光の刃と、真心の白き翼(後編)
全く予期しない言葉だった。私を、そして姉妹を“大切な人”であると、
認識して立ち直った夜の事が思い出される。あの時に、ロッテのCSCを
満たした想いの正体。それが、その……私への“恋慕”だったとは……!
アルマとクララも、ロッテの言葉に衝撃を隠せない。黙りこくっている。
指示……否、声援さえ出すのも忘れ、皆がロッテの戦いに見入っていた。
認識して立ち直った夜の事が思い出される。あの時に、ロッテのCSCを
満たした想いの正体。それが、その……私への“恋慕”だったとは……!
アルマとクララも、ロッテの言葉に衝撃を隠せない。黙りこくっている。
指示……否、声援さえ出すのも忘れ、皆がロッテの戦いに見入っていた。
「退けさせてもらいますの。大好きな人の、笑顔の為に……!」
「私もだ、命より大事な主の為……ここは最後まで戦うッ!」
「……ライナスト、フィオナ、ウィブリオ。行きますのッ!!」
『キュィィッ!!』
『Yes,sir(姿勢維持に気を付けて下さい)』
「私もだ、命より大事な主の為……ここは最後まで戦うッ!」
「……ライナスト、フィオナ、ウィブリオ。行きますのッ!!」
『キュィィッ!!』
『Yes,sir(姿勢維持に気を付けて下さい)』
超高速で肉薄を計るロッテに対し、フリッグは剣からエネルギーの刃を
撃ち出した。だが、ロッテはそれを避けようともせず、真正面に進む!
しかし不思議と、皆に焦りや絶望はなかった。全ては“信じる”故に!
撃ち出した。だが、ロッテはそれを避けようともせず、真正面に進む!
しかし不思議と、皆に焦りや絶望はなかった。全ては“信じる”故に!
「避けぬ、だと……!?」
「……3、2……1、0ッ!!」
『キュッ!!』
『Yes,sir(強襲します)』
「馬鹿な。装備を分離させて、飛び上がった……!?」
「……3、2……1、0ッ!!」
『キュッ!!』
『Yes,sir(強襲します)』
「馬鹿な。装備を分離させて、飛び上がった……!?」
後少しで接触するかという所で、ロッテは奇策を執った。ウィブリオと
フィオナを分離し、フリッグの元へ先行させたのだ!竜はその両手に、
レーザーブレードを。騎士は、手に可変式のガンブレードを携えてな!
しかしこれでは、飛行能力の乏しいロッテは追従出来ない筈だが……。
フィオナを分離し、フリッグの元へ先行させたのだ!竜はその両手に、
レーザーブレードを。騎士は、手に可変式のガンブレードを携えてな!
しかしこれでは、飛行能力の乏しいロッテは追従出来ない筈だが……。
「己自身は何もしないつもりか、ロッテよ!」
「いいえ……今から、行きますのッ!!」
「な──こ、これは……白き翼!?」
「いいえ……今から、行きますのッ!!」
「な──こ、これは……白き翼!?」
そう考えた所で、皆が……フリッグさえ息を呑む。自由落下に入りかけた
ロッテが掲げた魔剣ライナスト。その蒼き刃から“白き雷の翼”が一対、
彼女の全身を包み込む様にしてはためいたのだ!これは、まさか……!?
ロッテが掲げた魔剣ライナスト。その蒼き刃から“白き雷の翼”が一対、
彼女の全身を包み込む様にしてはためいたのだ!これは、まさか……!?
「さぁ、行きます……“翼よ、雷より速く舞え”!」
「ぅ、ぬぉぉぉおッ!?やらせはせん、やらせは……ッ!」
『ロッテめ、あの晩に教えた“電磁浮遊システム”の理論を……!?』
「ぅ、ぬぉぉぉおッ!?やらせはせん、やらせは……ッ!」
『ロッテめ、あの晩に教えた“電磁浮遊システム”の理論を……!?』
四日前の夜、私はロッテに仕組みを教えた。だがそれだけで何故飛べる?
最早検証は追いつかない。白翼で天を蹴ったロッテ……彼女は閃光となり
先に飛んでいた騎士と竜に追い付き、併走……そして、瞬時に散開した。
白き翼と、両手に填めていた“マビノギオン”の補助ブースターを駆使し
神姫唯一つの身でありながら彼女は疾風の如く天空を掛け、襲いかかる!
最早検証は追いつかない。白翼で天を蹴ったロッテ……彼女は閃光となり
先に飛んでいた騎士と竜に追い付き、併走……そして、瞬時に散開した。
白き翼と、両手に填めていた“マビノギオン”の補助ブースターを駆使し
神姫唯一つの身でありながら彼女は疾風の如く天空を掛け、襲いかかる!
『キュィィィィーンッ!!!』
「ぐ、あぁぁっ!?」
『キュィッ!!』
「ぐ、あぁぁっ!?」
『キュィッ!!』
最初に仕掛けたのは、ウィブリオだった。全身を覆う真空波……即ち、
“ブランド・ダイナスト”で強化した“ソニック・ブランド”を転用、
真空の矢として、己の翼を用いてフリッグに撃ち出したのだ!見えざる
一撃にフリッグは打ち据えられ、斜め下に叩き落とされる。そこには!
“ブランド・ダイナスト”で強化した“ソニック・ブランド”を転用、
真空の矢として、己の翼を用いてフリッグに撃ち出したのだ!見えざる
一撃にフリッグは打ち据えられ、斜め下に叩き落とされる。そこには!
『Yes,sir(零距離射撃を敢行します)』
「ぐぅっ!?し、ま……装甲の隙間に……うあぁぁぁっ!!?」
『Yes,sir(射撃終了、第三波に備えます)』
「ぐぅっ!?これは、コンビネーション……ッ?!」
「ぐぅっ!?し、ま……装甲の隙間に……うあぁぁぁっ!!?」
『Yes,sir(射撃終了、第三波に備えます)』
「ぐぅっ!?これは、コンビネーション……ッ?!」
ガンブレードを構えたフィオナが居た。彼女は“ソードダンサー”部分を
狙うのではなく、武器の特性を活かして装甲の隙間に銃身を突き込んだ!
そして一気に銃弾を放出し、内部のフリッグ自身へとダメージを与える。
更に間髪入れず、彼女は細い脚部で斜め上にフリッグを蹴り上げた……!
狙うのではなく、武器の特性を活かして装甲の隙間に銃身を突き込んだ!
そして一気に銃弾を放出し、内部のフリッグ自身へとダメージを与える。
更に間髪入れず、彼女は細い脚部で斜め上にフリッグを蹴り上げた……!
「そうですの。高速飛行中でも安定している、これがわたしの真骨頂!」
「ぐ、あ……ッ!?ロッテ、そなた……!」
「……“白き雷を撃ち放て”、ライナストッ!」
「ぐあぁぁああっ!?」
「ぐ、あ……ッ!?ロッテ、そなた……!」
「……“白き雷を撃ち放て”、ライナストッ!」
「ぐあぁぁああっ!?」
その先に、背後へと高速で回り込んだロッテがやってくる!彼女は刃を、
“ソードダンサー”に突き立て、魔剣の雷を撃ち込んだのだ。その圧力は
フリッグを更に斜め下へと撃ち落とす。その軌道は……正三角形だった!
“ソードダンサー”に突き立て、魔剣の雷を撃ち込んだのだ。その圧力は
フリッグを更に斜め下へと撃ち落とす。その軌道は……正三角形だった!
「ウィブリオ、フィオナ!付いてきてくださいですの!!」
『キュッ!!』
『Yes,sir(レーザー・ブレードを使用します)』
「ライナスト、無理させてごめんなさい。もう少しですの……!」
『キュッ!!』
『Yes,sir(レーザー・ブレードを使用します)』
「ライナスト、無理させてごめんなさい。もう少しですの……!」
しかしロッテ達は留まらず、墜ちるフリッグに追随する!見れば、三人の
手には光の刃が六本もあった。ウィブリオのライトセイバー、フィオナの
レーザー・ダガーをブーストしたレーザー・ブレード。そして、ロッテの
ライナストより噴き出す、一対の白き翼。それが一斉に、襲いかかった!
手には光の刃が六本もあった。ウィブリオのライトセイバー、フィオナの
レーザー・ダガーをブーストしたレーザー・ブレード。そして、ロッテの
ライナストより噴き出す、一対の白き翼。それが一斉に、襲いかかった!
「フリッグさん、これで……最後ですの!!」
「くぅ……う、ぉぉっ!?」
「神儀、トライゴンフェザー……ストライィィィクッ!!!」
「ぐ、ぐぅぅ……ォォォァァーッ!!!?」
「……一丁上がり、ですの!」
「くぅ……う、ぉぉっ!?」
「神儀、トライゴンフェザー……ストライィィィクッ!!!」
「ぐ、ぐぅぅ……ォォォァァーッ!!!?」
「……一丁上がり、ですの!」
目視すらも追い付かない、絶対の刹那。その一瞬に、六つの“光の羽”で
フリッグは切り裂かれたのだ。ロッテ達が離脱すると同時、その身に纏う
“ソードダンサー”は負荷に耐えきれず、爆散した……勝負有りだッ!!
それを見届けて、ロッテは空中前転をしながら“白き翼”を消し去った。
そしてウィブリオに跨るや否や、落ちていくフリッグを抱き留めたのだ。
フリッグは切り裂かれたのだ。ロッテ達が離脱すると同時、その身に纏う
“ソードダンサー”は負荷に耐えきれず、爆散した……勝負有りだッ!!
それを見届けて、ロッテは空中前転をしながら“白き翼”を消し去った。
そしてウィブリオに跨るや否や、落ちていくフリッグを抱き留めたのだ。
「……ぅ、ぅ。成程、想いの力は“本物”だった、という事か」
「口にしちゃいましたの。まだ早いと、思ったけど……我慢出来なくて」
「恥ずべき事ではない。それがそなたの“真心”なのだろう……?」
「はいですの……でも、マイスターにそれが届けばいいですけど……」
「……想いは必ず届く。そなたら程の主なら、一番分かっているはずだ」
「は……はいですのッ!本当に、有り難うございます……」
『ノックダウン!!勝者、ロッテ!!』
「口にしちゃいましたの。まだ早いと、思ったけど……我慢出来なくて」
「恥ずべき事ではない。それがそなたの“真心”なのだろう……?」
「はいですの……でも、マイスターにそれが届けばいいですけど……」
「……想いは必ず届く。そなたら程の主なら、一番分かっているはずだ」
「は……はいですのッ!本当に、有り難うございます……」
『ノックダウン!!勝者、ロッテ!!』
──────そして現れた、真心。その想いは、どこまでも強いのかな。