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新しき風と、揺れ動く錬金術師達(その三)




第六節:宿業




アルマとクララが飛び出し、葵……ロッテが後を追って、どれ位の時間が
過ぎただろうか。物音が止んだのを確認し、私・槇野晶も漸く動き出す。
暇潰しに一人で淹れたココアは、苦い。だがそれも、三人の心中に湧いた
“澱”の苦さと思えば、敢えて飲み干さねばならぬという想いが勝った。

「なんで……あたし達なんて、所詮ただのお人形遊びだったんです?」
「ボクらは、歩さんとクリスティアーネさんの……代わりなのかな?」

嘆きが聞こえる。黙っていたが為、傷つけてしまった二人の哀しみが。
改めて己の愚かさと弱さを悔いつつ、そっと聞き耳を立てる。今の私が
何を喚いた所で、容易には聞き入れてくれぬだろう。ロッテが頼りだ。

「あたし達の所為で、マイスターのお姉さんが死んじゃったなんて……」
「ボクらの存在意義が分からなくなったんだよ……ロッテお姉ちゃんっ」

此方からは見えぬが、低く鈍い音が聞こえる。恐らく、二人がロッテの
HVIF……葵の胸を叩いているのだろう。自責の念、戸惑い、怒り。
私の言葉に、一度傷を負っている彼女らが動揺せぬ筈はなかったのだ。

「……それなら、ちょっと“とある所”へとお出かけしてみますの?」
「お出かけ……ですか?それも、マイスターから聞いた秘密ですか?」
「はいですの。わたしが知ってる“最期の事”を、二人に教えますの」

私は慌ててキャッシャーの影に身を隠し、葵に抱かれて出ていく二人を
見届けた。小さな殻の躯は可哀想な程に震え、酷い仕打ちに絶望の色を
隠そうともしない。ロッテが側にいなければ、どうなるかもわからん。

「……全てを伝えきるまで、赦してくれとは言わぬよ」

そう呟いて暫し待ち、私は後を追った。とっくに三人の姿は無かったが
問題はない。ロッテの言葉通りならば、“行き先”は見当が付く為だ。
そっと店のシャッターを閉じ、施錠してゆっくりと歩き出す。地上へと
上がり、路地を中心部から離れる方角へ歩いていく。電車に乗った方が
数分程早く付くが、歩き以外の方法でロッテを連れて行った事はない。

「確か、ロッテというか葵には合鍵代わりのカードを持たせているしな」

十数分程歩いてたどり着いたのは、“集合墓地”の札が掛かったビルだ。
このご時世、墓の用地を集めるのは大変な事。歩姉さんは、予め自分用の
墓も用意していたのだ。何故そこまでしていたかは、私も知らないが……
恐らくは、己に何があっても良い様に……という配慮の一環なのだろう。

「……服装がアレなのは赦せ。槇野歩の“墓”を見に、誰か来たか?」
「ああはい槇野様ですね?……ええ、今丁度一名様が参られています」

受付の人間に、まだその“外国人”が居る事を確認して……私も入った。
幾つか存在する“拝霊室”の一つを案内され、その門で暫し立ち止まる。
そう。先程言った“カード”とは、槇野歩の“墓”を開く為の鍵なのだ。
即ち此処はエレベータ式立体駐車場の構造を利用した、機械仕掛けの墓。

「……これが、歩さんのお墓……なんですか?何だか寒々しいですね」
「首都圏の土地事情だと、しょうがないですの。それよりも、これを」
「これは……小さな棺?なんだか神姫のサイズに近いんだよ……え?」

小さな墓の中をまさぐる音が聞こえた。位牌と遺灰を積めた小瓶、更に
“とある物”が、割り当てられた小さなコンテナには収められている。
それは、私の“運命と決意の象徴”として……以前ロッテに見せた物。

「これは……神姫の躯かな……?でも、彼方此方傷だらけで手足は……」
「ない、ですね……アーンヴァルタイプに似ているけど、顔も……こう」
「……これこそ、クリスティアーネ“お姉ちゃん”。私達の源流ですの」

そう……“クリスティアーネの亡骸”である。同時に、私が初めて神姫の
躯を弄った、最初のモデルケースなのだ。私の最初の作業は、彼女を葬り
姉の側へと送る事であった。異様と感じるか?だが、遺品は焼くだろう。
家族の骨は一つの墓に収める物だろう……私がしたのは、そういう事だ。
“死に化粧”。手足はどうにもならなかったが、顔だけを修復したのだ。
無論ノウハウは皆無な時代であるし、動かす事も考えていないがな……?

「な、なんで……!?」

ロッテの宣告に、場の空気が刺々しい物へと一瞬だけ変化する。しかし、
動揺して何かを叫ぼうとする二人を、葵が制して続けた。そう、こうして
彼女の“亡骸”が葬られている“意味”を、正しく二人へと伝える為に。

「わたし達は、クリスティアーネお姉ちゃんの代わりじゃないですの」
「どうして……かな?マイスターは、この人のCSCを使ったんだよ」
「それは、歩さんの“願い”が本当に叶うか知りたかったからですの」
「え……それが、CSCを使ったマイスターの願い……なんですか?」
「はいですの。決して“代わり”が欲しかった訳じゃないですの……」

──────私の言葉、お姉ちゃんの思い。彼女の願い、届いて……。



第七節:決意




歯痒くも未だ声を掛けられぬ私の代わりに、葵……ロッテが言葉を紡ぐ。
それは、歩姉さんの信念とクリスティアーネの遺志を継いだ、私の決意。
それでいて、苦しい思い出として長く封じてきた……本当の想いだった。

「マイスターは、クリスティアーネさんの代わりなんか要らないですの」
「……それは、ボクらじゃ代わりになれないって事……なの、かな……」
「そうじゃないですの!……本当に、代替品を求めた訳じゃないですの」

クララの混乱振りに、ロッテが待ったを掛ける。更に『でも』と続けた。
そう。性能的には劣る“プロト・クリスタル”を、何故敢えて用いたか?
かつて泣き喚いたロッテに私が告げたその言葉を、同じくロッテが紡ぐ。

「クリスティアーネさんや歩さんを生き返らせる気もないですの。でも」
「でも……何なんですか?だとしたら、何故マイスターはこんな事を!」
「MMSは人の隣人として存在できる。それが歩さんの“持論”でしたの」
「……マイスターの言葉通りなら、それを叶えようと命を捧げたんだよ」
「そうですの。そして逆に、人の命を奪う為に使われたのもMMSですの」

引きつけを起こした様な、アルマの嗚咽。自分の事ではないのに、私の
姉を殺したという罪の意識が、彼女を苦しめているのだろう。それを、
ロッテは優しく受け止めて……言葉を続ける。二人を解き放つ言葉を。
私も、それに合わせ言葉を紡ぐ。何時までも隠れる事は出来なかった。

「MMSと人は共存できるのか?マイスターは、その答えを求めましたの」
「その為、過去の私はロッテに“プロト・クリスタル”を搭載したのだ」
「マイスター!?い、何時からそこに居たんですか!?……何故ッ!?」
「最初からだ。しかし、私一人の言葉だけでは聞いてくれぬと思ってな」

三人が驚愕した様に、私を見る。アルマとクララの目には、不審の色。
ロッテの目には、良いタイミングで出てきたという安堵の色が見える。
二人の不安を解消するチャンスは、今しかないだろう……私は続けた。

「私は、歩姉さんが愛した様に……いや、それ以上に神姫達を愛せるか」
「それを知る為、という条件でわたしは起動して……一緒に居ましたの」
「途中で私が憎悪を払拭できなければ、ロッテもすぐに眠っただろうな」
「……でも、ロッテお姉ちゃんは今こうしてボクらに語ってるんだよ?」

震えるアルマを抱きしめて、クララが不安そうな視線を投げかける。一体
どういう事なのか、数学的な証明で分かっていても心は不安なのだろう。
アルマも、救いの言葉を求め私達を見上げる。私は、一気に捲し立てた。

「暫く暮らしていく内に、私は彼女の存在を大切にする様になったのだ」
「そして、頃合いを見て言いましたの……『全ての神姫を大切に』って」
「これを受けて、ロッテの為にと磨いた腕と知識を使い……店を開いた」
「MMSショップ“ALChemist”の成り立ちはこれですの。全て、神姫の為」
「私の憎悪を解きほぐして、“妹”として私を温めてくれた存在の為に」
「わたしが精一杯受けた愛情を、皆の為に活かしたいが為のお店ですの」
『“錬金術師”として、無の関係からでも大切なモノを生み出せる様に』

先程までの怯えは消えつつあった、だが未だ戸惑いの色を隠さぬ二人。
それは恐らく……この言葉を待っているが故なのだろう。臆せず語る。
最早包み隠す必要のない、しかし……本音にまでは踏み込まぬ、言葉。
だが今はそれで十分だった。本音に踏み込む事は誓わねばならんがな。

「だが、お前達三人はその他大勢ではない。掛け替えのない“姉妹”だ」
「マイスターとわたしの心を温めてくれた、側にいてほしい存在ですの」
「それを具体的な言葉にするのは、全てが終わってからとなる。だがな」
「今一度マイスターを信じるならば畏れずに、抱きしめて下さいですの」

暫く目を伏せ、アルマとクララが葵の掌で黙り込む。静寂が、墓の前を
包み込むが……それを撃ち破るのも、やはり二人の決意だった。突如、
葵の掌を蹴って、私の肩に飛び乗ってきたのだ!慌てて、抱えてやる。

「マイスター……もう少し、後少し早く言ってほしかったですよッ!?」
「でも、ごめんなさいなんだよマイスター!信じてあげられなくて……」
「良いのだ。全ては私の不徳と弱さ故。だが赦してくれるか、二人とも」
『はいッ!!』

縋り、詫びる二人を私は優しく抱きしめる。本来、詫びねばならぬのは
私の方だというのに……全く、どこまで未熟なのかと呆れるばかりだ。
しかも、敬愛する歩姉さんの墓前でだ……だが、姉さん。私はちゃんと
良き方に変われたのか?そうなら、恥ずかしい姿を見せた甲斐もある。

「そして、ここからはロッテにも詫びねばならぬ事だが……私は、往く」
「往くって……あの爆破事件を追い続ける、って事ですかマイスター?」
「そうだ。アレの実行犯は、犯罪結社……の生き残りだ。それが動いた」

アルマの問い掛けに、私は懐からあの紋章を取り出す。電磁吸着面のある
それは、紛れもなくMMSの装備……吸着面の丸みを見る限り、神姫用だ。
大きな樹に蛇が絡みついたその意匠は、現在でも忌々しさを覚える代物。

「実はこの結社、爆破テロの数ヶ月後に壊滅させられているのだが……」
「その時に指導者や中枢部は全部、抵抗の末に銃殺されましたの。でも」
「この“闇樹章”は紛れもなく、その結社で用いられていた符丁なのだ」
「……歩さんの遺品に偶然徴が紛れ込んでいたとか、そんなオチかな?」
「オチとか言われると締まらぬぞ、クララや……まぁ、その通りだがな」

例の弁護士が調べた情報の中に、この意匠を印した書類があったのだ。
結社の名は“ラグナロク”という。“神々の黄昏”を意味する言葉だ。
実は北欧を根城とする有名な結社で、弁護士が情報を入手できたのも、
一重に隠されていた情報が壊滅作戦で流出し始めた所為、だと聞いた。
そして改めて遺品の鞄を調べた所、付着した破片に徴が有ったのだな。

「大体二人の調子も戻った所で改めて言うが……私は、事件を追うぞ」
「……マイスターの性格なら、見て見ぬ振りは出来ないって思います」
「それに、神姫に接した動機がそれなら……きっとその神姫もかな?」
「はいですの。マイスターなら、きっと助けたいって思ってますの♪」
「読まれているか。黙ってると危険が及ぶというのは、そう言う訳だ」

無論語った所で心構えが代わるだけで、“危険”は些かも減らぬのだが。
それでも悪事に使われている神姫を、どうにか助け出してやりたかった!
私の強い想いに、殆ど全ての蟠りを乗り越えた三人は強く肯いてくれた。

「ならボクもマイスターの“志”、しっかりと支えていきたいんだよ」
「……酷い事に使われている“妹”も、救ってあげたいって思います」
「それなら、殆ど決まりですの♪ね、マイスター……頑張りますの!」
「有無。暫く皆には苦労を掛けるが、是非決着まで付いてきてほしい」
『はいっ!!!』

──────痛みを乗り越えて、囚われの姫を目指すよ。







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