「ハルナ! 指示を!!」
『そこはヤバイわ! 後退して!!』
神姫センターのバトル筐体で私とサラは戦っていた。
ステージは廃墟。はっきり言ってサラの一番苦手なステージだった。
『いいぞカンナ。そのまま押して行け』
「オッケーマスター!」
相手はこの間のストラーフ。
砂漠でサラに負けた奴だ。
『そのまま建物に入って! そこじゃ狙い撃ちよ!』
「了解ッ!!」
私の指示通りに、サラは建物へ入ろうと走り出す・・・が
「遅いんだよっ!!」
後ろから、ストラーフのライフル弾がサラを襲う。
その弾丸はサラのバックパックに命中し、その衝撃でサラは転倒してしまった。
「よぉ、この間はどうも」
転倒からサラが起き上がる前に、ストラーフはサラをバックパックの上に座る。
これで、サラはもう自重で動けなくなった。
・・・・いや、まだ副腕が・・・。
「おっと妙な真似するなよ? その機械腕で何かしようとしたら容赦なく撃つぜ。尻尾も同じだ」
彼女はそういって右手のライフルをサラの頭に突きつけた。
・・・・読まれていたか、ちぇ。
「さて、あたしゃこの間あんたにやられてからずっと、再戦を望んでたんだ。そして同じような目にあわせてやりたいなってね。・・・・さて、降参しな。あたしは別に撃ってもいいけど。降参の権利くらいは認めてやるよ」
「・・・優しいんですね」
ライフルを突きつけられ、動きも封じられたサラが言う。
「優しいのはあたしじゃないさ。うちのマスターが、過剰な攻撃は控えろってよ」
そういってカンナと呼ばれている彼女は少しだけ笑う。
私は思わず筐体を挟んだ向こうにいる彼女のマスターを見る。少し照れたような表情で頭を掻いていた。
「さてどうするよ、こいつのマスターさん。あたしとしちゃ、タイムアップ前にケリをつけたいんだけど・・・・」
そういってカンナは少しだけライフルを動かす。
何もかもがあの時の反転だった。
「サラ、降参なさい。あなたにこの場所で勝ち目は無いわ」
私は溜息をつきながら、サラにそういった。
『そこはヤバイわ! 後退して!!』
神姫センターのバトル筐体で私とサラは戦っていた。
ステージは廃墟。はっきり言ってサラの一番苦手なステージだった。
『いいぞカンナ。そのまま押して行け』
「オッケーマスター!」
相手はこの間のストラーフ。
砂漠でサラに負けた奴だ。
『そのまま建物に入って! そこじゃ狙い撃ちよ!』
「了解ッ!!」
私の指示通りに、サラは建物へ入ろうと走り出す・・・が
「遅いんだよっ!!」
後ろから、ストラーフのライフル弾がサラを襲う。
その弾丸はサラのバックパックに命中し、その衝撃でサラは転倒してしまった。
「よぉ、この間はどうも」
転倒からサラが起き上がる前に、ストラーフはサラをバックパックの上に座る。
これで、サラはもう自重で動けなくなった。
・・・・いや、まだ副腕が・・・。
「おっと妙な真似するなよ? その機械腕で何かしようとしたら容赦なく撃つぜ。尻尾も同じだ」
彼女はそういって右手のライフルをサラの頭に突きつけた。
・・・・読まれていたか、ちぇ。
「さて、あたしゃこの間あんたにやられてからずっと、再戦を望んでたんだ。そして同じような目にあわせてやりたいなってね。・・・・さて、降参しな。あたしは別に撃ってもいいけど。降参の権利くらいは認めてやるよ」
「・・・優しいんですね」
ライフルを突きつけられ、動きも封じられたサラが言う。
「優しいのはあたしじゃないさ。うちのマスターが、過剰な攻撃は控えろってよ」
そういってカンナと呼ばれている彼女は少しだけ笑う。
私は思わず筐体を挟んだ向こうにいる彼女のマスターを見る。少し照れたような表情で頭を掻いていた。
「さてどうするよ、こいつのマスターさん。あたしとしちゃ、タイムアップ前にケリをつけたいんだけど・・・・」
そういってカンナは少しだけライフルを動かす。
何もかもがあの時の反転だった。
「サラ、降参なさい。あなたにこの場所で勝ち目は無いわ」
私は溜息をつきながら、サラにそういった。
*
クラブハンド・フォートブラッグ
クラブハンド・フォートブラッグ
第四話
『第23回・サラはどうして勝てないのか会議』
「え~・・・第23回『サラはどうして勝てないのか会議』~」
センターから帰った私は、自分の部屋でサラと向かい合っていた。
神姫バトルで負けたとき、五回に一回はこんな風に反省会を開く。・・・意味があるのかは疑わしいんだけど。
「・・・認めたくないですが、武装が重過ぎるんですね」
「判ってるんじゃない」
問題はそれをどうするかってことなんだけど。
「脱ぐ気は無いわけ? 右手の馬鹿でかいライフルと言いサソリの尻尾と言い、どう考えても重しにしかなってないんだけど」
「ありませんね。わたしにとって、この装備はハルナが、初めて与えてくれた思い出の品です」
・・・そう言われると、私としては強く出れないのよねぇ。
しかしそうなると、やっぱり今の装備で勝てる方法を考えるしかない。でもそんな方法あるのかしら・・・・。
「所でハルナ。今日はこの映画を見たいのですが」
「人が悩んでるときにそれ? あんたにも関係してるんだから少しは考えなさいよ」
そういってサラの方をむく。
サラが机から引っ張ってきたんだろう。机の上には二つのDVDが並んでいた。
「『仮面ライダーカブト劇場版』と・・・・『山猫は眠らない』? 何なのこの組み合わせ」
「ハルナが以前取り寄せてくれたものですよ。『仮面ライダーカブト』はハルナも知ってますよね。重装備のライダーがキャストオフして軽量になり、スピードが上がると。『山猫』はスナイパーの話らしいです」
全然わかんない。
仮面ライダーは昔お父さんに見せてもらったことがあるけど・・・確か黒いのじゃなかっけ。山猫にいたってはさっぱりだ。
「・・・・・・・・ん? スナイパーって狙撃手の事よね?」
「そうですよ。非常に地味な役職ですが重要なんです。あのボルトを引く動作に憧れますよね。個人的にセミオートは邪道です」
「ごめん。マニアックすぎて付いていけないわ」
ボルト? セミオート? 何それ。ネジでも締めるの?
・・・・まぁそれは置いといて。
「スナイパーってことはさ。走り回ったりしないの? 撃ちまくったりとか」
「まぁ状況によりますけど。基本的にはしませんね。そもそも忍耐強くないと出来ませんし」
・・・うん。走り回ったりはしないのね。
忍耐強く・・・は無いかもしれないけど、一応砲台型だし目は悪くない。
「あの、ハルナ? どうしました?」
うん、そうなると急いだほうがいいわね。私の気が変わらないうちに。
「・・・・ハルナの恥ずかしい秘密その一。夜、ハルナは一人で寝るまえに」
「何言うつもりよバカ鉄砲! っていうか何であんたが知ってんの!? あの時間帯はクレイドルで寝てるじゃない!!」
「ほう。ということはわたしが寝ている間にハルナは恥ずかしいことをしていると。これはこれは、非常に興味深いですな」
「え、あ! カマかけたわね、この!」
「サラ・フォートブラッグが命じる! その恥ずかしいことを全力で教えなさいッ!!」
「誰が教えるかこの鉄兜!」
「ふむ、良いんですか? 公表しますよ、ブルーストライプを」
「何よそれ」
「ハルナが今穿いてるパンツの柄です」
「―――――――!?」
こ、このバカ鉄砲は・・・・・!
「あぁもう! とりあえず私は買い物行くから! あんたは留守番してなさいっ!」
「ふむ、放置プレイですか。なかなかマニアックなことをしますね」
「お望みなら縛って放置するわよ! オプションで窓枠から吊るしてあげるわ! 明日晴れるようにね!!」
「え、あ、じゃあお願いします」
「そこは肯くんだーっ!?」
駄目だ。なんか会話が面白くなってきた。
ていうかその前に、うちのサラは人格が崩壊してると思う。色んな意味で。
「はぁ・・・縛りたいんなら机に引き出しにタコ糸が入ってるから、自分で縛りなさいよ。・・・私は神姫センター行って来るわ」
「縛られるのがいいのに。・・・神姫センターですか? ついさっき帰ってきたばかりじゃないですか。行くんならわたしも行きましょうか?」
「さりげなく聞き捨てなら無いことを言わない! それにあんたがついてくと余計なもん買うから留守番してなさい」
サラと居るとつい楽しくて色々買っちゃうのよね・・・・。
いや、楽しいんだけど財布の中身がピンチになるのよ。
私は財布をポシェットにねじ込むと肩からかける。交通費分はあるから・・・・途中でATMか何かで下ろして行こう。
「所でハルナ。一体何をそんなに急いで買いに行くのですか」
机の上からサラが言う。
私は振り返って・・・・少し悩んでから言った
「現状の打開策・・・・になるのかしらね?」
センターから帰った私は、自分の部屋でサラと向かい合っていた。
神姫バトルで負けたとき、五回に一回はこんな風に反省会を開く。・・・意味があるのかは疑わしいんだけど。
「・・・認めたくないですが、武装が重過ぎるんですね」
「判ってるんじゃない」
問題はそれをどうするかってことなんだけど。
「脱ぐ気は無いわけ? 右手の馬鹿でかいライフルと言いサソリの尻尾と言い、どう考えても重しにしかなってないんだけど」
「ありませんね。わたしにとって、この装備はハルナが、初めて与えてくれた思い出の品です」
・・・そう言われると、私としては強く出れないのよねぇ。
しかしそうなると、やっぱり今の装備で勝てる方法を考えるしかない。でもそんな方法あるのかしら・・・・。
「所でハルナ。今日はこの映画を見たいのですが」
「人が悩んでるときにそれ? あんたにも関係してるんだから少しは考えなさいよ」
そういってサラの方をむく。
サラが机から引っ張ってきたんだろう。机の上には二つのDVDが並んでいた。
「『仮面ライダーカブト劇場版』と・・・・『山猫は眠らない』? 何なのこの組み合わせ」
「ハルナが以前取り寄せてくれたものですよ。『仮面ライダーカブト』はハルナも知ってますよね。重装備のライダーがキャストオフして軽量になり、スピードが上がると。『山猫』はスナイパーの話らしいです」
全然わかんない。
仮面ライダーは昔お父さんに見せてもらったことがあるけど・・・確か黒いのじゃなかっけ。山猫にいたってはさっぱりだ。
「・・・・・・・・ん? スナイパーって狙撃手の事よね?」
「そうですよ。非常に地味な役職ですが重要なんです。あのボルトを引く動作に憧れますよね。個人的にセミオートは邪道です」
「ごめん。マニアックすぎて付いていけないわ」
ボルト? セミオート? 何それ。ネジでも締めるの?
・・・・まぁそれは置いといて。
「スナイパーってことはさ。走り回ったりしないの? 撃ちまくったりとか」
「まぁ状況によりますけど。基本的にはしませんね。そもそも忍耐強くないと出来ませんし」
・・・うん。走り回ったりはしないのね。
忍耐強く・・・は無いかもしれないけど、一応砲台型だし目は悪くない。
「あの、ハルナ? どうしました?」
うん、そうなると急いだほうがいいわね。私の気が変わらないうちに。
「・・・・ハルナの恥ずかしい秘密その一。夜、ハルナは一人で寝るまえに」
「何言うつもりよバカ鉄砲! っていうか何であんたが知ってんの!? あの時間帯はクレイドルで寝てるじゃない!!」
「ほう。ということはわたしが寝ている間にハルナは恥ずかしいことをしていると。これはこれは、非常に興味深いですな」
「え、あ! カマかけたわね、この!」
「サラ・フォートブラッグが命じる! その恥ずかしいことを全力で教えなさいッ!!」
「誰が教えるかこの鉄兜!」
「ふむ、良いんですか? 公表しますよ、ブルーストライプを」
「何よそれ」
「ハルナが今穿いてるパンツの柄です」
「―――――――!?」
こ、このバカ鉄砲は・・・・・!
「あぁもう! とりあえず私は買い物行くから! あんたは留守番してなさいっ!」
「ふむ、放置プレイですか。なかなかマニアックなことをしますね」
「お望みなら縛って放置するわよ! オプションで窓枠から吊るしてあげるわ! 明日晴れるようにね!!」
「え、あ、じゃあお願いします」
「そこは肯くんだーっ!?」
駄目だ。なんか会話が面白くなってきた。
ていうかその前に、うちのサラは人格が崩壊してると思う。色んな意味で。
「はぁ・・・縛りたいんなら机に引き出しにタコ糸が入ってるから、自分で縛りなさいよ。・・・私は神姫センター行って来るわ」
「縛られるのがいいのに。・・・神姫センターですか? ついさっき帰ってきたばかりじゃないですか。行くんならわたしも行きましょうか?」
「さりげなく聞き捨てなら無いことを言わない! それにあんたがついてくと余計なもん買うから留守番してなさい」
サラと居るとつい楽しくて色々買っちゃうのよね・・・・。
いや、楽しいんだけど財布の中身がピンチになるのよ。
私は財布をポシェットにねじ込むと肩からかける。交通費分はあるから・・・・途中でATMか何かで下ろして行こう。
「所でハルナ。一体何をそんなに急いで買いに行くのですか」
机の上からサラが言う。
私は振り返って・・・・少し悩んでから言った
「現状の打開策・・・・になるのかしらね?」