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鋼の心 ~Eisen Herz~


第11話:海だ山だ温泉だ(その6)




 満天の星空だった。

 深夜の2時。
 祐一は一人廊下を歩く。
「……ふぅ」
 宴会が終了したのは、もうじき0時になるかと言う頃。
 酔い覚ましに起きた祐一が、風呂を目指して部屋を出たのはつい先程だった。
 脱衣所で手早く浴衣を脱いで湯船に入る。
「……っ」
 湯船につかる一瞬、脳裏をよぎる記憶に顔を顰め、それでも湯の中に進み出た。
 海ならばともかく、この程度の広さの水ならば我慢できる。
 淵から離れ、あえて縋る物の無い中央部に出て身を沈めた。
「……ったく、もう5年以上立つって言うのに……」
 結局、今日は海に入ることができなかった。
 泳げない訳ではない。
 もし泳げないのならば、今この場に祐一が居る事は無いだろう。
 祐一は水に囲まれ星空を見上げる。
「……くっ!!」
 ―――フラッシュバック。
 脳に走る心理的な痛痒が鼓動を加速する。
「……はぁ…」
 動悸が止まないのはきっと、あの日もこんな星空だったからだろう。
 祐一は一人、過去と戦っていた。



「一応は終わりましたよ」
 旅館の裏手にある森の中。
 夜の森林には光源など無く、その闇は人が考えるよりも遥かに濃い。
 そんな場所で向き合うのは一組の男女。
 島田雅と村上衛だった。
「ご苦労様。……悪いわね、色々雑用を押し付けちゃって」
「いえ、本来はこちらが手を貸していただく立場ですから…」
 お気になさらず、と村上。
「……とりあえずセンサーの設置は一通り終了です」
「盗聴器の方は?」
「美空さんのポーチに付いていた物が一つ。……他は在りません」
 そう言って小さな小さなチップを、指の上に乗せて出す。
「現在はこちらで複製したものを使って都合の良い情報を選別して流しています」
「……送信先は、……やはり、彼女?」
「ええ、おそらくそうでしょう……。K2時代の通信機と構造が酷似しています。こんなものを作るのは彼女ぐらいしか思いつきません……」
 呟く村上の顔は暗い。
「襲撃は?」
「今夜は無いでしょう。恐らくは明日。……わざと隙を作れば昼にでも来るでしょう」
「……分かっていると思うけど……」
「……ええ、雄一君達には一切気づかせずに終わらせます」
「……そうね、祐一は巻き込みたくないわ……」
 宿の方に目をやり、雅は息を吐く。
「……で、村上君は、どうするつもり?」
「……どう、とは?」
「……その女、仇なんでしょう? 貴方の一番最初の神姫の……」
「……ええ、そうですね……」
 表情を殺して村上が頷く。
 MMS開発計画『K2プロジェクト』に参加した各種企業、団体などに試作サンプルとして送られた最初期の神姫12機。
 起動させられた4機を含む、それらの神姫が何者かに破壊されたのはもう5年も前の事だ。
 起動していた4機。
 即ち、“殺された”4機の神姫の内の一機は、村上衛をマスターとして起動した。
 それが無残に破壊され、持ち去られてから5年も経った。
 その間、村上は彼女の影を追い求め神姫を作り続けて来た。
 総計で40にも上る神姫たちを作っては、彼女に劣る事に絶望し、幾度も酷いオーダーを下した事だろう。
 彼女らの存在に心を癒され、代替品としてではない彼女達を見るようになったからといって、一番最初の彼女を忘れた訳ではない。
「……敵討ち、もしくは復讐になるのでしょうね……」
 村上衛にとっては、それがこの戦いの理由だった。
 雅は村上に背を向ける。
「あたしは、祐一を守る事が目的。貴方は復讐。……なら、二人だけで終わらせましょう」
「ええ。……目的は違えど、利害は一致しています」
「そうね。あたしはもう二度と、祐一に辛い思いはさせない」



 全長300mを超える超豪華客船『ティターン』が事故により沈没したのは6年前。
 乗員の半数近くが死亡すると言う21世紀最大の海難事故であった。
 雅はこの事故で父を失っていた。

 離婚など珍しくも無いご時勢ではあるが、それが自らの身に降りかかるとなればそうも言っていられない。
 ただ、離婚当時の記憶は雅にも殆ど無く、それから父と会うことも無かった為、その男の死はみやびに取っては他人事に過ぎない。
 だが、その男の死により、雅の生活にも影響が出た。
 彼の息子である少年を、島田家で引き取ることになったのだ。
 あったことも無い少年。
 他人だが、半分だけ血の繋がった弟。
 雅に取って、邪魔なナニカでしかなかったその少年は、心が壊れていた。
『…事故の夜。閉じ込められ、溺死する両親を目の前で見続けていたそうです』
 医師の言う説明では、このままでは重大な精神障害を患う危険があるという事だった。

「……ああ、この子は私が何とかしないと死んじゃう。って思ったのよね~」
 それが、祐一との出会いだった。

 彼の陥っている危機を救うには感情を動かすことが必要だと、医師は言った。
『……彼の症状は、脳神経の過負荷による断絶です。……ご存知かもしれませんが、脳は微弱な脳内パルスのやり取りで動いています。……彼の場合、そこに両親の死による痛烈な負荷がかかり、脳神経を焼ききってしまったので、脳が自己保存のために脳内パルスを抑制し始めた事が原因です』
 祐一はまるで人形のように無表情で無感情だった。
『悲しまなくていいように、脳が感情を封印したとも言えるでしょう』
 ……事実、彼は他の被害者や遺族のように、悲しみにくれる事は無い。
 だがそれが、人として余りにも歪であった為に、雅は放置できなかったのだ。
『……既に脳の再生は始まっています。……ですが、このまま感情を使わずに居れば、脳内の神経は感情を使える事そのものを忘れてしまうでしょう……』
 そうなれば、永遠にそのまま。
 死ぬまで感情を失った機械じみた精神しか残らなくなる。
 重度の精神障害。
 CSCと呼ばれる症状だ。
『……時間は余りありません。……ご家族の協力が必要なのです……』
 医師の言葉に、島田雅は頷いた。



「姉さんが最初の記憶なんだよな……」
 それでも体に残された傷痕と、心は、その痛みを覚えている。
「水が怖いのも、夜空が嫌いなのも、その所為、か……」
 事故以前。
 雅がその感情をゆり戻すまで、それ以前の記憶は祐一には無い。
 それは雅にも、アイゼンにも話していない事。
 アルバムを見て、当時の記憶を記録で補完した。
 だが、それは想い出ではない。
 人を形作る要素に想い出が含まれるのなら……。
「俺はきっと、あの瞬間生まれたんだ……」
 ……祐一にとって、世界はその瞬間に始まった。
「恩を返すとかじゃないけれど、姉さんが俺を大切にしてくれたのなら、俺にとっても姉さんは大切だもの……」
 起きた時に雅が居なかったのは確認済み。
 靴が無いのも確認したので、外に出たのは間違いないだろう。
 雅の性格からすれば、何か面倒なことがある時は必ず一人で解決しようとする。
 普段の対応とは真逆に、本当に困ったことが起きたとき、祐一の事ならば問答無用で首を突っ込み、自分の事なら祐一には気付かせもせずに独力で解決を試みる。
 島田雅はそういう人間だった。
 そして、それが分かる程度には祐一も雅を見ていた。
「……ただ、俺が姉さんを助けられる事って……」
 思い当たらない。
 彼の姉は万能だった……。
 少なくとも、彼の前では……。
「……ふぅ……」
 思索は尽きない。
 今の雅が、何か面倒事に首を突っ込んでいる事は雰囲気で分かる。
 それは、彼女自身の問題か、……事によれば、祐一の問題を祐一自身に気づかれぬように処理しようとしている可能性もある。
「……だからと言って、素直に相談してくれる人でもないし……」
「……誰が?」
「……もちろん姉さんが……」
 祐一は溜息を吐く。
 島田雅と言うあの姉は、とにかく捻くれた性格をしているのだ。
「―――って、リーナぁ!?」
「は~い、祐一」
「……あのさ、ここ、男湯」
「知ってるわ」
 湯殿の入り口に立ち、悪びれもせずに微笑む少女。
「何で男湯に入ってるのさ、女の子」
「あら? 11歳ならギリギリOKじゃないかしら?」
「……何がだよ」
 目を逸らしながら、祐一は苦悩する。
 水着を着てきたアイゼンとは違い、リーナは正真正銘の全裸だった。
「日本のセントウでは子供は親と一緒ならどちらのお風呂にでも入れるって―――」
「―――そういう変な事を教えるのは姉さんか? 姉さんなのか?」
 臆する事無く湯船に入ってきたリーナを知覚しながらも打つ手の無い祐一。
 そんな彼に悪戯っぽく微笑み、リーナは身を摺り寄せてくる。
「うふふ、雅は慎重で狡猾よ。……そんな迂闊な事は教えたりしないわ」
「は?」
 考え無しの暴走姉貴。
 それが祐一の見解だった。
「……こういう迂闊な事を教えちゃうのはどちらかと言えば美空でしょう?」
「……疑いも無く実行するのもどうかと思うが……」
 先程の饗宴を思い出してげんなりする祐一。
「……言わないで、アレは痛恨事だったわ……」
 事後、あの歌詞の意味をWEBディクショナリーで検索したリーナは頬を赤らめる。
「……迂闊なのは私もね。マモルが雅の腹心だって事ぐらいわかって居た筈なのに……」
「は?」
「……今日はね、良い事を教えて上げに来たのよ、祐一……」
 リーナはそう言って、祐一の頬に手を置き、目と目を合わせた。



「……これで彼女のことはよし、と……」
「……そうですね、明日でケリがつきます」
 向こうは奇襲のつもりだろう。
 ゆえに罠に対する警戒はあるまい。
 明日起こるはずの戦いは、この時点で既に雅と村上がアドバンテージを手にしていた。
「……最後の問題は―――」
「―――リーナ・ベルウッド……、ですか…?」
 村上の口にした名に、顔を顰める美空。
「……ベルウッドカンパニーの社長令嬢だ、って事までは分かってるんだけどね……」
 祐一と美空にまつわる最後の不安要素。
 それが背景の不透明なあの少女であった。
 神姫事業への参入を狙っているというベルウッドグループの中枢会社。ベルウッドカンパニーの社長令嬢。
 それが半端な時期に留学生として、来日したことを。
 よりにもよって神姫事業に大きな影響力を持つ可能性のあるフェータの傍に、居ついた事を。
 来日後も就学せずに、夏休みに到るまで自由に動き回っていたことを。
 そして、本来は大学院卒業の資格まで取っており、これ以上の就学の必要性が無いにも拘らず、わざわざ日本で学びに来た事を。
 全て偶然と考える程、雅は楽天家ではない。
「……これは噂なんですが。……ベルウッドカンパニーのみならず、ベルウッド系グループの製品は、大部分が彼女の設計だという話もありますよ?」
「……もし本当なら、……その場合、社長である父親が逆にダミーって事よね……」
 とすれば、ベルウッド系グループの実質的な最高権力者は、あの少女と言うことになる。
「……やはり狙いは、“彼女”と同じく、オリジナルのCSC?」
「……ベルウッドグループが神姫事業に参入するつもりなら、オリジナルのCSCは喉から手が出るほどに欲しいでしょう……」
「そうね。……初期参入企業である『FrontLine』や『Kemotech』ですら手にしていないオリジナルCSCの製造技術。手に入るのなら神姫事業に対する絶対の切り札になるわ……」
 雅自身、祐一の事に比べれば重要性は格段に劣るものの、典雅の社長としての立場なら、オリジナルCSCは非常に魅力的な物である。
 もしも、美空と祐一が出会わなければ。
 もしも、祐一が美空に入れ込まなければ。
 その時は鍵となる筈の神姫、フェータを入手するために手を尽くしていただろう。
「……それがまさか、守る側に回るとは……」
「……人生なにがあるか分かりませんね……」
「全くだわ……」
 そう言って雅は笑う。
 ともかく今は明日の襲撃に備える。
 リーナ・ベルウッドの始末はそれからでも遅くはあるまい。
 少なくとも、“彼女”と違い、強硬手段に出ることは無い筈なのだから……。



 初日の夜はこうして更けていった。



 続く。









 旅行編初日終了。
 ここから少し慌しくなり、バトル展開に戻ります。
 一応予告として4姉妹とのバトル初回。
 出し忘れていたサブキャラ(神姫センターのオペレーターとその神姫)の登場。
 アイゼンのパワーアップ。
 等のネタを用意しております。
 バトル分を中心に、ギャグを少々、シリアス極微でお送りしたいと考えるALCでした。

 途中で他作品の魅力的なキャラを絡めたコラボもできたら言うこと無しですね……。





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