ハウリングソウル
第三話
『開店・本屋の朝』
「マスター! その本は出版社が違いますよ! それは圭分社の本です!」
「ん・・・・・じゃあこれは?」
「それは雑誌コーナーです! ついでに今左手に持ってるのが文庫コーナーでそこに山積みになってるダンボールは全部コミックのコーナーです!」
僕は机の上からマスターに向かって言った。
全く、マスターは僕たちがいなかったときはどうやって本棚の整理をしていたんだろう?
全く、マスターは僕たちがいなかったときはどうやって本棚の整理をしていたんだろう?
「・・・・・・・・・・マイスター。片付け、下手」
「・・・・さり気なく人が気にしていることを言わないでもらえるかな」
ノワールがそういってチラリと僕のほうを見る。僕は苦笑しながら肯いた。
「ハウ、仕切り屋さん。マイスター、片付け下手。ノワール、大変」
「しっ仕切り屋さん!? だって仕方ないじゃない、僕だって仕切りたいとは思ってないの! あんまりにもマスターが・・・・・アレすぎるから」
「アレとはなんだねアレとは。というかノワール、お前さっきから何もして無いだろう! 少しはハウを手伝いたまえよ」
「ノワール、今日レジ打ち。役割分担する」
何やら混乱しているけれど今日はマスターの経営する本屋の品出しの日だ。
普段からあまり物を片付けない性格のマスターだから、やっぱりというか何と言うか、品出しはまだまだ終わりそうに無い。
さて、ここら辺で自己紹介をしておこう。
僕はケモテック社製・犬型MMSハウリンの“ハウ”だ。
名前がそのままなのはマスターが僕の分の名前を考えていなかったかららしい。何でも急に僕に名前が必要になったとかでつけた名前が“ハウ”。もう少しまともな名前にしてくれなかったのかと少しだけ思う。
でもマスター、悪魔型ストラーフの名前はちゃんと考えてたんだよなぁ・・・・。
何か不公平かも。
普段からあまり物を片付けない性格のマスターだから、やっぱりというか何と言うか、品出しはまだまだ終わりそうに無い。
さて、ここら辺で自己紹介をしておこう。
僕はケモテック社製・犬型MMSハウリンの“ハウ”だ。
名前がそのままなのはマスターが僕の分の名前を考えていなかったかららしい。何でも急に僕に名前が必要になったとかでつけた名前が“ハウ”。もう少しまともな名前にしてくれなかったのかと少しだけ思う。
でもマスター、悪魔型ストラーフの名前はちゃんと考えてたんだよなぁ・・・・。
何か不公平かも。
「おいこのままじゃ開店時間に間に合わないぞ。ノワールも手伝え!」
「開いてもお客さんあまり来ない。遅れても問題ない」
「さり気なく酷くないかね!?」
「むしろ直球で酷いと思いますけどね・・・・あー! それはアダルトコーナーですっ!! 児童向け絵本の棚に置いちゃダメー!?」
マスターが左手に持っているのはいかにもそれっぽいアダルト雑誌だった。
それをみたノワールは照れてるのか、無言で顔を赤くしている。
・・・・・本当に、僕たちが来る前はどうやって生活していたんだろうこの人。
それをみたノワールは照れてるのか、無言で顔を赤くしている。
・・・・・本当に、僕たちが来る前はどうやって生活していたんだろうこの人。
「・・・おお」
「驚いてないで急いでください! 早くしないと開店時間になっちゃいますよ!!」
というか、いつのまにか開店五分前になっていた。
このままじゃ間に合わない。
このままじゃ間に合わない。
「もう! とりあえずマスターはその・・・アダルト本をダンボールに戻して! ノワールはそのままレジのお釣りを確認して! マスターはそれ終わったらダンボールを全部奥に引っ込めてください! シャッターは僕が開けておきますから!」
僕はそう怒鳴って机から飛び降りる。足にはブーツを履いているので着地の衝撃はそれほど無かった。
「・・・・・・・・やっぱり、仕切り屋さん」
机の上からノワールの声がぼそりと聞こえたけどとりあえず無視してシャッターのボタンへ走る。
シャッターのボタンは柱の上のほうにある。いつもならマスターが乗せて行ってくれるんだけれど今日は・・・・・ダンボールと格闘しているからダメだ。
走ってボタンに近い机の下に辿り着いたけれど、上るのに使えそうなものが無かった。
椅子は・・・・何で物置みたいにいろいろ置かれてるんだろう。全くマスターったら!
シャッターのボタンは柱の上のほうにある。いつもならマスターが乗せて行ってくれるんだけれど今日は・・・・・ダンボールと格闘しているからダメだ。
走ってボタンに近い机の下に辿り着いたけれど、上るのに使えそうなものが無かった。
椅子は・・・・何で物置みたいにいろいろ置かれてるんだろう。全くマスターったら!
「しょうがないな・・・・ていっ!」
僕は机についている半開きの引き出しの上に飛び乗った。乗ったまま次の段の引き出しを少し開けてまたその上に飛び乗る。それを二回繰り返すと無事に机の上に乗ることが出来た。ちょっと無茶をしたせいか頭に被ったテンガロンハットが少し傾いた。それを治しつつ僕は柱に取り付けられたボタンに向かって飛び蹴りを加えた。
お店の入り口のほうでシャッターが開く音が聞こえる。
と同時に
お店の入り口のほうでシャッターが開く音が聞こえる。
と同時に
「お~シャッターの前に立ったら開いたぞ? 歓迎されてるのか?」
「ご主人様、それは無いんじゃないかと・・・・」
「全くアニキは馬鹿だなぁ~! アニキがVIP待遇なんて受けれるわけ無いじゃん」
「ね、姉さん。そういう風に言うのはどうかと・・・・」
「多分ダーリンはこの本屋で如何わしい本を買うつもりなんだね・・・そしてそれを研究してあたしたちがその毒牙に掛かるんだ・・・・」
「お前ら俺をどんな目で見てんだ! とくにルーナ!」
何だか騒がしい声が聞こえてきた。
開店開始直後にお客さんが来るのはとても珍しい。
開店開始直後にお客さんが来るのはとても珍しい。
「いらっしゃいませー」
ダンボールとの格闘を終えたらしいマスターがお客さんに向かって挨拶をする。
・・・・そうしてるとちゃんとしたお姉さんに見えるんだけどなぁ。
開店早々に来た男の人はそのまま雑誌コーナーのパソコン誌売り場に直行した。パソコンがすきなのか少し楽しそうだ。
・・・・そうしてるとちゃんとしたお姉さんに見えるんだけどなぁ。
開店早々に来た男の人はそのまま雑誌コーナーのパソコン誌売り場に直行した。パソコンがすきなのか少し楽しそうだ。
「え~! パソコン雑誌なんて詰まんないよ! スポーツのコーナーに行こうよ~!」
右肩に乗った悪魔型が彼女のマスターにそういっている。
ノワールとは随分印象が違うけどあれが普通のタイプ・ストラーフだ。・・・・・ノワールがストラーフにしては大人しすぎるんだよね。
右肩には色の白いストラーフをもう一体乗せていた。こちらは普通のストラーフに比べると大分大人しめな空気だった。左肩には天使型アーンヴァルと対照的に黒いアーンヴァルを乗せている。結構不思議な光景だった。
ノワールとは随分印象が違うけどあれが普通のタイプ・ストラーフだ。・・・・・ノワールがストラーフにしては大人しすぎるんだよね。
右肩には色の白いストラーフをもう一体乗せていた。こちらは普通のストラーフに比べると大分大人しめな空気だった。左肩には天使型アーンヴァルと対照的に黒いアーンヴァルを乗せている。結構不思議な光景だった。
「いいだろ別に。お前らだけでどこかに行こうとするなよ!? 他の人に踏まれても知らなねぇぞ!?」
彼女達のマスターがそう叫べば黒いアーンヴァルが
「あ、プレ○ボーイが向こうの棚に」
と言い、白いストラーフとアーンヴァルは
「あ、アンジェラスさん。お料理の本が向こうにありますよ」
「本当だ。・・・・ご主人様~もっと向こう側に寄ってください~!」
と言う。
彼女達のマスターは彼女達の反応に一々返事を返している。
その様子を見かねたのか、僕のマスターが助け舟を出した。
彼女達のマスターは彼女達の反応に一々返事を返している。
その様子を見かねたのか、僕のマスターが助け舟を出した。
「お客様、神姫を下ろして差し上げても結構ですよ。朝方ですからあまり人もいませんし。それにうちの神姫も自由に歩き回ってますから」
「あ、ありがとう御座います。おら、お前ら店員さんに礼を言えよ?」
彼女達のマスターが言うと肩に乗っていた神姫たちが一斉に僕のマスターにお礼を言っていた。
そのまま四人とも思い思いの本のコーナーに歩いていってしまう。
・・・・・というか、ルーナって呼ばれた黒いアーンヴァルがアダルトコーナーに行ってるんだけど。見なかったことにしよう。
そのまま四人とも思い思いの本のコーナーに歩いていってしまう。
・・・・・というか、ルーナって呼ばれた黒いアーンヴァルがアダルトコーナーに行ってるんだけど。見なかったことにしよう。
「ふふ・・・大変そうですね」
「まぁ・・・・大変ですね」
マスターと彼女達のマスターが苦笑いをしながら話している。
さて、僕は・・・・・とりあえずやる事もないしノワールのいる机に戻ろう。ノワールの奴、サボってるかもしれないし。
さて、僕は・・・・・とりあえずやる事もないしノワールのいる机に戻ろう。ノワールの奴、サボってるかもしれないし。
案の定サボってました。
ノワールめ、気持ちよさそうにすやすや寝てるじゃない。
僕はノワールに気づかれないように音を立てずにゆっくりと近づいて、そのままノワールの足をくすぐった。
ノワールめ、気持ちよさそうにすやすや寝てるじゃない。
僕はノワールに気づかれないように音を立てずにゆっくりと近づいて、そのままノワールの足をくすぐった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」
驚いたのかノワールは飛び起きた。
猫みたいに髪を逆立てて首を左右に勢いよく振っている。どうも周りの状況を確認しているらしい。
全く、目を離すとすぐにこれなんだから。
本当にお姉ちゃんなのか疑問に思う。
猫みたいに髪を逆立てて首を左右に勢いよく振っている。どうも周りの状況を確認しているらしい。
全く、目を離すとすぐにこれなんだから。
本当にお姉ちゃんなのか疑問に思う。
「ハウ・・・・・・・・くすぐった?」
「ううん。それよりもお仕事しないとね」
「あ、ボクと同じ悪魔型だ。犬型もいる」
僕とノワールが話していると、さっきスポーツコーナーに行くと言っていたストラーフがこちらを見上げていた。
「あ、お早う御座います!」
「オハヨー! キミ達ってこの本屋の神姫?」
屈託の無い笑顔で下にいるストラーフが僕たちに話しかけてくる。
ノワールは寝起きのせいなのか聞こえているのかいないのか良く判らない顔をしていた。
ノワールは寝起きのせいなのか聞こえているのかいないのか良く判らない顔をしていた。
「はいそうです。何かお探しの本でもありますか?」
「ん~ん~! ボクと妹意外の悪魔型って珍しかったから~! 買いたい本はもう見つけたからあとはアニキが買うのを待つだけ~!」
そういって手を振ってから下にいたストラーフは彼女のマスターの元へと走っていく。
・・・・・随分元気な人だったなぁ。
・・・・・随分元気な人だったなぁ。
「ねぇノワール。さっきの人、何かとっても楽しそうだったね」
「・・・・・・・・・・・・すぅ・・・・」
「寝ーるーなー!!」