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神姫ちゃんは何歳ですか?第二十八話

天使の舞い降りた夜


書いた人 優柔不断な人(仮)





「おーい香田瀬、悪いけどコレを運んでいってくれ」
商品開発を終え、割と暇な年末を過ごしていると不意に営業の富士田部長からお呼びがかかった
技術部と違って営業部は戦場のような忙しさだった
これから年末年始にかけ、各店舗では大規模なセールが行われる
今日日、在庫一掃セールだけでは客は来ないので、新商品や定番商品なども大量に店頭に並べる必要がある
その為、我が社としても大量に発生する受注を処理しなければならない
基本的には取引をしてる運送屋に依頼するのだが…
「…全く。なんで伝票を見落とすんだ!…」
どうやら、午後の発送が終わった後に伝票が出てきたらしい
「すいません、白雪関連の伝票だったもので、分けておいたのですが…」
営業の新人が言い訳するも
「置き忘れてどーする!…全く、近くだから良かったものの…」
と一喝される
「まぁ、富士田部長、そのくらいに…彼もまだ慣れてないのですから」
「すまんな香田瀬、そういう訳でコレを『エルゴ』まで運んでいってくれるか?」
と言って俺に小さな箱を渡す富士田部長
「白雪用の補修パーツですね」
「夕方に引き取りに来るそうだ。まだ時間はあるが、道も混んでるだろうし、気を付けてな」
「分かりました、行くぞユキ!」

俺はユキをナビシートに乗せ、車を走らせた




ユキのナビゲーションにより(といっても、GSPやVICS等から受けた情報をユキが教えてくれるのだが)比較的すんなりとエルゴに辿り着いた
といっても、店の近くは渋滞しており、少し離れたコインパークに車を停めたのだが

「こんにちわー」
「あら、いらっしゃい」
迎えてくれたのはこの店の看板娘のうさ大明神様だ
「誰がうさ大明神ですか」
「心を読まないでくださいよジェニーさん。それより、頼まれてた物を持ってきました」
「それじゃあ、中身を確認しますので、開けていただけますか?」
俺は、ジェニーさんに言われた通りに箱を開ける
「…っと、はい大丈夫です」
ふよふよと浮きながら中身を確認するジェニーさん
…いつ見てもシュールだ
「それじゃ、ハンコお願いします」
「わかりました、よいしょっと」
ぽん
伝票の上に着地するジェニーさん
再び浮くと、そこに判が押されていた
「確かに。有り難うございました」
「こちらこそ、急な発注でごめんなさいね」
「それにしても混んでますね」
さすがにシーズンなだけあって、店内は混雑していた
人も、神姫をクリスマスという事で楽しい気分になっているようだった
ささやかながらも装飾された店内が、その気分を一層盛り上げてるようでもあった
「そうなのよ。売り上げも好調で、在庫が足りなくなってきそうだから、他にも色々追加で発注したのよ」
「日暮さんも無事に新年を迎えられそうですね」
元々ジェニーさんと二人でやっていたこの店も、いつのまにか自称オーナーの高階さんと彼女の神姫のオウカちゃんが増えて賑やかになっていた
「すごい賑やかになりそうですが…」
困った口調とは裏腹に、嬉しそうな顔のジェニーさん
「楽しそうですね」
「あら?香田瀬さんも大変じゃない?」
「そうですね」
「そっちも楽しそうじゃない?」
「そうですね。楽しみです」
等と話してると
「ジェニーは~ん、何時までもサボってないで、はよレジ打ちに戻ってや~」
「すいませんジェニーさん、引き留めちゃって」
「いえ、いいんですよ」
「それじゃあ俺はこれで。ユキ、帰るぞ」
俺は店内のスペースで他の神姫達と話していたユキを呼び寄せた
「あ、はーい。それじゃ、またね」
ユキが神姫達に別れを告げた後、俺達は店を出た




「うわ、変わってねぇ…」
あいかわらず駐車場は満杯、外の道も渋滞が発生していた
「離れた所に停めてよかったね…」
「そうだな…」
うっかり店の前まで来てたら出られなくなるトコだった
見れば遠くに運送屋の人も見える
俺達のように離れた所に停めて荷物を店まで運ぶようだが…
「重そうだね」
神姫のパーツだけだった俺達と違い、彼らが持っているのは大きなダンボール箱であった
箱にはラインバレル・ロボティクス社のロゴが入ってる
「神姫のフルセットか」
俺達は狭い車の隙間を歩いてくる運送屋をやり過ごす為、その場で待っていた
しかし
ブロォ~ン!
脇道から、一台のスクーターが飛び出してきた
「うわっ!」
ダンボールで死角となり脇道が見えなかったのか、運送屋が気づくのが遅れた
「やべっ!」
慌ててブレーキレバーを握り、急停止をするスクーター
キキーッ
さらに車体を倒し避ける
ドスン
ギリギリ当たらなかったものの、驚いた運送屋は倒れてしまった。そして…
ガン!
持っていたダンボール箱がガードレールへと当たる
バラッ
ダンボールが破れ、中に入っていた黄緑と朱色の箱が飛び出し、イルミネーションが施されている民家の塀に当たる
グサッ!
箱は二つ共、もっとも薄いウインドウ部分にプラスティックの星が当たる
バチィッ!
電飾がショートし、切れる
プスプスと音を立て、焦げた臭いを立てる二つの箱
「なんや?何があった…」
「来ちゃダメだ凛奈さん!」
物音を聞き店の外を窺おうと出てきた凛奈さんに俺は叫んだ
彼女にはこの光景を見せたくなかったからだ
いや、神姫には見せたくなかった
出来るならユキにも見て欲しくなかった
何故なら
神姫が産声を上げることなく『死んだ』瞬間だったからだ




「すいません、ウチの方で弁償しますので…」
ペコペコと頭を下げる運送屋
結局あのままスクーターは逃げてしまい、運送屋は日暮さんに平謝り
目の前には焦げた箱が二つ並んでいる
金銭面の問題はカタがつく。運送屋もこういう時のために保険に入ってるのだから
しかし、心情面での問題は…
『もし、こんな事にならなければ、どんなオーナーの元へと行ったのだろうか?』
ふとそんな事を考え、彼女達を見る
外装スキンの一部は溶け、内部骨格まで見ている
ティグリースの方は右腕が、ウィトゥルースの方は両足が砕け、痛々しい
頭の方はこんなに綺麗なのに…
ふと、技術者としての俺がこう考える
『まだ、直せる』

「ねぇ…お兄ちゃん…」
ユキの声に我に返る
「…なんだ?」
「この子達、直せないのかな?」
ユキも同じ事を考えていたようだ
そんな俺達の会話に運送屋が割って入る
「直すって言ってくれるのは嬉しいですが、傷物になっちゃ売り物にはなりませんから…」
「いや、そういう事じゃ無いんだ」
「へ?」
俺の返事に戸惑う運送屋
「日暮さん、この子達を俺に売ってくれ」



「センパイ!こっちです!」
日暮さんを説得し、二人を引き取った俺は大急ぎで会社へと戻った
商売人として壊れた神姫を売ることに難色を示していた日暮さんだったが、思いは俺と同じなのか最後には応じてくれた
ちなみに原価で譲ってくれると言ってくれたが、丁重にお断りして定価で売って貰った。安く譲って貰うと、彼女達がまるでジャンク扱いでもされるようだったからだ
勿論、日暮さんにそんな意図はないのだが
戻る途中、ユキに皐月へ連絡して貰い、緊急手術の準備をして貰っていた
「皐月、準備は出来てるか?」
「勿論です。ラインバレル・ロボティクス社の方からもデータが届いてます!」
一見無事に見える頭部だが、電気ショックを受けた為、データが飛んでしまっている可能性が高い。したがって、失われてしまったデータを再入力する必要があった
本来、神姫の根幹プログラムのデータは非公開である
にもかかわらずこうして寄越してくれるのは、水那岐部長のおかげだろう
「本体の…方も…準備…出来て…ます…」
そう言って水那岐が二つの箱を差し出す
中に入ってるのは、来春発売予定の新型素体『タブリス』だ

『自由意志の天使』の名が付けられたこの素体は、先頃発売されたMMS2ndをベースに、白雪で培った技術を投入し、さらに武装神姫規格のパーツをそのまま使う事が出来るように改良された物である
スペック的には通常素体と白雪LMとの間くらいだが、価格は2神姫程にまで下げる事が出来た

「まずは、損傷箇所のチェックからだ」
俺は二人をスキャン装置へとセットする
少しの時間の後、二人のダメージ状況が表示される
…やはり状況は真っ赤だ
砕けた手や足は勿論、電撃に晒された本体も内部に大きなダメージを受けていた
「…でも…CSC関連は…なんとか…無事です…コアユニットは…内部に…物理的な…損傷は…ありません…」
しかし、さすがに中枢部は幾重にも保護が為されており、中枢部のダメージは無いとは言わないが思った以上に軽微だった
さらにコアユニットに至っては、素体換装をする人もいるため、クレイドルでセットアップを始めるまでは仮止めのみで接続自体されていないのだ
「起動してなかった事が幸いしてますね」
起動していなかった為、過剰な電流が流れずに物理的な被害が最小限に押さえられたようだ
もっとも、起動していればこんな事にはならなかったのだが
「これなら、修理すれば問題は無い。あとは頭部の方だな…」
俺は頭部を取り外し、模擬体へと接続する
これは本来、初期不良が無いかをチェックする為の物である。コアユニットを作っていないウチの会社だが、白雪のセットアップで神姫を組み立てる場合も多い
その場合には、各社からコアユニットとCSC中枢部、武装一式を直接取り寄せて組立て、お客様に発送するのである
「さて、内部のエラーチェックはっと…」
『感情プログラム・エラー、言語プログラム・エラー、バトルサポートAI・8,12,32エラー…』
「さすがに、半分が飛んでるか…」
消えたデータを修復すべく、送られてきたデータを入れようとディスクを探してると…
「あのねお兄ちゃん、ちょっと提案があるんだけど…」
ユキが俺に話しかけてきた
「ん?どうしたユキ?」
「あのね、その壊れちゃったデータ、私から直しちゃダメかな?」
「私からって…自分のデータをコピーして入れるってのか?まぁ出来なくは無いが…」
「ううん、そうじゃなくて、私が直すの。二人の中に入って、教えてくるの」
「…つまり、二人とユキを接続して、デバックしてくるって事か?さすがに無茶だ!一人で二人分のデバックをするなんて!」
ユキの無茶な提案を俺は止めた
ユキの体は高性能な白雪のテストモデルだが、コアユニットそのものは普通の物だ。そんな高負荷かけたらどうなるか分かったモンじゃない
「一人じゃなくて、みんなでやればいいのだ」
声に振り返れば、4人の小さな人影があった
ミチル、ムツキちゃん、花乃ちゃんにひじりんであった
「あ、あの…健志郎さん、私も頑張りますから」
「私はまだ他人のデバックが出来る程の経験はありませんが、みなさんをバックアップ致します」
「ひじりんも、みんなのお手伝いをするよー」
「ケンシロウ、ここで皆の申し出を袖にしては男が廃るぞよ?」
「みんな…思いは…一緒です…」
「そうですよセンパイ。みんなでこの子達を助けましょ!」
「みんな…有り難う…よし、必ず助けるぞ!」
『おー!』



と言う訳で、コアユニットのプログラム修復はユキ達神姫組が、素体の修復は俺達が行う事にした
CSC中枢部の移植は俺が、それ以外の所は観奈ちゃんが行い、それを水那岐と皐月がサポートする
神姫組は模擬体とユキ、ミチル、ムツキちゃんを接続し、外から花乃ちゃんとひじりんがモニターをする

「よし、出来た。ティグリースの方の仕上げを頼むぞ」
「…センパイ、その呼び方辞めません?」
「…は?」
「名前ですよ名前!ちゃんと付けてあげないと!」
「…そうだな。実は考えてあったんだが、セットアップ時じゃ無いとマズイかなって」
「別に…セット…アップ時…じゃなくても…いいんですよ…」
「そうじゃな、ここはやはり、ちゃんとした名前で呼びたいものじゃ」
う…なんか非難されてる俺?
「えーコホン。ティグリースは『ティール』、ウィトゥルースは『ファロン』だ」
「ティールちゃんに」
「…ファロンちゃん…」
「可愛い名前なのじゃ。花乃、火蒔里、ミチル達に教えてやるのじゃ」
「分かりました」
「りょーかいっ!」
「…なんで今?いや別に良いんだが、ユキ達も大変じゃないか?」
「デバックする時には、相手の名前を呼んで上げた方が落ち着くのですよ」
「まぁコレは神姫特有のものだから、ケンちゃんは気にしなくていいよ」
「うーむ、そういう物なのか…っと、ファロンの方も出来たぞ」
「センパイ、早いですよ~」
「まぁこっちも頼む。俺はもう一つやらないといけない事があるんでな」
「もう一つって?」
「コレさ」
と言って俺は作業台の上に壊れたパーツを並べる
「コレって、二人の武装?」
「その通り。真鬼王も直してあげないとな。コッチはデータが飛んでても、神姫から写す訳にはいかないし。ついでに強化もしておこうと思ってな」
「ふえ~、見てる間に分解されていく…さすがセンパイ」
「皐月殿!こっちを忘れては困るのじゃ」
「あっ!ゴメンゴメン…」
こうして、体の方の修理は順調に進んでいった






そこにはただ何もない空間が広がっていた
いや、二つの光る物が寄り添っていた
一つは右腕を失った人影。もう一つは両足を失った人影
泣きそうな表情で辺りを窺っている
そんな二人に三つの光が近づいた
「あう…」
「もう大丈夫だよ」
光の一つが話しかけてきた
その光は人の形へとなった
ユキであった
「そっか…話すことが出来ないのだったのだ」
もう一つはミチルに
「でも、私たちが教えてあげます…色々な事を…」
最後の光はムツキへと
「さあ、おいで。ティールちゃん、ファロンちゃん」
二人に手を伸ばすユキ
「え…あ…う…」
「そう。あなた達の名前」
右腕の無い方に向かって
「貴方がティールちゃん」
足の無い方に向かって
「貴方がファロンちゃん」
二人は差し伸べられた手をしっかりと握り
「えう…ちーる…?」
「…はろん…?」
答えてくれた
「これから二人に、色々なことを教えてあげるのだ」
「だから。もうちょっとだけ頑張りましょ」
三人の呼びかけに、二人は顔を見合わせた後
「「…うん!」」
力強く、満面の笑みを浮かべて答えてくれた
それと同時に、暗闇に一つの光が現れ、辺りを強烈に照らし始めた




「うーっ、大丈夫かなぁ…」
夜、二人の修理は無事終わり、あとはセットアップをするだけとなった
「センパイ、落ち着いてください」
「…そう…ですよ…診断も…異常なし…なのです…から…」
「そうだな、よし!起動するぞ…」
キーボードを叩き、起動プログラムを実行する
最後に本体の診断プログラムが作動し、チェックを行う
『各部問題無し。これより、セットアップを実行します。貴方がオーナーですか』
「ああ、俺が君たちのオーナーだ。名前は香田瀬健四郎」
『了解しました。それで、オーナーの事は…』
ホっと一安心
「パパと呼ばせて戴きます」
「親父と呼ばせて戴きます」
…はい?
「ちょっと待て!ここは「何とお呼びすれば宜しいのですか?」じゃないのか!?」
そんな俺の言うことは無視して目を閉じる二人
そして再び開いたとき、生気の籠もった目で俺を見つめ
「この度、私をお買いあげ戴き有り難う御座います、私は寅型MMSのティールと申します。これからよろしくお願い致します」
「よっ!あたいを買ってくれてサンキュ!あたいは丑…まぁ見りゃ分かるか。名前はファロンってんだ。ヨロシクな!」
ぽかーん
呆気にとられる一同
「…おかしいですね、デバック時に名前で呼んでも、セットアップ時には忘れているはずなのですが…?」
どうにか正気に戻った花乃ちゃんが言った
「なんで、名前知ってるんだ…?」
「え…そういえば、まだ名前付けて戴いてませんでしたよね…?」
自分の発言に驚くティール
「まぁいいじゃん、細かい事は。んじゃ変える?」
笑いながら答えるファロン
「いや、その名前で良いんだが…」
「ほっ…良かったです。なんかこの名前、とても大切な気がしたので」
「だな。あーは言ったが、実際変えるって言われたらどうしようかと思ったよ」
「大切?」
「ええ。とっても大切な名前です。私たち、夢を見てのです」
「夢?」
不思議に思って訪ねてみる
「…突然まばゆい光に包まれたかと思ったら、深い闇に飲まれそうになって、手をのばそうと思ったら右手が無くて、隣でもがいてるファロンも両足が無くて、だんだん意識が遠のいていったのです」
これってまさか…
「そしたらさ、あたい達を闇から救ってくれたおっきな手があったんだ。とても大きくて、とても暖かい手が」
「その後に現れた光が、私達に名前をつけてくれたのです…そんな夢」
この子達…覚えてるのか?
起動して無くても、自分の身に起こった事を…
俺は二人にそっと手を添え、こう言った
「これからヨロシクな」
「はい…この手…暖かい…」
「ああ…この手だ。あたい達を助けてくれたのは…」
俺は泣いていた
いや、みんな泣いていた
よかった…
この子達を助けられてよかった…






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