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えむえむえす ~My marriage story~

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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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武装神姫のリン
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さて、夕飯後はいつものように、TV見ながらのまったりタイムです。
いつものようにマスターさんは両手で湯飲みをもって正座で、私もいつものようにマスターさんに並ぶように卓袱台の上で正座で。
最近、『いつものように』というのは、わりと高い幸せポイントを叩き出す要素なのではないかと思ったりしています。
その証拠にドッグテイルも、激しさこそないもののずっとふーりふーりと、止まることなく振られ続けているのです。
その一方で、『いつものよう』ではないからこそ幸せな部分もありまして。
具体的に言いますと、正座する私の下に敷かれた、武装神姫サイズの藍色の座布団です。
過日の神姫センター訪問の際にきちんとした正座が可能となった私に合わせ、マスターさんがお土産と称してお買い求め下さった、お気に入りの一品なのです。
武器や装備といった物以外にも、こういった痒いところに手の届くような小道具も扱っているあたり、神姫センターの品揃えは心憎いものですね。
と、マスターさんがごくさりげなく、湯飲みを卓袱台の上に置きました。
私は特に応えもなく、急須を抱えてお代わりを注ぎます。
ちなみに私の現在の装備は、ハウリン基本セットから武器と手甲・拳狼を外し、手は代わりに通常のマニュピレーターに換装しているている状態です。単純なパワーでは拳狼と腕甲・万武および胸甲・心守を連結させたほうが上ですが、やはり利便性では、指がしっかり使える通常のマニュピレーターのほうがなにかと使い勝手がよいのです。
「ありがとうございます」
深々。
「どういたしまして」
深々。
このあたりのやり取りも、すでに特別な会話は必要なくなっております。
これもまた『いつものように』な、幸せなやり取りですね。
『いつものように』あれば幸せで、『いつものようでない』ことも幸せで。
ああ、かくも世の中は幸せに満ちているのです、しみじみ。
「ところで犬子さん」
「何でしょうマスターさん」
ニュースが天気予報コーナーに変わったあたりで、マスターさんが口を開きました。
顔だけを僅かにこちらに向け膝は向けなおしていないので、話題としては軽いものになると推測されます。
とはいえこちらはお仕えする身、座布団の上でマスターさんに膝を向けなおし、拝聴する姿勢を取ります。
「ふと思い出したのですが、犬子さんにはあらかじめプログラムされた隠し芸をお持ちなのでしたよね」
「はい、ハウリン芸のことですね?」
「ええと、そんなお名前でしたっけか?」
「正確にはハウリンタイプ48の宴会芸カッコ封印指定により現在は正確には47カッコ閉じる、となっておりますが、長いので省略してハウリン芸と」
「なるほど。いえ、あれには他にどんなものがあるのかな、と思いまして」
「なるほどなるほど。では論より証拠、百聞は一見にしかず、ハウリン芸のメドレー公開をば」
いえ! 実演の前に、ぜひとも説明を!
……珍しい、マスターさんがエクスクラメーションマークつきの台詞をお話になるとは。
これはアレですね、以前公開し封印指定された『ゾンビ・ハンド』が、程よくトラウマ風味になっているご様子。
確かにアレは、起動直後で人間の情緒に通じていなかったとはいえ、失敗でした。
いかにあらかじめ外されていた腕部パーツがあって下準備的に絶好のチャンスだったとはいえ、マスターさんが武装神姫がパーツ分解可能であることに違和感を感じていらっしゃった時にわざわざあの技を選ぶとは……まさに「空気読め」と言うに相応しい失態です。
ですが。だからこそなおの事、誤解は解いておく必要がありますね。
私は座布団から立ち上がりますと、にっこりとマスターさんに笑いかけました。
「ご安心ください、マスターさん。『ゾンビ・ハンド』の類な芸ばかりではございませんので。例えば……」
だん、と私は脚甲・狗駆を踏み鳴らします。そして右足を大きく踏み出しつつ、前方に素早く左右で正拳二連。
すかさず左足が跳ね上がり、前蹴り。その左足で踏み込むと同時に、両の手を開くようにして前後に掌底打ち。
そして、右腕を下から、左腕は上から大きく回し、胸の前で交差させてから、視点を右に転じ重心をそちらにずらしつつ右裏拳。
一瞬の貯めのあと、今度は視点を左に転じ、右足で回し蹴り、間を置かず左足で後ろ回し蹴り、その回転の勢いを加速させるようにジャンプし、空中で右回し蹴り。
着地と同時に身を伏せ、回転の勢いを止めずに左の脚払い。
その勢いに乗ったままで身を起こし、全身のバネを使って大きく前方に踏み込みつつ、正拳。
正拳を打ち放った姿勢を保つこと2秒ののち、私は構えを解き、マスターさんに向き直ります。
そして膝を落とし正座をすると、深々と頭を下げます。
「ハウリン芸が18、演舞の型乙・心守・無手……お粗末さまでした」
「お見事でした」
すかさず、いつの間にやらこちらに膝を向けなおしていたマスターさんから、ぱちぱちと拍手をいただきました。恐縮です。
「とまぁこのように、隠し芸の大半は『踊り』の類なのです」
「ほほう、そうでしたか」
今のも基本的には、もとより武装神姫に備わっている攻撃モーションパターンの複合なのですが、それをうまく組み合わせればちょっとした演舞になるという訳です。
「ほかにも、十手や棘輪を用いたバージョンや、吠莱を棍に見立てたバージョン、それらの複合があり、それぞれが数パターンに分かれています」
さらには、胸甲・心守を装備している時と素体の時では関節可動範囲も変わってくるため、そこでもバージョン違いが存在しまして。
「結果、『演舞』の類だけでざっと半数は占めますね」
「なるほど、さすがは武装神姫と言ったところですか」
「そして他にも、開発中にモーションテストでプログラムされたダンスなどもありまして」
踊りという見栄えがあり重心の移動の大きい動きは、デモの意味でもテストの意味でも効果が高いため、武装神姫そのものの開発期にも、我がケモテック社内での開発期にも様々なダンスが仕込まれたようです。
「それが隠し芸として犬子さんに残されているわけですか……なるほど、武装神姫が成立する黎明期から受け継がれてきたものと考えると、感慨深いものがありますねぇ」
なるほど。その視点は、私にとっては新鮮です。
「私にとっては単なる用意されたプログラムと言う認識でしたが……確かに改めてその成立に思いを馳せてみると、こう、身が引き締まるというか、足場が踏み固められたような想いです」
「そうでしょうね、それはあなた方の先達の足跡そのもの……言うなれば武装神姫の、『伝統芸能』と言ったところですから」
そのような形容をお受けすると、まだまだ歴史の浅い武装神姫なりにも受け継がれてきたものがあるという実感を得て、深く感情回路に共鳴するものを覚えます。
それにつけてもさすがマスターさん、私に感銘を受けさせるお言葉もお手の物です。
……まぁ、私がマスターさんのお言葉ならなんでも感銘を受けるお手軽武装神姫だと言うことは置いておきましょう。
それはともかく。
「そんな訳で、私の中には様々なダンスが用意されているわけですが、我らがケモテック社製MMSともなれば、単なるダンスのさらに一つ上の芸も持ち合わせておりまして」
気を良くした私はさらなる芸をお見せするべく、立ち上がって右手を高々と差し上げ、ぱちんと指を高らかに鳴らしました。
それに呼応するように、マスターさんの座卓に備えられた私のクレイドルの傍に待機中だったプチマスィーンズが一斉に起動、螺旋を描くように一度天井近くまで上昇します。
そしてその高みから、私の背の壱号の指令を受けて、私の目の前に弐号が着地、さらにその上に参号がまたさらにその上に肆号が、どん! どん! どん!と積み上がって行きました。
すかさず私は、肆号の上に顎を載せます。
さらに私の頭部の上に伍号がどん!と着地。その衝撃に耐えながらも、フォーメーションを組み終えた私は、両手をしゃきーんと大きく雄大に広げて、芸の完成を示す最後の言葉を言い放ちます。

「トーテムポール」

……さすがはマスターさん。常人ならば10秒は反応に困ると思われるこのハウリン芸の38を目の当りにして、わずか二秒で拍手を開始されるとは。いつもながらお見事な義理堅さです。
ちなみにこの一連の仕草及び集結の軌道は実は必要のない動作なのですが、まぁバトルならばいざ知らず芸としてお見せするならば演出も重要と言うことで、いささか芝居がかっておりますので、悪しからず。
「ええと、それで、そのトーテムポールが、ダンスの一つ上の芸なのでしょうか?」
「いいえ」
わりと微妙なバランスを保つ必要のあるトーテムポールフォーメーションでは顔が動かせないので、視線だけでマスターさんを見上げて答える私です。
「これは単に、プチマスィーンズを手元に呼び寄せるついでです」
「そうですか」
「そうです」
つまりこれからが本番です。
頭上から伍号が退いたので、私は身を起こします。
肆号、参号、弐号も順にフォーメーションを解除し、改めて私の背後、腰の高さに整列しました。
おあつらえ向きに、CMに突入したテレビからは、リズミカルなBGMが流れてきます。
「お見せいたしましょう、ハウリン芸の難易度ナンバー3、『アドリブダンスwithプチ』を!」
私はつま先でステップを刻んでCMのリズムとの同調をはかり、同時に、私の背後に控えたプチマスィーンズたちにもリズムに合わせて揺れるような機動をとらせ……そして同調を終えた瞬間、BGMにあわせダンスを開始します。
今流れているのは化粧品のCMなのですが、BGMに流れるタイアップ流行アーティストのナンバーはアップビート気味で、私はそれに対して予測演算も交えつつリアルタイムで相応しいダンスステップを検索即実行、遅滞なく身を踊らせて行きます。もちろん背後のプチマスィーンズたちにもリズムに合わせた動きをさせ、バックダンサーとして演出させます。
……やがてCMが途切れ、別のCMに切り替わります。今度は日本茶のボトル飲料のCMで、BGMはうって変わって和風のゆったりしたリズムのものになりました。
すかさず私も処理リズムを再調整、再び同調を取ると、今のBGMにあわせたゆったりとした日本舞踊に近いダンスに切り替えます。
そんな風にCMの続く3分間、次々とBGMにあわせたダンスを披露して行きます。
……簡単に言っていますが、わりと大変なのですよ?
あらかじめ決めたリズムであらかじめ決まった機動を取るのではなく、その場に流れるBGMに相応しい動きを瞬時に選択、その選択にあわせた身体運動の制御、さらにはプチマスィーンズへの指令までをも並列処理。
しかも、それぞれが場当たり的ではいけません。ダンスとしての統一感があるように……と、口で言えば一言ですが、それを判断しうる感性の発達が大前提として必要で、つまりいわば創造性をも駆使せねばならないのです。
ハウリン芸の難易度ナンバー3に数えられるのは伊達ではないのですよ。
まぁもっとも、そんな「水面下で激しく足を動かす白鳥」的な事情は、ちゃんと説明しないとなかなかオーナーには……とりわけマスターさんには伝わりにくいのですけどね。
とはいえそれを差し引いて見ても、BGMに合わせて次々変わる、バックダンサーを従えてのダンスには見栄えがよく、それだけでもハウリン芸の上位にランクインしていることの説得力は十分かと。
CMが明けダンスも終了させた私は、座礼をしようとして……ちょっと考えてそれは止めて、代わりに頭甲を外します。
そして頭甲を持った右手を一度頭上に差し上げてから、右足を左後方に引きつつ、右手を大きく横から回すように胸の前まで持ってきながら、一礼。
ちょっと優雅を気取ってみました。
すかさず(今度は遅滞なく)マスターさんからの高らかな拍手を頂きます。
「素敵でしたよ、犬子さん」
「過分なお言葉、痛み入ります」
私は恐縮しつつ照れながら、頭甲を付け直しました。うん、セット良し。
「お気に入りいただけたようで何よりです。現状これが、私のお見せできる最高の芸ですので」
再び座布団の上に正座し、私は深々と座礼します。
その言葉に、マスターさんは首を僅かに傾げました。
「先ほど犬子さんは、今のダンスを三番目と仰っていたように思いますが?」
む、つっこまれてしまいましたか。これは私が迂闊だったと言うべきでしょう。とはいえ聞かれたら嘘が言えないのが武装神姫。答えるほかありません。あとはうまく、話題を誘導できるか否か。
「ええ、仰る通り、難易度の高いものがさらに二つあるのですが、現状ではお見せできないのです」
「ほほう? それはどういった訳なのですか?」
「はい、一つは芸として危険度が高く不適切な面もあるための自粛です。
 そしてもう一方は単純に、まだ完成していないのです」
マスターさんは、再び小さく首を傾げます。
「完成していない状態で、芸として登録されているのですか?」
「はい、その芸の理論だけ与えられて、実行部分はすっぽりと抜け落ちている、そんな状態でして」
「それは不思議なお話ですねぇ。その理論と言う部分を、お聞かせ願えますか?」
「はい。その芸、『オリジナルダンス』と銘打たれたそれの解説は、『オリジナルの歌を創作し、それに合わせてオリジナルのダンスを踊る』とだけ記載されております」
「ふむ、オリジナル、ですか……」
マスターさん、それがどういうことかと思案するように、一口お茶を飲まれました。
「犬子さんは、それをどう思いますか?」
「はい」
私は居住まいを正し、ずっと考えていた答えを口にします。


「私はこれを、『開発者の皆様からのメッセージ』ではないか、と考えております」








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