朝起きたらそこは一面の銀世界だった。
「・・・・ハルナ、これが“雪”と言うものですか」
「?、そうだけど・・・・あ、そか。サラはまだ雪見たこと無かったんだっけ」
開けた窓から見える景色は真っ白。
砂漠色のサラからしたらありえない光景かも知れない。根拠はないけど。
「・・・すばらしい。これほど美しいものがこの世にあるとは・・・・なるほど、昨日ハルナが楽しみにしていた理由がわかりました。これは素晴らしい・・・・」
・・・いや、そんなに感動するような光景かな? 去年とかもっと積もったけど。
「なんと!? これを上回る量の雪が降ったというのですか!? ・・・・にわかには信じがたい・・・」
「いやどうでもいいけど出かけるわよ? 今日は八谷と買い物してお姉ちゃん家で過ごすんだから」
私はパジャマを脱ぎながらサラにそういう。
・・・・暖房つけてても寒いわね。
「ではさっそく外に行きましょう。ほらハルナ、服なんて着る必要ないですよだから早く行きましょう」
「はしゃいでるのは判ったからパンツを下ろそうとしないでよっ!」
「・・・・ハルナ、これが“雪”と言うものですか」
「?、そうだけど・・・・あ、そか。サラはまだ雪見たこと無かったんだっけ」
開けた窓から見える景色は真っ白。
砂漠色のサラからしたらありえない光景かも知れない。根拠はないけど。
「・・・すばらしい。これほど美しいものがこの世にあるとは・・・・なるほど、昨日ハルナが楽しみにしていた理由がわかりました。これは素晴らしい・・・・」
・・・いや、そんなに感動するような光景かな? 去年とかもっと積もったけど。
「なんと!? これを上回る量の雪が降ったというのですか!? ・・・・にわかには信じがたい・・・」
「いやどうでもいいけど出かけるわよ? 今日は八谷と買い物してお姉ちゃん家で過ごすんだから」
私はパジャマを脱ぎながらサラにそういう。
・・・・暖房つけてても寒いわね。
「ではさっそく外に行きましょう。ほらハルナ、服なんて着る必要ないですよだから早く行きましょう」
「はしゃいでるのは判ったからパンツを下ろそうとしないでよっ!」
CHF番外編
*
その三
*
『白い恋人たち』
その三
*
『白い恋人たち』
「ん・・・これなんかどうかしら?」
「・・・・どうだろうね? みや姉にはむしろこっちじゃない?」
私と八谷はアーケードの中にあるアクセサリーショップにいた。
今日はクリスマス。なので普段からお世話になってるお姉ちゃんに何か贈ろう、と言う話になったんだけど・・・。
「中々決まらないわね・・・・。髪留めって選択がいけないのかしら」
そう、お姉ちゃんにあう髪留めが見つからないのだ。
ハウちゃんとノワールちゃんの分はもう見つけたって言うのに。
「いや・・・みや姉はアクセサリーとかつけないからこそこういうのがいいと思うんだけど」
とは八谷の弁。
っていうか、お姉ちゃんへのプレゼントを八谷が考えてるってのが・・・・なんか複雑な気分と言うか微妙な気分なのは何でかしら。
・・・・嫉妬? いやいや・・・。
「あ、これとかどうかな」
「・・・・もうそれでいいんじゃない?」
八谷が選んだのは薄いブルーの小さな髪留めだった。
うん、当たり障りないし金額的にもリーズナブルでオッケー。
・・・でもなんかモヤモヤするわね。それだけが気に食わないわ。
「そうだね。じゃぁこれと・・・・これも一緒に買っちゃおうか」
と、八谷が選んだのは水晶をあしらったなかなか上品な髪留めだった。
蝶をイメージして作られたそれは、細かい部分に彫刻まで入っていてとてもじゃないけど私達じゃ買えそうにも無い。値札を見るとゼロが五個・・・つまり諭吉さん一人は確実に死ぬわね。これ。
八谷にしてはかなりセンスがいい。っていうか私が欲しいくらいだけど・・・・
「・・・・いや、お姉ちゃんにそれは無いんじゃない? っていうか高すぎるわよそれ」
私のモヤモヤは大きくなっていた。
いや、金額の問題じゃなくて単に“八谷が”選んだって言うのが気に入らない。
八谷が選んだものがお姉ちゃんに行く・・・私はそれが嫌なのだ。
「ん? いやこれは ―――――――」
私の言葉に、八谷は髪留めを持ったままの右手を伸ばし、私の頭にそれを付ける。
「―――――七瀬にさ。いいかな、と思って」
その顔はとても無邪気な笑顔で、私のモヤモヤは一瞬で吹き飛んだ。
「―――――ん」
私は顔を真っ赤にして俯くしかできない。
何かもう嬉しすぎて泣きそうだ。チクショーどうしようもなく嬉しいぞ、この。
で、
その俯いた顔の先に
「―――――――――お暑いですのぉ?」
サラの今にも笑い出しそうな意地の悪い顔があったのは言うまでもない。
「・・・・どうだろうね? みや姉にはむしろこっちじゃない?」
私と八谷はアーケードの中にあるアクセサリーショップにいた。
今日はクリスマス。なので普段からお世話になってるお姉ちゃんに何か贈ろう、と言う話になったんだけど・・・。
「中々決まらないわね・・・・。髪留めって選択がいけないのかしら」
そう、お姉ちゃんにあう髪留めが見つからないのだ。
ハウちゃんとノワールちゃんの分はもう見つけたって言うのに。
「いや・・・みや姉はアクセサリーとかつけないからこそこういうのがいいと思うんだけど」
とは八谷の弁。
っていうか、お姉ちゃんへのプレゼントを八谷が考えてるってのが・・・・なんか複雑な気分と言うか微妙な気分なのは何でかしら。
・・・・嫉妬? いやいや・・・。
「あ、これとかどうかな」
「・・・・もうそれでいいんじゃない?」
八谷が選んだのは薄いブルーの小さな髪留めだった。
うん、当たり障りないし金額的にもリーズナブルでオッケー。
・・・でもなんかモヤモヤするわね。それだけが気に食わないわ。
「そうだね。じゃぁこれと・・・・これも一緒に買っちゃおうか」
と、八谷が選んだのは水晶をあしらったなかなか上品な髪留めだった。
蝶をイメージして作られたそれは、細かい部分に彫刻まで入っていてとてもじゃないけど私達じゃ買えそうにも無い。値札を見るとゼロが五個・・・つまり諭吉さん一人は確実に死ぬわね。これ。
八谷にしてはかなりセンスがいい。っていうか私が欲しいくらいだけど・・・・
「・・・・いや、お姉ちゃんにそれは無いんじゃない? っていうか高すぎるわよそれ」
私のモヤモヤは大きくなっていた。
いや、金額の問題じゃなくて単に“八谷が”選んだって言うのが気に入らない。
八谷が選んだものがお姉ちゃんに行く・・・私はそれが嫌なのだ。
「ん? いやこれは ―――――――」
私の言葉に、八谷は髪留めを持ったままの右手を伸ばし、私の頭にそれを付ける。
「―――――七瀬にさ。いいかな、と思って」
その顔はとても無邪気な笑顔で、私のモヤモヤは一瞬で吹き飛んだ。
「―――――ん」
私は顔を真っ赤にして俯くしかできない。
何かもう嬉しすぎて泣きそうだ。チクショーどうしようもなく嬉しいぞ、この。
で、
その俯いた顔の先に
「―――――――――お暑いですのぉ?」
サラの今にも笑い出しそうな意地の悪い顔があったのは言うまでもない。
「意外と時間かかったね」
色々と店が立ち並ぶアーケード街で、八谷は寒そうに襟を高くしながらそう言った。
結局あの髪留めは今、私の頭についている。八谷が買ってくれたのだ。
「・・・・そうね」
私は八谷の言葉にそう返す。
・・・・右手は、しっかりと八谷の手を握ったまま。
いやはっきり言ってもうコート要らないかも。体中が暑いんですけどこの状況。
「・・・・・・・寒いのだ。非常に寒いのだ。このままじゃあちしは凍死するのだなん・・・」
と、八谷のポケットから顔を出しているマイにゃんが呟いた。
・・・あー猫って寒いの苦手だよね。
「あはは。まぁマイも少し我慢してよ。買い物済んだからみや姉の家、行くしさ」
「アレだよなーハチやんはなーナナやんと手ぇ繋いでるから寒くないんだよなー。ずるいよなー」
「うん、七瀬の手、温かいよ?」
マイにゃんに向けて言った言葉なのに、なぜか私が赤くなる。
・・・天然って怖い。
と、手を握って俯いたまま歩く私の耳を誰かが引っ張った。
・・・まぁそんなことするのは一人しかいないんだけどね。
「何よサラ」
振り向くとそこには思いっきり楽しそうなサラの顔があった。
・・・・何を考えてるのこの子は。
「ハルナ、先程の髪留めのお礼はしなくても宜しいのですかな?」
「あ・・・」
そうだ嬉しくて忘れてた。
こんな高価なもの貰っても、私には八谷にあげるものが無い。
「ど、どうしようサラ。何も考えてなかったわよ・・・」
私のその言葉を待ってたとばかりに、サラの笑顔がさらに意地悪な顔に変わる。
・・・いやな予感するわ。
「ふふん。ハルナ、古来から女性にのみ許される必殺技は何だと思いますか?」
「必殺技・・・? 抱きつきとか?」
「いやまぁそれもそうなんですけど。まぁアレですよ ―――――――キスしちまえ」
「何かその一言にどうしようもない悪意を感じるわよ!?」
八谷に聞こえないように、小声で怒鳴るという不思議な芸をやってのけた私を褒めてあげたいわ。・・・・しかしいきなり何を言い出すのこの子!?
久しぶりの登場でキャラ忘れちゃったの!?
「いやまぁもうこのラヴラヴ性春っぷりを見せ付けられるのはぶっちゃけ・・・・ねぇ?」
「ぶっちゃけた!? しかも字が違う!!」
「ほらさっさとキスしちゃって下さいと。ラブコメにありがちなぐだぐだした展開は嫌いなんですよ」
「出来れば苦労はしないわよ!! ・・・後あんたラブ禁止」
「ふむ、つまりはきっかけが欲しいと。・・・ハチヤ、少し目をつぶって立ち止まってくれますか」
「え? ・・・・うん」
あっさりと目をつぶって立ち止まる八谷。
あんたもうちょっと・・・こう・・・あぁもう!!
「さぁハルナ、お膳立ては全て整いましたよ。ここからどうするかは貴女次第です」
そういってバイザーを下ろすサラ。
自分は見ないって意思表示かもしれない。
「・・・・・・・・・・・・」
私は黙って八谷の顔を見る。何も考えずに目をつぶって立ち止まっている。
・・・どうしろって言うのよ。
ここは公道のど真ん中で、人通りは少ないけどいつ誰が来るかわからないし・・・でもいつまでもこのままって言うのも・・・・あぁもぅ!
「――――――ん」
私は少し背伸びして八谷の・・・・・頬に口をつける。
唇を離した後、八谷が驚いた顔で私を見ていた。
「・・・・・・・その、お礼・・・」
「え、あ・・・・・うん、あ、ありがと・・・」
恥ずかしい。
恥ずかしすぎて死にそうだ。
「え、な、七瀬!?」
その場の空気に耐え切れなくなった私は、八谷の手を引いて走り出す。
心臓はさっきから物凄いリズムを刻んでいて、顔は多分真っ赤。本当は一人で逃げたかったけど八谷の手は離せない。
「あぁもう・・・無理よ、絶対無理・・・・!」
「ちゃんとできたじゃないですか。上出来ですよハルナ」
走っていると、肩からサラの声が聞こえてきた。
見ると落とされないようにしがみ付いてニヤニヤしている。
「うるさい・・・・! 振り落とすわよ!?」
そういいながらマフラーを少しあげて、赤くなった顔を隠そうとする。
あぁもぅ・・・頭の中がぐちゃぐちゃに・・・でもサラには見られてないからまだマシか・・・。
「しかしハルナ。ほっぺにチューっていうのはどうなんでしょうね?」
「しっかり見てんじゃないのよバカ!!」
色々と店が立ち並ぶアーケード街で、八谷は寒そうに襟を高くしながらそう言った。
結局あの髪留めは今、私の頭についている。八谷が買ってくれたのだ。
「・・・・そうね」
私は八谷の言葉にそう返す。
・・・・右手は、しっかりと八谷の手を握ったまま。
いやはっきり言ってもうコート要らないかも。体中が暑いんですけどこの状況。
「・・・・・・・寒いのだ。非常に寒いのだ。このままじゃあちしは凍死するのだなん・・・」
と、八谷のポケットから顔を出しているマイにゃんが呟いた。
・・・あー猫って寒いの苦手だよね。
「あはは。まぁマイも少し我慢してよ。買い物済んだからみや姉の家、行くしさ」
「アレだよなーハチやんはなーナナやんと手ぇ繋いでるから寒くないんだよなー。ずるいよなー」
「うん、七瀬の手、温かいよ?」
マイにゃんに向けて言った言葉なのに、なぜか私が赤くなる。
・・・天然って怖い。
と、手を握って俯いたまま歩く私の耳を誰かが引っ張った。
・・・まぁそんなことするのは一人しかいないんだけどね。
「何よサラ」
振り向くとそこには思いっきり楽しそうなサラの顔があった。
・・・・何を考えてるのこの子は。
「ハルナ、先程の髪留めのお礼はしなくても宜しいのですかな?」
「あ・・・」
そうだ嬉しくて忘れてた。
こんな高価なもの貰っても、私には八谷にあげるものが無い。
「ど、どうしようサラ。何も考えてなかったわよ・・・」
私のその言葉を待ってたとばかりに、サラの笑顔がさらに意地悪な顔に変わる。
・・・いやな予感するわ。
「ふふん。ハルナ、古来から女性にのみ許される必殺技は何だと思いますか?」
「必殺技・・・? 抱きつきとか?」
「いやまぁそれもそうなんですけど。まぁアレですよ ―――――――キスしちまえ」
「何かその一言にどうしようもない悪意を感じるわよ!?」
八谷に聞こえないように、小声で怒鳴るという不思議な芸をやってのけた私を褒めてあげたいわ。・・・・しかしいきなり何を言い出すのこの子!?
久しぶりの登場でキャラ忘れちゃったの!?
「いやまぁもうこのラヴラヴ性春っぷりを見せ付けられるのはぶっちゃけ・・・・ねぇ?」
「ぶっちゃけた!? しかも字が違う!!」
「ほらさっさとキスしちゃって下さいと。ラブコメにありがちなぐだぐだした展開は嫌いなんですよ」
「出来れば苦労はしないわよ!! ・・・後あんたラブ禁止」
「ふむ、つまりはきっかけが欲しいと。・・・ハチヤ、少し目をつぶって立ち止まってくれますか」
「え? ・・・・うん」
あっさりと目をつぶって立ち止まる八谷。
あんたもうちょっと・・・こう・・・あぁもう!!
「さぁハルナ、お膳立ては全て整いましたよ。ここからどうするかは貴女次第です」
そういってバイザーを下ろすサラ。
自分は見ないって意思表示かもしれない。
「・・・・・・・・・・・・」
私は黙って八谷の顔を見る。何も考えずに目をつぶって立ち止まっている。
・・・どうしろって言うのよ。
ここは公道のど真ん中で、人通りは少ないけどいつ誰が来るかわからないし・・・でもいつまでもこのままって言うのも・・・・あぁもぅ!
「――――――ん」
私は少し背伸びして八谷の・・・・・頬に口をつける。
唇を離した後、八谷が驚いた顔で私を見ていた。
「・・・・・・・その、お礼・・・」
「え、あ・・・・・うん、あ、ありがと・・・」
恥ずかしい。
恥ずかしすぎて死にそうだ。
「え、な、七瀬!?」
その場の空気に耐え切れなくなった私は、八谷の手を引いて走り出す。
心臓はさっきから物凄いリズムを刻んでいて、顔は多分真っ赤。本当は一人で逃げたかったけど八谷の手は離せない。
「あぁもう・・・無理よ、絶対無理・・・・!」
「ちゃんとできたじゃないですか。上出来ですよハルナ」
走っていると、肩からサラの声が聞こえてきた。
見ると落とされないようにしがみ付いてニヤニヤしている。
「うるさい・・・・! 振り落とすわよ!?」
そういいながらマフラーを少しあげて、赤くなった顔を隠そうとする。
あぁもぅ・・・頭の中がぐちゃぐちゃに・・・でもサラには見られてないからまだマシか・・・。
「しかしハルナ。ほっぺにチューっていうのはどうなんでしょうね?」
「しっかり見てんじゃないのよバカ!!」
・・・まぁ、こんな調子で私と八谷、それにサラとマイ(八谷のポケットで冬眠中)はお姉ちゃん家まで走っていきましたとさ。
うん、初めのころほど素直にはなりきれないけれど、これはこれでいいかな?
うん、初めのころほど素直にはなりきれないけれど、これはこれでいいかな?
ちなみにその後、なぜかお姉ちゃん家にあの男がいて私は少し不機嫌になりましたとさ。