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新しき風と、揺れ動く錬金術師達(その二)




第三節:探求




翌日。私・槇野晶は、手早くシャワーだけ浴びると雑踏へと飛び出した。
食事はコンビニのパンで済ませ、爆破現場を中心とした馴染みの店主達と
幾度と無く情報を交換する。自分でも驚く程のハイペースでな。そんな、
忙しない移動と会話の中でふと後ろから掛けられた声に、動きが止まる。

「はぁ、はぁ……あ、晶お姉ちゃんどうしちゃいましたの……慌てて」
「ん?む、ロッテ……じゃない、葵か?アルマとクララも、一緒だな」
「当然ですよっ!昨日は失神してそれっきりだったじゃないですか!」
「……そして目が覚めた途端、人が変わった様に動き始めてるんだよ」

……冷静になってみればそうだ。『出かけるぞ!』とだけ叫んで、私は
彼女らを置いて出てしまった。それだけ私が心理的に切羽詰まっている
証明なのかもしれないな……皆、一様に心配しているのが見て取れる。

「むぅ……では、お前達も一緒に来るか?このまま帰す訳にもいかん」
「あ、はい……ですけど、昨日の爆発火災に何か思い入れでも……?」
「マイスターは……物凄く険しそうな表情で、皆と会話してたんだよ」
「やっぱり、“アレ”繋がりなんですの?マイスターがそこまで……」
「リサーチが一段落したら、二人にも話す。今は言わんでくれぬか?」

唯一人事情を知るロッテを制して、私達は再び歩き始めた。“妹”達の
推察通り、私がここまで入れ込むのには歴とした理由が存在している。
如何なる言葉を紡ごうか、それを考えつつ秋葉原駅で聞き込みを行う。

「う~ん……昨日のアレねぇ。新聞では電気系統の故障とか言うけど」
「その口振りだと、やはりそう見えぬか。仮にも電気街の民だからな」
「そりゃそうさ。変圧器が弾け飛んだって彼処まで盛大には……ねぇ」
「ふむ……何か、鴉か猫の様な“影”が爆発の前によぎらなんだか?」

『ああ、居たねぇ。でも動物ってそういうの敏感だろ?』と、数軒目に
当たった事故現場向かいの電気店で、店主が語る。成程……あの一件の
“捜査資料”通りだ。私が直感的に覚えた、“悪い予感”は的中した。

「そう、か……邪魔したな、有無……まさか、そんな事が……」

更に……客観的に見ても報道に矛盾がある、という現実。どう考えても
“あの連中”に携わる存在が生き残っていた、という結論に行き着く。
運命は、私達を逃がす程甘くない様だ……不安と絶望が、私を覆った。

「どう……しちゃいましたの?マイスター、やっぱりこれって……あの」
「……ロッテや、最早全てを秘す事は不可能な様だ。もしもそうなれば」
「そう、なれば……マイスター、何を黙っているんです?ね、ねぇ!?」
「もしも、それを知らなかったら……ボクらはどうなっちゃうのかな?」

だがそれに押し潰されてしまっては、もっと享受したくない結末となる。
もう、黙っている事は出来なかった。痛みを伴っても、言わねばならん。
聞き込みをした店から離れ、私はそっと……雑踏に溶け込む様に呟いた。

「……お前達か、さむなくば私自身を不幸な目に晒す……最悪、喪う」

それは……秋葉原の雑音さえ消し去る程の、静寂に満ちた言の葉だった。
見ない振りをすれば、そうならないかもしれん。しかしそれは出来ぬ事。
私の宿命に、大切な“妹”達を巻き込む……その恐怖が心を凍えさせる。
何より、自分の口からそんな呪わしい予言が出る事が……何よりも怖い。

「……どういう、事ですか?マイスター、それって何なんですか!?」
「ボクらが……マイスターさえ、喪われるって何なのかな……ねぇ!」
「マイスター。そこまで言ったなら、確りと二人に話してくださいの」
「そのつもりだ。大凡ここまでの聴取で、何が起きていたかは掴んだ」

即ちあの爆発は事故などではなく、人為的な爆破による事件。そして、
それを実行したのは小動物の様に小さな“影”……恐らくは、MMSだ。
更に権力者はそれを隠し……恐らくは、秘密の内に解決を望んでいる。
止めに、落ちていたMMS用の紋章……私の記憶にある過去と照らせば、
ある程度結論が出る。故に、語らねばならぬ。私と歩姉さんの過去を。

「帰るぞ。これから大事な話をせねばならん……」
『……はい』

動揺する皆をとりあえず宥め、私達は無言のまま“ALChemist”に帰る。
地下へ降りるエレベーターを降りて、休業の看板が掛かった玄関を一瞥。
……店の外観が、これ程寒々しく見えるのは初めてだな。ロッテと二人で
“オーナー”の助力を以て開店した時も、もう少しは希望に満ちていた。
ともあれ重く感じるドアを開け、その足で居住ブロックへと入っていく。

「……さて、何から話すか。そうだな……歩姉さんの事から話すか?」
「そう言えば、そのお姉さんの事はあまり聞いた事がなかったんだよ」
「ええ、深く聞こうとしても……いつもはぐらかされていた様な……」
「ふふふ……なんだ、皆には見透かされていたのだな。では、語ろう」
「……マイスター……いえ、今は語ってもらう方が先ですの……ね?」

──────出来る事なら、最期まで言いたくなかったよ……。



第四節:憧憬




私は、記憶の糸を辿る。それは暖かく残酷で、冷たく美麗で。甘く切ない
遠い遠い昔の物語だ。実際の年月からすればそうでもないのだが、私には
最早十年、数十年……いや、遙か前世に存在する様な、遠い記憶だった。

「歩姉さん……槇野歩は、私の本当の“姉”だ。立派な技術者だった」
「……技術者?ひょっとして、ボクらの装備に使われている技術って」
「そうだ。歩姉さんが立場上知っていた、ライバル他社の技術を含む」
「ゼンテックスマーズ社とか、アムテクノロジー社の……まさか?!」
「鋭いな、アルマや……そうだ、神姫の開発に携わっていたのだ……」

MMSの開発チームとしては責任者として、神姫開発の際にも……流石に
チーフ等という地位には就けなかったが、それでも本人は幸せだった。
『玩具という枠に留まらない、人と共に歩める存在の創造』が出来る。
そう言って、本当幸せそうに……まだ幼い私に語ってくれた物だ……。

『ほら、晶ちゃん。これがプロトタイプの一人、クリスティアーネよ』
『これが前言ってた娘なの、お姉ちゃん?わぁ、可愛いなぁ~……♪』
『初めまして、マスターの妹さん……私が、クリスティアーネですよ』

優雅に一礼するその娘の事は、今でも覚えている。小さな胸に輝くのは
何処までも透き通った“六つの”透明なCSC。試作型故に、その気に
なれば彼女は、起動したまま胸部ハッチを開く事も出来た。機能的には
今のCSCと代わらんと言っても、その輝きは酷く私を魅了したのだ。

「クリスティアーネ……?透明な、CSC……って、まさかこれが!」
「……そうとも。お前達の胸に納まっている宝石は、一部彼女の物だ」
「マイスターにプロトタイプCSCを継承したのは……歩さんかな?」
「有無。クリスティアーネは“デュアルCSC”タイプの、試作型だ」

それは、結局放棄されたプランの一つだ。CSCを六つも装填する事で
より感情表現や演算機能を精緻にしようと、歩姉さんが提唱した機構。
結局……玩具として売り出すには煩雑だとして、実現はせずに終わる。
だがその為に、クリスティアーネのCSCは六つ存在する事となった。
大っぴらに存在を公表されぬ、失敗作という宿命も背負ったのだがな。

『え?クリスティアーネちゃん、売ってもらえなくなったの?残念だな』
『存在意義は無くなりましたが、それでいいのですよ晶さん……ね、歩』
『そうよ、晶ちゃん。彼女は、かけがえのない“妹”になれたんだから』

だがそれでも、否……だからこそ、彼女らはとても嬉しそうに微笑んだ。
とても幸せそうだったが、当時の私には不思議でしょうがなかった姿だ。
……それは今の私からすれば無知故におぞましい、呪いの言葉でもある。

「何故『たかがお人形さんが大事な“妹”になっちゃうの?』と思った」
「……たかが、人形………………たかが……お人形さん……そんな……」

過去の事とは言え、私にそう思う時期があった事実。たったそれだけで
アルマを打ちのめすには十分だった。クララも、戸惑った顔を見せる。
だが、ここで止める訳にはいかない。私は更に、切ない想い出を辿る。

『例え動いてなくても、彼女達には魂があると思うの。だから大事よ』
『じゃあ、晶なんかもういらないの!?お人形さんが大事なのッ!?』
『晶も大事。誰が一番かじゃなくて……大切な人はみんな大事なのよ』

『隣人と共に“歩む”』。公明正大だが一方で、技術には妥協しない。
MMS……更に神姫が隣人として共に“歩める”未来を創る。それこそが
歩姉さんの志だった。使命感に通じる純化した“想い”は本物なのだ。

『だから何時かこの娘達も、胸を張って生きていける未来が欲しいの』
『……ごめんね、お姉ちゃん。クリスティアーネちゃん……私、私っ』
『いいのですよ。そう想う事も自然な動作です。晶さんは、悪くない』

たかが人形と見下す私。それを赦して、しかしながら自分の志を崩す事の
ない歩姉さんと、そんな姉さんを誠心誠意支えていくクリスティアーネ。
彼女らの“愛情”と“信念”に、当時の私は強い影響を受けていたのだ。
今でも、彼女らの面影を思い出す度に……私の胸は、震える思いがする。

「でも、クリスティアーネさんのCSCがボクらの胸にあるって事は」
「そうだクララよ……歩姉さん共々、彼女ももうこの世には存在せぬ」

歩姉さんが故人である事は、折を見て少しだけ話していた。だが、何故に
彼女が死んだのか……そして、クリスティアーネも何故居ないか。それは
ロッテしか知らぬ事だった。当然だ、アルマとクララには……歩姉さんの
“妹”が居る事さえ、話していないのだ。己のCSCの由来は、ロッテが
オブラートに包んで話したが、恐らく彼女の物とは知らなかっただろう。

「……じゃあ、何故ボクらにそれが継承される事になったのかな……」
「やだ……もうやめて、クララちゃん……もう、聞きたくない……!」
「聞かねばならぬ……私の嘘偽りを、弱さを……知ってもらわねばな」

──────本当なら、喪いたくなかったのに……。



第五節:言葉




恐らくHVIFを装備していたら、アルマは涙を零し泣き叫んだだろう。
全てを知っているロッテ……葵でさえも、目尻に涙を溜めて堪えている。
呆然と私に質問し、そして答えを聞くクララとて混乱振りは同様だった。

「クリスティアーネが試作のみに終わると決まって、数週間後の事だ」
「その頃は、マイスターとクリスティアーネさんの仲もいいのかな?」
「嗚呼。今のお前達程ではないが、同じ“妹”として陽気に遊んだぞ」

なんと残酷な事を言うのか、と自嘲する。しかし、これから更に残酷な
現実を語らねばならない……私は、水を一杯呑んでから暴露を続けた。

『晶ちゃん、お姉ちゃん達ね。これから暫くヨーロッパに行くのよ?』
『ヨーロッパ?えっと、フランスとかイタリアとかあっちだよね……』
『はい。更には北欧を回り、神姫のフィールドを世界に広げるのです』

つまりは開発チームとしての海外出張だ。欧米の技術を学んで、更には
神姫を売り込めそうな土壌があれば、それを調査して営業担当に回す。
そして完成した神姫をMMSの次世代型として、世界中に広めていく……
当時の私にはよく分からなかったが、歩姉さん達は確かにそう言った。

『心配しないで、ちゃんとお土産買ってくるから。お留守番出来る?』
『私、ピザがいいっ!おっきいの一杯買ってきてね、お姉ちゃん達♪』
『冷めてしまいますよ、晶さん。まぁどうにかしましょう、マスター』
『くす、そうね。おっきなピザを買ってきてあげる、楽しみにしてね』

他愛のない、少女らしい……というか『色気より食い気』という願い。
だが、私はこの言葉を生涯呪う事となる。ピザは問題なく喰えるがな。
子供らしい純粋な日々は突如……暗い雷雨の日に、破局を迎えたのだ。

『晶さん、ちゃんと聞いてください。歩さんが、亡くなられました……』
『嘘だよ!?だってお姉ちゃん達、イタリアでピザ買ってくれるって!』
『……そのイタリアで、列車の爆破テロに巻き込まれて死んだんですよ』

“オーナー”の一人となる弁護士……歩姉さんの遺産管理者は、私の前で
そう言った。躯が弱く、なかなか逢えない両親に頼る事はなく。彼女は、
弁護士に己の身辺整理を依頼し、その全てを私に託すと決めていたのだ。
だが、膨大な機材や資料・データ類を得ても嬉しくはない。何故ならば。

「……爆破テロを起こした組織はな、MMSを爆弾の設置に利用したのだ」
「MMSを……テロに?そんな事、する人……いるのかな……嘘だよ……」

クララが青ざめる。己からは遠い出来事であった、世界で起きる悲惨に。
だがそれは、事実だ。弁護士が善意で、個人的に調べ上げてくれた真相。
北欧のとある犯罪結社が、MMS……というよりも、神姫の試作品を独自に
解析して、“人命尊重”を売り文句としたテロ兵器として開発したのだ。
そしてイタリア列車爆破テロは、その試金石として利用された事件だと。

『なんで、なんでこんな人形が大事だったの!?それで殺されたのに!』

私は、泣いた。恨んだ、呪った。MMS等、神姫等この世に産まれるなと。
そんな木偶人形を信じた為、結局同じ“神姫”に殺された姉の愚かさを。
そして、遺品として戻ってきたペンダントとクリスティアーネの残骸を。
ペンダントは、今も私の胸に輝くそれだ。そして……残骸のみが残った。
他にもトランク等、幾つかの品と荼毘に付された遺灰はあったがな……。

『……あなたが居たから、お姉ちゃんが……お姉ちゃんが死んだの!』
『──────そう、ですね……あの人は、神姫を思い続けてくれた』
『え!?まだ、動いてる……このッ!壊してやる、絶対壊してやる!』

四肢を喪い、顔も見られぬ姿となったクリスティアーネは……それでも、
私の怨嗟の声を聞き、僅かに首を擡げた。未だに機能が生きていたのだ。
私はその見窄らしい塊を叩き潰そうと、憎悪に身を浸す。しかし彼女は、
クリスティアーネは、決して畏れずに……話だけ聞いてくれ、と宥めた。

『マスターは……歩さんは、神姫を想う故に命を落としました……でも』
『でも、何よ。何が言いたいの……お姉ちゃんは、何も言わないのに!』
『いいえ、言いました……“恨んではいけない、隣人と共に歩もう”と』

例え己が殺されても、それを恨んではいけないと。だから、大事な人々を
大切にして、そうでない人も憎まずに生きていってほしいと。それこそ、
紛れもなく“歩姉さんの遺言”だったのだ。私は、彼女を抱いて泣いた。

『眠くなってきました……マスターの最期の言葉、伝えられてよかった』
『ごめん、ごめんね!壊すだなんて言って……痛かったのに……ッ……』
『私の、CSCは無事です……これを、大切な娘に使ってあげて下さい』

そんな私を、クリスティアーネもまた赦して……そして機械的な電子音を
吐き出してから逝った。神姫……即ち機械である自分が何かを残すなら、
それは部品と“想い”に他ならない。そう信じ、私に託して滅びたのだ。
単なる硝子玉という以上に、それは大切な人々の想いを帯びる“至宝”。

「故に……クリスティアーネから外したCSCが、お前達のそれなのだ」
「ぁ……ぁあ……そんなの、信じられないよ……マイスター……ッ!!」
「クララ!?アルマ……アルマも居ない、途中で逃げ出したか……!?」
「任せてくださいですの、マイスター……後は、神姫のわたしに……ね」
「すまないな、葵……いや、ロッテや。暫くしたら、皆の様子を窺おう」

──────残酷な過去を見つめて、でもだからこそ……ね。







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