外に動力源となるものはないはずだ。
従ってエネルギー供給という意味では食事は不要なはずなのだが……。

「えと、食事をしなくても活動できますけど、コミュニケーション手段の一環として、物を食べるという機能は備わってます」

ノエル曰く、そういうことらしい。
確かに、食事というのは人と人の繋がりの中で大きなウェイトを占めていると思う。

「そっか、じゃあ一緒にご飯食べようか?」

僕が問いかけると、彼女は笑顔で頷いた。
何か手伝いたさそうな様子だったので、コーヒーを淹れてもらうことにする。
十五センチの体ではさすがに料理を作ることは難しいだろうが、コーヒーくらいならなんとかなるだろう。
天使型であるノエルは、付属のウィングブースターを背中に装着することによって空を飛ぶことが出来る。
なので、高い棚に入っているマグカップを取り出したりすることも問題なく任せられるわけだ。
……実はブースターに関して僕は非常に不満な点があるのだが、それは追々語るとしよう。



かくして、僕らの遅めの朝食が完成した。
メニューはトースト、スクランブルエッグ、軽く焼いたベーコン、そしてグリーンサラダ……ドレッシングはこだわりのパステル・キッチン社製だ。

「いただきます」

二人揃ってお辞儀をし、食事を始める。
といってもノエルが使えるような食器はなかったので、彼女の分は僕が食べさせてやる格好だ。

「ほれ」

スプーンでスクランブルエッグをとって彼女に差し出すと、小鳥のように首を伸ばしてそれを食べる。
そんな姿が可愛らしくて、どんどん彼女に食事を与えてしまう。
彼女もこの餌付けが気に入ったらしく、笑顔で頬張っては「おいしいです」と繰り返してくれた。
作った僕としても、やはり美味しいと言われるのは嬉しいものだ。

「今度は料理をお手伝いしたいです」

もきゅもきゅと口を動かしながら、ノエルはそう言ってきた。
そうだな、彼女と一緒に料理をするというのも悪くなさそうだ。
ちゃんと教えてあげればそれなりのものは作れるだろう……教えることは多々ありそうだが。

「そうだな、まずは砂糖の分量を覚えような」

いささか甘すぎる――甘党である僕をもってしても、だ――コーヒーを飲みながら、僕は少しだけ意地悪くそう言った。







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