紅き星の下、月を臨む者(前編)
まずは“妹”のロッテちゃんがセカンドへの昇格権をゲットしましたッ!
こうなると三姉妹の“長姉”であるあたし・アルマも負けてられません。
心の奥では不安と期待に闘志でいっぱいですけど、まずはそれを押し殺し
勝利の凱旋をしてきたロッテちゃんを、皆で労う為に出迎えてあげます。
こうなると三姉妹の“長姉”であるあたし・アルマも負けてられません。
心の奥では不安と期待に闘志でいっぱいですけど、まずはそれを押し殺し
勝利の凱旋をしてきたロッテちゃんを、皆で労う為に出迎えてあげます。
「ロッテ、見事だっ!これで一歩上に望めるな、良い働きだぞ有無ッ!」
「……正直ヒヤヒヤしたけど、あの逆転劇とかかなり出来過ぎなんだよ」
「みんな、ありがとうございますの~♪でも、まだ気は抜けませんの!」
「そう、ですね……皆で上に行かないと意味はないですからね、うんッ」
『槇野晶さん、アルマのバトルが開始出来ます。オーナー席までどうぞ』
「……正直ヒヤヒヤしたけど、あの逆転劇とかかなり出来過ぎなんだよ」
「みんな、ありがとうございますの~♪でも、まだ気は抜けませんの!」
「そう、ですね……皆で上に行かないと意味はないですからね、うんッ」
『槇野晶さん、アルマのバトルが開始出来ます。オーナー席までどうぞ』
あたしとマイスターの名前が喚ばれました。マイスターが作っている、
“Electro Lolita”製のジャンパースカートを翻し、あたしはゲートの
ステップに立って着席したマイスターを振り返り……こう言いました。
“Electro Lolita”製のジャンパースカートを翻し、あたしはゲートの
ステップに立って着席したマイスターを振り返り……こう言いました。
「精一杯、頑張ってきます!見ていてください、あたしの戦いッ!!」
「有無、蹴散らしてこい!アルマならばきっとやれる、期待するぞ!」
「アルマお姉ちゃん、早くわたしの所まで来てくださいですの~っ♪」
「……でも気を付けて、今回のフィールドは海上基地らしいんだよ?」
「有無、蹴散らしてこい!アルマならばきっとやれる、期待するぞ!」
「アルマお姉ちゃん、早くわたしの所まで来てくださいですの~っ♪」
「……でも気を付けて、今回のフィールドは海上基地らしいんだよ?」
クララちゃんが、何か気になる事を言いました……海上基地、って事は
周りは全部海……って事なんですよね?そうなると、位置取りには気を
配らないと、不利になりそう……でも、あたしにはモリアンがいます!
“彼女”を信じる事にして、あたしはヴァーチャル空間に没入します。
周りは全部海……って事なんですよね?そうなると、位置取りには気を
配らないと、不利になりそう……でも、あたしにはモリアンがいます!
“彼女”を信じる事にして、あたしはヴァーチャル空間に没入します。
『アルマvsティテュス、本日のサードリーグ第13戦闘、開始します!』
「行きますよ、エルテリア!モリアン!……はぁぁぁっ!!」
『待てアルマ、すぐに跳べッ!!』
「え?き、きゃあぁぁぁあ~っ!?」
「行きますよ、エルテリア!モリアン!……はぁぁぁっ!!」
『待てアルマ、すぐに跳べッ!!』
「え?き、きゃあぁぁぁあ~っ!?」
そうして、あたしは勢いよく駆け出しました……けど、すぐ恐ろしい事に
気付いたんです……ゲートの先は足場がない、空の上だったんですよ!?
慌てて踏み切り、三角飛びの様に床と右の壁を蹴って、足場に跳びます。
この服装が災いして、飛距離はギリギリ届く位でした……だけどその時!
気付いたんです……ゲートの先は足場がない、空の上だったんですよ!?
慌てて踏み切り、三角飛びの様に床と右の壁を蹴って、足場に跳びます。
この服装が災いして、飛距離はギリギリ届く位でした……だけどその時!
「──────ッ!?来る……下ッ!?」
「ほほほほほ、お逝きなさいなッ!」
「せいッ!!……きゃうんっ!……いたたた……」
「ほほほほほ、お逝きなさいなッ!」
「せいッ!!……きゃうんっ!……いたたた……」
遙か眼下……つまり海中から、鎖に繋がれた槍が飛び出してきたんです!
恐らく射出か投擲をされたその槍は、まっすぐにあたしを狙ってきます。
でも、あたしだって串刺しにされる趣味はありません。エルテリアを抜き
薙ぎ払う事で、槍の直撃を退けました……着地は無様でしたけど、うぅ。
恐らく射出か投擲をされたその槍は、まっすぐにあたしを狙ってきます。
でも、あたしだって串刺しにされる趣味はありません。エルテリアを抜き
薙ぎ払う事で、槍の直撃を退けました……着地は無様でしたけど、うぅ。
「痛た……な、なんですか今の!?」
「おほほほほほ!大半のお馬鹿さんはダメージを受けるんですけど……」
「だ、誰ですかっ!?何処に居るんですかっ!!」
「何処を見てらっしゃるの?全く、地上しか歩けない無能は……ふっ!」
「あ、あぁ……海中から、これは……“スキュラ”っ!?」
「おほほほほほ!大半のお馬鹿さんはダメージを受けるんですけど……」
「だ、誰ですかっ!?何処に居るんですかっ!!」
「何処を見てらっしゃるの?全く、地上しか歩けない無能は……ふっ!」
「あ、あぁ……海中から、これは……“スキュラ”っ!?」
海を割る様な轟音と共に飛び上がってきたのは、神姫の人を模した姿と
一線を画した、奇妙なモジュールを装備したイーアネイラタイプです。
上半身はイーアネイラ素体ですけど下半身は人魚型のそれではなくて、
獰猛そうな獣の頭を始めに、禍々しくて太い前足と鳥類の様な後ろ足、
塗装とパーツ替えで蝙蝠の様なデザインに代わったエウクランテの翼、
女王蜂の様に膨らんだ腰と、先から伸びる長い尾……先端には鋭い針。
そして、モジュールの所々に生えている鋭いヒレ……ギリシャ神話とは
少々違いますけど、モチーフ的に“スキュラ”だと思える形状でした。
一線を画した、奇妙なモジュールを装備したイーアネイラタイプです。
上半身はイーアネイラ素体ですけど下半身は人魚型のそれではなくて、
獰猛そうな獣の頭を始めに、禍々しくて太い前足と鳥類の様な後ろ足、
塗装とパーツ替えで蝙蝠の様なデザインに代わったエウクランテの翼、
女王蜂の様に膨らんだ腰と、先から伸びる長い尾……先端には鋭い針。
そして、モジュールの所々に生えている鋭いヒレ……ギリシャ神話とは
少々違いますけど、モチーフ的に“スキュラ”だと思える形状でした。
「そう、わたくしはティテュス。貴女を蹴散らしてセカンドに往く者!」
「さ、させませんよ。今日はあたしがセカンドに登るんですからっ!」
「そんなナマクラ一本で?!おーっほっほっほ……お逝きッ!!!」
「ッ!その技は、一度見ましたッ!!」
『“W.I.N.G.S.”……Execution!』
「くっ!?」
「さ、させませんよ。今日はあたしがセカンドに登るんですからっ!」
「そんなナマクラ一本で?!おーっほっほっほ……お逝きッ!!!」
「ッ!その技は、一度見ましたッ!!」
『“W.I.N.G.S.”……Execution!』
「くっ!?」
獣の首に鎖で繋がれた槍を投擲するティテュスさん。鋭い一撃ですけど、
さっきの奇襲で使われたそれと同じ技です。しかも安定した足場の上なら
弾けない道理はありません!逆手に構えたエルテリアで斬り払いました。
同時に、ジャンパースカートから“レーラズ”へと“変身”しますッ!!
さっきの奇襲で使われたそれと同じ技です。しかも安定した足場の上なら
弾けない道理はありません!逆手に構えたエルテリアで斬り払いました。
同時に、ジャンパースカートから“レーラズ”へと“変身”しますッ!!
「ふぅん、さっきのはマグレじゃなかったのね?しぶとい悪魔です事」
「……あたしは、もう悪魔じゃないです。モリアンッ!!」
『No problem(すぐに支援出来ます)』
「なっ!?……くっ!?このメカは、先程の天使が使った……!?」
「あたしは戦乙女、でもそれも今日までです……あたしは進化します!」
「ぐぁっ!?なんのこれ位で……くあうっ!?」
「……あたしは、もう悪魔じゃないです。モリアンッ!!」
『No problem(すぐに支援出来ます)』
「なっ!?……くっ!?このメカは、先程の天使が使った……!?」
「あたしは戦乙女、でもそれも今日までです……あたしは進化します!」
「ぐぁっ!?なんのこれ位で……くあうっ!?」
あたしの呼びかけに応じフィールドに転送されたモリアンは、白熱化した
アウトレイジを振り上げ、ティテュスさんへと大上段に斬りかかります!
それを凌がれだ瞬間、あたしとモリアンの立ち位置は入れ替わり……剣を
振り抜いて、海の魔物を仕留める為に上半身……特に喉を斬りつけます!
アウトレイジを振り上げ、ティテュスさんへと大上段に斬りかかります!
それを凌がれだ瞬間、あたしとモリアンの立ち位置は入れ替わり……剣を
振り抜いて、海の魔物を仕留める為に上半身……特に喉を斬りつけます!
「ぐ、くぅ……穢らわしいッ!!離れなさい!!」
「きゃんっ!?……さ、さすがに一太刀では仕留められませんね」
「貴女みたいな小娘にそうそうやられてたまりますか、ふっ!」
「え?……海に飛び込んだ!?ま、待って下さ……きゃあっ!!!」
「きゃんっ!?……さ、さすがに一太刀では仕留められませんね」
「貴女みたいな小娘にそうそうやられてたまりますか、ふっ!」
「え?……海に飛び込んだ!?ま、待って下さ……きゃあっ!!!」
しかしすんでの所で止められて、あたしは前足で吹き飛ばされました。
ダメージ量もさる事ながら大きくノックバックしてしまったあたしは、
海上基地の台座から飛び降りて海に消える彼女を、追えませんでした。
──────海中からミサイルが飛んできたのは、その直後の事です!
モリアンはどうにか避けましたが、あたしは爆風に巻き込まれました。
ダメージ量もさる事ながら大きくノックバックしてしまったあたしは、
海上基地の台座から飛び降りて海に消える彼女を、追えませんでした。
──────海中からミサイルが飛んできたのは、その直後の事です!
モリアンはどうにか避けましたが、あたしは爆風に巻き込まれました。
「ぐ……う、ぅう……こ、これはッ!?」
「ほ~っほっほっほっほっほ!これでわたくしは最強無敵ッ!!」
「ま、まるで潜水艦みたいですね……モリアン、行けますか?」
『No problem(これしきなら、問題有りません)』
「ほ~っほっほっほっほっほ!これでわたくしは最強無敵ッ!!」
「ま、まるで潜水艦みたいですね……モリアン、行けますか?」
『No problem(これしきなら、問題有りません)』
──────この程度で、負けられませんッ!