ある日の事。
ホームルームにてこんな話が出た。
ホームルームにてこんな話が出た。
「残り時間は最近色々話題になってる、MMSによる犯罪についてを考えようと思う」
MMSによる犯罪。
以前挙げた「アウトロー」による国際法違反および賭博の他にも、性的目的による改造やリアルバトル用の部品の違法製造はまだいい方である。
MMSによる犯罪。
以前挙げた「アウトロー」による国際法違反および賭博の他にも、性的目的による改造やリアルバトル用の部品の違法製造はまだいい方である。
SF作家、アイザック・アジモフが提唱した「ロボット工学三原則」を改変する。
それは人間と同じ行動が可能となる、つまりMMSによる殺人が可能となる事を指す。
それは人間と同じ行動が可能となる、つまりMMSによる殺人が可能となる事を指す。
「…先生は、それに『ともだち』として生まれたMMSが使われてる事を思うと悲しい」
日本人がアメリカ人と「決定的に考えが違う」ところがある。
それは「ロボットは人間のともだちか否か」と言う所だ。
欧米圏には『自らが創り出したものに、いつか滅ぼされるのでは?』という、俗に言う『フランケンシュタイン・コンプレックス』蔓延している。
その為、米国においての展開は複雑なものとなっている。
日本人がアメリカ人と「決定的に考えが違う」ところがある。
それは「ロボットは人間のともだちか否か」と言う所だ。
欧米圏には『自らが創り出したものに、いつか滅ぼされるのでは?』という、俗に言う『フランケンシュタイン・コンプレックス』蔓延している。
その為、米国においての展開は複雑なものとなっている。
日本では、『鉄腕アトム』を始めとする作品がある。これらでは『ロボットは人間のパートナーであり、ともだちである』といった書かれ方がされている。
それにより、日本では意思を持った人型ロボットへの抵抗が少ないと言う。
アトムの成し得たものは、とても大きいと思う。
それにより、日本では意思を持った人型ロボットへの抵抗が少ないと言う。
アトムの成し得たものは、とても大きいと思う。
「先生、ロボットは『ともだち』なんかじゃありません」
突然、考えを遮る発言がされた。
突然、考えを遮る発言がされた。
「ロボットはただの機械です」
教室内の視線が、一点に注がれる。一番後ろの、右端の席の人物。
「神崎! どうゆう事だ」
風間が思わず叫ぶ。
教室内の視線が、一点に注がれる。一番後ろの、右端の席の人物。
「神崎! どうゆう事だ」
風間が思わず叫ぶ。
神崎鍼麻(かんざき はりま)の姿がそこにあった。
「だから、ロボット…というよりMMSはただの機械だと言いたいんだ」
「…何故なのか答えてみろ、神崎」
先生が一筋の汗を垂らし、問う。
「だから、ロボット…というよりMMSはただの機械だと言いたいんだ」
「…何故なのか答えてみろ、神崎」
先生が一筋の汗を垂らし、問う。
「神姫にはロボット工学三原則がインプットしてあります。だがそれは簡単に削除、もしくは動作妨害が可能な状態です。
犯罪者は神姫のAIに関係なく妨害処理を施し、殺傷が可能なように改変します」
一呼吸おいてから、奴は更に続ける。
「人間とは違い、プログラムでしかないMMSの人格は容易に改ざんされる。
そんな人間以上に不安定な存在を「人と同じ」と言えますか?」
犯罪者は神姫のAIに関係なく妨害処理を施し、殺傷が可能なように改変します」
一呼吸おいてから、奴は更に続ける。
「人間とは違い、プログラムでしかないMMSの人格は容易に改ざんされる。
そんな人間以上に不安定な存在を「人と同じ」と言えますか?」
「待て、その理屈はおかしい」
今度は風間が挙手した。
「風間、お前の意見を言ってみてくれ」
今度は風間が挙手した。
「風間、お前の意見を言ってみてくれ」
「人間の意思・人格だって弱いところを突けば容易に改変可能だ。
世の中の人間は「危険だからもっと規制を強めるべきだ」と言うが、犯罪行為はMMSが自発的に行うものじゃない。誰かしら悪意を持った人間によって引き起こされるものだ」
世の中の人間は「危険だからもっと規制を強めるべきだ」と言うが、犯罪行為はMMSが自発的に行うものじゃない。誰かしら悪意を持った人間によって引き起こされるものだ」
…最後の行を除いて、神崎の言い分にも納得できる点はある。
だが神崎と風間の会話は大きく食い違っている。
神崎は「MMSは機械である(これは「人間と同じ意思は存在しない」と言う意味)」と言う持論の説明をしているが、それに対し風間は今回の授業内容である「MMSを使った犯罪はなぜ起こるか」を起点に話をしている。
こんなんじゃいつまで経っても議論が終わるわけがない。
だが神崎と風間の会話は大きく食い違っている。
神崎は「MMSは機械である(これは「人間と同じ意思は存在しない」と言う意味)」と言う持論の説明をしているが、それに対し風間は今回の授業内容である「MMSを使った犯罪はなぜ起こるか」を起点に話をしている。
こんなんじゃいつまで経っても議論が終わるわけがない。
「なにをっ、あんな模造品の肩を持つのかっ!?」
「テメェこそガチガチのワイドショーの評論家(笑)みたいな事いってんじゃねぇ!!」
席を立ち、二人とも距離を縮めつつ口論を展開する。これは手が出るか? 足が出るか?
「テメェこそガチガチのワイドショーの評論家(笑)みたいな事いってんじゃねぇ!!」
席を立ち、二人とも距離を縮めつつ口論を展開する。これは手が出るか? 足が出るか?
きーんこーんかーんこーん
一触即発の状態は、終業のチャイムと共に打ち砕かれた。
「今日の授業はここまで。あと二人共、議論を白熱させるのはいいが喧嘩はするんじゃないぞ?」
先生が小さく息を吐いた様に見えたのは気のせいではないだろう。
「きりーつ、礼」
とんだ冷や水だ、二人がポカンとしている間にSHRが終わってしまった。
「今日の授業はここまで。あと二人共、議論を白熱させるのはいいが喧嘩はするんじゃないぞ?」
先生が小さく息を吐いた様に見えたのは気のせいではないだろう。
「きりーつ、礼」
とんだ冷や水だ、二人がポカンとしている間にSHRが終わってしまった。
あ、そういや今日の教室掃除はあの二人だな。却って汚くなりそうだなぁ。
「形人っ、かえろっ!!」
いつの間にか目の前に居たヒカルがペンケースを持ちながら言った。今日は掃除当番じゃないからな、まっすぐ帰ってゴロゴロするかな。
「うしっ、帰ろう」
「形人っ、かえろっ!!」
いつの間にか目の前に居たヒカルがペンケースを持ちながら言った。今日は掃除当番じゃないからな、まっすぐ帰ってゴロゴロするかな。
「うしっ、帰ろう」
教室を出る直前に見た光景は、二人が箒を持ちながら互いを見て呻っているシーンだった。
まあ、他人の持論に関しちゃ僕は関係ないな。
まあ、他人の持論に関しちゃ僕は関係ないな。
流れ流れて神姫無頼に戻る