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過去と流血に囚われし、嘆きの姫(その二)




第三節:怨霊




ゆっくりと、幽鬼の様な動きでその姿を見せたのは……神姫ともその他の
MMSとも判断しがたい、軍隊風の装束に身を包んだ12センチの少女だ。
否……軍隊風、というのは正確でない。どちらかというと“戦闘機”だ。
流暢な日本語で捲し立てるその娘を見て、私は率直にそんな印象を抱く。

「来るなって、言ってるでしょ!?……貴女、やっぱり当局なのね!」
「日本語が分かるのか。いや、私達は権力を持たぬ……只の民間人だ」
「嘘よ!アタシを叩き壊す為に来たのよ、奪う為なんだわ!そうよ!」
「マイスター、この娘……脚が……ううん、腕も全部……武器ですの」

ロッテが青ざめた様な表情で呟く。彼女の言う通り、私達の眼前に居る
MMSの姿は酷く歪だった。両脚が、無骨な武器に置換されていたのだ。
左脚は、膝にパイルバンカーらしき杭が見える。脛にもシリンダー風の
構造物があるが、これも恐らくは何らかの武装だろう。足は人のそれと
違い、ソリの様な板状の装置になっていた。右脚も同様だが、こちらは
膝にアンカーの様な物とリールが見て取れた。ワイヤーランチャーか?
両腕には重火器風の鉄塊がぶら下がっており、掌も無骨な鉄拳である。

「絶対そうだわ……そんな眼でアタシを見て、貴女も憎いのよッ!!」
「憎い、かどうかは分からぬ。そなたは、コレと関係があるのか……」
「そんな事どうでもいいでしょ!?どうせ全部分かってるクセにッ!」

彼女はストイックかつ無骨な姿とは裏腹に、ヒステリックな声で叫ぶ。
背にセットされている二本の曲剣には深紅の染みが幾つかこびりつき、
その腰には鉄で出来たスカートと……無骨な拳銃が二挺下がっていた。
更に肩胛骨の辺りには、巨大な二枚のバインダーと三角形のユニットが
セットされていた。先程は、これを利用して飛んでいたのだろう。だが
そんな武装と胸元の装甲板を揺らして、彼女は尚も狂った様に吼えた。

「そうよ!“ドクトル”や“マヨール”を殺して“妹”達も壊して!」
「……マイスター、この娘ひょっとしたら……アレかもしれないもん」
「アレって何!?人間の味方気取ってるんじゃないわよ、ガラクタ!」

クララが私に耳打ちするのを、彼女は聞き逃さない。しかし、ここまで
過敏になっているというのはやはり“AIPTD”か何か……ともかく
超AIに対して強いプレッシャーが掛かっているのは、疑い様がない。
単に凶暴化しているにしては、被害妄想が強い気がするのだ。無理矢理
そういう調整をされたのかもしれんが、ともあれ彼女は何かおかしい。
単純に殺人の命令を受けている、という訳でもなさそうだが……むぅ。

「……ガラクタなんかじゃないです!あた……この娘達は違います!」

似た様に一度人間を拒絶した茜……アルマが、咄嗟に叫んだ。慌てて、
『あたし達』という言葉は呑み込んだが、彼女は既にお見通しだった。
小刻みに震える手で茜を指差し、彼女はキッパリと言い切ってみせる。

「何言ってるのよ!声や動きで分かる、アンタもその玩具達と同じよ!」
「うっ……そうです、あたしも武装神姫。貴女だって、そうでしょう?」
「違うわよッ!!あたしは……あたしは“ロキ”!あたしは……ッ!!」

アルマの正体を看破した所まではいい。だが彼女は、その後の言葉が全く
続かない。ロキという名を告げた所で、激しく肩を振るわせ始めたのだ。
……数秒の沈黙を破って、呪いを吐き出す様にロキは己の正体を告げた。

「“戦略級殲滅型MMS”……“ハザード・プリンセス”の零号機よ!」
「ハザード……プリンセス?“ラグナロク”が創った、MMSの名か?」
「ッ!?やっぱりアンタ、知ってるのね!絶対、壊しに来たのよッ!」

私の呟きに、ロキが再び烈火の如く激昂する……歩姉さんを殺したMMS。
そんな“予感”に囚われる意識を振り払い、私は彼女を見据えた。躯は、
武装神姫と何ら代わらないサイズである。これをテロや暗殺に用いようと
企んだ“ラグナロク”の邪心に、吐き気さえ催す……が、ここは我慢だ。

「落ちついてくれ、私達は壊しに来た訳ではないのだぞ……ただな?」
「嘘だッ!!そう言って人間は、アタシ達を騙して壊したのよ!!?」
「えと……さっきから、壊した殺したって……話が見えてきませんの」
「トボけないでガラクタッ!人間は、飽きたら玩具を棄てるのよ!?」

錯乱しているのか何なのか……至極真っ当なコミュニケーションさえも
成り立たないまでに、ロキは怒り狂っていた。いや、むしろこれは……
そう、“憎悪”。世の全てを恨み、嫉み……憎み、蔑む。そんな姿だ。
神姫にも“心”がある以上、そういう感情に支配される可能性はある。
だが、いざ目の前にすると……これ程まで憎悪の力は強いのかと思う。

「ロキ、と言ったか……そなたを使役する“ラグナロク”の……」
「いないわよそんな奴ッ!?もう誰も、アタシの側にはいない!」

そんな彼女を目の前にして、私達の心によぎったのは……哀しみだった。
歩姉さんの仇かもしれないMMSなのに、何故そこまで世界を憎むのか……
そうまでに歪み腐れ傷ついた“心”の存在が、とても哀しく思えたのだ。

「……私は本当に、お前の身に起きた出来事を知らぬ。話してくれぬか」
「ふん!何処まで嘘ばかり言えば気が済むの!?良いわ、言ってあげる」
「お願い、なんだよ……それを知れば、ボクらにも何かできる筈だもん」
「無理ね。むしろアンタ達も、“人間”から今すぐ逃げたくなるわよ!」

──────何が、あったのかな……道化の神に……?



第四節:憎悪




“道化の神”の名を冠するMMSは、シェードの深奥に隠された瞳で私達を
睨み付ける。表情こそ見えぬが、明らかに殺気の混じった視線を感じる。
そして、一拍置いてから彼女は語り始めたのだ……己の呪わしき宿業を。

「アタシは、“ラグナロク”の博士……“ドクトル”に作られたのよ」
「……そう言えば、戦略級とか零号機と言っていたな。試作型なのか」
「そうよ。アタシは後に産まれた十二人の“妹”達……その姉だった」

私は話を聞きながら、納得する。彼女の装備は、全て人間社会に対する
“兵器”なのだと……そう、彼女は『人間を殺す為の兵器』なのだと。
しかし、必ずしもそれだけではなかったという痕跡も……見えてくる。

「人間の顔なんてないカメラアイの妹達もアタシも、皆大事にしたわ」
「大事にって……商品のサンプルだからって意味、じゃないのかな?」
「違うわ!それもあったかもしれないけど、色々遊んでくれたのよ!」

ロキは語る。自分達の閉じた世界で、なお創ってくれた人間……そう、
“ラグナロク”の面々は人間味溢れる態度で、彼女らを愛したのだと。
クララの抉る様な質問を、血を吐く勢いで否定したロキの態度が証拠。

「イタリアで、電車を“プラズマ・ボマー”で壊した後だってそうよ」
「ッ!?……い、イタリア……?その時に、創造主はなんと言った?」
「何も言わないわ!でも、撫でてくれたのよ……笑ってくれたのよ!」

神姫は須く『マスターの為にある事』を第一義として生きる。ならば、
神姫の試作品を元として産み出されただろうこの娘も、神姫達と同じく
『自分を使ってくれる人の為に働く』事を、その喜びとしていたのだ。
目の前のロキが歩姉さんを殺した……その事実と、神姫としての因子を
受け継いでいた哀れなる姫。二つの事象が、私の中で渦を巻いていく。

「最初は“ベルンハルト”も“マヨール”も、冷たかったけど……でも」
「でも、その内に笑って貴女を抱きしめたりしてくれた……んですか?」
「そうよッ!他の人間なんか知らない、アタシ達の大事な人だったわ!」
「例えどれだけの人間を殺しても、その人達が笑ってくれるなら……?」
「構わないわ!だから……だから、アタシは望まれるままに戦ったの!」

彼女の腰に下がる血塗れのマチェットが、その歴史を証明する物だろう。
神姫のサイズならば、爆破工作だけと言わずに様々な裏の仕事が出来る。
……残酷な様だが、理論上は非常に効率的だった。唯一の誤算は、作った
“ラグナロク”の連中自身に、制御し切れない感情が産まれた事だろう。
そしてその“想い”は、知らず知らずにロキを“道化”へと換えたのだ。

「でも……でも、そんな事をした為に“ラグナロク”は壊滅しましたの」
「そうよ!アタシは皆に笑ってほしかっただけなのに、他の人間がッ!」

ただ愛するが故に屍山血河の道を突き進んだロキは、しかしその行いが
遠因となって、愛する人達を永遠に喪ってしまったのだ。自分がいくら
悪を為していたと認識しても、“想い”はそう簡単には精算出来ぬ物。

「あいつらは、あいつらは……何も言わずに皆を撃ち殺したのよッ!」
「……そう言えば“妹”さんは、その時どうしていたんですの……?」
「八人が人間達に壊されて……四人が、何処かに連れて行かれたわッ」

ロキの声が震える。彼女の脳裏に浮かぶのは、楽しかった思い出か……
それとも“悪”として滅ぼされた、愛する人々と“妹”達の断末魔か?
“神々の黄昏”という名に相応しい、苦い余韻を伴って組織は滅びた。
だが唯一この世に遺されただろう彼女の“心”は、果たしてどうなる?

「“ベルンハルト”は、自分を盾にしてアタシを逃がしてくれたのよ」
「……そして、この東京まで逃げてきたのかな?たった一人で……?」
「一人じゃないわ!運び屋が持ってきたの!でも、でもアイツら!!」

そして……そんなロキの傷心に毒を塗り込んだだろう“運び屋”。やはり
その者は二流……神姫を扱う者としては、三流以下のゲスだった様だな。
……そう。私はこの時、ロキが最早『神姫と同じ娘』に見えていたのだ。
私の心を揺さぶる様に……ロキが、己に降りかかった最期の災厄を語る。

『畜生、ベルンハルトの奴!こんな玩具を俺に寄越しやがって……ッ』
『な、何するのよ!?やめて、こんな暗い所に押し込めないでよ!!』
『煩ぇ!お前の運び先なんて教えられてねぇんだ!人形が喋るなッ!』
『嫌!なんて突然、皆怖い顔してるのよ!?“マヨール”だって……』
『黙りやがれ!お前がはしゃいだ所為で足が着いたんだろうがッ!!』
『ぁ──────ッ』

あくまでもその運び屋は“荷物”としてロキを認識したのだ。恐らくは、
それまでロキが触れる事の無かった、組織の末端だったのだろう。信じる
“ラグナロク”の構成員に、邪魔な玩具として扱われるという仕打ち……
彼女に産まれた“人への憎悪”を増幅したのは、間違いなく彼らだろう。
そして恨みを払拭する事もなく……彼らはロキのシステムを停止させる。
彼女はスリープ状態でも記憶・記録を整理し続け……憎悪を、純化した。

「……気が付いたら、箱の中。それを破壊して出てきたら、ここよ!」
「自分でも知らない内に、秋葉原まで持ち込まれて……なの、かな?」
「そう、アタシはここで“棄てられた”!人間なんて、そんな物よ!」

──────人間の為に、生きて……人間に、殺されたんだね……。



第五節:疑念




彼女は……ロキは、泣き叫んでいた。無論だが、涙を流す機能は備わって
いないだろう。仮に備わっていたとしても、このヘルメットでは見えぬ。
下手をしたら、シェードの下にあるのは単なるカメラかもしれない。だが
私は……私達“四姉妹”は、強く感じていたのだ。哀しき“神の涙”を。

「アタシは、だから……自分が壊れるまで、復讐する事にしたのよ!」
「復讐?……人に、ううん。人間の存在する文明全てに……ですの?」
「そうよッ!もう、人間なんて信じない!だから、全部壊すのよ!!」

モノトーンの躯を揺らし、彼女は強い怨嗟の声を上げた。己を裏切った
この世全ての悪となり、何もかも打ち砕くと吼えたのだ。しかし……。

「どうして、ですか?もう一度、誰かを信じてみる気になりません?」
「なるわけないでしょ!そう言う人を皆殺しておいて、何を言うの!」
「しかしだ……お前が愛して信じていたのも、また同じ人間なのだぞ」

もし彼女の語った事が全て真実ならば、私は彼女を止めねばならない。
無論、それは彼女を壊して『正義の為に戦う』等という、偽善に満ちた
お題目を吐く為ではなく……私のエゴとして、彼女に止まってほしい。

「違うわ!同じ人でも、あの人達と他は違う!違うのよッ!そう……」
「ッ!?マイスター、下がって!拳銃を抜いた……撃たれるんだよ!」
「アンタも違うッ!冷たくてゴミみたいで、居る価値もない人間ッ!」

しかし憎悪に振り回されていたロキは、初めて遭った私の言葉を聞かぬ。
腰に下げていた両手の拳銃を抜き、私達にその照準を合わせたのだ……!
いや、違う!この銃口の向きは……ロッテとクララか!?私は、焦った。

「そうね、このガラクタを壊せばハッキリするでしょ!そうでしょ!?」
「だ、ダメです!この娘達を撃つなら、まずあたしから撃って……ッ!」
「嫌よ!まずこのガラクタから壊して、それから殺してあげるわ……!」
『だめッ──────!!!』

ロキの厳つい指が動き、拳銃の引き金を引いた。先程の爆発と同じ様な、
プラズマの波紋が空気中を伝わり、文字通り光の速さで弾が飛んでいく。
……最早、思考さえも追い付かない刹那の瞬間。私は、無意識に動いた。

「……ぐ、ぅぅ……!?……くぅ、手が……痛い……なッ」
「え……嘘?マイスター、何を……してるん、ですか……」
「……そんな、マイスターの手が……血が、流れてますの」
「ボクらを、庇って……手で、弾丸を受けたの……かな?」

皆が気付いた時、私は二つの弾丸を手に受けていた。咄嗟に両手を伸ばし
茜の肩にいるロッテと、己の肩に座ったクララを庇ったのだ。幸い、指は
全て付いている。激痛で意識が消し飛びそうになるが、深い傷ではない。
だが伝う血は涙の様に零れて、地と私の手を濡らす。そして彼女は……!

「嘘よ……嘘、嘘よ嘘!嘘よッ!?何故、そんなのを庇うのよ!?」
「……彼女らが、私の大切な“妹”だからだ。護るのは、当然の事」
「嘘ッ!人間なんか、アタシ達なんてどうでもいいんでしょ!!?」
「……誰が何時、ロキ……お前をガラクタと言った。全くもう……」

他ならぬ彼女……撃ったロキ自身が狼狽えていた。私だって、何故こんな
無謀な事をしたのか、と問われると……これしか応え様がない。しかし、
これで分かった。彼女は、己を“要らないガラクタ”と思いこんでいる。
となれば、彼女の憎悪を解きほぐす糸口も……見えて来るという物だな。

「……わからないわ。わからないわよ!何故、人間なのに何故ッ!?」
「マイスター、血が出てます!これ、早く止めないと……拙いです!」
「気をしっかり保ってほしいんだよ、マイスター!……今は、退いて」
「マイスターを、やらせはしませんの……ここは、退いてください!」

ロッテもクララも、私の身を思い量って“魔剣”を手に盾となる。茜は、
HVIFを纏っているのも忘れ“アルマ”として、私を抱きかかえる……
血の流れに意識が遠のきつつも、“妹”達の勇姿はしっかり見えていた。

「なんでなのよ!?人間なんて身勝手で怖くて、庇っても意味無いわ!」
「意味は、ありますの……この人は、わたし達の“愛する人”ですのッ」
「愛する人の為に戦ってきたのは、他ならぬ貴女がやった事なんだよ?」
「だから、あたし達は……マイスターの、晶さんの為に戦うんですッ!」
「……わからない。アタシ、人間が分からない!貴女達も分からない!」

明らかな怯えの色を見せつつも、ロキが背中の翼を広げる。悪魔のそれを
想起させる変形を見せたバインダーを使い、彼女は東京の空へと消えた。
追い掛ければ届くのかもしれないが、今の私に追い縋る事は叶わぬ様だ。

「行っちゃいました……それより、マイスター!?大丈夫ですかッ!?」
「これは……一応掛かり付けの外科医さんが近所にいますの!そこへ!」
「分かったんだよ!マイスター、気をしっかり保って。傷は浅いんだよ」
「すまないな、皆……痛ッ!何、かすり傷だ……大した事は、ない……」

──────哀れな姫様を、きっと助けてあげるからね……?







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