サラになんと言えばいいのか。
勝てというのか、負けろというのか。
私にとって答えが出ないまま、約束の日は来た。
勝てというのか、負けろというのか。
私にとって答えが出ないまま、約束の日は来た。
クラブハンド・フォートブラッグ
第二十四話
『たった一人の戦場・孤独な狙撃兵』
場所は普段どおりの神姫センター。
時刻は三時ちょい前。
私とサラは約束の場所にいた・・・んだけど。何か余計なのが・・・。
「・・・というわけで、ジャッジは私が務めさせてもらうよ」
「ちょっと待ちなさい。お姉ちゃんがいるのはいいとして、なんで遙とかまでいるのよ!? しかも観戦する気満々で!!」
「私は今回の対決のプロデューサーですわ。プロデューサーとして、対決を見なくてはならない義務が生じますの」
絶対嘘だ。
何かトラブル期待して見に来たな・・・。
「・・・・なるほど、今回の元凶は彼女ですか」
そういってサラは忌々しげな目つきで遙を見る。
当たり前だけど機嫌は良くなかった。
「どうでしょうハルナ。あとであの女を『ピー』して『ピー』したあと『ピー』して『ピー』」
「とうとう放送禁止用語はいった!? あんたちょっとどうなのよそれ!?」
「ふん。今回はハルナも同罪です。あとで『~~』してあげます」
「波線の意味を教えなさい!」
「うるさいですね。少し黙りなさいよ」
・・・・いつもと反応が違う。
やっぱり怒ってるよね・・・・。
「・・・ふむ。・・・・・ん、王子様が来たようだぞ」
お姉ちゃんが指差した先には、八谷が立っていた。
その姿は至って普段どおりで・・・って何かでっかいバッグ抱えてるけど、あれって・・・?
「・・・・・」
八谷は私を見て、胸ポケットのサラを見た後無言で会釈した。
「・・・・ふむ、それじゃ行こうか。とっととエントリーしよう」
時刻は三時ちょい前。
私とサラは約束の場所にいた・・・んだけど。何か余計なのが・・・。
「・・・というわけで、ジャッジは私が務めさせてもらうよ」
「ちょっと待ちなさい。お姉ちゃんがいるのはいいとして、なんで遙とかまでいるのよ!? しかも観戦する気満々で!!」
「私は今回の対決のプロデューサーですわ。プロデューサーとして、対決を見なくてはならない義務が生じますの」
絶対嘘だ。
何かトラブル期待して見に来たな・・・。
「・・・・なるほど、今回の元凶は彼女ですか」
そういってサラは忌々しげな目つきで遙を見る。
当たり前だけど機嫌は良くなかった。
「どうでしょうハルナ。あとであの女を『ピー』して『ピー』したあと『ピー』して『ピー』」
「とうとう放送禁止用語はいった!? あんたちょっとどうなのよそれ!?」
「ふん。今回はハルナも同罪です。あとで『~~』してあげます」
「波線の意味を教えなさい!」
「うるさいですね。少し黙りなさいよ」
・・・・いつもと反応が違う。
やっぱり怒ってるよね・・・・。
「・・・ふむ。・・・・・ん、王子様が来たようだぞ」
お姉ちゃんが指差した先には、八谷が立っていた。
その姿は至って普段どおりで・・・って何かでっかいバッグ抱えてるけど、あれって・・・?
「・・・・・」
八谷は私を見て、胸ポケットのサラを見た後無言で会釈した。
「・・・・ふむ、それじゃ行こうか。とっととエントリーしよう」
戦闘ステージは砂漠。
わたしは砂漠に設置された廃墟の中にいた。
「・・・・」
無言でスナイパーライフルを組み立てる。
ボルトを引き弾倉を押し込み戻す。安全装置を外しそのまま肩にかけ、廃墟の屋上へと移動した。
『サラ・・・・』
筐体の外では、ハルナがなんともいえない表情でわたしを見ているのだろう。
わたしはその呟きを無視した。
「・・・・」
屋上に出ると、燦々と照る太陽が一瞬だけ視界を奪う。
視力が回復すると、適当な場所に腰を落ち着け敵の出方を待つ。
・・・気分的には煙草が欲しいですね。
『サラ、私は・・・・』
「気が散ります」
私がそういうとハルナは黙ってしまった。
・・・・少し言い過ぎたかもしれない。
「・・・クソ」
沈黙が気に食わない。
いつもなら・・・暇つぶしにハルナが付き合ってくれたのに。
今はそんなこと出来ない。わたしから話しかけることなんて・・・できやしない。
わたしは一人で戦う。ハルナにそう言ってしまったから。
それは事実上の絶縁に近い。
普段なら、ハルナを信頼して戦えた。でも、今は・・・・。
「(気に食わない。何もかもが気に食わない。ハルナを信じられないわたしも、今ここで戸惑っているわたしも)」
何もかもが・・・気に食わない。
イラついたわたしは適当な方へライフルを向け、敵を探す。
当たり前だがこんなことで見つかってくれるほどマイもバカじゃな・・・・・・・え?
「・・・・なんですか、アレ」
スコープのはるか向こう側。
砂漠の中を砂煙を上げて疾走するバカ一匹発見。
しかもあれって・・・ファストオーガ、なんですかね・・・?
何かドリルだらけで刺々しいしでっかい黒いブーメランみたいなの装備してますけど、あの赤いボディは間違いなくファストオーガですよね。
・・・・まだ射程距離じゃないけど、撃っちゃおうかな。
ちょうどイラついてますし。
「・・・・って、何かまっすぐこっちに向かっているような・・・」
いや間違いない。
マイはまっすぐにこっちを目指して爆走してくる。
・・・気づかれた?
わたしは急いでライフルを構えるが、既に距離が近すぎた。
予想より速い・・!?
「にゃはははー!! とぉっ!!」
爆走、いや暴走してきたファストオーガはそのまま廃墟の手前で止まった。
ファストオーガの上では両腕を組んだ姿勢でマイが仁王立ちしている。
・・・・隙だらけですけど。
「――――――――マイ、参上ッ!!」
・・・・・・・。
本当にこの子はわたしよりも勝率高いんでしょうか。胡散臭く思えてきました。
・・・とりあえず撃つか?
廃墟の中に駐輪してあるストライクイーグルなら・・・ファストオーガよりも速いはず。
それとも砂の中に・・・・。
「ヘイサラやん。悪いけどあちしらは今回マジで行かせて貰うのだなん」
わたしが考えているとマイが何か話しかけてきました。
「・・・それはわたしとて同じこと」
「“わたし”? “わたしたち”じゃないのかなん?」
そういってマイはにやりと笑う。
・・・・不愉快だ。わかってていってますねこの馬鹿ネコは。
「・・・なんにしても、わたしはアナタを倒す。それだけです」
「ふん、いつもの余裕がないのだなん。それに・・・サラやんがただ勝って、それでいいのか? それでサラやんは満足なのか?」
「負けろと? それこそ冗談じゃない」
・・・いいながら、こっそりとスタングレネードをポケットから取り出す。
「・・・・だれも、負けろとはいってないのだ。それはナナやんだって同じこと」
ナナやん・・・ハルナの事が出ると、おもわずわたしの手は止まる。
あとはピンを抜いて投げるだけなのに。
「・・・どういう意味ですか」
「・・・さぁて? それは自分で見つけるのだなん」
ピンを抜いてマイに向かって投げつける。
一拍遅れて辺りに撒き散らされる閃光と爆音。
わたしはバイザーを下ろして廃墟の中に入る。
ストライクイーグルに跨るとフルスロットルでその場を離脱する。その、直前
「シィィンキオォォォオオ! ショォォォオオタァアアアイム!!」
マイの叫ぶ声が聞こえ、ファストオーガは一瞬で人型ロボットに変形していた。
わたしは砂漠に設置された廃墟の中にいた。
「・・・・」
無言でスナイパーライフルを組み立てる。
ボルトを引き弾倉を押し込み戻す。安全装置を外しそのまま肩にかけ、廃墟の屋上へと移動した。
『サラ・・・・』
筐体の外では、ハルナがなんともいえない表情でわたしを見ているのだろう。
わたしはその呟きを無視した。
「・・・・」
屋上に出ると、燦々と照る太陽が一瞬だけ視界を奪う。
視力が回復すると、適当な場所に腰を落ち着け敵の出方を待つ。
・・・気分的には煙草が欲しいですね。
『サラ、私は・・・・』
「気が散ります」
私がそういうとハルナは黙ってしまった。
・・・・少し言い過ぎたかもしれない。
「・・・クソ」
沈黙が気に食わない。
いつもなら・・・暇つぶしにハルナが付き合ってくれたのに。
今はそんなこと出来ない。わたしから話しかけることなんて・・・できやしない。
わたしは一人で戦う。ハルナにそう言ってしまったから。
それは事実上の絶縁に近い。
普段なら、ハルナを信頼して戦えた。でも、今は・・・・。
「(気に食わない。何もかもが気に食わない。ハルナを信じられないわたしも、今ここで戸惑っているわたしも)」
何もかもが・・・気に食わない。
イラついたわたしは適当な方へライフルを向け、敵を探す。
当たり前だがこんなことで見つかってくれるほどマイもバカじゃな・・・・・・・え?
「・・・・なんですか、アレ」
スコープのはるか向こう側。
砂漠の中を砂煙を上げて疾走するバカ一匹発見。
しかもあれって・・・ファストオーガ、なんですかね・・・?
何かドリルだらけで刺々しいしでっかい黒いブーメランみたいなの装備してますけど、あの赤いボディは間違いなくファストオーガですよね。
・・・・まだ射程距離じゃないけど、撃っちゃおうかな。
ちょうどイラついてますし。
「・・・・って、何かまっすぐこっちに向かっているような・・・」
いや間違いない。
マイはまっすぐにこっちを目指して爆走してくる。
・・・気づかれた?
わたしは急いでライフルを構えるが、既に距離が近すぎた。
予想より速い・・!?
「にゃはははー!! とぉっ!!」
爆走、いや暴走してきたファストオーガはそのまま廃墟の手前で止まった。
ファストオーガの上では両腕を組んだ姿勢でマイが仁王立ちしている。
・・・・隙だらけですけど。
「――――――――マイ、参上ッ!!」
・・・・・・・。
本当にこの子はわたしよりも勝率高いんでしょうか。胡散臭く思えてきました。
・・・とりあえず撃つか?
廃墟の中に駐輪してあるストライクイーグルなら・・・ファストオーガよりも速いはず。
それとも砂の中に・・・・。
「ヘイサラやん。悪いけどあちしらは今回マジで行かせて貰うのだなん」
わたしが考えているとマイが何か話しかけてきました。
「・・・それはわたしとて同じこと」
「“わたし”? “わたしたち”じゃないのかなん?」
そういってマイはにやりと笑う。
・・・・不愉快だ。わかってていってますねこの馬鹿ネコは。
「・・・なんにしても、わたしはアナタを倒す。それだけです」
「ふん、いつもの余裕がないのだなん。それに・・・サラやんがただ勝って、それでいいのか? それでサラやんは満足なのか?」
「負けろと? それこそ冗談じゃない」
・・・いいながら、こっそりとスタングレネードをポケットから取り出す。
「・・・・だれも、負けろとはいってないのだ。それはナナやんだって同じこと」
ナナやん・・・ハルナの事が出ると、おもわずわたしの手は止まる。
あとはピンを抜いて投げるだけなのに。
「・・・どういう意味ですか」
「・・・さぁて? それは自分で見つけるのだなん」
ピンを抜いてマイに向かって投げつける。
一拍遅れて辺りに撒き散らされる閃光と爆音。
わたしはバイザーを下ろして廃墟の中に入る。
ストライクイーグルに跨るとフルスロットルでその場を離脱する。その、直前
「シィィンキオォォォオオ! ショォォォオオタァアアアイム!!」
マイの叫ぶ声が聞こえ、ファストオーガは一瞬で人型ロボットに変形していた。