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クラブハンド・フォートブラッグ
ホワイトファング・ハウリングソウル
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ウサギのナミダ
アスカ・シンカロン
引きこもりと神姫
キズナのキセキ
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えむえむえす ~My marriage story~

2014年

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悪魔に憑かれた微駄男
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えむえむえす ~My marriage story~

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深み填りと這上姫
キズナのキセキ
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類は神姫を呼ぶ
浸食機械
引きこもりと神姫
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白濁!? 阪高神姫部
白い英雄を喰う黒い女神
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流れ流れて神姫無頼
アスカ・シンカロン
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車輪の姫君
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おまかせ♪ホーリーベル
戦うことを忘れた武装神姫
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
PRINCESS BRAVE
神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

2009年

せつなの武装神姫
双子神姫
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犬子さんの土下座ライフ。
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武装神姫のリン
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戦う神姫は好きですか
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妄想神姫
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武装神姫~ストライカーズ・ソウル~
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クラブハンド・フォートブラッグ
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ホワイトファング・ハウリングソウル
ハウリングソウル
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 ・・・。

「・・・・・・」
 ぽかーん、と。進入口を前にして、マーチは突っ立っていた。
「えーっと。そういうことになっちゃった。気楽にやってみよ? マーチ」
 ヤヨイは笑いを浮かべて、その後ろに座っている。自分のポケスタの中に一緒に仕舞っていた小さな箱を取り出して置く。

 ごとん。

「ノーヴスと、バトルするんですか?」
「あ。やっぱり嫌かな?」
「いえ・・・。その、ちょっと楽しみです」
 てへへっと笑いながらそう言って、マーチはぐっと手に力を込めて見せた。
「私、武装神姫です!」


 対面の席に座るレオ。ノーヴスはのそのそと、ようやくポケスタから体は出した。
 ふらりっと立ち上がると首をぷんぷんっ、と左右に振る。合わせて羽根飾りが揺れて、肩に引っかかった。
「マスター・・・ありがとうございます」
「?」
「彼女とは・・・。戦ってみたかったから・・・」
 眠そうな目のまま、彼女は笑った。
「へぇ。珍しいね、ノーヴスがそう言うなんて」
「はい。良い風を、感じました」
 そう言いながら。ポケスタの小物入れから、何やら紙に包まれた長い棒を取り出す。
「神姫としてではなく。『武装神姫』として・・・彼女がどんな風を吹かせるか・・・知りたいのです」
 じっと。その言葉の意味を介しているのかは解らないが、レオはノーヴスを見据えていた。
「私も・・・えぇ。武装神姫、ですから」
「・・・うん、がんばって」
「行って。参ります」



 ・・・。
 高低差のある石畳と階段。そこは遺跡のようなステージだった。いわゆるジュビジーのノーマル武装に身を包んだマーチは、その両手で大きな木製ハンマーを携えて周囲を見回す。
 キュベレーアフェクションには一個だけ箱状のOPT-γと呼ばれるパーツが付いているが、他は純正パーツそのまま。大きく広がった羽のようなユニットが作り出す、自分の大きな影を踏みながら、マーチは歩みを進めた。
 がっしょ、がっしょ。と、一歩進むたびに大きな足音が鳴る。だが、それは明らかに・・・。

 と、足を止めて。マーチは体を屈めた。通路の向こう側から、対戦相手となる神姫がゆっくり身を揺らせて近づいてきていた。

『STOP !』

 コンピュータボイスにノーヴスも足を止めた。数個のパネルウィンドスが空中に表示されていく。
 眠そうな目を、一度閉じる。その膝から下、そして胸と腕にはサイフォスが誇る装甲。しかしながら軽装モデルであり。他の部位・・・腰回りや袖には何も装備していない。左腕には小さな盾が装備されており、そこにサイフォスモデルのデフォルトソード『コルヌ』が差し込まれていた。
「マスター。アレ」
 コンピュータがお約束の注意事項を表示したり、互いに違法パーツなどが無いかを検索している間。マーチはぽつっと呟く。
『うわ、カッコいい。さすがサイフォス。軽装もいいなぁ』
「えええ、そうじゃなくてー」
 耳に直接入ってくるマスターの声。わくわくしている事を隠さないヤヨイに、マーチは困ったような声を上げる。
「ノーヴスの背中です」
 見れば、その背中には、長い紙包みを背負っている。
「あれ、何だと思いますか?」
『うーん?』
「・・・」
『秘密兵器とか』
 ・・・。
「やっぱり、そうですよね」
 ヤヨイのそういう夢見がちな物を肯定してしまうマーチ。
『よしっ、マーチ。アレを使わせたら勝ちにしようよ!』
「あ・・・はいっ!」

 彼女達なりの『ルール』だ。
 だって、普通にやっても彼女は『勝てない』から。


『GET READY』

 くるくるっとコンピュータグラフィックが回転して消えていくと、ぐっと姿勢を低くする。
 そして、普通にやって『負けない』。けど、それは『負け』になってしまう『負けない』だから。
 ノーヴスはコルヌの柄に手をやり、抜き放った。

『BATTLE !』

 がしょん、という音を立てながら。マーチはキュベレーを前面に展開する。こっちから飛びこむ気は最初から無い。
 だって、そんな事をしたら・・・。

「・・・。これより!」
 澄んだ声が凛と響いた。
(ノーヴス?)
 先までの、のんびりとした声ではない。
「此処にあるは戦士の魂。そのいずれにも・・・」
 かっ、と。目を見開き、コルヌを中段に構えなおすと、ノーヴスはマーチを鋭く睨みつけた。
「精霊の祝福が。あらんことを!」
 そう言い終わるや否や青い鎧は視界から消えていた。いや、消えつつあった。何とかそれを目で追う。
 自身の身の丈の数倍の高さの位置、右上方に跳躍すると。そこにある柱を一度足場として、三角飛びの要領でノーヴスは側面からマーチに落下するように接近する。紫色の髪留の羽根飾りで軌跡を描きながら。15cmの小さな神姫だからこその、アクロバティックな強襲。
「う。わわっ?」
 真正面から飛び込んでくるとばかり思っていたマーチは、その派手だが的確なアクションに慌てて体の向きを変えた。
 キュベレーアフェクションの「爪」がマーチの視界を覆うように展開する。ふっと眉をひそめたが、ノーヴスはそのままコルヌを振り抜いた。
 響く低い音。しかし、弾かれたのはコルヌの方。
 文字通り、勢いごと跳ね返され、ノーヴスは左手を支点にしながら着地した。HIT表示は出るが、ダメージアラートは表示されない。

 全部、受けきったという事。

 ノーヴスがはっと気づけば、マーチがハンマーを振り上げていた。
「えーいっ!!」
 しかし文字通りにそれは『遅い』。その軽装よりも軽い鎧で、ぱっと後ろに下がってそれを容易く回避する。
「あっ」
 どかんっ!
 めり込む先端。舞い散る破片。
 振り下ろした勢いは止まらず、木製のハンマーは地面をしたたかに打ちつけた。それに呼応するようにノーヴスは再度、軽い足音だけしか響かせずにマーチに接近した。その動きは重いという印象のある騎士ではない。まるで、木の葉のようにふわりっ・・・と。

 慌ててマーチはアフェクションで前を視界ごと全部塞いだ。だが。
 一際大きな、だんっ! という音。
 それは踏み込みの音。その刹那の後に。
「わぁっ!?」
 耳を劈く重低音が衝撃を伴ってマーチに襲いかかる。その動きに似つかわず、斬り払いの一撃は凄まじく重くて。
 それでも、彼女は一歩さえ下がる事は無かった。


(固い。・・・いや、これは。固いといよりも・・・)
 ノーヴスは僅かながら手が痺れるのを感じていた。
 とんっ。と展開が遅れたキュベレーを蹴って間合いを開ける。先と同じようにハンマーが今までノーヴスがいた所に上段から振り下ろされ、音を立てて地面を叩いた。
「うぅ・・・」
 困ったようにそれだけ呟くと、マーチはその石畳にヒビを入れたハンマーを再度持ち上げて、腰を落として体制を整えた。

 がしゃ。

 一歩前に出る度に聞こえる音。それは足音だ。それが『何』を意味するか。ノーヴスは考えて少々ぞっとした。
 その姿勢は防御だけを考えている。防御の後に攻撃を出来ればいいな、くらいの気持ちなんだろうか。
 などと思考していると。
「えいっ!」
 いつ、どこから取り出したのか、マーチの手に銃が握られていた。
(!)
 しまった。
 銃声に、ダメージを覚悟したのは一瞬。その弾丸はノーヴスの右肩の・・・結構離れた場所を掠めていった。


「あれ?」
 OPT-γに隠していた、文字通り隠し玉。「隠し弾」だったのだが、それはあっさりと明後日の方向に飛んで行った。
『チャンスだよマーチ! 相手が止まってるんだから!』
「は、はい」
 ヤヨイの声に慌てたマーチはそのハンドガン、FBモデルのピストルを二発、三発と速射した。が、そもそも当たる軌道ではなく。既にノーヴスは横飛びでそこにはいない。

 もはや、筋金入りの下手さである。

「うわ、わ」
 急いで構えたまま追いかけて、そっちに銃口を向けようとするが、そこには困った事に自分のキュベレーの羽根。そして。爪の間の視界に映る青い影。
「わ。ひっ!?」
 がつん!
 ピストルを取り落す。耳が痛くなるような音。思わず目を閉じる強烈な衝撃。ぐぐっ、と。そのまま押し込もうとする力の圧迫。
 だが、マーチは下がらない。それどころか、そのまま圧力の方に一歩踏み出した。
「んううー・・・っ!」
 ずんっ。
 という、足音を残して。

 爪の間から見えるノーヴスの顔が驚愕に染まる。
 だけど、この状態では何もこちらからは攻撃できない。ハンマーは振れないし、ピストルを拾っても間抜けにも自分の「盾」に阻まれてしまう。他のジュビジーならそれこそ、アフェクションで攻撃するだろう。

(けど・・・)

 だから、マーチは頑張って『押す』事にした。
「ぇー・・・いっ!」
 ずんっ・・・。
「えーいっ!」
 ・・・ずしんっ!
 一歩、また一歩と押していく。それは二歩めから「圧す」に変わっていた。
「っ!」
 返されて膝と肘を畳んでしまったノーヴスが、ばっと後ろに飛びずさる。
 ガ、ガコン。何かが噛み合うような低い音と共に。ゆっくりとアフェクションを定位置に戻して、マーチはきょろきょろと周辺にその影を探す。やがて、彼女はその青い影を遺跡の柱の上に見つけた。
「いつの間に・・・。速いなぁ」
 心底茫然として、そう呟きながら、その数分の一の距離でもピストルを当てる自信の無い彼女はまた姿勢を低くして動きを止めた。


「なんという」
『うん、まさに種の殻だ』
 感心したようなレオの声。
「えぇ・・・素晴らしいですね」
 打ち込みの威力に自信が無いわけではなかった。
 だが、自分の・・・サイフォスである自分の渾身の一撃は。そのジュビジーの足を1センチ下げる事さえ出来なかった。
「・・・あのアフェクションは、攻撃しないようです。出来ない、と言った方が良いでしょうか。それに」
『ノーヴス?』
「・・・。はい」
『君の予想通りだと思うよ』
 全幅の信頼を寄せられている。と身に感じる言葉。
「・・・」
 ノーヴスは数秒何か考えていたが。
「う・・・っ?」
 ぐら、っと眩暈に似た感覚を覚え、眉を顰める。
「・・・」
 首を振ると。彼女は意を決したようにコルヌを左手に持ち替え、背負った紙の包みを右手に携えた。


「あ・・・マスター、使いますよ、ノーヴス」
『うん、『勝ち』だけど、気を付けてね』
「はい!」
 ぱっ、とノーヴスが柱から飛んで逆方向の瓦礫に音もなく着地する。その軽業に驚きつつも、そっちに体を向けた。
 真正面。
 ノーヴスは紙の包みの封を切って翻す。と、そこから姿を見せたのは。
「?」
 思わずマーチは首を傾げた。

 青い鎧、金の縁取。美しく気高い騎士型の右腕。そこに握られた物。それはとてもじゃないが、似つかわしいとは言い難い物。
 血を思わせる赤と、黒。槍と剣の中間ほどの長さの柄。そして、その先端には歪な曲線を描く、二つの刃が組み合わさった不気味な剣身。
「あ。アングルブレード?」
 そうだ。あの刃の部分はアングルブレード。悪魔型ストラーフの主力格闘武器だ。それを二本組み合わせている。
 でも、どうしてあんな・・・。

「エエンレラトゥラーノ」
 妙な単語を、ノーヴスが口にした。
「ヤウヤウッテ」
 どこか、知らない国の言語なのだろうか。などと考えるは一瞬。ノーヴスはその黒い刃を一振りすると、マーチに飛びかかった。

 あの剣が何かは解らない。だけど。アングルブレードなら。
(止められる!)
 両のアフェクションパーツを前面に集中させる。
 一刀目。左手に握られたコルヌの一撃が大上段から振り下ろされる。これまでよりも更に大きな衝撃がマーチを襲った。
「ううっ!」
 しかし彼女は片目を閉じながらも両足をしっかりと踏みしめ、それに耐えきる。
 二撃目。あの黒い刃を、ノーヴスは袈裟に振りかざしていた。
「ザイルドバルハっ!」
 空気を引き裂く裂帛の気合。共に振り落とされる漆黒の剣。

 耳が痛くなるような轟音が近くで炸裂した。

 破片が舞うのが見えた。が、マーチに衝撃が伝わってこない。
 何が起きたか理解できないまま。視界は変化していく。そんなつもりはないのに、視線が上へ上へ向かって行き。右足が前に前に行ってしまう。
「わっ! わっ? わわわっ!?」
 腕をぶんぶんと振るが、虚しい抗いに過ぎず。

 がしゃーん・・・!

 マーチは凄い音と共に。その場に仰向けで引っくり返っていた。
「あいたた・・・」
 頭をぶつけてしまって、それを擦るヒマもなく。
 すっ、と。顔の横に、刃が差しだされる。
「あ・・・」
 涼やかな視線に眠たそうな感じはない。ノーヴスは小さく笑みを浮かべながら、じっとマーチを見据えていた。
「・・・あは。・・・負けです」
 こちらも困ったように笑って。マーチは降参を宣言した。
 最初はコンピュータも困っていたようであったが、しばらくして。笑うドクロのマークがマーチの体の上で回り始めた。

 ちらりと見れば。黒い刃が抉ったのは自分の足元。そう、右足のあった場所・・・足場にしていた所だ。
 凄まじい斬撃の痕跡が残り、散らばっているのは遺跡の土台、石畳の破片。
(そっか・・・)
 その『重さ』が、仇になった事を理解して。

 双方ともに、ダメージはゼロ。一度もダメージアラートを表示すること無く。バトルは終了した。







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