「……本当なんですか?」
机の上、秋葉が手を止めて、かすみに聞いた。
「少なくとも、あの刑事さんが嘘をつく理由はないわ。それに実際、窃盗事件が多発してるのも事実なんだし」
「だったら何も、わざわざ実験を強行しなくても」
「そうは言ってもね……。半分所長の趣味とはいえ、ここはかなり黒寄りグレーゾーンのモノを造ってるから。それに、私達が実験を行うことで、その窃盗団をおびき出すこともできるでしょ?」
秋葉はその言葉の意味を少し考え、
「……それって、私達が『餌』になるってことですか?」
「そう……なるわね」
溜息をついた。
「ひっでえな、その刑事」
隣で会話を聞いていたはやてが、吐き捨てるように言う。
「仕方ないのよ。いずれどこかがこういうコトをしないと、その窃盗団も捕まりそうにない、って言ってたもの」
「なあ、あたしも行っちゃダメ?」
はやてがかすみに聞く。
「……無茶言わないで。今日、あなたを刑事さんから隠すのにすごく気を使ったのよ?」
「でも心配だよ……」
「そうね……。はやては無理だろうけど、アリスなら、大丈夫かしら」
その言葉に、はやては顔を輝かせた。
「ホント!?」
「危ない橋は……、アリスもいっぱい渡ってきたものね。お願い、していい?」
「うん!」
机の上、秋葉が手を止めて、かすみに聞いた。
「少なくとも、あの刑事さんが嘘をつく理由はないわ。それに実際、窃盗事件が多発してるのも事実なんだし」
「だったら何も、わざわざ実験を強行しなくても」
「そうは言ってもね……。半分所長の趣味とはいえ、ここはかなり黒寄りグレーゾーンのモノを造ってるから。それに、私達が実験を行うことで、その窃盗団をおびき出すこともできるでしょ?」
秋葉はその言葉の意味を少し考え、
「……それって、私達が『餌』になるってことですか?」
「そう……なるわね」
溜息をついた。
「ひっでえな、その刑事」
隣で会話を聞いていたはやてが、吐き捨てるように言う。
「仕方ないのよ。いずれどこかがこういうコトをしないと、その窃盗団も捕まりそうにない、って言ってたもの」
「なあ、あたしも行っちゃダメ?」
はやてがかすみに聞く。
「……無茶言わないで。今日、あなたを刑事さんから隠すのにすごく気を使ったのよ?」
「でも心配だよ……」
「そうね……。はやては無理だろうけど、アリスなら、大丈夫かしら」
その言葉に、はやては顔を輝かせた。
「ホント!?」
「危ない橋は……、アリスもいっぱい渡ってきたものね。お願い、していい?」
「うん!」
「ああ、人間とはなぜこうも、常に誘惑と戦い、時に悪事に走るのだろう……」
高明が、相変わらずの演技口調でえんえんしゃべっている。
「そんな世界で、我々は正義のもと、断固として悪に立ち向かわねば!」
「……言ってるコトはわからんが、要するに護衛やれってことだな?」
「そう! さすがは僕の友人、察しがいい!」
(あ、リュミエは帰したんだっけ……。明日、朝一で回収してこないと)
さらに続く高明の長口上は無視し、修也はつらつらと、そんな事を考えた。
高明が、相変わらずの演技口調でえんえんしゃべっている。
「そんな世界で、我々は正義のもと、断固として悪に立ち向かわねば!」
「……言ってるコトはわからんが、要するに護衛やれってことだな?」
「そう! さすがは僕の友人、察しがいい!」
(あ、リュミエは帰したんだっけ……。明日、朝一で回収してこないと)
さらに続く高明の長口上は無視し、修也はつらつらと、そんな事を考えた。
翌日。人気のない、使われなくなって久しい公園に、彼らはいた。
「そちらのお二人は、昨日はお会いしませんでしたね?」
刑事……松田敏郎が、修也と高明の二人を見て言った。
「ええ、青葉の同僚の、小林高明といいます」
こういうところでは、ナゼか高明は普通にしゃべる。
「こっちが、今回護衛を買って出てくれた」
「上岡修也、です」
「そうですか。私は松田敏郎です。こっちが」
「トシローの神姫、ランだヨ! ヨロシク!」
ショートカットのサンタ型神姫が、二人に挨拶する。その素体は、通常の素体とは、姿を異にしていた。
「できればそちらの神姫も、紹介していただきたいのですが」
「あ、ええ」
まず、修也がショルダーバッグから、リュミエを出す。
「リュミエといいます、よろしくお願いします」
すでにフライトユニットと強化型エクステンドブースターを背負っていた。さらに、右腕がストラーフのサブアーム「チーグル」に換装されている。
鳳凰杯での、対ミュリエル戦での敗北後、その破壊力に気づいた修也が考案した、新型の弾丸装備だった。
続けて今回のテスト担当の舞姫、整備及びデータ回収担当の秋葉が自己紹介し、最後に、
「……アリス。今回は護衛担当」
素体のままの、悪魔型が名乗った。
敏郎とランが、北側を。修也とリュミエが南側、アリスがかすみの周囲という配置になり、一同が準備に入った時。
「すいません! 遅れちゃって……」
男性が一人、公園に入って来た。
「おう虎太郎、来たか」
敏郎が、その男性に声を掛ける。
「コイツは高槻虎太郎です。優秀な『修理屋』なんで、何か役に立つと思って連れてきました」
「そちらのお二人は、昨日はお会いしませんでしたね?」
刑事……松田敏郎が、修也と高明の二人を見て言った。
「ええ、青葉の同僚の、小林高明といいます」
こういうところでは、ナゼか高明は普通にしゃべる。
「こっちが、今回護衛を買って出てくれた」
「上岡修也、です」
「そうですか。私は松田敏郎です。こっちが」
「トシローの神姫、ランだヨ! ヨロシク!」
ショートカットのサンタ型神姫が、二人に挨拶する。その素体は、通常の素体とは、姿を異にしていた。
「できればそちらの神姫も、紹介していただきたいのですが」
「あ、ええ」
まず、修也がショルダーバッグから、リュミエを出す。
「リュミエといいます、よろしくお願いします」
すでにフライトユニットと強化型エクステンドブースターを背負っていた。さらに、右腕がストラーフのサブアーム「チーグル」に換装されている。
鳳凰杯での、対ミュリエル戦での敗北後、その破壊力に気づいた修也が考案した、新型の弾丸装備だった。
続けて今回のテスト担当の舞姫、整備及びデータ回収担当の秋葉が自己紹介し、最後に、
「……アリス。今回は護衛担当」
素体のままの、悪魔型が名乗った。
敏郎とランが、北側を。修也とリュミエが南側、アリスがかすみの周囲という配置になり、一同が準備に入った時。
「すいません! 遅れちゃって……」
男性が一人、公園に入って来た。
「おう虎太郎、来たか」
敏郎が、その男性に声を掛ける。
「コイツは高槻虎太郎です。優秀な『修理屋』なんで、何か役に立つと思って連れてきました」
「……そうですか。じゃあこの子は、性格インプットからご自分で?」
「ええ、なんの因果か、猫になっちゃいましたけど」
かすみと虎太郎は、技術者同士ということで意気投合していた。
視線の先には二体のハウリン。
「そちらの神姫は、三体とも青葉さんの神姫なんですか?」
「……ええ、まあ」
正確に言ってしまうと、アリスは違うのだが。面倒になるのもイヤだったので、かすみは黙っていた。
「ええ、なんの因果か、猫になっちゃいましたけど」
かすみと虎太郎は、技術者同士ということで意気投合していた。
視線の先には二体のハウリン。
「そちらの神姫は、三体とも青葉さんの神姫なんですか?」
「……ええ、まあ」
正確に言ってしまうと、アリスは違うのだが。面倒になるのもイヤだったので、かすみは黙っていた。
……そして数分後。それは来た。
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