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えむえむえす ~My marriage story~

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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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引きこもりと神姫
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戦うことを忘れた武装神姫
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

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双子神姫
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犬子さんの土下座ライフ。
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武装神姫のリン
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マリナニタSOS!(仮)
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戦う神姫は好きですか
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妄想神姫
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武装神姫~ストライカーズ・ソウル~
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ホワイトファング・ハウリングソウル
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 廃工場の一室に彼女はいた。昔、この場所で開催されていた違法バトルの監視室である。摘発があった際もその映像を映していたのだろう。
 その長い腕で己の体を抱くように、彼女は一人で座っていた。
 彼女の名は『狗怨』。
 心も無く、感情も無く、記憶も無い、ただの人形。
 彼女に課せられた命令は唯一つ、『あの悪魔型と犬型を破壊しろ』という唯一つの言葉であった。
 彼女の主である老人は既に、彼女の攻撃の流れ弾で死亡していたが彼女はそんなことを理解できない。また、理解しようともしなかった。
 まだ心も感情も記憶もあったころの彼女ならば、或いは自分が自由になったと喜ぶのだろうか。それとも人をあやめてしまった罪を嘆くのだろうか。それは誰にもわからない。彼女自身にもわからないのだから。

「――――――――――――」

 何かが近づいてくる物音が聞こえ、彼女は俯いていた顔を上げた。その顔は仮面に隠され、表情は見えない。
 仮面に内蔵された彼女の耳であるセンサーを使い、侵入者の居場所を探る。
 居場所はすぐに割れた。彼女は起き上がると跳躍し、監視カメラの映像が映るディスプレイへと顔を向ける。
 監視カメラに入りきらない大男と、反対にすらりとした女が車の傍に立っていた。ボンネットには神姫が三体いる。
 彼女はボンネットの部分を拡大する。そこにはあの時破壊し損ねた犬型と、自分の邪魔をした悪魔型がいた。
 二体とも、監視カメラの向こう側でこちらを見つめている。
 と、犬型の口が僅かに動いた。狗怨は口の動きから言葉を推測する。『・・・・いま、いくぞ』、確かに犬型はそう言っていた。

「――――――――――――、――――」

 彼女は無言でディスプレイから背を向ける。
 己の武装を確かめるように、一度だけ自分を見てから彼女は闇に消えた。








ハウリングソウル

第十二話

『ブレイド』






























 廃工場の闇を、黒い影が走っていた。
 ハウである。
 ハウはノワールよりも先を行き、安全を確認してからノワールが付いていくと言うフォーメーションを保っていた。
 何せノワールの装備はとてつもなく重いのだ。近距離でいきなり襲撃されたらどうしようもない。

「・・・・まったく、どうしてきみってばそんなに重装備なの? ガトリングはともかくさ。肩の7mm砲は置いてきてもよかったんじゃない?」

「だって・・・もったいない」

 ノワールはそういって両手に持ったホーンスナイパーライフルを掲げた。
 チーグルの両手も彼女自身の両手も塞がっている。転んだら受身も取れない状態だ。
 ハウは錆びて折れた鉄骨の影に身を潜め、周囲を窺う。
 安全を確認した後、ノワールの頭とアンテナが鉄骨からはみ出ているのに気づいて嘆息した。
 これでは隠れる意味もないかもしれない。

「とりあえず奥まで行ってみよう。いなかったらもう一度徹底的に探 ―――――――っ!」

 ハウがそう言おうとした瞬間、ノワールはライフルを投げ出しハウを抱えて跳躍した。
 直後に天井からチェーンの付いたクレーンが落下してきた。それは大人の手のひらほどもある大きさのものだったが、全高15cmの彼女達からしてみれば巨大な岩ほどの大きさだ。勿論下にいたらつぶれていたのは間違いない。
 ハウはゾッとした。
 ノワールの腕に抱かれたまま天井を仰ぎ見る。
 そこにはブレードを構えずに、手に持ったままの『切裂き』・・・狗怨が立っていた。
 仮面に隠された顔で、静かにハウたちを見下ろしている。

「――――――ッ!!」

 ノワールの腕に抱かれたまま、腰のホルスターからカロッテP12ハンドガンを取り出すと両手で構え乱射した。
 狗怨は避けることもせずにそのまま跳躍し地面に着地する。その瞬間恐ろしい速度で前に向かって一気に加速した。

「させない!」

 ノワールは向かってくる狗怨に向かいガトリングを撃つ。前と同じように大した威力は無いと踏んだのか狗怨は防御も回避もせずにそのまま弾幕に突っ込んだ。その瞬間、狗怨は予想外のダメージに驚き一気に横へと跳躍し姿をけした。

「・・・・ノワール、下ろして。・・・・敵のダメージは?」

「・・・・・軽微。状況判断がすばやい。すぐに離脱された」

 着地と同時にハウは歯噛みした。
 自分はノワールに守られてばかりだと。
 切り裂きとの決着は自分の手でつけたい彼女にとって、ノワールに守られると言うことはあまり気分のいいものではなかった。
 自分は切り裂きを、刃物を、そして過去を打ち倒すためにここにいる。倒して生きるために、自分は戦う。

「・・・・・・・だったら、行動しないとダメだよね。うん」

 ハウは自分の頬を両手で勢いよく叩いた。

「行こうノワール。今度はアイツにダメージ食らわそう!」

 その様子を、ノワールは嬉しそうに見つめていた。






























 切り裂きが消えたほうに進むとそこは大きな倉庫だった。
 工場で作られた商品を保管しておいたんだろうか?

「・・・・・・・・・・・」

 僕はTMPサブマシンガンを構えながらゆっくりと進む。
 多分潰れたときのままなんだろう。倉庫にはドラム缶や大きな袋がいっぱい残されていた。
 後ろのほうではノワールが精一杯小さくなりながらついてきていた。・・・それでも僕に比べると随分おおきいんだけど
 ・・・・・・と、視界の隅で何かが動いたような気がした。

「――――――ッ!?」

 TMPを構えたまま振り向く。その瞬間、僕の真横を何か大きなものが物凄い速さで通過した。
 襲ってくることを気にせずに思わず振り返る。

「ノワール!?」

「・・・・・・・・・・い・・・・・・痛い・・・・結構痛い・・・!」

 飛んできた物体に当たったのか、そこにはノワールが倒れていた。
 急いで駆け寄って様子を見る。脚部パーツの右足が切断されていた。これじゃ歩けない。

「ブレード・・・! 向こうから飛んできた!」

 ノワールが指差した先には何も無い。
 切り裂きが投げてすぐに逃げたんだろう。

「これじゃ戦えないよ! 一度車まで戻って・・・・・・・」

 僕がそういった瞬間、僕たちが入ってきた倉庫の入り口が音を立てて閉ざされた。

「そんな・・・・なんで・・・・!」

「切り裂き、逃がすつもり無い・・・! 」

 ノワールは痛みに耐えながら言った。
 僕はそんなノワールを見つめる。
 完全に切断された右足。
 この状態じゃ歩けない。走るのなんて当然無理だ。
 マスターから聞いた武器の威力は、薄い鉄板なら楽に貫通するほどのものらしい。つまり僕の銃やノワールの大砲なら・・・・・。ダメだ。僕一人じゃノワールを抱えてあいつから逃げられない・・・・・逃げる?

「・・・・そうだ。僕はここに何をしに来たんだ?」

 切り裂きを倒す。そのために僕はここにいる。
 なのに逃げる?
 でもノワールはどうすれば・・・・・・。

「・・・・・・行って、ハウ」

 名前を呼ばれて顔を上げる。
 そこにはいつに無く真剣な、ノワールの顔があった。

「ノワール?」

「ノワール、邪魔。足手まとい。ハウ、素早い。・・・・・ノワール、ここで、アイツを引き止める。・・・・・ハウ、その時に逃げる」

 前にも同じことを言われたような、そんな気がする。
 その時に僕は・・・・・・・私はいったいどうしたんだっけ?

「・・・ノワールの代わりに生きて。生き抜いて・・・・! マイスター悲しませないで・・・!」

 その時に僕は・・・・・・・・・・・・・・・!

「いくらノワールがお姉ちゃんでも、そのお願いは聞けないね。ノワールがいなくなったらきっと、マスターは泣くよ。泣いて泣いてノワールの事を嫌いになる。マスターと僕は泣いたまま、ずっと過ごしていつか死んでいく・・・・・そんなのは嫌だよ。ずっと三人一緒じゃないと、嫌だよ」

 言葉はいつの間にか口をついて出ていた。
 その言葉は、ノワールが僕に対して言った言葉。
 最後まで、ずっと三人一緒。
 一人も欠けちゃいけない・・・・・・・・!
 僕はノワールから視線を外し、後ろの壁に突き刺さったブレードを見る。
 刀のようなデザインのそれはサバーガ・レッグパーツを切断したにも拘らず刃こぼれ一つしていない。
 多分純粋な刃物ではなく、振動とかそこらへんで切るんだろう。僕はよくわからないけれど。
 無言で歩みより、柄に手をかけた。

「・・・・・・・・・ハウ?」

 指先が震えている。自分が今掴んでいるものがなんなのか、理解しているから。
 僕は震える体を無視して、そのままブレードを力いっぱい引き抜いた。

「ちょっと待ってて。あいつを・・・・・・・倒してくるから」

 刃物に対する恐れはもう無い。
 震えはもう来なかった。















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