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 序幕。

 ・・・。
 マスターに貰ったのは。小さな心のかけら。
 無機質な部屋に舞った、色とりどりの折り紙には。やさしい想いがいっぱいに詰められていた。


 勉強机の前に座る少女。
 その右手には鉛筆ほどの長さの棒が握られている。先端には小さな櫛が誂えられており、彼女はそれを細かく動かしながら、その「櫛」の先にいる『彼女』の髪を梳いていた。
 少女の視線の先。机の上に、ちょこんと足を前に投げだすように座る小さな女の子。彼女は「神姫」。全長15cmほどの小さなオートマトン。瞳を閉じてされるがままに。口元にほっとする笑みを浮かべて座っていた。
 やがて少女は丁寧に神姫の髪を整え終えると、櫛を置いて呼びかける。
「よし。終わったよ?」
 しかし。
「・・・」
 神姫は答えない。
「?」
 少女は机に顎を付けるようにして神姫の顔を覗き込む。
 羨ましいほどに整った目鼻立ち。少し色白の肌と顔。その整えてあげた桃色の髪をゆらゆらと一定のリズムで揺らせながら、小さな彼女は、こくりこくりと舟を漕いでいた。
 少女はしばしどうするべきか悩んでいたが。そっと起こさないように手を顎の下に置くようにして。居眠りをしてしまっている神姫と同じ視点に自身の顔を持っていく。


 ・・・。
 マスターにあげたのは。小さな命のかけら。
 哀しみを受け止めて。それでも、心からの呼びかけを。その祈りは風となり、やさしい奇跡を運んでくれた。


 ふっ・・・と。
 神姫が薄く目を開けた。
「んー・・・」
 蒼穹を思わせる青い透き通る瞳にチチッと紫電が小さく走る。ほんのりピンク色に染まる唇を半ば開けて、目をこすりながら眠そうな顔を上げると。
「あ」
 目の前に、じーっとこちらを見つめるマスターの顔。
「おはよ」
「あ、あの・・・えと」
 あわあわと。眠ってしまっていた事に焦っているのか。寝顔を見続けられていた事が恥ずかしいのか。それともその両方か。
 その神姫。少々髪型が変わっているが、スーツカラーや眼の色から読み取れる『種型MMSジュビジー』は、顔を赤くして両手をたぱたぱと上下させた。そのままの寝顔もちょっと見ていたかった少女は、その姿も可愛いとは思いつつも体を起こす。
「す、すいません・・・私、寝ちゃって。あの、せっかく!」
「うん? いいよ」
 真面目な性格は変わらない。
 わざわざ必死に謝る姿に、少女はおかしくなって人差し指を唇に当てながら笑った。

 と。

 ふと気づいたように少女はその指先を離して、じっと見つめる。そして、その先を唇にもう一度軽く付けてみる。
「・・・?」
 その仕草にジュビジーが首を傾げた時。すっと少女はその指で。つん、と彼女の小さな唇をつついた。
「んむっ?」
 そうやって、しばらく彼女の顔を抑えていたが、やがてゆっくりと離す。
「・・・」
「えと、マスター?」
 意を解する事が出来ない神姫に、少女は照れるように笑って見せた。はてさて、言うのも恥ずかしいのだが。頭を困ったように掻くと、そのブラウンが混ざった黒髪が綺麗に揺れて光を孕んだ。
「んーと。えーっと。・・・間接キス? かなぁ?」
 その言葉を聞いて、ようやく今の行為がどういう事かを理解したらしいジュビジーは。ぼっと顔を首まで真っ赤にして、目をしばたたかせて。何かを言おうと口を開くが・・・やがて。
 困ったように下を向き。
「・・・えへへっ」
 上目づかいでマスターを見上げて。こちらも照れくさそうに笑って見せた。


 ・・・。
 かけらは種となり、芽を出した。
 芽生えた双葉は風吹き抜けた草原に、天を見上げる強さと諸共に。


 コツコツ、とノックの音が部屋に転がった。
 何ともなく、互いに「にへーっ」と間抜け顔で見詰め合っていた二人はビクッと体を起こす。少女が慌てて答えればノブが動き。見慣れた母の顔が部屋を覗いた。
「弥生。準備は終わってる? 明日出発でしょ」
「あ、うん。大丈夫だから」
 櫛をポショットに直しつつ、机から肩越しに答えてから。身体をくるっと回しながらベッドの上を指差すと、彼女にしてみれば大き目のボストンバッグが置かれてあった。
 それを認めて母は肩を一度竦めると。小さく「ふぅん」と呟いて、物を含んだ笑いを浮かべる。
「まぁ。マーチちゃんが一緒なら大丈夫かな」
「えー・・・。それってどういう意味で?」
 先の事とその言葉の両方に。
 照れ恥ずかしかったり恐縮したりで机の上で正座してしまっている神姫に向けて、母は手を一度振ると。あと30分で食事とだけ伝えてドアを閉じた。

 しばしヤヨイと呼ばれた少女は頬を膨らませていたが、思い出したように顔を窓に向ける。夏場ゆえか。まだ日の明かりが残る空。
「明日」
「はい。明日出発ですね」
「うん・・・」
「・・・」
 口元に柔らかな笑みを浮かべるマスターの横顔。マーチと呼ばれたジュビジーも。その視線を追うように窓の外を見やる。
 紫と朱が混ざった夕焼けも終わりつつある空に、いくつもの想いを馳せながら。
 彼女は。小さな手を胸の前で合わせた。

 どこか遠く。だけど、とても近く。
 綺麗な、宝石が鳴るような音がしていた。




 風吹き抜けた草原に。一本の樹が、立っていた。
 暖かな陽の光を受けて。零れた明るい木洩れ日よりは。

 世界が。色に染め上がる。


 「2037の彩」。上幕。






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