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 空は青く、そして高く。
 流れる雲は、ただ白く。
 冬の陽射しは柔らかく。
 それをぼんやりと、どこか嬉しそうに眺める少女が、一人。
 古ぼけた、二階建ての大きな図書館、その中で。
 どれもこれも飾り気の無い、年季の入った本棚に囲まれて。
 少女は二階にある、長机の上に座っていた。窓越しの空を嬉しそうに仰ぎ、古ぼけた本棚を楽しそうに眺めながら。
 彼女はくすりと笑った。小さい身体を小さく揺らして。小さな、15センチ弱の身体を、小さく揺らして。
 彼女は武装神姫。彼女にとって、人の世界は余りに大きく、人の世界は余りに遠い。
 身長15センチ程しか無い彼女にとっては、この長机でさえ広大な大地と言える。
「レミン、決まった?」
 少女の背後、陽射しをまるで避ける様に、神楽はそこに立っていた。平均的に言えば、決して大きく無い彼女も少女―――レミンからしたら大きな人間だった。
「司令官、自分はあれが読みたいッス!」
 レミンは砲台型特有のバイザーを上げながら、屈託無く言った。その指で本棚の一角を指差しながら。
「……ん」
 神楽は本棚へと向かい、迷う事なく一冊の『武装神姫と散弾銃』を手に取った。
 顔に当たった日差しに目を細めながら、神楽はレミンに本を渡した。
「図書館では、静かに」
 二人以外、本しかいない空間を見渡しながら神楽は言った。
「了解ッス、司令官!」
 その忠告を理解しているのかいないのか、レミンは元気一杯に言った。
 しかし、そんなレミンの声に眉をひそめる人間は、ここには居ない。
 神楽も一応はそれを分かっているので、何も言わずに席に着き、自身の本を開いた。
 何の音もしない、静かな図書館にぱらり、ぱらりと二つの音が木霊する。
 ぱらり。
 ぱらり。
 革表紙の英語で書かれた本を、神楽は読んでいる。
 無表情に、人から見ればある種不機嫌そうな顔で黙々と文字を追っている。
 ぱらり。
 ぱらり。
 レミンは少し寂れた白い文庫を読んでいる。
 楽しそうに、嬉しそうに。まるで子供が絵本を読むように、笑顔で読んでいる。
「やっぱりショットガンと言えばレミントンッスよね! 隊長はウィンチェスターが良いって言うッスけど、司令官はどう思うッスか?」
 満面の笑顔で、レミンは言った。
 子供が動物園で好きな動物を聞くように、楽しそうに言った。
 その言葉は、子供が言うのなら少々不適切だが。
「SPAS」
 本から目を離す事無く、神楽はぽつりと答えた。
「司令官、ウィンチェスターかレミントンかって聞いてるッスのに、それは無いッス!」
 静かな図書館に、レミンの大声が小さく響いた。
 小さな身体から発せられたそれは、人間からすれば普通かちょっと大きい程度の声だ。それは身体のサイズ云々よりも、機械的な制限の方が大きいのだろう。
 それでもそれは、水を打った様な静けさに浸るこの場所に確かな波紋を投げ掛けた。
「図書館では、静かに」
 レミンの声に引き寄せられる様に、風が吹いた。
 窓をぎしりと軋ませるそれは、しかし神楽の声に掻き消された。
「SPASなんてダメダメじゃないッスか! ポンプ・セミ切り替え出来ても故障ばっかじゃ何の意味も無いッス!」
 眉をひそめて、出来る限りの大声でレミンは文句を口にした。
 その声を浴びせられている神楽は、端から見れば我関せず、右から左に受け流しに見えるだろう。
 しかし、彼女を見慣れている人間は、前髪に隠れた眉がぴくりと動くのを見抜くだろう。
「SPASは人間工学に基づいた設計により兵士の負担を軽減している」
「いくら持ちやすくても重すぎッス! 変な機構詰むからそうなるッス! ショットガンはシンプルがイチバンッス!」
 今まで、一定のタイミングでページをめくっていた神楽の指が止まった。
 そして、無表情なその瞳がレミンを捕らえた。
「な、なんスか」
「……SPASは制圧力に優れるセミオートと確実性に優れるポンプアクションを導入している。これによってあらゆる任務に対応できる。それによって機構が複雑化し、重量が増大しているがそのおかげで安定した射撃が可能。装弾数の多さも利点の一つ」
 全くの無表情、全くの無感情さで神楽は一気に言い切った。
 しかしそれは一字一句正確無比な機械の発音であり、そしてそれは感情の籠った人間の発音でもあった。
「うぐぐ……SPASなんて旧世紀のイブツッス! そんなん使うならレミントン使うッス!」
「確かにSPASは古い。しかし、それはレミントンも同じ」
 つい先刻まで静寂に包まれていた図書館はもう無い。
 今あるのは二人の声が渦巻く、喧騒に巻き込まれた図書館だ。
「古ければ悪い訳じゃ無いッス!」
「それは認める。しかし、その発言、先とは矛盾している」
 人と神姫、二人分の声は二人の注意力を削いでいた。
 現に、階下から響く音に二人とも気付いてはいない。
 ぎしり、ぎしり、と。
 木製の古い階段を上ってくる足音に、気付いてはいない。
「レ、レミントンは今もパトカーに搭載されてるッス! SPASは大昔に生産終了してるッス!」
 ぎしり、ぎしり。
 その音は緩やかに、そして確かに近付いている。
 二人の視界の外側から、ゆっくりと。
「……SPASの軍用銃は確かに生産が終わっている。しかし、民間向けなら未だに根強い人気を誇る」
 ぎしり、ぎしり。
 そして今、それは二人の視界の内側へと、侵入した。
「レミントンだって狩猟銃としてなら今でも大人気ッス!」
 ゆっくりと、しかし確実に。
 それは二人を目指して歩いてくる。
 ぎしり、ぎしりと音を鳴らして。
「狩猟銃としてなら、確かにそう。でも、一般的な知名度はSPASの方が上」
 ぎしり。
 それは、もう二人の傍らに立っていた。
 お互いに意識を向けすぎて、気付きもしない二人の傍らに。
 そして、口を開いた。
「二人とも、図書館では静かにね」
 二人はここに至って、ようやく彼女の存在に気付いた。
 そこに立つ、戸坂 加奈美の存在に。
 そこまでされてようやく気付いた神楽は
「…………」
 絶句し、同じくそこまでされてようやく気付いたレミンは
「び、びっくりしたッス!」
 と、大いに驚いた。
「二人の声、下まで響いてたわよ?」
 そんな二人の様子を楽しげに眺めながら、加奈美はそう言った。更に続けて言う。
「あんなに大きい神楽の声、久しぶりね」
 傍らに立つ加奈美の視線から逃げるように、神楽は顔を背けた。
 その頬が赤かったのは言うまでもない。
「不意打ちなんて、加奈美姉さんも人が悪いッス!」
「そんなつもりは無かったんだけど、二人が楽しそうに話してるのを見てたら、ね」
 悪戯っぽく笑いながら、加奈美は言った。
 そうして、神楽の隣の席に腰を下ろした。その時、神楽は内心、レミンの比では無いほど驚いていた。少なくとも、会話すら出来ないほどには。
「そう言えば加奈美姉さん、昨日風邪で寝込んでたって聞いたッスけど、もう大丈夫なんスか?」
「ええ、神楽とウィンのお陰でね」
「そりゃ何よりッス!」
 和気藹々と会話を交わす加奈美の隣、神楽はようやく平常心を取り戻していた。
 そして加奈美はそれを見計らった様に、神楽へと声をかけた。
「そういえば、神楽。探したのよ。何時もみたいに教室にいると思ったのに」
「……そう」
 少し拗ねた様なニュアンスを含む加奈美の言葉に対し、神楽は未だ俯き加減で一言だけ返した。
「お陰で学校中探し回る事になっちゃったわ」
「……そう」
 少しおどけた様に喋る加奈美に対しても、神楽は俯き加減で一言だけ返すに留まった。
 加奈美はしかし、それに対し不満を言うことは無い。代わりに、楽しげに神楽の顔を眺めているだけだ。
「司令官、加奈美姉さんの前でくらい明るくするッス!」
 二人のやりとりを見ていたレミンは、そう言って立ち上がると手を腰に当てた。
「お婆ちゃんが言っていたッス、好きな人と話すときは明るく笑顔で話すッス!」
 そう言いながら、神楽を責めるような視線を送る。
 お説教のつもりだろうが、神姫であるレミンがそれをやっても可愛らしいだけで凄みも何もない。
 現に加奈美はそれを微笑みながら見守っているだけだし、当の神楽も何の反応も示さないのだから。
「……レミンにお婆ちゃんはいない」
「物の例えッス!」
 神楽は溜息ついでに言葉を吐き出し、こめかみを軽く押さえた。
 彼女の心情を知ってか知らずか、レミンは相変わらず元気に返答している。
 元気なのは良い事だが、元気なだけというのも考え物だと神楽は痛感していた。
「レミンはいつも元気ね」
「女の子は元気が一番ッス!」
 図書館とは、本来静かな空間の筈だが、今やその影も形もありはしなかった。
 形だけとはいえ、騒ぐ二人を戒めていた加奈美でさえも、お喋りに加担しているのだから。
 神楽はそんな事を考えながら、少し音量を下げて口を開く。
「加奈美、何か用?」
 先程、加奈美が神楽を探していたような言い方をしていた。
 それが気になった神楽はそれを聞くために、そう問いた。
「ええ、探したわ」
 それを聞いた加奈美は、にこりと笑った。
 それを見た神楽は、内心胸を撫で下ろした。
 神楽の心情を知らないままに加奈美は次にこう言った。
「昨日は、ありがとう」
 一言、加奈美はそう言った。
 神楽の目を真っ直ぐ見つめて、そう言った。
「……ん」
「司令官!」
 神楽は無愛想にそう言った。
 すぐ脇でレミンの叱責する声を上げたが、それすらも神楽の耳には入っていなかった。
 今の神楽は、自分でも分かるほどに赤くなった顔を鎮めるのに精一杯だった。
「ウィンにもよろしく言っておいてね」
「加奈美姉さん、任せてくださいッス! 自分がしっかりと伝えておくッス!」
 俯く神楽を横目で見ながら、レミンは元気にそう言った。
 そして、一通り言いたいことを言い終えた加奈美は口を閉じた。
 一瞬、図書館が図書館本来の静寂に包まれたが、それはレミンによっていともたやすく破られた。
「そういえば加奈美姉さん、神姫を買ったって聞いたッスけどホントッスか?」
「ええ、本当よ」
「なら是非とも会いたいッス!」
 まるで、子供の様にはしゃぎだすレミンを見つめながら、加奈美はこう言った。
「そう言って貰えると嬉しいわ……そろそろ、かしらね」
 加奈美が意味深な事を呟き、その瞳を大きな窓の方へと向けた。
 それに釣られたレミンも意識を窓へと向ける。
 しかし、そこにあるのは真っ青な空と白い雲ばかり。可笑しなものなど何も無かった。
「……加奈美姉さん、何がそろそろなんスか?」
 レミンは何の変哲もない空を眺めながら小首を傾げた。
 しかし、加奈美は何やら楽しそうに微笑むだけで、レミンの言葉には答えなかった。
「司令官……」
 次にレミンは神楽に声をかけた。しかし、神楽は未だに俯いたままなので、応答は無い。
 レミンは、仕方なしに再び窓へと視線を移した。
「……?」
 何の変哲も無い空。
 近所には高層ビルの類など無い、余計なものなど鳥くらいしか有り得ない空。
 だが、レミンはそこに何かを見た。
 しかし、鳥では有り得ないもの。
 青い空に溶け込むような群青色のもの。
 背中に白い羽を生やすもの。
 人の形をしたもの。
 それは桃色の髪をしたもの。
 それは、武装神姫だった。
 武装神姫が、窓の向こう側を飛んでいたのだ。
 そして、こちらに向かって飛んできていたのだ。
「……!………!」
 それは、窓に張り付くと何かを叫んだ。
 しかし、それはガラスに阻まれ、レミンらの所にまでは届かなかい。ただ時折小さな声が届く以外は。
「エウクランテ……スか?」
 レミンは半ば呆然としながらも、そこにいる神姫を認識した。
 そして、その神姫が加奈美に向かって叫びかけている事に気付いた。
 だが、加奈美の方を仰いでみても加奈美は何が楽しいのか、心底楽しそうに笑っているだけだ。
「姉さん、なんか叫んでるッスけど、開けなくていいんスか?」
「そぉねぇ……そろそろ可哀相だから開けてあげましょうか」
 レミンに言われ、加奈美はようやく腰を上げた。
 そして、やったらにこにこしながら窓を開けた。
 その瞬間、静かだった図書館に神姫のモノとは思えないほどの怒鳴り声が満ち渡った。
「主、何故直ぐに窓を開けて下さらないのか!?」
 窓を開けたままの体勢、そのままの加奈美に対してシルフィは開口1番怒鳴り付けたのだ。
「なんでかしらねぇ?」
「なんで、ではあるまい!明らかに楽しんでおられたろう!?」
 怒鳴られながらも加奈美は平然とした様子で窓を閉め、もとの席に腰を下ろした。
「あら、分かっているんじゃない」
「主……!」
 背中に翼を背負っただけのシルフィが加奈美の前、レミンに背を向ける形で長机の上に降り立った。
 そして、それを見計らった様に口を開いた。
「そ・れ・よ・り、何か私に用があったんじゃなくて?」
「……ああ。ああ、そうだとも主。何処かに行かれる時は一声かけてくれとあれほど……!」
「だってぇ、シルフィったらパーシと楽しそうにおしゃべりしてたから邪魔したら悪いかしら、って」
「何度も言わせて頂くか、例えパーシとの会話であろえと神姫バトルであろうと、主の事とは比べるまでも無いと……!?」
「あら、お友達とのおしゃべりは大切よ」
「……それはそうだが!」
「シルフィはまだお友達が少ないのだからダメよ?」
「それとこれとは関係が無かろう!」
 そう一喝されて、加奈美は一瞬押し黙った。
「ああ、そうだわ」
「……少しは反省なされたか?」
「ここは図書館だからあんまり大声出しちゃダメよぉ?」
「……主は……いつもそうだ……!」
 なんかすごいもんみちゃったなぁ。と、神楽は内心思っていた。
 凄まじい形相で怒鳴っていたシルフィ。それを涼しげに、むしろ楽しそうに受け流す加奈美。
 そしてそれを呆然と眺めているレミン。
 修羅場ってこういう事を言うんだなぁ、と神楽は考えていた。
「主よ、私がこうして怒っているのも主を案じての事と分かっておられるのか……!」
「シルフィが泣いて叫んで探し回ってくれれば私も少しは考えるわ」
「何をどう考えるのだ……!」
「どうやったらシルフィがもっと泣き叫ぶか」
「主ッ!」
「そんな事より、レミン。この子が私の神姫、シルフィよ」
 唐突に、いきなりに話を振られたレミンは
「ふぇ?」
 という妙な音声を発してしまった。
「……シルフィだ。何も言わずにふらふら歩き回り見つけたところで反省も何もしないオーナーの神姫だ」
 シルフィは顔だけを後ろに向けて、そう言った。その顔に浮かぶ憤りを隠そうともせずに。
「わ、私は神楽の神姫のレミンッス!」
 そんなシルフィの様子に尻込みしながらも、レミンは勇猛元気に挨拶をした。
「ああ、よろしく」
 しかし、シルフィは素っ気なく答えただけで再び加奈美へと顔を向けてしまった。
 残されたレミンは涙目で、小さな声で神楽に訴えかける事しか出来なかった。
「……司令官……シルフィさん……超怖い……ッス」
「……運が悪かった」
 だが、神楽は神楽で読書を再開していた。レミンを慰められるのは、今や加奈美だけだった。
「姉さん……」
「そういえば、神楽。さっきは何の話をしていたの?」
「主、私の話はまだ終わっていないぞ!」
 加奈美だけだった。
 だけだったが、当の加奈美は平然と神楽に会話を振っており、レミンの声は聞こえていない様子だった。
「……散弾銃について」
 神楽はレミンを一瞥したが、それだけだった。
「あら、そうなの。確か神楽はスパスが好きなのよね」
「……そう」
「私は断然モスバーグなんだけど、レミンはどう思う?」
 今までスルーされていたのに、唐突に話を振られたレミンは一瞬驚き、しかし直ぐに目を輝かせながら口を開いた。
「自分はレミントン一筋ッス!」
「……主よ、どうやら主は私を本当に怒らせたいらしいな」
 一方シルフィは額に青筋を浮かべて笑っていた。
「今日という今日は言わせてもら……!」
 全く聞く耳を持たない加奈美に、シルフィがキレかけた。
 神楽は読書しながら巻き添えを食わないよう微妙に距離を離し、レミンは再び半ベソになって、加奈美はシルフィを見ながら笑っていた。
 まさにその時、だ
「みなさーん、図書館では静かにお願いしますよー」
 階段の脇、にこやかに笑う図書委員、眼鏡の似合う女子高生、国崎 茜が警告を発したのは。
 茜の容姿は学校指定のブレザーとスカート。胸元には真っ赤なネクタイを締めている。
 茶色がかった髪は肩口で揃えられ、黒ぶち眼鏡をかけていた。
 それはまさに図書委員であり、どこにでもいそうな高校生だった。
「「……ごめんなさい」」
 眼鏡の奥にある目は僅かに細められていて、それは見る人間に悪い印象を与えないはずだ。
 だがこの場、彼女と対峙した二人は何故か茜に戦慄した。
 それは図書館で騒いでいた後ろめたさが大きいが、その奥底にはもっと根源的な感情が存在している。
「二度目は無いですからねー。次は食べちゃいますからねー」
 にこやかに言い放つ茜の言葉は、恐らく額縁通りの意味だったのだろう。











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