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えむえむえす ~My marriage story~

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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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武装神姫のリン
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 「フラッシュバックによるセイフティーの作動。それと急激な電圧低下によるスリープモードへの強制切り替え」
 冬花の寝ているクレイドルが接続されたノートパソコンに表示される各種データーを見たまま、つまらなそうに話す。そう見えるが実際につまらないわけではない。
「まぁ、ショック状態による気絶。これがしっくりくるかな」
 座っている椅子の背もたれに体を預け振り向く。やれやれという感じで苦笑いをしているが、目には優しさが見える。
「心配ないよ鈴夏ちゃん。今はスリープモードで充電しているだけだから」
 冬花が眠るクレイドルの横に座って居た私に向かってウインクをする。…気障なんだけどこういうことの似合う人だ。
「悪いな宗司。急に呼び出したりして」
 秋人が普段使っている机にはこの家の者ではない人物が陣取っている。
「なに。時間も空いてたし、かまわないさ」
 秋人の学生時代からの友人であり、神姫オーナー仲間。名は“神無月 宗司”という。
 職業は歯科技工士。ナンバーワンよりオンリーワンは彼の口癖。
「相変わらずソフト面は弱いんですね」
 ノートパソコンに繋がったもう一つのクレイドルで上半身を起こしながら、彼のパートナーの神姫が秋人に話しかける。
「…沙雪も悪いね。宗司を借りちゃって」
 宗司にとうとう頭部までカスタムを施され、頭の上に動物の耳まで生えてるし…本人は口ではあれこれと抗議していたが、割と気に入っているようだ。宗司にとってのオンリーワンである事が嬉しいのだろう。
「いえ。でも秋人さんらしくないプログラムが組み込まれてますね」
「…色々と訳ありでね」


 秋人からの説明が始まってから十数分。私も詳しくは聞く事が無かった冬花の経緯を聞く事になった。
「…しっかしメーカーさんも粋なことするね~。前オーナーの登録データ消去、出来ない物は封印。さらにこれまでの記憶の維持をしたままでオーナーの変更。本来なら回収されて今ごろどうなっていたか…」
 複雑な表情を浮かべ、宗司が秋人の話の感想を言う。
「そう…ですね。でも本当、メーカーの方がよく許可しましたね。本来そういったことはしない筈なのですが…」
 沙雪もその経緯に不思議そうな顔をしている。
「…メーカーの対応としては本来ありえない筈だけど、今はこうして此処にいる」
 優しい眼差しでクレイドルに横たわる冬花を見ながら、秋人は言う。
「あの時のメーカースタッフが冬花を身請けする事になぜか許可を出して、その上俺の提案にも色々と対応してくれたかは今となっては答えが聞けるわけでもないし。疑問は沢山あるけど、まぁいいんじゃない?」
 宗司は肩を竦め、沙雪は苦笑いを浮かべる。
 …やれやれ。良くも悪くも秋人らしい答えね。
「さて、話を戻しますか。今の話とさっき診た状態から、まずフラッシュバックに関しては以前の記憶が絡んだもので、発症のタイミングからバーチャルとはいえ戦闘で相手を直接傷つけた事に対しての過剰反応だと思う。」
 宗司が口元に手を当て、考えながらゆっくりと語りだす。
「これはリセットしないのなら人間と同じで、自分にあった何らかの方法で克服するしかない。ただ今後バトルをしないのならその必要は無いと思うけど」
 秋人の目に安堵の色が浮ぶ。私も安堵の吐息を漏らす。秋人の下にいる限り、冬花が望まなければ今後バトルに参加する事は無い。今回の事も私が興味本位でバトルに誘わなければこんな事にはならなかったのに…
 知らず知らずの内に手を硬く握り締め、私は俯いた。
「で、急激な電圧低下の原因は、言わなくても分かると思うけどこの妙なプログラムの所為だね。ログを見たけど戦闘機動しているときに馬鹿みたいにバッテリーを消費している」
 モニターに映し出されているそのプログラム。冬花に組み込まれた…いや、突き刺さった刃だ。そのままにしておくには危険なのに、抜く事も出来ない。
「あと、普段のときでも時々このプログラムが作動しているよね」
 秋人と会話をしつつ、キーボードを叩きモニターに目を通す。
「あぁ。どうも何か行動をする直前に先読みをしている時があるみたいなんだ」
「本人には聞いたのか?」
「冬花の話だと自覚はまったく無いってさ」
 さらにキーボードを叩き、幾つかのデーターをチェックしていたが、その手が不意に止まり、宗司は口元に手を当てて考え込む。
「聞いた限りだとどうにかなるかと思ったんだけど…確かに手出しがしづらい状態になってるね…」
「…そう…か」
「ただもう少し現状よりは良い状態に修復は出来ると思う」
 宗司は確認するように沙雪を見た。
「はい。今の状態よりは、もう少しバランスが取れた状態になると思います」
 クレイドルを通してデーターを見ていた沙雪が同意する。
「30分ぐらいで出来そうだから今やっとくね」
 秋人の返事を待たず宗司は沙雪と幾つかの打ち合わせの後、すぐに作業を始めた。
「…さて。鈴夏、俺は晩御飯の準備してくるから」
 長い付き合いの上に生まれる信頼関係なのか諦めなのか、返事を待たずに作業を始める宗司を止める事無く部屋を後にする。
「あ、もうこんな時間になっていたんですね…」
 時計は午後8時を後数分で指そうとしていた。


「ご馳走さん。いや、しかし以外だ。本当にお前が作ったのかこれ」
 宗司がテーブルの上を見ながら聞く。そこにはきれいに何も残らず片付いた食器が幾つか残されている。結構な量の料理があった筈だが7割は宗司の胃に収まった。
 その食べっぷりを秋人は「相変わらず痩せの大食いだな」と苦笑し、沙雪は「はぁ…よかった。久しぶりにちゃんとした食事を摂ってくれて」と大きなため息をついていた。
「なんか悪いな。たいした事も出来なかったのに飯食わしてもらって」
「まぁ、気持ちだから」
「そうか?んじゃ、出来る事はとりあえず終わったし。そろそろ帰るわ」
 席を立つと沙雪を連れ、すたすたと荷物の置いてある秋人の部屋へと向かう。
 秋人は食器を流しに片付けてから私を連れて後に続く。
 部屋につくと帰り支度の済んだ宗司が冬花を見ていたが、私達に気が付くとこちらに振り向く。
「どうかしたか、宗司?」
 この時、冬花を見ていた宗司の目に私は何かを感じた。そして秋人も同じ様に何か感じたのか、宗司に問い掛けた。
「ん?いや、この子が秋人の所に来たのも、色んな巡り合わせの一つかと思うとなかなかに感慨深いものがあるなと思ってさ」
 宗司が語りながらまた冬花を見る。その目には色々な感情が入り乱れているようで私では理解できなかった。
「充電はもうじき終わる筈だから、起きたら直接冬花ちゃんを問診しておけよ。この子もこんな事は初めてな訳だからちゃんとフォローも忘れるなよ?」
 部屋を出る際に秋人の肩を軽く叩きウインクをする。
「…鈴夏、ちょっとそこまで宗司を送ってくるから留守番頼む。それと弥生ねえ達が戻ってきちゃったら晩飯はすぐ準備するから少しだけ待ってって言っといて」
 そう言うと私を冬花が横になっているクレイドルの脇に下ろし、宗司に続き部屋を出る。
 パタパタと廊下を走る音の後に、玄関の開閉の音が聞こえた。
「…どうかしたのかしらね?ねぇ、冬花」
 クレイドルに横たわる冬花の頬に触れ、少し固めの髪を手櫛で鋤く。
「ごめんね。私の我儘の所為でこんなに辛い思いさせて…」 
 冬花と二人っきりになり、秋人にはこれ以上心配を掛け無いように抑えていた感情に、歯止めが利かなくなってきた。後悔と懺悔。軽率な自分の行動でマスターである秋人に迷惑を掛け、他の人にまで迷惑や心配をさせてしまった。
 それに冬花の心の傷に触れてしまった。宗司は後少しで目覚めると言っていたが、このまま目覚めなかったらという不安が私の中を埋め尽くそうとしていた。
「お願い…冬花。早く貴方の声を聞かせて…」
 冬花の手を取り胸に抱き、嗚咽を漏らす。こんな気持ちになったのは秋人の下で目覚めてから初めてだった。この家の中はいつも優しい空気に包まれている。その空気を壊しかけてしまった。自分の引き起こした事なのだが気持ちの整理が全く出来ない。その苦しみに押しつぶされそうだった。
 そのとき鈴夏の耳に聞きなれた音が聞こえてくる。神姫の起動音だ。
「…冬花?」
 横になったままうっすらと瞼を開く。焦点が定まらないまま暫らく視線はそのままでいたが左右を確認するように視線が動き、鈴夏の姿を確認すると焦点が定まる。
「………鈴夏姉さん?……えっと、私…」
 また瞼を閉じ、記憶を確認する。
「…あぁ。私意識を失っていたんですね」
「ええ。宗司が来て貴方を診てくれたわ。腕は確かな人だからもう大丈夫よ」
「…宗司?」
「秋人の友人よ。それより大丈夫?身体におかしな所は無い?」
「はい。問題はないです」
 冬花は上半身を起こす。鈴夏は座り直すと背筋を伸ばし冬花を見る。
「…冬花、私は私の軽率な行動で貴方に辛い思いをさせてしまって、私は…」
 まともに冬花の顔が見れなくなり、鈴夏は俯く。
「…謝って済むような事でないのは分って…」
「鈴夏姉さん。」
 冬花の呼びかけが鈴夏の言葉を遮る。
「偶発的な事故だったんです。謝るような事ではありません」
「それでも!」
「それと…不謹慎なのは分っているんですが、心配されるという事が何か嬉しくて」
 少し恥ずかしそうに鈴夏に微笑む。その本当に嬉しそうな顔に気負いが削がれた。
「…もう。でもきちんと謝罪だけはさせてね。…冬花、本当に今回の事は御免なさい。もう少し私が気をつけてればよかったんだけど」
「はい。ではこの事はこれでお終いにしましょう。これ以上は秋人さんにさらに心配事を増やしてしまいそうですし」
 冬花が鈴夏に笑いかける。その笑顔に鈴夏の頬に喜びの涙がひと筋流れた。


   <つづく>




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