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ただその翼は、姫を解き放つ為に(その二)




──幕は切って堕ちる、羽は舞い散り焔となる。それは、ボクらが彼女を
受け入れる為の“儀式”。大切な人の願いを叶える為に、捧げる“舞”。
迷いはある。けど、絶対叶えてあげたい。そしてその先に、ボクの──。



第三節:決闘




ボクらは、彼女の内に秘められた殺気を殻の肌で感じ取るんだよ。そう、
同じMMSとして……ボク・クララとお姉ちゃん達には、誰よりも分かる。
けれど憎悪の果てにある暖かい光を抱きしめる為なら、恐がれないもん。

「……本気ね?もし負けたら、アンタだけじゃない。そっちの神姫も」
「遠慮無く殺ってくださいですの。マイスターを喪えばどの道、ね?」
「あたし達は生きられませんから……ならせめて一緒に滅びたいです」
「ボクらは、死を畏れない。一緒にいられない事が、恐ろしいんだよ」

そう。自分を呪い続けているロキちゃんを、助け出す。これが、大事な
“姉”の願いならば……“妹”のボクらは、それを叶えたい。本当は、
他に“願い”があるもん。でも、今はこれが一番大切な事だから……!

「……変な連中ね、貴女達って。こんな関係、今まで見た事もないわ」
「これが性分でな?可笑しいとは自分達でも思っているのだ、見逃せ」
「ふん。まぁ、貴女達を殺せば全部終わるのよ!さっ、どう戦うの?」

だから、ボクらは彼女をトレーニングマシンへと案内する。そこにはもう
ボクらの“相棒”が装填されているんだよ。後は、四人で中に入るだけ。
その先にあるのが、ボクらの演舞場。皆で踊る為の、ステージなんだよ。

『──基礎レギュレーション違反の疑いがあります。続行しますか?』
「続けろ。今だけは、公式のレギュレーションなど関係ないのだ……」
『──了解。最適なステージをランダムに選定します……準備OK!』

筐体に入って程なく、無粋なエラーメッセージが聞こえてくるけど……
それも一瞬。ボクらの意識は、用意されたスポットライトの元へ一斉に
導かれていくんだよ……見えてきたのは、果ての見えない一面の花畑。
喩えるなら、そこは“楽園”。皆が望んで止まない物の、象徴だもん。

『楽園への扉は開かれた。後はアルマ・ロッテ、クララ。お前達次第だ』
「分かってます、マイスター……さぁ、ロキちゃん!」
「お互いの意地と想いを賭けた“決闘”を、始めるんだよ」
「こちらは何時でもいけますの!さぁ、何処からでも……!」
「……目障りな光景ね。すぐに終わらせて、出る事にするわッ!」

花吹雪の中で聞こえる、憎悪に満ちたロキちゃんの声。皆が声のする方を
見ると……無骨で歪な躯からは想像も付かない、恐ろしい程のスピードで
黒い神姫が迫ってきたんだよ!間違いない、彼女が……“道化神”ロキ!

「早い!?……皆、戦闘開始ですのッ!!」
『はいっ!!』
『“W.I.N.G.S.”……Execution!』

ボクらは咄嗟に、己の身を戦装束へと換える。紅・蒼・翠のドレスを纏い
“魔剣”を抜き払って、黒い旋風に備えるんだよ。対する彼女は、両手に
血塗れのマチェットを持って……アルマお姉ちゃんへと、斬りかかるッ!

「まずは、人間のマネなんかしてたアンタからね……!」
「ッ……!!?アルマって名前が有ります!く、これは……」
「幾人の肉を切ったリーバーマチェット、何時まで受けきれる?!」

しかしボクのコライセル以外は、破損に対して圧倒的なアドバンテージを
誇る魔剣。幾ら彼女が打ち込んでも、エルテリア自体は決して砕けない。
その隙を突き、アルマお姉ちゃんは腰のヨルムンガルドを抜いたんだよ!

「黙って受けてばかりじゃない、ですよッ!……え、避けたッ!?」
「勝手に動くのね、腰の剣は……でも、遅いわ!止まって見えるわよ!」
「……速いですの。さっきの打ち込みといい、今の身のこなしといい」

でも同時に蠢いた数本の刃を、彼女はいとも簡単に避けてしまう。そう、
ロキちゃんの特性をロッテお姉ちゃんは見抜いたんだよ……即ちそれは、
“超高速戦闘術”。反射能力か、演算能力か。ジェネレータの出力か……
或いは技術と経験に裏打ちされた、それら全ての統合か。兎も角、彼女の
運動性能は、並みの神姫を軽く凌駕するんだよ。このままだと……ッ!!

「これじゃ一気に押し潰されるんだよ、皆。総力を……!」
「は、はいっ!モリアン!!」
『Yes,sir/No problem/Ja(支援します)』
「ッ!?あれ……何?支援兵器!?」
「そうですの、わたし達の騎士にして……鎧ッ!」

力を出し惜しみしている余裕は、ないんだよ。だからボクらは、この身に
“アルファル”を纏う。ビームガトリングの支援砲火で隙を作り、一瞬で
“アーマード・フィギュア”と化した彼女らを装着するもん……これで、
外見上の武装では、互角。でも、正直ロキちゃんのスペックは……不明。

「へぇ、面白い玩具持ってるのね……でも、アタシには通じないわ!」
「それはやってみなきゃ、わかりませんよ?では、行きますっ!」
「くっ!?……きゃぅっ!?」
「龍神剣エルジェネリス!一文字斬りッ!!」

それでも、畏れずに踏み込んでいくのはアルマお姉ちゃん。エルテリアの
力で刃を纏め上げ、巨大剣としてロキちゃんに斬りかかっていくんだよ!
轟音と旋風で、一瞬彼女は怯んだけど……でも、それは本当に一瞬の事。

「く!?こんなの、喰らってられないわ……せあああッ!!」
「かわした……え、きゃああっ!」
「……アルマお姉ちゃん、大丈夫ッ!?」

軽く身をよじって刃を避けたかと思うと、彼女は無骨な右腕を突き込んで
アルマお姉ちゃんを吹き飛ばしたんだよ!爆音が続いた事から判断して、
衝撃波を纏った拳……言ってみれば、“ソニックバイト”の一撃だもん!

「ど、どうにか剣を盾にして凌ぎました……気を付けて下さい!」
「ハッタリだけじゃないのね。いいわ、本気で『コロシテアゲル』!」
「ッ……来ますの、皆。構えてっ!」

──────その拳で傷つくのは……自分の手、じゃないのかな?



第四節:猛襲




一発の拳でアルマお姉ちゃんを吹き飛ばしたロキちゃん。彼女は、狙いを
ロッテお姉ちゃんに定めたみたいなんだよ。フルフェイスの奥に光った、
紫色の眼光がその証。それは“憎悪”その物……皆の背筋が凍るんだよ。

「アンタが、皆の中核なのね!そこから潰せば、速いわ……!!」
「そうはいきませんの!わたしだって、精一杯頑張りますの……!」
「ふん。“アーマメントエクストレミティ”に、耐えられるかしら!」

『武装たる四肢』というコードネーム通り、彼女の手足へと埋め込まれた
無骨な機械が唸りを上げ始めたんだよ。それはまるで、獣の咆吼にも似て
恐怖を呼び起こさせるもん。そして、背中の翼が開いて……急速上昇ッ!

「そうね、次は……左手のコレ、受けてみる!?せいっ!!」
「速……きゃ、あああああぁぁあっ!?」
「ロッテちゃん!?あれは、スタンナックル……!」

地上・空中を問わない圧倒的なスピードを以て、上空へ舞い上がっていた
ロッテお姉ちゃんを捕まえるロキちゃん。その左手からは、物凄い電流が
流れたんだよ。だけどこれならロッテお姉ちゃんにも、勝機はあるもん!

「か、雷なら……こっちも、負けてませんのッ!!“疾く放て”!」
「ぐぁうっ!?痛……仮想空間だと、痛みを覚えるのね。アタシでも」

咄嗟にライナストで空を薙ぎ払い、電撃を産み出したロッテお姉ちゃん。
その電磁嵐にロキちゃんも巻き込まれて、ダメージが及ぶんだよ。でも!

「興味はあるけど、何時までもくっついてられないわ!そぉれっ!!」
「きゃ、きゃぁあああああっ!?う、ぅぅっ……!」

ロキちゃんは掴んでいた左腕で、ロッテお姉ちゃんを地へと投げ降ろす。
土煙と花弁が辺りを覆い尽くし、蒼い天使が叩き落とされたんだよ……!
幸い、ダメージ量は少ないけど……この隙を、見逃してはくれないもん。

「まずは一人、頂くわよッ!!はぁぁぁあっ!!!」
「……させないよ、ロキちゃんッ!!」
「きゃんっ!?な、何よコレ……ワイヤー!?」
「“ヘル”。ボクの師がくれた武器だよ……そしてっ!」
「何よコレ、光の剣……!?う、うああっ!?」

案の定、ロッテお姉ちゃんを踏みつぶそうとしてロキちゃんは急降下……
ボクはそれを、咄嗟にワイヤーブレードで絡め取って阻止するんだよッ!
更にコライセルの“力場”で、強かにロキちゃんを打ち据える。これで、
距離は稼げるもん……但し、彼女の超スピードだと効果は薄めだけどね?

「痛ぁ……そうね、一対三の決闘だもの。油断は出来ないわよね」
「それはこっちの台詞ですの。単体なのに、これだけ強力……」
「そうよ!過去が唯一アタシに遺したのが、この要らない力ッ!!」
「……ッ!?皆、飛んで!爆弾が来るんだよ!」

ロキちゃんは腰から光球を取りだして、ボクらの中心へと投げ込んだ。
それは瞬時に炸裂して、膨大な爆風を撒き散らす。そう、これは彼女が
“爆破事件”で使っていた、あの“プラズマ・ボマー”なんだよ……!
強い風に巻き込まれつつも、ボクらはどうにか直撃を免れる。でもッ!

「堕ちなさい、カトンボ!そらそら、そらあっ!」
「きゃっ!?ぷ、プラズマ弾!?」
「あうっ!!熱……あれ、見て下さい!バックパックが!」
「背中の三角形部分が、分離してプラズマライフルに……!?」

それで逃がしてくれる程、ロキちゃんは素人でもないし甘くもないもん。
己の背に搭載されていたプラズマライフルで、正確にボクら三人を撃つ。
それでボクらが怯んだ隙を突き、今度は腰の拳銃……これもプラズマ式の
弾を撃つんだよ……で、今度は空中戦を仕掛けてきたもん。拙い、かな?

「そらそらそらぁ、そらそらそらぁっ!!生温いわよッ!!!」
「う、ううっ!?このままじゃ“アルファル”の防御を貫かれますの!」
「痛ッ……どうします!?ラッシュを止めないと、押し切られますよ」
「このハイスピード、“プルマージュ”達の飛び込む隙も無いもん……」

その猛襲は凡そ比類が無くて、反撃の糸口を見出す事も困難。でも……
反撃が今出来る存在は、ボクだけ。ボクの“魔術”なら、間隙を縫って
奇襲攻撃が出来る!判断が出来てからは、とても速く動けたんだよッ。

「でも、隙を作る!皆……ボクが、やるよ。“アクセプト!”」
『Ja(ロック解除。“アクセプト・フィギュア”承認します)』
「クララちゃん!?……分かりましたの、時間を稼ぎますのっ!!」
「お願いしますね?せいやぁああーっ!!」
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前……“鬼手”よ、我が手にッ!」
「え……な、何よアレ?!鎧が、馬鹿みたいに大きな腕に……!?」
「ブルームハンガー“メギンギョルド”……力を律する腕だよ」

ボクの鎧が姿を変え、鬼の様な腕を形取る。そして、弱まった防護性能を
補う為に、ボクの躯を白い装束が覆い尽くす。これでコライセルの全力を
引き出して……反撃の糸口とする為の、渾身の一撃を繰り出すんだよッ!

「──彼方の城より疾く来たれ剣王の宝具よ、超越せし力を顕現せよ!」
「ッ!?ひ、非常識よ!何もない空間から、剣が……く、きゃうっ!?」
「“スペリオル・イグナイト”。仮想空間を侵蝕する“魔術”なんだよ」
「ヴァーチャルフィールドを、侵蝕ッ!?……きゃああっ!?」

ボクは、全神経を集中して空間を書き換え……光の刃を幾重にも産み出し
ロキちゃんを切り裂く。その隙を狙って、アルマお姉ちゃんが刃を纏って
突撃を敢行……そのまま、雪崩れ込む様にラッシュを仕掛けるんだよッ!

「今です、ロッテちゃん!」
「はいですの!」
『──“アクセプトッ!!”』
『Yes,sir/No problem(“アクセプト・フィギュア”承認します)』
「これは……鳥!?それにあっちは、剣!?こ、このっ!?」

アルマお姉ちゃんは零距離でアルファルを怪鳥“シームルグ”に変形、
鳥の足でロキちゃんを鷲掴みにして、地面に叩き付けていくんだよ……
そこへ追い打ちを掛ける様に、ロッテお姉ちゃんが“カラドボルグ”の
中から引き出したのは、限界まで雷をチャージした魔剣ライナストッ!

「3……2、1!今ですよっ!!」
「穿て、神の雷炎!夜闇を焼き尽くす、暁の明光となれッ!!」
「ぎゃう!?し、まった──────」
「射抜けライナスト!“プロミネンス・ボルト”ッ!!!」
「きゃあああぁぁぁああああっ!!」

迸る雷の矢は、落着したロキちゃんに向かい真っ直ぐ堕ちていくんだよ!
そして、花吹雪を散らす爆音と暴風が辺りを包み込んで……暫しの静寂。
でも未だに、ジャッジシステムは決着を告げないもん。予想通り、彼女は
爆炎の中から幽鬼の様に起きあがってきたんだよ。恐るべき言葉と共に!

「ふ、ふふふ……あはははは!そう、仮想空間の侵蝕なのね!?」
「ッ……何を、言ってるのかな?ロキちゃん……」
「そう、ここなら……ここなら嫌な世界を換えていけるのねッ!!」
「ロッテちゃん、体勢を立て直してください!様子が……」
「はいですの。ひょっとして、拙い事になりましたの……!?」
「ふふふふふふ、あはははははは!アハハハハハハハハハハハッ!!」

──────ボクは、見せてはいけない物を見せちゃったのかな……?



第五節:進化




狂った様な哄笑を、クレーターの直中で挙げているロキちゃん。その顔は
ずっと“魔術”で反撃の基点を作った、ボクの方を見ているんだよ……。
その笑い声と気配に、ボクは慣れ親しんだ……でも異質な感覚を覚える。

「……この気配、ひょっとして!?皆、気を付けてほしいもん!」
「そう、これなら……『アタシにもできる』わ!!」

そう叫んだロキちゃんの足下に産まれたのは、三角形の環状魔法陣!淡く
紫色に輝くそれは、ボクの使う“魔術”とは完全に管理系統が異なる事を
意味しているもん……でも何の補助も無しに使うのは、正直計算外だよ。

「ダメだよ、ロキちゃん!自分の超AIだけで処理しようとしたら!」
「そうですの!下手にやったら、オーバーヒートしちゃいますのッ!!」
「と、とりあえず……“プルマージュ”、来てくださいッ!!」
『グルォォンッ!!』
『キュイッ!!』
『クルルゥッ!!』

アルマお姉ちゃんが、不測の事態に備えて龍を呼び寄せる。幸いな事に、
笑い続けているロキちゃんはそれを阻止する事もなく、ボクらはしっかり
騎乗する事が出来たんだよ。でも……彼女の憎悪は、いよいよ深まった。

「アハハハハハ!なんて、アタシがこんなに速いか考えないのッ!?」
「まさか……躯を制御する為の、膨大な演算能力を……“魔術”用に?」
「頭が痛いわ!胸が痛いわッ!でも、この力なら復讐できるのよ!!」

ただテロを繰り返すよりも、もっと恐ろしい。『情報を制御する力』。
それによる“復讐”というアイデアが、きっとロキちゃんの頭にある。
ここで彼女を止められなかったら……末路は、より凄惨になるんだよ!
ボクらはボク・クララの蓄積したノウハウを知る故に、彼女を止める。

「ダメです、いくら情報処理に特化しても限界があるんですよ!?」
「補助装置も無く“魔術”を使い続けたら、負荷が掛かりますのッ!」
「焼き付いたエンジンは、廃品回収行き……二度と復元できないもん!」

だってこれは、単にロキちゃんの自滅を早める行為だよ。“ゲヒルン”で
情報処理能力が高くなっているボクでさえ、“魔術”のマニュアル実行は
苦労する。それを、ヴァーチャルフィールド以外の領域で永続的に行えば
超AIに掛かる負荷は、深刻なダメージを及ぼす程のレベルになるもん。
しかも彼女には、補助演算装置もコライセルの様なデバイスもない……!

「それがどうしたのよ!アタシなんて所詮使い捨てのガラクタだもの!」
「違いますの!ロキちゃんは、わたし達の大事な“妹”ですの!!」
「同じ殻の躯を持つ、“姉妹”なんです!大事にしていきたいんです!」
「だから、それだけは止めて……ロキちゃんが、壊れちゃうんだよ!」
「アタシなんて、壊れても良いの!『ミナゴロシにしてあげる』ッ!!」

でも力に魅せられてしまったロキちゃんには、その言葉はもう届かない。
環状魔法陣から湧き上がったどす黒いオーラが彼女の全身を包み、新たな
装甲外套として固定される。辺りには何時の間にか漆黒の羽が舞い散り、
更に……ロキちゃんの周囲には、炎の龍が巻きつき始めたんだよ……!!

「それじゃ、まずは腕馴らしね……さぁ、“終末の焔”よッ!!」
「え?!炎の龍が、渦を巻いていきます……あれは、一体?!」
「いけない、あれで辺り一帯を薙ぎ払うつもりなんだよ!」
「拙いですの!避け──────」
「遅いわッ!!闇の輝きに魅せられながら……死ねぇッ!!!」

ロキちゃんは己を覆い尽くす炎の龍を、連獅子の様に勢いよく振り回し
漆黒の渦潮として、花畑を呑み込み始めたんだよ……これに巻かれたら
一溜まりもない……でもその時、ボクらの予想外な事が起きたんだよ!

『Yes,sir/No problem/Ja(ここは、お任せ下さい)』
「フィオナ!?ダメですの、前に出たら只じゃすみませんの!?」
『キュ……キュィッ!!』
「ウィブリオ……!?きゃ、あああああああっ!!」

ロッテお姉ちゃんを庇う様にして、分離した“アルファル”のフィオナが
突撃していって……その隙に、“プルマージュ”のウィブリオが己の主を
護る様にして強制的に合体したんだよ。“ティターン・シルエット”へと
変形するのと、強大な爆風が巻き起こるのはほぼ同時。並行して、ボクと
アルマお姉ちゃんも、自分の龍と騎士に護られて爆風を凌ぎきるよ……!

「ぅ、う……そんな、モリアン!モリアン!?」
「……アルサス、彼処で横たわってるんだよ。こんな事……」
「うぅ……こうなったら、もう意地でも止めますの!!」

でも、ボクらを庇った鋼鉄の騎士達は……焼け焦げた大地で無惨な姿を
晒していたもん。無事だろうけど、この戦いではもう宛てに出来ない。
この身を纏う“龍の鎧”で、なんとしてもロキちゃんを止めるんだよ!

「……止める?何を言ってるの、貴女達もここで砕け散るのよ!」
「させませんの。大事な皆を、やらせはしませんの……!!」

──────もう退く事は出来ない、倒れる事も赦されないよ……!







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