第15話 「騎士」
所々から黒煙や火花がひっきりなしに吹き上がり、
臨界間近といった原子力発電所を背景に立つは、片脚の悪魔と青い騎士。
臨界間近といった原子力発電所を背景に立つは、片脚の悪魔と青い騎士。
「あれは……」
「騎士型ですね。 珍しい」
「騎士型ですね。 珍しい」
MMS TYPE-KNIGHT 『サイフォス』。
『武士』と『騎士』をモチーフとして世に出た武装神姫の第3弾……その片割れだ。
デザイン発表当時は正統派戦闘スタイルという事で前評判こそ高かったらしいが、いざ発売されると『装備の汎用性の低さ』等の理由から、武装神姫の中では人気の低いシリーズとなってしまったそうだ。
『武士』と『騎士』をモチーフとして世に出た武装神姫の第3弾……その片割れだ。
デザイン発表当時は正統派戦闘スタイルという事で前評判こそ高かったらしいが、いざ発売されると『装備の汎用性の低さ』等の理由から、武装神姫の中では人気の低いシリーズとなってしまったそうだ。
……人気の低さには他にも理由があるようだったが、ルーシーは同じ神姫であるためかそれを明らかにしようとはしなかった。
まぁネットで検索でもかければすぐに分かるのだろうが、ヨソの神姫事情をそこまでして知る気もない。
まぁネットで検索でもかければすぐに分かるのだろうが、ヨソの神姫事情をそこまでして知る気もない。
さしあたっての問題は、『俺たちはほとんど騎士型と戦った事がない』という事だ。
一見すると重装甲。 深いブルーの鎧に身を包んだその姿はまさに中世の騎士を髣髴とさせる。
しかし兜は被っておらず、ライトブルーの短髪に鎧と同じカラーリングのヘッドギアを付けている(武装神姫に関するいろいろなパーツが発売されてる事は前にも言った事があると思うが、こういった顔の換装パーツもいろいろ出ているらしい)
しかし兜は被っておらず、ライトブルーの短髪に鎧と同じカラーリングのヘッドギアを付けている(武装神姫に関するいろいろなパーツが発売されてる事は前にも言った事があると思うが、こういった顔の換装パーツもいろいろ出ているらしい)
……なんかルーシーが小声で「あぁ、やっぱり」とか言ってるが……何がやっぱりなんだ?
んで武装としては右手に装飾の付いた両刃剣。 そして左腕には大型の円形盾。
掲げれば上半身を隠せるほどのそれは、鎧による防御力を更に高めている事を示す。
掲げれば上半身を隠せるほどのそれは、鎧による防御力を更に高めている事を示す。
「睨み合ってても得るもんはねぇし、まずは先手だ」
「了解」
見た目通りに判断するなら防御重視の近接戦闘タイプ……グラップラー・ディフェンダー。
ならこっちは距離を開けて弾丸を浴びせてやるのがセオリーだ。
ルーシーがグレネードのトリガーを引くと同時に榴弾が宙を舞い、轟音と爆発を巻き起こす。
「直撃です」
その言葉を聞くまでもなく、騎士が回避運動を取らなかったのは俺の目から見ても明らかだ。
「了解」
見た目通りに判断するなら防御重視の近接戦闘タイプ……グラップラー・ディフェンダー。
ならこっちは距離を開けて弾丸を浴びせてやるのがセオリーだ。
ルーシーがグレネードのトリガーを引くと同時に榴弾が宙を舞い、轟音と爆発を巻き起こす。
「直撃です」
その言葉を聞くまでもなく、騎士が回避運動を取らなかったのは俺の目から見ても明らかだ。
……しかして煙の吹き散った後には、盾を掲げて微動だにしない騎士の姿。
「ヴィーナスをあまく見てもらってはこまるぞ」
ころころと鈴を鳴らすが如き声はエリザベスのもの。
「エリザベスにヴィーナスとは、またずいぶんとゴージャスなお名前で」
「ふふっ、ほめてもなにも出ぬよ。 さて、次はこちらからじゃ。 ……征(ゆ)くぞ、我が騎士」
「御身に、勝利を」
翡翠色の眼を煌めかせ、騎士が猛然と走り寄る。
とはいえそこは悲しいかな重装甲、そう速い動きではない。
相手の攻撃レンジに入る前に間合いを離すのは簡単だが、こっちも最初の一発は受けてやろう。
ころころと鈴を鳴らすが如き声はエリザベスのもの。
「エリザベスにヴィーナスとは、またずいぶんとゴージャスなお名前で」
「ふふっ、ほめてもなにも出ぬよ。 さて、次はこちらからじゃ。 ……征(ゆ)くぞ、我が騎士」
「御身に、勝利を」
翡翠色の眼を煌めかせ、騎士が猛然と走り寄る。
とはいえそこは悲しいかな重装甲、そう速い動きではない。
相手の攻撃レンジに入る前に間合いを離すのは簡単だが、こっちも最初の一発は受けてやろう。
……なんて大人ぶった余裕は、突き出された両刃剣の鋭さに貫かれた。
鏃のようになった剣先はまさに飛来する矢の如く、アームユニット『チーグル』に装着した装甲板を易々と穿っていた。
「ゆだんはきんもつ……そう言ったのはそなたであったな、ふじおかりょうへい」
引き抜いた剣に突き刺さったままの装甲板を振り落とす。
鏃のようになった剣先はまさに飛来する矢の如く、アームユニット『チーグル』に装着した装甲板を易々と穿っていた。
「ゆだんはきんもつ……そう言ったのはそなたであったな、ふじおかりょうへい」
引き抜いた剣に突き刺さったままの装甲板を振り落とす。
「そして、もういちど言おう。 ヴィーナスを……いや。 『わたし』と『ヴィーナス』を、あまく見るでない」
「……悪りぃ。 侮辱したつもりはなかったんだがな」
「わかればよい」
「つーわけだ。 行くぞルーシー」
「はいっ!」
俺の声に答え、ルーシーはアングルブレード二刀流@チーグルで斬撃を繰り出しながら、本体が銃撃という俺たち流のオーソドックスな戦法に切り替えた。
「……悪りぃ。 侮辱したつもりはなかったんだがな」
「わかればよい」
「つーわけだ。 行くぞルーシー」
「はいっ!」
俺の声に答え、ルーシーはアングルブレード二刀流@チーグルで斬撃を繰り出しながら、本体が銃撃という俺たち流のオーソドックスな戦法に切り替えた。