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呪いと嘆きの縛鎖を、断ち切って(その二)




第三節:奈落




嵐が吹き荒ぶ、ビルの街。道路の上に立ったアタシ達の前で、“悪夢”は
殺す為の姿を形取ったわ。それは、バケモノ。漆黒の鎧は騎士っぽいけど
一つしか目のないソイツは、身の丈に迫る様な大きい鈎爪を振りかざして
吼えたのよ!……その瞬間、周囲の空気が音速を超えて盛大に弾けたわ。

『ォォォォォ──────ッ!!!!!!』
「ぅ、っ……!咆吼だけで、ヴァーチャルフィールドを歪めてますの!」
『聞こえるか二人とも!アルマとクララの“騎士と龍”も装填した!』
「サンキュ、マイスター……!さぁ、お姉ちゃん達を返しなさいッ!!」

でも、それに怯んではいられない。アタシは、背中の二連可変翼を開いて
全速力で突撃したわ。躯が軋むけど、そんな泣き言は言ってられないの!
マチェットを抜き払い“敵”を削除する為に……まずは、刃を一閃ッ!!

「……あ、れ?」
「速い、ですの……エルナちゃん!」
「え?……きゃうんっ!?」

だけど、両手に握っていた剣は虚しく宙を切り裂き……咄嗟に回り込んだ
“悪夢”という名前の獣は、アタシを強かに叩き落としたの。痛いわ……
全身が引き裂かれる様な衝撃が、アタシの全身を焼き尽くしていくのよ。

「この……馬鹿力ァッ!!」
『グルアァァァッ!!』
『ォォ──ッ!?』

抗おうとしたアタシを救ったのは、アルマお姉ちゃんの龍。彼女の角が
悪夢を突き飛ばし、アタシを救ってくれたのよ。助かったと思った時、
アタシとロッテお姉ちゃんは見たわ。その、ファフナーの角を……!!

『ォォォ……ォォォォォ──────ッ!!』
『グル!?グ、グァァアアッ!?』
「ファフナーッ!?いけない、離れてくださいですの!!」
『ォォ……ォァァァーッ!!!』
『グルァアアアッ!?グ、ア……』
「ちょ……嘘、でしょ……?」

“悪夢”は角を巨大なクローでしっかりと受け止めて、力に溢れている
ファフナーを、そのままビルに投げつけたの!突っ込んできた龍の躯で
虚像の構造物は、あっさりと崩れ落ちていくわ……何て、規格外なの!

「アルサス、モリアン、フィオナ!ギガノイド・フィギュアですのッ!」
『Yes,sir/No problem/Ja(ロック解除、合体します)』
『ォォ……!?』

だけど、まだ誰も諦めていないわ。ロッテお姉ちゃんは、あの騎士を三機
寄せ集めて、巨大な“ナイト”に変身していくの。その姿はとても華麗。
でも、見惚れてばかりじゃいられないわ……アタシも、行動を起こすッ!

「……これは、どうよ!!せぃっ!!」
『ォッ──────ォォォ……!』
「嘘ッ!?刃が、通らない……きゃああっ!!」

人間を殺す為に鍛えられた、首筋を狙う暗殺剣。重要なラインを突きの
一撃で破壊する、さっきは繰り出せなかった一撃。今のアタシにとって
あまり使いたくない技だったけど……その甘さがいけなかったわ。奴の
鎧を貫き通す事は出来ず、そのままアタシは掴まれて……投げられる!

「制御が……間に合わない!きゃぁぁぁぁ……ッ!!」
『クルルゥッ!!』
「うっ!?貴女は、クララお姉ちゃんの!?助かったわ……」

危うくファフナーと同じ運命を辿るかと思ったけど……それを救ったのは
クララお姉ちゃんの龍・リンドルム。長細い躯を使って、アタシを咄嗟に
フォローしてくれたのよ。助かったけど、掴まれた腕が……動かないわ!
モーターを破壊されたか、外殻が軋んでいるのか。ともあれ、拙いわね。

「よくもエルナちゃんまで……仇ですの!せああああっ!!!」
『ォォ──────!!?』
「その身に刻め……神儀、ハイリヘア・シュラークッ!!!」

アタシの状態を察知したロッテお姉ちゃんは、合体して出来たレーザーの
槍で、超音速のチャージを“悪夢”に仕掛けたわ。爆音と共に刺さった、
光の刃……でも、一向に奴が怯む様子はないの。アタシは遮二無二、宙を
蹴って舞い上がり、奴の頭に向かって脚のパイルバンカーを突き立てた!

「ふっ……はあああぁぁっ!!せあっ!!」
「エルナちゃん……!?そんな腕で大丈夫ですの!?」
「大丈夫よ。弱音なんか吐いてられな……痛ッ!」
『ォォォォォ──────』
「うく……な、直撃しているのに……全然ダメージがないですの!?」
『ォォ──────!!!』
『きゃあああああああっ!!?』

間違いなく、普通の人間……そしてMMSでも致命傷となる、腹と頭部への
刺突攻撃。でも、そんな規格に囚われていない“悪夢”は、平然と二人の
腕と脚を掴み竜巻の様に振り回して来たのよ。意識が、遠くなるわ……!

『キュィイイッ!!』
『クルルゥッ!!』
「きゃん!?……う、ウィブリオ!?助かりましたの!」

ズダボロになりかけるアタシ達を解き放ったのは、生き残っていた二匹の
龍。ロッテお姉ちゃんのウィブリオと、クララお姉ちゃんのリンドルム。
彼女らが口から大きな砲弾を吐き出して、“悪夢”を牽制したのね……。

「痛ぅ……でも、あれなら行けるわ。彼奴、空は飛べないみた──」
『ォォァァァ──────!!!』
「ッ!?……そんな、ビルを蹴って跳びましたの!それにあれ……!」
「そんな、アレは……“魔術”!?どういう事よ!何で!?」

でもそんな抵抗だって、儚い蝋燭の斧。奴は、獣じみた驚異的な膂力と
悪魔の様な狡猾さで……龍の頭上へと達したのよ。そして、その手には
ドス黒い球体。あれは間違いなく、アタシが戦いの中で覚えかけていた
“魔術”……ううん、アレはひょっとして……クララお姉ちゃんの!?

「ぅう……いけない!横に跳びますの、エルナちゃんッ!!」
「う、うんっ!御免、二匹ともッ……!!」
『ォォ──────!!!』
『キュイイィィィッ!!!!?』
『クルアアアァァーッ……!!!?』
『グオ……ォォォッ!?』

──────本当にこれは……圧倒的すぎる、“悪夢”よ。



第四節:絶望




咄嗟に駆け込んだビルの谷間に、巨大な爆風が流れ込む。アタシはそれに
抗えず、無様に地面を転がったわ。振り返ってみれば、二匹の龍どころか
さっきビルに突っ込んだまま機能停止した、ファフナーの姿もないのよ。

「これは……間違いないわね、ロッテお姉ちゃん」
「はいですの。これは、クララちゃんの“魔術”……!」

まだ“魔術”の仕組みを完全に把握していないアタシは、あれ程の攻撃を
繰り出せない。つまり、あの“魔術”は取り込んだ“魔術”の使い手……
クララお姉ちゃんのデータから引きずり出している、って事になるわッ!

「となると、あの悪魔じみた格闘センスは……アルマお姉ちゃん?」
「かもしれないわ。アタシの格闘技もちょっと混じってるけど」
『ォォ──────!』

そう。あの“悪夢”は文字通り、取り込んだ二人の力を使っているという
『悪夢の様な行為』をしているのよ……!射撃以外、全てに秀でた怪物。
装備の殆ども喪われた今、勝ち目は極端に低くなっていたわ……でもッ!

「まだ、動けますの……魔剣が有れば、まだどうにかなりますの!」
「ちょ……ダメよ、一人じゃ拙いわ!アタシも……ッ!」

腰のジャマダハルを抜き払い、再びロッテお姉ちゃんは立ち上がったの。
アタシも追い縋ろうとするけど、さっきの無茶で片足をやられていて……
飛ばないと、とても移動は出来ない状態だったのよ。それを見て、彼女は
優しく微笑んで、止めたわ……何処までも純粋な“誇り”と共にね……!

「大丈夫ですの、わたしはきっと……勝てますからっ」
「勝てるから、って……そんな剣一本で何をするの!?」
「剣は保険ですの。今使うのは……これですのっ!!」

そう叫ぶと、ロッテお姉ちゃんの全身を再び閃光が覆い始めたわ。そう、
アタシとの戦いで使っていた“約束の翼”。アレをもう一度起動しようと
彼女は意識を集中させ始めたの……だけど、不可解な事が起きたわ……!

『ォ、ォォォ──────!?』
「う、うっ……!?さ、さっきとは全然違いますの……!?」
「光が白くないわ……灰色よ!?どうしたの、ロッテお姉ちゃん!」
「き、きっと中にいる二人分の“翼”が共鳴している所為ですの」
「やめてっ!さっきとは違うわよ、それ!!無理に使ったらッ?!」

そう、さっきは真っ白だった光の鎧と槍……そして翼が、“悪夢”の色と
混じって灰色になっていたのよ。その代わり、奴の胸部からは白い閃光が
漏れ出ていたけど……明らかに“約束の翼”まで、侵蝕し始めてるわッ!

『ォォ、ォォ、ォォォォォ──────ッ!?』
「でも……奴も苦しんでいますの、効いているのは確かですの!」
「で、でも……ッ」
「……心配は、無用ですのッ!!せああああっ!!」
『ォォォォォ──────!?』

それでも苦痛を堪えて、ロッテお姉ちゃんは突っ込んでいったわ。槍を
振るって“悪夢”の手を切り裂いた……彼女の言う通り、効果はある。
だけどその表情はとても辛そうなの。何が起きているのか、アタシには
分からないわ。でも……余りにも危険すぎる、それだけは確かなのよ!

「いけますの!これなら、確実に……せっ!ふぅッ!やぁっ!!」
『ォォッ……ォォォォォ──────!!』

でもロッテお姉ちゃんは、ロクに動けないアタシと……呑み込まれている
アルマお姉ちゃんとクララお姉ちゃんの為、休む事なく槍を振るったわ。
確か、彼女は射撃系の高機動型ってマイスターが言っていたのに……全然
そんな風には見えないの。これは、修練の結果?それとも、“心”の力?

『ォォォ……ォォ──────!』
「膝を、突いたわ!?……本当に、アレでいけるかも……!」
「さぁ、愛する“神の姉妹”を返してもらいますの!はっ!!」

アタシには、正直分からない。ここが仮想空間であっても、奴と違って
ロッテお姉ちゃんは“神姫の枠”に有る存在。他のMMSを“妹”達しか
見た事のないアタシには、検証なんか出来ないわ。でも……勝てるッ!
そんな希望が、確かにアタシとロッテお姉ちゃんの胸にはあったのよ。

『ォ……ォォ──────ッ!!』
「なっ!?槍を……掴みましたの……!?」
「あ、あぁ……ダメ、ロッテお姉ちゃん振り解いてッ!?」

でも、そんな儚い想いはすぐに打ち砕かれたわ。“悪夢”は、止めとなる
光槍の一撃を、禍々しい爪で受け止めたのよ!?しかも、よく見たら……
奴が掴んだ穂先には、ヒビが入り始めてるの……このままじゃ、ダメよ!

「この……離しなさい、よっ!!」
『ォォ……?ォォォォォ──────!!!』
「ふぇっ!?きゃぁああっ!?」
「ロッテお姉ちゃん!?……きゃんっ!!」

アタシは居ても立ってもいられずに、拳銃を引き抜いて撃ったわ。でも、
奴には掠り傷さえも与えられない……それどころか、奴は槍を振り回して
ロッテお姉ちゃんをアタシに投げつけてきたのよ!流石に、銃を投げ出し
受け止めるしかなかったわ。だって、彼女の消耗はさっきより酷いもの。

「う、ぅ……まだ、立てますの。心配しないで、エルナちゃん」
「何言ってるの!?今見たら、アーマーにも……脇腹にまでヒビが!」
「大丈夫ですの……この翼が、折れない限りはッ!!」
『ォォ──────』

それでも、白い破片と羽を散らしながら……彼女は突き進んでいくの。
全ては“誇り”と“大切な人”の為に。唯一の主たる人、マイスターと
契りを交わした愛する姉妹を、“心”を賭けて正々堂々と救い出す為。
それは、とてもストイックで……でも戦況は、あまりに絶望的すぎて。
だからこそ、アタシは。奴に殴られるロッテお姉ちゃんに、叫んだの。

『ォォォォォ──────!!!』
「ぐぅ……きゃああああああっ!?」
「もう、やめてぇえっ!!!」

──────“悪夢”を、アタシは見ているだけなの……!?



第五節:破局




アタシの叫びも虚しく、“悪夢”はボロボロになったロッテお姉ちゃんを
殴打し……半壊していた灰色の“約束の翼”を、木っ端微塵に打ち砕く。
彼女から離れた瞬間、全ての破片は光の粒子となり吹き飛んでしまった。
……それはもう、“約束の翼”でも奴には敵わないという事でもあるの。

「……ぅ、うぅ……ッ」
「ロッテお姉ちゃん、ロッテお姉ちゃんッ!?」

気が付けば辺りのアスファルトは、激闘で粉々に砕け散り……更に建物の
瓦礫で、一面大変な事になっていたわ。それが“悪夢”の産み出した幻と
分かっていても、超AIで直接認識する今のアタシ達には、これが現実。
だからそんな地面に落下するロッテお姉ちゃんを、放ってはおけずに……
辛うじて無事な背中のウィングで移動して、何とか彼女を受け止めたの。

「ダメ……ですの、下手に出て来ちゃったら……ね?」
「冗談じゃ、ないわよ!折角、折角……大事な“姉”が出来たのに!」
「……有り難うですの、エルナちゃん。“心”、開いてくれて」
「バカぁ……こんな時に、何言ってるのよぉ……!」

半ばスライディングする様に受け止めた彼女の躯は、ヴァーチャルなのに
全身に黒いヒビが入ってて、腕や脚も所々……酷い損傷を負っていたの。
こんなになっても、トレーニングマシンは何も言わない。多分“悪夢”が
アタシ達を逃がすまいと、安全装置にも細工しているのかもしれないわ。
つまり……もう、どう足掻こうともアタシ達は絶対に……逃げられない!

「こんな時だから、ですの。護るべき存在を……神姫を、感じますの」
「……やめて。そんな手で剣を握ったって、もう勝てないわ!!」
「護るべき物があれば強くなれる。それは、神姫だって……ううん」

『人間と違う生を歩む、神姫故にこそですの』と笑って、今また彼女は
立ち上がるの。機械のアタシ達に、本来喪う物なんてない。だからこそ
喪いたくない“何か”を得た時、スペックにない働きが出来るってね。
それを誰よりも強く持っているからこそ……ロッテお姉ちゃんは、剣を
杖にしてでも、例え戦えない状況でも立ち上がって、刃を構えるのよ。

『ォォ──────!!』
「……幸い、エルナちゃんはわたしより損耗が少ないですの。なら」
「嫌よ!見捨ててなんて、いけない……アタシは耐えられない!」
「有り難うですの……なら、最期の一瞬まで一緒に……!」
「ヤキが回ったわね。でも……お姉ちゃんとなら、一緒に行くわ!」
『ォ……?』

その生き様に魅せられたから、アタシは逃げられない。とても怖いけど、
ロッテお姉ちゃんがもう限界をとっくに超えていると分かっていても……
彼女を見捨てて自分だけ助かる方法は、既に選べなかったの。アタシは、
その代わりに囓りかけの“魔術”をもう一度再現して、防壁を作ったわ。
それが、アイツの攻撃に何処まで耐えられるかは分からないけど……ね?

「……可愛くて立派な“妹”が増えた事は、本当に嬉しいですの」
「アタシもよ。でもだからこそ、最期まで……諦めずにッ!」
「はいですの、アルマお姉ちゃんとクララちゃんを……絶対にッ!!」
『ォォォ……ォォォォォ──────!!!!!』

そんなアタシ達を嘲笑うかの様に、奴の手にはさっきの球体が産まれる。
アレの威力は、さっき龍達が身を挺して証明してくれたわね。真正面から
喰らえば、多分塵と化してしまう……それでも、逃げないの。絶対にね!

「……歯を食いしばって、耐えますの!エルナちゃん!」
「無茶言うわね。でも……やってみるわッ!!」
『ォォォォォ──────ッ!!!』

恐ろしい大きさに膨れあがった球体は、奴の手から音速を超えた勢いで
アタシ達に撃ち出された。目の前が暗黒に染まっていく……そう思った
瞬間、逆に眼前は純白の光で包まれたのよ!その中にいたのは……!!

『くぅ……はああぁあああっ!!』
『う、ぐ……ぅうううっ……!!』
「え……その姿、アルマお姉ちゃんですの!?」
「クララお姉ちゃんね、一体どうしてッ!」

“約束の翼”を纏った、二人の“姉”だったのよ。彼女らは、魔剣を構え
アタシの“防御魔術”を強化する形で、エネルギーを押し止めているわ。
何が起きたか、アタシにも……ロッテお姉ちゃんにも、分からなかった。

『ボクらのデータは、まだアレの中に囚われてる。でも……』
『聞こえたんです、ロッテちゃんとエルナちゃんの決意がッ!』
『それで思い出したよ。マイスターに何も言わず、消えたくない』
『だから、ちょっとだけ頑張ってみました。負けないで、二人とも』

黒い太陽を押し留めながら、二人はそう言ったわ。よく見れば、その姿は
ノイズが走ったり半透明だったりで……普通の状態じゃないのは明らか。
そう……彼女らも“誇りと想い”を持っているからこそ、行動したのよ!
でも、そんな意志が産み出した僅かな抵抗さえも……“悪夢”には無力。

『ォォ──────!!!』
『え!?圧力が、高まって……ッ!』
『これ以上は、抑えきれない……!!』

掻き消えた。必死にアタシ達を護ろうと、“悪夢”から抜け出してくれた
二人のお姉ちゃんが、僅かに抗っていた力が。粉々に吹き飛び、消えた。
ボロ屑の様に吹き飛ばされ、そして……灰色の虚空に、融けていったの。

「あ、ぁっ……!!?」
『イヤァァァァァァァァアアアァァッ!!!!?』

──────そんなの、ないわよ……!







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