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えむえむえす ~My marriage story~

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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

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双子神姫
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武装神姫のリン
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「♪~」
 赤いビルの屋上、その特等席に陣取った“彼女”は鼻歌を歌いながらバイポッドを展開し、その場に伏せる。
 その場所からは無数の神姫が見えたが、“彼女”は見向きもせずに“ある人物”を探す。
 と、その人物は思いのほか早く見つかった。“彼女”のスコープのはるか向こう側、ソーラーパネルがあり高くもなく低くもない。そんなビルの屋上にその人物はいた。
「・・・あれが、私のお姉さん」
 その空色の瞳で見据える。
 自分とよく似ていると“彼女”は思ったがすぐに考え直す。
「私が、お姉さんに似てるんだよね」
 そういいながら“彼女”は待っていた。
 その人物以外の全ての神姫が・・・・いなくなるのを。






CHF番外編

その四

『ヘルメットに気をつけろ』



















 スコープの中の十字をあわせ、彼女はトリガーを引いた。
 音速を超えて鋼鉄の弾丸が飛翔し目標を粉砕する。
「・・・ふぅ。まぁ大体こんなもんですかね」
 今、ビルの屋上から見える最後の標的を破壊したサラはバイザーを上げて小さく伸びをする。
『うん。上場じゃない? 残すはあと一人だけど・・・どこにいるか判る?』
「さぁ? どっかそこらへんに隠れてるんじゃないですか?」
 気を抜いたサラの代わりに春奈が周囲を警戒する。
 それはスナイパーのサポートをするスポッターそのものだった。
「それにしてもあれですね。わたしはともかくハルナはスナイパーにはなれませんね」
『どういうことよ?』
「状況によりますが伏せて撃つでしょう。わたしだとちょうど良いのですが・・・・ハルナだととてもとても」
『・・・何が言いたいのこの装甲板』
「いえいえ。乳と体のバランスがイーアネイラ並みのハルナでは伏せられないなと思っただけですよ」
『無いから! 流石にそこまでは無いから!!』
「え。それじゃぁ・・・丑型位ですか?」
『・・・・まぁ、その位なら』
「巨乳自慢ですか!!」
『何で逆ギレ!?』
 掛け合い漫才をしながらも春奈はしっかりと周囲を警戒している。
 今のところ目視できる範囲に敵はいない。・・・はずだった。
「そもそもハルナはその胸がどれだけ恵まれているか判っていないのです。いいですかそもそも乳というのは ――――――ッ!?」
『サラ!?』
 本当に偶然。
 サラが右手を離し、その右手にアーマーがついていて、バイザーを触ろうと右手を上げていたから防げた一撃だった。
 遙彼方から放たれ、音速を超えた弾丸は偶然にもサラの右手の装甲板にあたり、衝撃でサラはライフルから弾き飛ばされた。
『サラ!? 大丈夫なのサラ!!』
「――――――――――っ・・・・だ、大丈夫です。・・・右手が・・・し、しびれた・・・っていうか顔に当たって痛い・・・」
 撃たれた当の本人は無傷のようだ。そのままライフルを拾い匍匐前進でソーラーパネルの陰に隠れる。
 春奈はその様子に安堵し、同時に筐体の外から周囲にくまなく気を配る。しかし春奈の視界の範囲には敵がいない。ということは・・・
『超長距離狙撃・・・?』
「・・・ようするに、わたしは今スナイパーに狙われていると」
『そうとしか思えないわよ。だって周りには誰もいないのよ?』
「確かにそうですね。そしてそのスナイパーの狙撃精度はほぼ一発必中と」
 サラはさきほど撃たれた右手の装甲板を見る。
 それはとても正確に、真ん中を撃って来た。貫通こそしなかったものの相手の精度に関してはもはや疑いようが無い。
 こうなると右手の装甲に当たって“偶然”助かったのではなく、わざと右手を狙って撃ったとしか思えない。
「・・・挑発、でしょうか」
『さぁ・・・そだ。どこにいるか大まかな方向とかわからない? それ判れば対策だって・・・』
「わたしの後方、赤いビルの屋上です。・・・盲点でした。他に狙撃してくる神姫なんているとすら思ってなかった」
 サラはビルの屋上に設置されたソーラーパネルの陰に隠れながら言う。
 その向こうには一つだけ高いビルがあり、狙撃してくるとしたらそこしかないのだが・・・
『カウンタースナイプは? 向こうから撃てたんならこっちだって』
「無理ですよ。・・・フィルターとか駆使すればどうにかなりますけど、逆光で僅かにタイムラグが生まれます。そんな隙を許してくれる相手とは思えません。それに太陽を背にするのは基本です」
 そう、今サラが隠れているソーラーパネルの向こう側には太陽が燦々と輝いている。
 もし向こうにいる狙撃手を撃とうとするならば、必然的に太陽の方をむくことになる。そこでスコープに光が入っては見えるものも見えなくなるのだ。
『・・・じゃぁ、ずっとこのままってわけ?』
「そうなりますね。まぁ気長に行きましょうよ」
 サラはそういうと右手の装甲を外し、パネルの向こうに捨てる。
 その瞬間装甲は銃弾に弾かれビルの谷間に消えた。
 遅れて響く、銃声。
『・・・・・・今の、狙って撃ったの?』
「条件反射でしょう。しかし参りましたね。場所もよければ精度もいい。それに比べてこっちは場所が悪い・・・どうしましょうね?」
 気楽にサラは言うが彼女の頭の中では様々な策が練られ、その全てが即座に却下されていく。
 全ての策が出尽くすのも時間の問題だろう。
『・・・ねぇサラ、あんたが今隠れてる奴、使えないかな?』
「・・・・・・・・・・・・・はい?」
 春奈の言葉にサラは思わず振り返る。
 そこにはソーラーパネルが、太陽光を遮り影を作っていた。
『こう・・・光を反射させて目をくらませるとか』
「・・・どうでしょう。・・・黒って光吸収しますよね?」
『でも光沢あるよ? 角度があえば反射だって』
「そんなことあったらビニールハウスより出火の危険性ありません?」
『・・・・・・それもそっか』
「・・・」
『・・・』
 場を、沈黙が支配した。
 今日の春奈は冴えていない。
「・・・・・・・・・・・・・・ん?」
 と、サラが何かを思い出したようにバックパックを漁る。
 そこから取り出したのは・・・


























「・・・・引き篭もっちゃった」
“私”は少し落胆しながらスコープを覗き続けていた。
 初弾はわざと外したけど、二発目はもうついうっかり撃ってしまった。恐らくそれで“私”の腕前は向こうに伝わってしまっただろう。・・・特に支障は無いのだけれど。
 今日のこの瞬間を楽しみにしてたのに、あの人はソーラーパネルの向こう側。正直少し期待はずれだった。
「ま、不意打ったこっちが言うセリフじゃないけど」
 そういいながら“私”は倍率を上げ、ソーラーパネルを見る。
 あの黒いカーテンが忌々しいことこの上ない。あれがなかったら“私”はあの人の顔を見て、あの人は私の顔を見てくれるだろう。もっとも見られる訳にも行かないのだけれど。
 と、突然何かがパネルの上から飛び出してきた。
 “私”はもう条件反射で“それ”を狙撃して
「―――――――え?」
 突然視界一杯に広がった閃光に、目を奪われた。
























「――――――!」
 放り投げたスタングレネードの爆発の少し後、わたしは片膝をついて狙撃手がいると思われるビルをスコープで探す。
 早く・・・早く探さないと・・・!
「――――――いた!」
 赤いビルの屋上、そこに“彼女”はいた。
 金色の髪、灰色の素体。わたしが見たことも無い銃を構えこちらを狙おうとしている。
『―――――サラ!』
 ハルナの叫びと同時に、わたしはトリガーを引いた。
 肩に響くリコイルショック。ボルトは後退しチャンバーから引き抜かれたカートリッジは廃莢口から勢いよく飛び出す。
 その瞬間、突然頭部に大きな衝撃を受けわたしはそのまま弾き飛ばされる。
 その真上を、砂色のヘルメットが舞っていた。
『サラ!?』
 そのまま地面に倒れこんだわたしにハルナが呼びかける。
 ・・・まさかカウンタースナイプされるとは。一体何者ですかあのスナイパー。
「・・・・・・・・・・・・・・だい、じょうぶです。ヘルメットが飛んだだけですので。それよりも・・・奴は・・・」
 わたしの言葉にハルナは溜息をつきながらも言った。
『・・・自分の腕を信じなさいよ』
 ハルナがそういうと、わたしの目の前にWINの文字が広がり勝利のファンファーレが鳴り響いた。
























「お疲れ。流石に狙撃はお手の物ね」
「・・・疲れました」
 筐体から出てきたわたしをハルナが迎えてくれました。
 ・・・正直、かなり疲れたんですが。
「ってそうだ。相手は何型でした? 見たところ天使型のような風貌でしたが・・・」
 今一番気になっていることをハルナに問う。
 あの狙撃手、青い目に金髪ってことは確認したんですけど・・・覚えてるのはそのくらいなんですよね。
「・・・いやぁ、それがね? 確認しようにもデータに無いのよ」
「・・・・は?」
「いやだから・・・参加者リストに載ってないのよ。アンタが最後に倒した種型の子が、最後の退場者になってる。あの神姫の痕跡が何一つ無いの」
 ・・・何一つ無い?
 いやしかし、彼女は間違いなくわたしと戦ってましたし・・・でもいない?
 なんなんですかこのホラーみたいな展開は。わたしは幽霊と戦っていたとでも?
「とりあえず筐体の不具合かもしれないから、お姉ちゃんとこ行こ」
 ハルナはそういうとわたしに右手を差し出す。
 わたしは釈然としないままその手に乗り、筐体を後にした。







































































「・・・・・・負けた、か」
 “私”はそういうとクレイドルから立ち上がる。
「どうだった? 彼女は中々強かっただろう」
 と、そばにパソコンで一部始終を見ていたのだろう。
 白衣の彼が“私”にそう聞いた。
「えぇ。狙撃精度もさることながら、目視してから狙撃までのタイムラグが殆ど無かったわ」
 そう、それが今回の敗因の一つ。
 失礼かもしれないけれど“私”は新型なのだから、旧型である彼女に負けるとは正直思っていなかった。
「ふむ・・・キミはまだ試験段階だからね。まぁ、勝てなくても問題はないさ」
 彼はそういいながらキーボードを叩き始める。
 そこには今までの“私”の戦績が記録されていた。
「一戦目、騎士型マズルカ・・・敗北。二戦目、犬型犬子さん・・・勝利。三戦目、天使型フェータ・・・敗北。四戦目、猫型マイ・・・勝利。・・・で、五戦目でデザートスコーピオン相手に敗北と」
 ・・・むぅ。
 初戦は相手が強すぎたし天使型の時なんて狙う暇なかったし。相手が悪かったのよ・・・。
「・・・まぁ、試験段階だから」
「それ、慰めてないわよね」
 “私”はそういうと灰色のヘルメットを外し、クレイドルの横にそれを置くと金の髪をかき上げる。
「・・・・・・・今日はバトル続きで疲れたろう。もう寝ていいよ・・・ゼルノグラード」
「・・・いい加減名前で呼んでよ。別にいいけど」
 彼が苦笑しながら言った言葉に“私”はそう返す。
 彼はそのまま机から立ち上がり、どこかへと行ってしまう。恐らく今日の結果をまとめに行ったのだろう。
「・・・サラお姉さん・・・か」
 いいながら今日の戦闘を思い出す。
 あまり大っぴらにバトルに参加できない“私”は、合法的に各地のヴァーチャルバトル筐体へと割り込んで戦闘をしている。なにせ“私”はまだ正式に発売されていない。そもそも生産ラインすら整っていないかもしれない。何せ今発売延期中だし。
 ・・・火器型MMS、ゼルノグラード。それが“私”の今の名前。とはいっても本名は別にあるのだけれど・・・会社の中じゃゼルノグラードと呼ばれている。何せ稼動している火器型は今“私”一人だから。
「発売されたら、“私”の妹たちがそっちに行くよ。・・・ふふ。楽しみだな」
 そう呟くと、“私”はクレイドルに横たわり伸びをして目を閉じる。
 睡魔はすぐにやってきた。







End




どうしても発売前にやっておきたかったネタ。
やっぱり新型登場→旧型が倒すの流れはロマンを感じますな(ぇ




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