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 いきなりエロですすいません。
















 テーブルの上に広げられているのは、何冊もの教科書と参考書。その間を埋めるようにして広げられた、コピーとノート。
 教科書を読んで覚える。
 ノートに書いて覚える。
 20xx年の日本でも、テスト勉強の方法は半世紀前とさえ大して変わらない。
「じゃ、次の問題。人工知能基本法で規定された、ヒューマノイドタイプロボットの最大サイズはいくら?」
 それを証明するかのように、少年の向かいに座った少女はコピーの束を片手にそう問い掛けた。
「六百ミリ。頭頂高な」
「正解」
「……んっ」
「………んむぅ……」
 少年が答え、少女が評価をすると同時、テーブルの下から小さな声と音がする。
「じゃ、次ねー。人工知能基本法第四条の全文を答えよー」
 コピーの束を右手に持って、左手は床に突いたまま。両足を投げ出して座る少女の姿勢は、お世辞にも行儀の良いものではない。
「ロボットの管理責任者は、ロボットの判定・行使した全ての行動に責任を負う」
「ありゃ。もうちょっと難しい方がいいかなぁ……? 正解」
「んむ……」
「……ちゅぷ」
 細い足が投げ出されたテーブルの下。
 またもや小さな声がして、ぬちゅりという艶めかしい水音が響く。
「……うっ」
 向かいに座る少年は、短く呻き。
「次行くよー。んぅ……ヒューマノイドタイプロボットの定義とは…何か? 三つ……」
 少女は足を投げ出したまま、次の問題を出しかけて………。
 テーブルの下を覗き込んだ。
「二人ともぉ。ずっとやってたらごほうびにならないじゃん」
 そこにいるのは、身長十五センチの小さな少女達。長い金髪の娘と、栗色の髪を三つ編みに結んだ少女の二人組。
 彼女達は投げ出された少女の足の上にいて……。
「はむ……ぁ、はい……プシュケさん。あのぉ……千喜さぁん……ずっとやってちゃ、ダメ……なんですかぁ?」
 千喜と呼ばれた少女の足指が挟み込んでいるのは、少年の股間にそそり立つ肉の棒。挟んで固定された逸物に、プシュケとノリコは小さな肢体を絡めるようにして掴まっているのだ。
「だって、峡次さんのあそこ……すごい匂い……ぁ、は……んっ、なん…ですもの……。ね、ノリぃ……」
 赤黒い先端からにじみ出す透明な液体に、プシュケはうっとりと頬を寄せ。伸ばした舌先で、表面張力で珠の形を保っていた先走りをべちゃりと割り広げていく。
 けれど、そこまでだ。
「そりゃ、あたしにも伝わってくるけど……んぅ……っ。ちょっと二人とも、そんな……盛り上がらないで…よぅ……!」
 名残惜しそうな表情を浮かべたまま、プシュケは主の言葉に従って、てらてらと濡れ光る亀頭から唇をそっと離した。
「こ、答えたら……また……」
「はい……峡次さん、がんばってくださいね……」
 肉棒に抱き付き、頬を寄せたまま……舌と手の動きを止めて、ノリコも少年の答えを待っている。
「お、おぅ……。人間に酷似した頭・胴・四肢を持つ。超AIを搭載できる。後は……んっ、なん……だっけ……」
「もぅ……。早く、言いなさいよぅ……」
 肉竿を伝わり落ちる液体が、ノリコの肢体をじっとり濡らし、根本を掴んだ少女の足指に届いて、そのままじわりと広がっていく。
「う……忘れた……。何だっけ?」
「もぅ。峡次さんのばかぁ……」
 抱き寄せた頬を濡らす先走りで、逸る気持ちを慰めていたノリコも、不満声。
「……いいよ、二人とも。罰として、やっちゃって」
「ええ……ほら、峡次さん。覚悟なさい」
 根本を少女の足指でこね回される肉棒に、十五センチの小さな肢体がしがみつき。固く脈打つ竿の先をプシュケの舌と唇が這い、舐め回していく。
「峡次さん、ちゃんと覚えてくださいね……」
 反対側からは肉竿に抱き付いたノリコが、胸元を押し付け、全身を使って撫で回し始めた。
「んふ……峡次さんのおちんちん、ビクビクしてるぅ……。プシュケさん、そっちは……きもちい…ですか?」
「ぁ……こっちも、すごい…匂い……れすわぁ。ノリコぉ、私がこっち……んっ、やって……良かったんですの……?」
 先走りがあふれ出す割れ目の内側に舌を差し込み、内の液体をかき出しながら、プシュケは反対側のノリコに問いかける。
 峡次の神姫はプシュケではなく、あくまでノリコ。峡次の性臭は大好きだが、本来の神姫に向けられる愛情を横取りしてまで……欲しいものではない。
「わたし、この、ビクビクのほうが………好きぃ。だから、プシュケさんも、もっと……」
 掻き出された透明な液体はノリコの側に流れ落ち、肉竿とそこに擦り付けられる少女の胸と腹の間で泡を立てて……粘着質な音に変えられている。
 主の愛を全身で感じて幸せそうなその表情に、プシュケに対する羨望の想いなど欠片も見当たらない。
「あらあら。なら、遠慮はいりませんわね……ちゅっ」
「う……うぅ……っ! も、もぅ……出……っ!」
 CSCを納めた小さな胸に、ビクビクと震える熱いたぎりがダイレクトに伝わって……。
「ひゃぁっ!」
 艶やかな栗色の髪と、切り揃えられた金髪を白く汚していく、峡次の迸り。
「うぅう……峡次さん、すごく……ビクビク、してますよ……」
 男根の震えを全身で感じながら。頭からかかる白濁の熱さに、ノリコは甘い吐息を漏らす。
「んふぅ……すごい、匂い…ですわぁ………」
 びゅくびゅくと白濁を吐き出し続ける肉の割れ目に顔を埋め、プシュケも顔中を包み込む精の匂いにうっとりと酔いしれる。
「うぅ……。で、何だっけ……?」
 やがて、精を思う存分解き放った峡次は、思い出したようにそう呟いた。
 いまだ肉竿にはノリコがしがみつき、亀頭にはプシュケが抱き付いたまま。二人は全身を穢す白濁を拭うこともせず、まだヒクヒクと蠢くその場所に幸せそうに舌を這わせ、絡む精を舐め清めている。
「んぅ……四肢、とぉ……胴体に……は、ぁ……適切な、関節…機構を……持つ、だよぅ……。はぁ、峡次の……あたしの足に、ドロって、ぇ……」
 二人の心から伝わる興奮をそのまま受け止めた千喜も、まともに呂律は回っていない。コピー用紙の束を投げ出して、小さな胸を上下させているだけだ。
「プシュケ、さぁん……」
「んぅ………ノリコ…にも……」
 ようやく清められた赤黒い亀頭の上。唇を重ね合い、口内の精を交換し合う二人の神姫からこぼれる唾液が、清められたばかりの肉塊にとろとろとこぼれ落ちていく。
 その美しくもいやらしい光景に、わずかに萎えていた肉棒が、再び固さを取り戻してきて。
「ね、峡次さん……。次の問題は、ちゃんと答えてくださいね……?」
 そこで、台所を仕切っていた扉ががらがらと開いた。
「夕ごはん出来たわよ。冷蔵庫に大したもの無かったから、鍋にした……って、人の部屋で何やってるのよ、二人とも」
 ゆるくウェーブした髪の下、細い眉をわずかにしかめ。両手で土鍋を抱えた娘はため息をひとつ。
「いや鳥小さん。ここ俺の部屋ですから……」
 股間をいきり立たせたままの峡次が見上げるのは、鳥小の抱えた鍋の底。
「あと人んちの冷蔵庫、勝手に開けないでくださ……っていうか、中のもの全部使っちゃったんすか!?」
 ようやく下半身から頭に戻ってきた血が、再びさぁっと引いていくのが分かった。
「ええ。あんまり物、入ってなかったから……」
「……あの、それ、俺の一週間分の食料だったんスけど」
 峡次のバイトが始まるのは、テストが明けてからの事。次の仕送りが来るまで、収入はない。
 そこまで何とか生き延びるためには、冷蔵庫の中のわずかな備蓄を綱渡りの如く使いこなすことが至上命題だったのだが……。
「そ、それより、ノリコちゃん達も初日は試験あるでしょ? 大丈夫なの?」
「…………へ?」
 唐突なその言葉に、峡次の肉棒に抱き付いたまま……ノリコとプシュケは、思わず顔を見合わせた。


マイナスから始める初めての武装神姫

その12



 教室の前のスピーカーから、いつも通りのチャイムの音が流れてきます。
 でも、今日はいつもと同じ音でも、ほんの少しだけ違う意味。
 一時間目の開始の合図。峡次さんは今頃、高等部初の中間テストを始めている頃でしょう。
 教科は確か……機械工学概論。
「はい、集まってください」
 そして、峡次さんと別れたわたしたちが連れてこられたのは、使われていない別の教室でした。普通なら教室全体に並べられている机は真ん中辺りに集められて、広いテーブルみたいになってます。
 教室の前には見たことのない女の人がいて……黒板に大きく書かれているのは、『神姫用テスト待機場』の文字。
「教室内では可視光線映像・可聴領域音声以外の全てのデータ送受信行為を禁止します。センサーを置いていきますから、秘匿通話や赤外線通信もこちらは感知できますので気をつけてください」
 試験官、という腕章を付けた女の人はそう言うと、小さな箱をことりと教卓に置きました。わたし達が出した電波を受けるだけのパッシブタイプらしいそれは、探知用の電波を発信している様子はありません。
「ではまず、普通科から。一年A組、網延さんのプシュケさんからどうぞ」
 言われて試験官さんの手に乗ったのは、プシュケさんでした。試験官さんはそのまま部屋を出ていって……ここは待合室のようで、テストそのものは別の部屋になるみたいです……待機場に残されたのは、わたしたち神姫だけ。
「ねえ……テストって、どうなるんだろ?」
 部屋が神姫だけになると、誰ともなしに科ごとに集まって……誰かが口を開きました。
「さあ。でも、授業って聞いてなかったよね……どうしよ」
 プシュケさんも知らなかったようだし、わたしも何が起こるか予想も付きません。ベルさんは受けたことがあるはずですが、細かいことは守秘義務とかで、教えてくれませんでしたし。
「つか、数学のテストとかだったら楽勝じゃね?」
「数学なら良いけど、英語だったらどうすんの。あたし、翻訳ソフトなんか入ってないよ?」
「それより歴史年表とか、そっちのが心配だよあたしゃ……」
 わたしも簡単な演算くらいなら出来ますけど、翻訳ソフトも歴史年表もありません。関東の地形だったら、どこに何があるかすぐに分かるんですけど……残念ながら、今回のテストに地理は入っていないそうです。
「試験会場の音、拾えないかな?」
「やってみたけど、無理っぽいよ。隣の教室でやってるとかじゃないみたい」
「あの試験官さんの足音からすると、かなり向こうの教室に移動したみたいですね」
 音響センサーのレンジを広げてみても、その程度の情報しか拾えませんでした。しかも会場は防音設備のある部屋のようで、扉の閉まる音がした後は、それらしい音は何も聞こえてきません。
「あーもう、誰かデータ転送してくれない? こうなったら、接触回線でいいからさ!」
「バカ。データ転送は禁止って言われたっしょ!」
 その時、がらがらと扉が開いて……さっきの試験官さんが戻ってきました。
「次、工業科一年A組、伊藤さんの千歳さん、どうぞ」
 普通科の神姫はプシュケさん一人だけと聞きました。次は工業科で……
「……はい!」
 箸型神姫の千歳さんがわたし達の輪から抜けて、試験官さんの所にぱたぱたと走っていきます。
 千歳さん達が部屋を出て、ドアが閉まったところで会話再開。
「千歳ちゃん、大丈夫かな……」
「テストが戦闘試験だったら、厳しいよね」
「……だね。千歳ちゃん、戦闘タイプじゃないもんね」
 千歳さんはいつも和服を着せてもらってる、黒髪のこひるです。マスターの伊藤さんとそっくりな、わたしが試験官ならすぐ百点をあげたくなるくらい優しくて良いコなんですけど……神姫バトルはしてません。
 でもわたしも、戦闘試験で、しかも近接戦メインだったりしたら厳しいなぁ。
「さっきの普通科の子も、帰ってきてないよね……。終わったらマスターの所に帰れるのかな?」
「バカねぇ。マスター、いまテスト中でしょ」
「こちらに試験の情報が流れるのを防ぐために、別の待機所があると考えるのが妥当よね」
 時計を見ると、試験開始から十分ほど経っていました。峡次さん、大丈夫なんでしょうか。
「そうだ。……これ、マスターの評価になるのかなぁ?」
 誰かの言葉に、わたしはAIがフリーズしそうになるのを感じました。
 峡次さんはテストが終わったら、トイズ・メッセンジャーでバイトを始めることが決まっています。けど、この学校の数少ないバイトの就業規則の一つに、『赤点を取らないこと』というのがあるわけで……。
 もしわたしが赤点を取って、それが峡次さんの評価に加わるとしたら。
「そもそも神姫の持ち込み規則に、赤点を取らないことってあったわよね……」
 その瞬間、マスターがアルバイトをしていない神姫達の表情も変わりました。
「どうしよう! 私、マスターと学校に来るの、すっごく楽しいのに……!」
「誰かデータ転送してー。接触回線なら電波出ないから気付かれないでしょ!」
「なるようにしかならないよ、もう」
 混乱する子。
 開き直る子。
 正直、わたしも焦り気味ですけど……。
「……でもこれ、私たちのマスターって、全部覚えてるんだよね」
 そんな中に聞こえた誰かの声に、ふと教室が静かになりました。
「その間に、ボクと遊んでくれたり、装備も整えてくれるんだよね……」
「わたしのマスター、バイトもしてる……」
「ウチのご主人様は部活が忙しいから、帰ったら寝てばっかりだけど……仕方ないよね。バッテリーで動いてるわけじゃないんだし……」
 そういえばそうです。
 わたし達はバッテリーさえ充電できれば、AIを休ませるだけの休息があれば問題ないですけど……峡次さんたちは、一日に数時間の休息を必要とする人間なんですよね。
「ノリコちゃんのところは?」
「武器を作ってくれたり、遊んでくれたり……わたしのして欲しいこと、なんでもしてくれるんです………」
「うわぁ……いいなぁ……」
 けどこのテストが終わったら、峡次さんの生活にはバイトも入ってもっと忙しくなるはず。バイトはわたしもお手伝いしますけど……まずは、このテストで迷惑を掛けないようにしないと!
「でも、私のマスターのほうがすごいもんね!」
「うちのほうが!」
「ボクのところのほうが!」
 話す間にも、試験官さんはやって来て、少しずつ神姫の輪が小さくなっていきます。
 可聴音声での会話は禁止されていないからか、わたし達のおしゃべりが注意される事はありませんでしたけど……。
「ねえ」
 ふと、誰かが口を開きました。
「そういえばさ。年表のデータくらいなら……音声変換してメモリーしちゃえば、五分で済まない?」
「あ…………」
 その言葉に、みんなが体を硬くする中。
「工業科一年A組、武井さんの所のノリコさん」
 試験官さんに呼ばれたのは、わたしの名前。
「……あ、はい!」
「じゃ、ノリちゃん。頑張ってね!」
「データの音声変換、完了したよ。転送して欲しい人、集まってー」
 あ、わたしも欲しい……!
「ノリコさん。後が支えてるんですから、急いでください」
 あぅぅ……。
 そのアイデア思いついた人、もう五分早く思いついて欲しかったです……。



 試験官さんは、長い廊下を結構長く歩いて行って……止まったのは、わたしの音響センサーの範囲をはるかに越えた先でした。
「それでは、この先に会場がありますから」
「はい」
 試験官さんが連れてきてくれたのは、教室の入口まで。わたしが部屋の中に入ったのを確かめて、試験官さんはドアを閉めました。
「失礼します……」
 防音された壁際を通り、パーティション代わりのカーテンを抜ければ、そこにいたのは……。
「やー」
「どもー」
 見慣れた顔と、見慣れた神姫。
「……倉太さんとエリアーデさん? どうしたんですか、こんな所で」
 隣の部屋の倉太さんと、その神姫のエリアーデさんです。東条の大学院で院生をやっているのは聞いてましたけど、それがどうしてこんな所に……?
「ん? バイトだよ」
「……バイト?」
 倉太さんの座っている席には、面接官というプレートが置いてありました。
 どうやら試験は、面接試験だったみたいです。
「ウチの教授の命令でね。神姫のこの試験、毎年手伝ってるんだよ」
「そうだったんですか……」
 知っている人が面接官なのは、ちょっとだけ安心です。少なくとも、さっきまでの不安感はありません。
「じゃ、おしゃべりはこの辺りにして、試験始めようか。机の上に椅子が置いてあるから、楽にしていいよ」
「はい」
 わたしも机の上に上がって、そこに置かれた神姫サイズの椅子に腰を下ろします。
「ノリコ。これから行われる全ての質疑応答で、マスター及び神姫の個人情報は、個人情報保護法と東条学園の管理下において完全に保護される。また、この部屋は防音設備が完備されていて、俺とエリ以外の者に情報が漏洩する可能性はない。その事を理解した上で、回答して欲しい。いいね?」
 この定型文が出てくるという事は、マスターの個人情報も聞かれるって事なんでしょう。
 わたしは個人情報保護を司る管理プログラムに、倉太さんの音声データをそのまま転送します。
「……はい。個人情報保護プログラムから、承認出ました。大丈夫です」
 そして、生まれて初めてのわたしのテストが始まりました。


「フォートブラッグタイプ、登録個体名ノリコ。CSC設定年齢・U15、精神安定B、BMA登録ランクC、メーカー登録番号……」
 倉太さんが読み上げるのは、東条側に提出されているわたしの個体設定情報です。
「……以上の情報は間違いないね?」
「はい。間違いありません」
 ただ、CSC設定年齢はともかく、精神安定レベルはマスターにも開示されないはずなんですが……BMAかEDENにでも問い合わせたんでしょうか?
「では、マスターの名前は?」
「武井峡次さんです」
「マスターの家族構成は?」
 普段なら、この辺りで個人情報保護プログラムからストップがかかるはずです。けど、今日の倉太さんの質問には、プログラムが静止をかける事はありません。
「一人暮らしです。ご実家には、お父様とお母様、妹さんがいるそうですけど……まだ、お会いしたことはありません。それから、お兄さんが一人。お兄さんも神姫オーナーで……」
 お兄さんの話題になると、倉太さんは微妙な表情。
「……よく知ってるからいいよ、その人のことは」
 そういえば峡次さんのお兄さんは、鳥小さんのバイト先の店長さんですし……倉太さんも、面識くらいはあるのかもしれません。
「次は峡次君の趣味だけど……」
「神姫の装備を作ることと、自転車に乗ることです。後……えっと、その……」
 エッチなことも大好きなんですけど、これも言った方がいいんでしょうか?
「言いにくいことは言わないで構わないわよ。だいたい予想はつくし」
「……はぁ」
 エリアーデさんがそう言ってくれたので、言わないことにしておきます。
「次は……今、マスターの事とか、自分自身の事で困ってることとか、ない?」
「特にないですけど……あ」
「言いにくいこと?」
「……えと……ですね」
 いくら倉太さんでも、この質問は……さすがに聞けません。
「千喜が峡次君をつまみ食いして困るとか?」
「…………」
 いや、まあ、それも……ちょっと気になってるんですけど。でも、千喜さんはみんなで気持ちよくなれるようにしてくれますから、それはそれで嫌じゃないような……。
「……最近、研究が忙しくてあんまり構えてないからなぁ……。ノリコには嫌な思いさせて、ゴメンね」
「いえ、そういうのじゃ、なくて……」
 むしろ、みんなでエッチするのも楽しいなんて、逆に倉太さんに悪いかなぁ……なんて。
「倉太。この話は、この辺りで」
「そうしようか。困ってる事があるなら、後でエリアーデに相談すると良いよ」
 そうですね。そうします。
 彼女の方を向くと、エリアーデさんもにっこりと笑ってくれました。
「……あの、倉太さん。ひとつ、聞きたいんですけど」
「いいよ。なに?」
「これが、試験なんですか?」
「そうだよ」
 わたしの問いに、倉太さんはあっさりと答えました。
「だって、ずーっとマスターの事を聞いてばっかりで……こんなの、神姫なら知ってて当たり前の事ばっかりですよ?」
 最初のうちは確かに個人情報の開示でしたけど、開示というより確認のレベルでしたし……。後半はどう考えても悩み相談だった事くらい、起動してふた月しか経ってないわたしでも分かります。
「その当たり前がちゃんと出来てるかの試験だからねぇ。ちゃんと出来てる神姫にとって、簡単なのは無理もないさ」
「……はい?」
 当たり前のことなんて、出来てるのは当たり前のような……?
 よく、わかりません。
「ま、ノリコはどーせ合格だから、この後の試験は省いて良いか……。プシュケもやってないし」
 記入用紙らしい紙束をざっと隅に寄せて、倉太さんは机に頬杖をつきました。
「ノリコ。どうしてこの学校は、神姫の持ち込みが許可されているか、知ってるかい?」
 知らないわけがありません。入学説明書の神姫関連のテキストは、わたしもちゃんと確認していますもの。
「神姫を通して、工業技術への興味関心を高めると共に、具体的な学習教材のベースキットとして活用する……ですよね?」
 まだ工業基礎を勉強する段階ですから、わたしたちも授業を聞くだけですけど……二学期からは、わたしたち神姫を使った実習も始まるって聞いてます。
「それは工業科だけの目的だね。なら、プシュケはどうだい? 千喜は普通科だから工業系の授業はないけど、神姫を連れて学校に来てるよね」
「……そういえば」
 事あるごとに「工業科に行きたかった」と言っている千喜さんですけど、その理由の一つは、神姫を使った授業をやってみたかったから……らしいですし。
「もちろん、それは校則違反じゃない。それがどういう事か、分かるかい?」
「何か……目的があるんですね」
 でも、教材でも、興味を呼ぶだけでもない、別の目的って……?
「でも私たち、授業とか聞いてませんよ?」
 モーションのサンプリングと最適化が必要な実習系の授業ならともかく、座学でデータを入れるだけなら、ソフトをインストールすれば済む話です。峡次さん達も、復習として覚えたデータの確認はしてますけど、その最適化はしていないようですし。
 もちろん、授業中にわたし達が先生に当てられることもなかったから、授業が目的……ってワケでもないと思うんですけど。
「神姫向けに授業をしてるわけじゃないからなぁ」
「ちなみに、皆が可聴外音声でおしゃべりしてるのも、先生がたはみんな知ってますからね」
「……そうなんですか!?」
 だって、人には聞こえない声で喋ってるのに!
「そりゃ知ってるさ。教師にも神姫マスターはいるし、授業の妨げにならないから放ってるだけだよ。普通の声で喋ると、注意されるだろ?」
「そういえば……」
 前に、千歳さんと伊藤さんが注意されたときのことを思い出しました。あの時は確か、千歳さんは間違えて通常音声で声を出していたはず。
「まあ、君達はその当たり前をこなしてくれてれば、十分なんだけどね。……それじゃ、最後の質問だ」
「え? あ、はい」
 姿勢を正した倉太さんに、わたしも背筋を伸ばします。
「もし峡次君が、自殺しようとしたら……ノリコはどうする?」
「自殺……ですか?」
 ちょっと、イメージが浮かびません。
 忙しいしお金もないけど、峡次さんは毎日楽しそうにやってます。学校の皆さんや千喜さん達とも仲良くしてますし、掃除や料理の支度だって嫌じゃないみたいです。
 強いて言えば、お兄さんが苦手みたいですけど……それだって鳥小さん達に言わせれば「あれで楽しんでる」んだそうですし。
「ああ。何か困ったことがあったり、悲しいことがあったりして……死のうとしていたら、どうする?」
 一日が死にそうに忙しいから一日が五十時間欲しい……って言ってるのは、困ったことに入りませんよね?
 でも、そんな峡次さんが死にそう……?
 エアチャーハンやエアカツ丼が続いて、お腹が空いた、とか……?
「…………ちょっと、ノリコ!?」
「ふぇ……いや、です……峡次さん、死んじゃ……」
 良く分かりませんけど、CSCの入っている基盤のあたりが痛いです。でも、その痛みよりも、もっと何かが痛くて、悲しくて……涙が浮かんでも、止める方法が思い浮かばなくて……。
「倉太さん! 峡次さん、死にませんよね!? 自殺したり、しない……ですよね?」
「大丈夫よ。安心なさい、ノリコ」
「エリアーデさん……ふぇぇ……っ」
 わたしの机に飛び移ったエリアーデさんは、わたしを抱いて、背中をそっと撫でてくれました。樹脂製の胸元は柔らかくはなかったけど……優しくて、暖かくて……胸が痛いのが、少しだけ痛くなくなりました。
「倉太。やりすぎ」
「……ごめんな、ノリコ。レディを泣かせるのは趣味じゃないんだけど……」
 一度は端に寄せた紙の束を手前に戻して、倉太さんは何か書いているようです。
「けど、もしそんなことがあったら……誰かに知らせて欲しい。僕でも、鳥小でも、隆芳先輩でもいい。もちろん、千喜や神姫ショップの店長や、学校の先生でもね」
「………はい」
 隆芳さんを呼んだら嫌がられるかもしれませんけど、死んじゃうよりはマシですよね。
「ふふっ。ノリコは、峡次君の事が大好きなのね」
 わたしを胸に抱いたまま、エリアーデさんはわたしの背中を撫でてくれています。……その手が何となくお尻に伸びてる気がするのは、気のせいですよね?
「はい。……でもそれって、神姫なら当たり前のことじゃないんですか?」
「……そうね。当たり前のことね」
 わたしのお尻を優しく撫でさすりながら、エリアーデさんは優しく笑ってます。いや、嫌じゃないから……いいんですけどね。
「さて、これで試験はオシマイだ。ノリコは満点で合格だよ。お疲れさん」
「……? ありがとうございます」
 そして、良く分からないまま、わたしの初めての試験は終わったのでした。





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