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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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 夏の夜のけだるい空気の中で、僕は呆然と目の前にいる男たちを見つめていた。しとしとと降る雨、水蒸気と排ガスを含んだ都会の空気、夜のアスファルトから上がってくる妙にひんやりとした湿気、行き交う人々の雑踏、ごうごうとうなる車のロードノイズ。それらが一気に背中から襲いかかってきたような気がした。
 目の前にいるのは、成人男性が二人。一人はGパン、シャツにざっくりとしたニットのタイ、麻のサマージャケットを着ている。年齢は恐らく三十代だろう。でも、そっちはまだよかった。問題はもう一人だ、いい歳をした成人男性のようだけど、夏だというのに肩口にケープ状のヒラヒラが付いた真っ黒なコートを着ている(後で調べたら、トンビ、と言うらしい)、それだけでも驚きだけど、とどめに派手な形をしたオレンジのヘッドギアを被っていた。
 さすがにこれにはあきれてしまった。
 「本当にあの人たち…、いや、どう見てもあの人たちなんだろうけど、大丈夫なのか」
 胸ポケットにささやいた。すると。
 「ああ、彼じゃないのか」
 「そうなのであーる! 情報とおりなのであーる!」
 ………見つかっちゃったよ。
 「大丈夫ですよ、主。私たちを信じてください」
 胸ポケットから、遅れて返答がかえってきた。応えたのは、武装神姫と呼ばれている身長15㌢のフィギュアロボだ。個体名はシラヌイ、忍者型MMS。今日、僕は彼女に乞われるまま、この場所に来ることになった。


そのいち。
 大学の講義を終え、アパートに戻ると、サイドテーブルに置いてあるチェス盤に向かった。
 もう何敗したか数えるのもイヤになっていた。まだ序盤、お互いのポーンが盤上に展開していた。
 「もうお帰りになったんですか」
 机の上、ノートパソコンの脇から声がした。チェスの対戦相手を務めてくれている、武装神姫のシラヌイだ。忍者型独特の黒にメッシュのボディスーツが、彼女の小柄な体躯を強調していた。が、見かけとはうらはらに、彼女が指してくる手は非情そのものだ。ま、僕がそうするようにと指示したのだけど。
 「うん、講義も終わったから、やることもないしね」
 「主、せっかく大学に入られたのですから、お友達を作られては」
 またか。
 僕は大学の学生連中が嫌いだった。なぜかと問われれば理由はないけど、どうにもソリが合わない。神姫サークルがあったけど、勧誘チラシのノリの軽さがカンに触った。
 「いいんだよ。友達なんて無理につくるものじゃないだろうに」
 そう言って、僕はチェス盤をにらんだ。
 「でもー」
 「もうその話はいいよ」
 シラヌイはあきらめたように、一拍置くと、話をチェスに切り替えた。
 「定石を学ばれれば、主ももっとゲームを楽しめるようになりますよ」
 「いや、いいんだ。それって、初回から攻略本を使ってゲームをするようなもんじゃん。何か、タネをばらされてから手品を見せられているようで面白くないんだ。まずはある程度チェスの感覚を掴んでから、と思っているのだけど」
 「確かに、主の意見も一理ありますね」
 僕はポーンをひとつ、動かした。彼女はそれを見ると、自陣のナイトを抱え、他の駒を倒さないようにぐるりと回って配置をした。それを見て、また頭を抱えることになった。もう身動きがとれない。その様子を見て彼女が漏らす。
 「だから、定石を学んでください、と申し上げているのです。単純に相手の駒を取ればよい、というものでもありません。どのようにして、自身に有利な布陣を敷くことができるのかがポイントなのです」
 「うーん、見ていて、とりあえず最前線っていうかキーポイントになる駒には常にバックアップが付いていることは理解したよ。それがいつでも出来る体制をつくるって言うのがー」
 僕は改めてそのナイトが置かれた位置を見る。ここからがいつも問題なんだ…。
 「そこまで理解されているのなら、次の段階に進まれてもよいと思うのですが」
 そんな彼女の声を聞きながら、違和感を感じていた。その違和感の原因はすぐに解った。いつもなら、彼女は自分の手を打ち終わると、長考のジャマにならないように机の角に腰掛けて、こちらがどんな手を打つのかと眺めているはずだ。でも、今日の彼女は盤の周りをチョロチョロと動き回っていた。いつもと違う動きだ。
 「なぁ、何かあったの」
 そう尋ねても、彼女は何かを言いよどんでいるような曖昧な返事をするだけだった。明らかにおかしい。僕は彼女に向き直ると改めて尋ねた。
 「何かあるのなら、はっきり言ってよ」
 命令することもできたけど、それは最後の手段としてとっておきたかった。
 ちょっと間をおいて、彼女が口を開いた。
 「実を申しますと、主に野良神姫の保護をお願いしたいのです」
 「はい?」
 空いた口がふさがらない、とかなんかそんな感じ。
 武装神姫はその起動時に、その所有者である「マスター」の登録をし、それは一般には変更が出来ないことになっている。だけど、なぜか、マスターの元を離れて暮らす神姫、野良神姫がいる、という話は耳にしていた。でも、実際に確認されたという話は聞いたことがなかった。すっかり都市伝説とかそーゆーものだと思っていたのだけれど。
 話を聞いても、まだ信じられない、と言うか、ますます信じられなくなってきた。僕が部屋を空ける時、彼女はクレイドルでスリープモードに入っていたりする。その状態で彼女たちはパソコンの操作ができるし、僕自身、彼女がパソコンを利用することを許可していた。パソコン自体の保守管理を任せられるし。で、彼女によると、ネット上には何カ所か、神姫同士が情報交換をする場所があるのだ、という。どうやってその場所を知ったものか、彼女もそこによくアクセスしていたのだとか。そこでこんな情報が上がってきた。曰く「野良神姫を発見した。でも、自分のマスターは小学生なので、保護を無理強いするわけにはいかない。どうやらイリーガル崩れらしいので、そのまま放っておくわけにもいかない」と。その書き込みに複数の神姫が「ウチのマスターなら協力してくれるかも」と名乗りを上げた。その一体が自分である、と。
 ちなみに保護した神姫のために野良神姫専門の保護施設などがあり、また、イリーガルなど著しい改造が施されていた場合には、神姫専門のラボに送られるのだそうだ。
 「で、イリーガルって? なんかイヤな予感がするンだけど」
 「相手神姫の破壊を勝利条件にした、いわゆる闇バトルというものがあります。それに参戦するためにチューンされた神姫がイリーガルです。出力の向上が図られているほか、武装も実際に相手神姫を破壊することを主目的とした相応の威力のものを装備しています。また………当然、公式戦には参加できません」
 さらりと恐ろしい台詞を言ってのける。
 さて、どうしたものか。ただ、そのときは面白そうだな、と思った。
 「よし、じゃぁ、もう一度詳しい情報を集めてくれ。ヤバげな武装をもっているようなら止めだ。でも相手が単体なら、何人かで協力すれば保護できるかもしれない」
 そして、数日の打ち合わせを経て、僕を含む三人が今回の野良神姫保護をすることになった。


そのに。
 ここは都心のとある駅前。前もって打ち合わせていた通り、二人の男性が僕を待っていた。
 ただ、その男たちは僕の想像していた神姫のマスター像を色々な意味で裏切っていた。
 一人はどうみても三十代の男性。武装神姫のマスターって、僕と同じくらいの大学生かと思っていたのだけど。で、もう一人がまたこれは別の意味で問題だった。夏なのに、真っ黒なコート。それだけでも不審者の必要十分条件を満たしているのに、とどめにヘンテコなヘッドギアを被っているときた。でも、時々、奇異の目を向ける人はいるものの、街行く人々はほとんど関心がないように二人の周囲を通り過ぎていく。ま、ここまで来て帰るのももったいない。
 「どうも、こんばんわ」
 まずはあいさつ。ジャケットを着た男性が僕に声をかけた。
 「えーと、忍者型、シラヌイのマスターさんだっけ。侍型の椿のマスターだ」
 うん、どうやら普通の人みたいだ。ジャケットの胸ポケットから顔を出した神姫がこちらに会釈をした。で。
 「よし、我が輩は世界征服をたくらむ悪の秘密結社、ねこねこ団のー」
 やっぱりコイツが問題だった。ヘッドギア男は右手を高々と上げ、ジェスチャーたっぷりに、カン高い声で演説のような自己紹介を始めた。ねこねこ団と言われて気がついたけど、彼のヘッドギアは猫型MMSが標準装備しているそれを模したものだった。事前に侍型、猫型のマスターが来るとは聞いていたけど、これはそうとう重傷だな。
 「なぁ、ちょっと声を下げないか」
 椿のマスターが低い声で文句を言った。
 「何を言うか、貴様、せっかくこのような雑踏で我が輩が…」
 反論しかけて、コケた。椿のマスターの胸元に顔から突っ込む。
 「オイ、ひっつくなよ。気持ち悪い」
 片手で男の顔をぐいと押しやる。まおちゃお団員の彼は、今度はよろめきながら僕の方へ倒れ込んできた。僕よりも少し背が低いだろうか。
 「ちょっと、止めてくださいよ」
 僕は両手で彼を押し返す。っと、行き着く先はまたもや椿のマスターの胸元だ。
 「だから、くっつくなって」
 「来ないでくださいよ」
 「ちょ、止めるのであーる」
 まおちゃお団の彼は僕らの間で、右に左にと押しやられていた。ーと。
 「もういいかげんにするのだ。野良神姫の話はどうなったのだ」
 声とともにヘッドギアの陰から、猫型がもぞもぞと姿を表した。
 「そうですよ、マスター。この方の服装や行動がいくら社会規範から外れているからといって、遊ぶのはこれくらいにしてください」
 椿が声を上げた。けっこう、ポイズン。
 「………あー、ゴメン。遊びすぎたわ」

 「状況を確認しよう」
 椿のマスターが言った。ここは、駅にほど近いファーストフード店。僕らはそれぞれ好みの飲みものを片手に、椿のマスターが配るプリントを眺めていた。僕はウーロン茶、椿のマスターはコーヒー、ヘッドギア男はオレンジジュースだ。テーブルの上にはシラヌイたち、三体の神姫がこれからの話を待ち受けていた。
 「野良神姫は廃ビルで生活をしている。目撃情報によると、情報提供者の神姫の呼びかけに対して、例によって通常の神姫が取るとされる対応からは、えー、大きく逸脱した行動をした。それで、イリーガルではないか、と。今のところ目撃されているのは種型一体。目標がいるビルの見取り図は今渡したプリントにある。これは野良神姫情報を流してくれた神姫からのものだ」
 ビルはクルマ三台分の駐車スペースを備えていて、敷地に多少のゆとりがあり、その周囲は塀で囲まれていた。シラヌイと猫型(そういえば名前をまだ聞いていないぞ)はプリントの見取り図を挟んで、椿からレクチャーを受けていた。猫型はヘッドギアをしているだけだったけど、ボディ・スーツは特注ぽい。椿はベージュのスーツ姿。彼女が動くと、侍型の基本の髪型であるポニーテールが揺れる。シラヌイにも何か服を買ってやるべきなのだろうか。
 さて、問題の部屋は通用門に面した当直室のようだ。 
 「神姫が出入りに使っているのは、建物裏の窓だ。赤い丸印があるだろ。その窓がある一室しか使われていないようだ。基本的に昼間は建物の中にいて夜になると出かける。何やら金属片や電子部品なんかを集めているらしい。お出かけの時間は決まっている。今日はその時間に合わせて、対象が外に出た瞬間を狙って保護をする。情報提供者が、出入り口にメッセージを残してくれているとはいうけど、それに応じてくれるとは思わない方がよさそうだ。特に武装は確認されていないとのことだけど、ま、イリーガルのようだし、最悪、保護しきれないかもと考えておこう」
 「それは、仕方ないのである」
 ヘッドギア男が先ほどまでとは打って変わった、しんみりとした声で応えた。
 卓上の神姫たちも沈痛な面持ちでお互いを見つめ合っていた。
 なんだか僕だけ仲間はずれみたいだ。
 「あの…、イリーガルってそんなに普通の神姫と違うんですか。保護しきれないって、そのときはどうするんですか」
 椿のマスターが意外そうな顔をした。
 「おい、まさか何も知らないで来たのか」
 すかさずシラヌイが割って入った。
 「申し訳ありません、皆さん。主、これは私たち神姫にとって大きな問題なのです。イリーガルは勝利の条件として、常に相手神姫の破壊を命じられています。その一方で私たちには同胞を想う感情やバトルをする上での禁止事項がプログラムとして存在しています。だから…」
 「だから?」
 「イリーガルのほとんどが、メインフレームレベルでプログラムに改ざんを受けている場合が多いのです。そのためのツールも出回っています。それは私たち神姫の意識、精神を破壊することでもあるのです。だから、神姫同士の呼びかけに対する反応や立ち居振る舞いで、ある程度の推測は可能なのです」
 う、う、う。これは思った以上に難しい問題をはらんでいるぞ。
 「まぁ、ヤーさんがバックにいる賭博の一種だし、知らないのも仕方ないけど。有名な話が去年の闇バトルだ。ヤバすぎるチューンをした神姫がバトル終了後に何をトチ狂ったか、自分のマスターに攻撃して、そいつ、頬の肉をごっそりもってかれたらしい」
 「それは神姫にとっても、人間にとっても、良いことではないのであーる。そのためにねこねこ団としても野良神姫やイリーガルの捕獲について積極的に活動をしているのであーる」
 「警察に通報すればいいんじゃないですか。何もこんな危険なことをしなくても」
 「そしてイリーガルの存在が公になったらどうなると思う。下手したら、武装神姫だけでなく、神姫という商売自体が成立しなくなる可能性だってあるんだぜ。神姫を造っている会社や従業員、神姫ショップだって、直営のものから零細の個人経営のものもある。この国内でも万単位の人間が神姫に関わる商売でメシを食っている。神姫は本当に広がりすぎた。今更、神姫を『無かったこと』になんてできないくらい社会に浸透しているんだ」
 「それに」と椿が口を添えた。「私たちとしても姉妹がそのような扱いを受けているということを見過ごすわけには参りません」。続いて猫型ー、マオチャオタイプも「そーなのだ。これはニンゲンにとっても神姫にとっても大問題なのだ。だからカイシャだって支援してくれてるのだ」と言葉をつないだ。
 何だって? 「カイシャ」? どこの? 脳裏に神姫のメーカー名がずらりと並んだ。
 「ばかもの! それは軽々しく言ってはいけないと話しておいたではないか」
 ヘッドギア男がマオチャオタイプを小突いた。椿のマスターが苦笑しながら言った。
 「まぁ、今の一言は追求しないほうがいいと思うよ。で、まだ君の質問にひとつ応えてなかったけど、保護しきれない場合はー」
 「見逃すんですか」
 「いや、破壊する。そのための道具も色々と用意している。椿」
 名前を呼ばれた彼女が何かを受け取った。それは神姫サイズの日本刀だけど、標準武装のものとは違う。
 武装神姫と言っても、玩具として流通している以上、装備している武器は、その実物をダウンサイジングしたものではなく、あくまでも玩具の範疇に収まるものになっている。もちろん悪魔型の副腕はロボットアームとして機能するし、天使型はその羽で飛ぶこともできる(原理はしらないが)。でも、武装は別だ。銃火器の類いは単なる樹脂の固まりで、刀剣類には刃などついていない。ただ、内部にチップが仕込まれていて、バトルフィールドで、そのチップに応じたエフェクトが投影される。そういう仕組みだ。
 でも、目の前の神姫が抜いて見せてくれたそれは、鈍く輝く金属の刃身。公式戦では使えない武装だ。
 「こーゆーのもあるのだ」
 マオチャオタイプが両手に武装を掲げていた。一見標準武装の研爪(ヤンチャオ)に見えるそれは、爪の部分が金属の棒に変更されていて、コードがバックパックとおぼしき箱に伸びていた。
 「これは?」
 「強力な電磁パルスで神姫を一時的に動作不能にする装備である。我が輩の傑作なのであーる」
 「まぁ、大体それでケリが付くよな」
 「お陰で私も実際に姉妹に向けて刃を振るうこともそうありませんし」
 「その通りである。貴様はもっと我が輩に感謝するべきなのであーる」
 「感謝するのだー!」
 どうやら、この二人(と二体)はこれまでに何度か野良神姫、イリーガルの保護をしているらしい。僕は憮然とこちらを見上げているシラヌイを見返した。
 「完全に場違いじゃないか。武装は確かに用意しているけど、それは兎型のアーマーとかそんな程度だ。シラヌイ、一体君はこの場で何が出来ると思って僕をこんなところまで引っ張り出したんだ」
 「申し訳ありません。主」
 すかさずシラヌイが頭を下げる。そして、沈黙。
 気づけばテーブルの全員が僕を見つめていた。
 「それは君が決断したことだろ。君が決断してここまで来た。彼女に無理矢理連れてこられたわけじゃないだろ」
 「私もイリーガルの概要について説明をしたと聞いていましたが。その上で来られたのではなかったのですか」
 椿とそのマスターが静かに僕を責めた。
 「そんなこと言っても、ここまで危険だなんてわかるわけないでしょ。初めてなんだし」
 「それは言い訳なのであーる。神姫から情報を得た時点で自ら考えるのがマスターの果たす役割のひとつなのであーる」
 「そーなのだ、そんなんじゃマスター失格なのだ」
 今度はヘッドギア男とそのマオチャオタイプだ。
 「何なんです、皆で。大体、シラヌイが…」
 「も、申し訳在りません、主」
 また、シラヌイが頭を下げた。
 「もういいのだ、少年。神姫には人間に従うプログラムが高いプライオリティで設定されているのである。責められたら、神姫はマスターに対して頭を下げるしかないのであーる。己の神姫にそのような行動を取らせるようでは本当にマスター失格なのであーる」
 更にもまして気まずい沈黙が僕を包んだ。
 「なぁ。考えてみろよ。さっきの話と矛盾するけど、こんなの、本来は人間がやってしまえばいい話なんだ。メーカーが動けばビルの所有者に迷惑料兼口止め料でも払って、とっとと回収することも不可能じゃない。各省庁にだってコネはある。スポンサーとしてマスコミを押さえることは出来る。でも、それをしないのは、神姫たちが心を持っているからだ。そのことをメーカーも認めているからだ。ただ、神姫が自分たちだけで活動しようとしても、人権も法的裏付けも何もない以上、単独で何かを、なんて出来ない。マスターたち人間がバックアップして後ろ盾になってやるしかないんだ。今の彼女たちだけではどうにもならない部分を俺たちが補うしかないんだよ」
 コーヒーに口をつけると、椿のマスターは淡々と言葉を続けた。
 「さて、どうする? 仮にここで君が棄権しても誰も責めることはできない。ま、読みが甘かったと言われるかも知れないがそれはあきらめろ。でも、君がその気なら、こちらも貸し出す武装や装備はある。君が決めろ。時間がない、一分だ」
 僕はこの彼の言ったことを反すうした。どうやらチャンスをくれる、ということらしい。しかし、神姫に心があると改めていう言葉を思い出し、僕は彼女との付き合いを思い返していた。
 今まで、別にトラブルもなく、彼女との生活を送ってきた。その内容はどうだろう。僕は彼女にパソコンのメンテやら、ネットを通じた口座の管理に神姫バトルと色々してもらっている。でも、僕が彼女に何かをしてあげたことがあったろうか。僕は、神姫に心があることは知識として知っていても、実際にそういう存在として彼女を、シラヌイを扱ったことがないんじゃないだろうか。
 「やります。このまま帰ってはシラヌイにー。上手く言えないけど、彼女にヒドいことをしてしまうことになってしまう」
 沈黙。
 「もうすでにしてるのだ、少年よ」
 ヘッドギア男がつぶやいた。
 僕は、テーブルの上のシラヌイを見た。彼女はただただ申し訳なさそうにうつむいていた。本当に、僕は、ダメだ。情けない気持ちで一杯になった。なんで、こういう他の人が普通に気づけることに僕は気づけないんだろう。今までもそうだったけど、これからも未来永劫そうなんだろうか。
 「君、人付き合いが苦手だろ」
 椿のマスターだ。
 「苦手って言うか、解らない。違うかい?」
 さっきとは変わって、口調や態度が少し優しくなっていた。
 「はい、解りません」
 そうだ、これまでだって、そうだ。真摯に対応しようと思えば思うほど、相手はどんどん冷ややかになっていく。そしてお決まりの台詞だ。「もういいよ、そういうことが解らない人にいてもらいたくない」と、そう優しく言われるんだ。どうしてだろう。本当に解らない。ああ、ここでの僕も終わったな。そう、思った。
 でも、違った。
 「そんな自分を良い方向に変えていきたいと思っているのかい」
 僕は一瞬ぽかんとして、それから、答えた。
 「はい。そう思っています。でも…」
 「『でも』は、いい。来い。さっきそう君が言ったんだ。装備は貸してやる」
 椿のマスターはそう言い切った。
 「良いのであるか?」
 「誰にだって初めてはあるだろ」
 「いや、しかしだな」
 「言っておくけど、お前さんと初めて組んだ時は酷かったぞ」
 「………それは言わない約束なのであーる」
 彼らのやり取りを尻目に、僕はシラヌイに頭を下げた。



そのさん。
 その三階建てのビルは、僕が想像していたより、ずっとこじんまりとしたものだった。繁華街からちょっと離れた住宅街。ところどころに事務所やセレクトショップが立ち並ぶ、ちょっと小洒落た場所だ。今は使われていないその建物は街頭の光も吸い込んで立ちつくす真っ黒な壁のようにも思えた。
 門にある鉄パイプで組んだバリケードを、ふたりは身軽に乗り越えて敷地に入っていく。僕もそれに続く。
 僕らは門柱の陰に座り込んで、シラヌイたちの準備を始めた。
 「あのー、すみません。今日の保護活動をされる皆さんですね」
 頭上から響くか細い声に、全員が腔を見上げた。そこにはエウクランテ型の神姫が羽をつけて浮遊していた。
 「最初に皆さんにご相談させて頂いたオーディーヌです。今日は本当にありがとうございます」。全員に向け頭を下げた。「今日は私はお手伝いをすることができません。でも、皆さんがあの神姫を無事に保護できるようにと、私のマスターと祈らせて頂きます」
 神姫はどんなカミサマに祈るんだろう。そんなことを考えていると、そのエウクランテ型ー、オーディーヌは僕の名前を呼んだ。
 「シラヌイさんから聞いています。危険を伴う今回の保護への参加を、初めてであるにも関わらず、決断されたそうですね。シラヌイさんもそのことを誇りに思っていらっしゃると思います。是非、良い結果を残してください。私たち神姫のわがままに付き合ってくださって、本当にありがとう」
 そう言うと、オーディーヌはふわふわと飛んでいった。
 「シラヌイ」
 「はい、主」
 ヴァッフェバニーの装備に身を包んだ彼女が応えた。
 「僕は、君が望んだことを君が成し遂げられるように、君のバックアップをする。だから、君は構わずに正しいと思ったことをしてくれ」
 「はい、主。お任せください」
 そう言って微笑んだ彼女の顔は、なぜか儚げに見えた。

「さて、お姫様が城から出てくる時間だぞ」
 椿のマスターが言った。シラヌイたちはそれぞれの位置についている。シラヌイはヴァッフェバニー装備に、椿のものと同じ日本刀、マオチャオタイプは標準装備の鎧に先ほどの電磁パルス武装、椿は最初から着ていたスーツ姿のままだ。椿が説得し、それに失敗した場合、マオチャオが仕留める。シラヌイの役目は相手神姫が逃げようとした場合に退路を断つことにある、らしい。らしい、というのはこの役割分担が神姫同士の話し合いで決まったからだ。三体はそれぞれ、小型のCCDを肩に載せていた。その画像は、ヘッドギア男のノートパソコンに送られる。
 僕らも黙って見ているわけではなかった。ヘッドギア男のノートパソコン脇にはSMGタイプのエア・ガンが地べたに置かれている。モノ自体は市販のものと変わらないが、弾が違う。硬度と重量を増した、特殊BB弾、もしくは神姫のボディに当たっただけで砕ける、(対神姫)非殺傷弾の二種類がマガジンで用意されている。椿のマスターが持っているのも同じくエア・ガンだ。ただし、こちらはアメリカのサバイバル・ゲームで使われている、大型のペイント弾を扱うタイプだ。こちらも弾は通常のペイント弾ではなく、いわゆるトリモチ、粘着弾が入っている。通常、対象の神姫が着弾点から半径二十センチ以内にいれば確実に動きを止めることが出来るそうだ。そして僕が持っているのが、彼ら曰く「捕獲銃」だ。仕組みはバネの力でミサイルを飛ばすオモチャなのだけど、五十センチ四方の金属製の網を飛ばす。有効射程は一メートル五十センチ。発射後、スイッチを入れると、瞬間的に高圧電流を流し、ネットに捕獲された神姫の動きを一時的に止めることが出来る、という。
 僕らは敷地の隅に集まって、ヘッドギア男のノートパソコンの画面を覗き込んでいた。
 「今日の主賓が登場したのであーる」
 椿のCCDから送られてくる画像に対象に神姫の姿が映っていた。そして、それはあまりにも異様だった。その神姫は四つん這いの姿勢で画面に向かってカチャカチャと進んできた。椿の声が聞こえた。
 「こんばんわ。私は椿と言います。少しあなたとお話がしたいのですが、よろしいでしょうか」
 相手神姫は情報通り、武装はなし。種型の基本装備のブーツと腰回りのアーマーだけのようだ。声をかけられた神姫は無表情のまま首を傾けた。椿が言を継ぐ。
 「もし、あなたのマスターがいらっしゃらないのであれば、あなたにとってもメリットのある解決方法をー」
 いきなり、種型が画面に向かってジャンプした。これを受けて、シラヌイとマオチャオタイプが動いた。
 椿はその場で姿勢を崩さずに、素立ちの姿勢から真上にジャンプ。ジャケットの裾から背中に隠していた日本刀が地面に落ちる。空を切る種型の手刀。マオチャオタイプがかけ声と共に種型に迫る。
 「おとなしくするのだー!」
 画面がいきなりブラックアウト。シラヌイの映像を見ると、まるで人間が神姫を掴んで投げ付けたような勢いで、種型の蹴りを喰らってすっとぶマオチャオタイプが見えた。ノーマルの神姫同士が本気でバトルしても到底こんな力は出ない。その間に空中でバク転を決めた椿が初期位置から十センチほど後方に着地。そのまま自分に向かって倒れ込んでくる日本刀を掴んで、抜刀する。
 「行くぞ」
 椿のマスターの声を聞いて、何も考えられないまま、ダッシュ。現場へ向かう。
 椿と種型が交戦状態にあるのが見えた。シラヌイとマオチャオタイプの姿は見えない。どこだ?
 「構わん、撃っちまえ。椿は巻き込まれても大丈夫だ。撃て」
 遅れてきた椿のマスターが言う。一瞬、ためらう。種型が椿の腕をねじり上げて、武装コネクタの部分から腕を引っこ抜いた。その手に握られた日本刀を手に、種型は今度は僕に向かって跳躍してきた。
 「撃てよ、オイ!」
 エアガンの連射音が響く。ヘッドギア男のSMGを椿のマスターが撃っていた。何発かが命中したものの、種型はボディの表面ではじける弾には構わずにコチラへ向かって飛び込んでくる。 と、目の前に何か黒いものが疾った。鋭い金属音が響く。
 種型はぼとりと僕の目の前の地面に落ちると、背後を振り返った。そこにはシラヌイが地面に倒れ込んでいる。僕はすかさずトリガーを引いた。種型がネットに取り込まれる。電源のスイッチを入れると、種型は地面に仰向けに倒れ込みー。
 「ーーーーーーーー!!」
 声にならない音を上げ、手足をバタバタさせて暴れた。椿のマスターがトリモチを打ち込む。一発では動きも、声も止まらず、二発目、三発目でその動きがようやく止まった。声もくぐもって聞こえなくなった。
 「シラヌイ!?」
 僕の呼びかけに彼女は起き上がって応えた。
 「主も、ご無事で」
 ヘッドギア男も駆け寄ってきた。
 「我が輩のねこ助は無事なのであるか」
 椿がマオチャオタイプを背負ってやってきた。さっき、もぎ取られた腕は無事にくっついていた。無理な体制に持ち込まれることを嫌った彼女が、自らロックを外したのだろう。
 「無事です。鎧が割れてしまいましたし、まだスタン状態にあるようですが、CSC及びコア・ユニットの損傷はありません」
 そういうと、ヘッドギア男の手のひらに、彼のマオチャオをそっと乗せた。
 「おーい。まだ仕事は残ってるんだぜ」
 椿のマスターはトリモチの塊と化した神姫をビニールに包んで、そのまま金属のケースに入れてロックした。蓋に付いているLEDがチカチカと瞬く。このケースも神姫の保護のために用意されたもので、神姫に機能停止の信号を送ることになっている。機能停止は神姫が持たされている人間にとっての安全弁のひとつで、イリーガルも例外ではない。むしろ、イリーガルの方が暴走の危険性が高いため、改造を受けてもその機能は残されているし、二重三重に機能停止の手段が盛り込まれている場合すらあるという。
 僕はシラヌイに近づくと、そっと彼女をすくいあげた。
 気づくと、しとしとと降っていた雨も止み、夜空には都会の明かりにとけ込みそうになりながら星が瞬いていた。


そのよん。
 駅前に戻った僕らは、屋台で祝杯を上げていた。椿のマスターとヘッドギア男は青島、僕はZIMAだ。路上に並べられたテーブルの他の席では仕事帰りのサラリーマンやらカップルやらがそれぞれの夜を楽しんでいた。
 「今日はお疲れ」
 ふたりがボトルネックを掴み、ビン底を打ち合わせて乾杯するのを見て、僕もあわててボトルを持ち直した。
 「今日は君たちがMVPだな」
 「おかげで助かったのであーる」
 二人がボトルを打ち付けてくるのを受ける。チン、と涼やかな音がした。テーブルの上ではシラヌイたちが歓談していた。シラヌイは右腕に白いテープを包帯のように巻いていた。種型に突進したとき、ボディスーツを切り裂かれてしまっていたのだ。それを見た椿が包帯代わりの応急処置にとテープを巻いてくれていた。
 「まぁだふらふらするのだ」
 「けっこうな勢いで蹴り飛ばされましたからね。直らないようであれば、明日、センターで内部機構のチェックをするのが良いでしょう」
 「イリーガルがあれほどの力を発揮するとは思いませんでした。私も認識が甘かったようですね」
 それぞれが感想を口にする。
 「本当に大丈夫なのであるか」
 「内部機能の診断はおーるぐりーんなのだ。それよりも、今回は全く良いところがなかったのだ。もっと活躍できるように新しい装備を開発しやがれなのだ」
 「あいや、今日は、シラヌイ殿に良いところを見せようとして無防備に突進したー」
 「言い訳無用なのだ。わかったかなのだ」
 一方的にやり込められるヘッドギア男の姿に周辺のテーブルの客たちからも笑い声が漏れた。
 「責めないんですか、僕を」
 椿のマスターに向かって言った。
 「何を」
 「『撃て』って言われたのに撃てなかった。そのせいでシラヌイにケガをさせてしまった」
 彼は夜空を見上げ、考えるようなそぶりを見せて話しはじめた。
 「今日、最初に会ったとき、さんざんだったよな。君は。でも、君は自分自身の考えで、自分自身をどうにかしたいと思って今日の活動に参加した。君は自分自身で解っているから」
 「何をですか」
 「自分には何かが欠けている、ヘンだ、とね。そしてそれをなんとかしたい、と思っている。例えば、今は、自分の行動を振り返って反省している。なら、次回から直せばいい。 最初に君も認めた対人関係が苦手な部分、結局それが神姫への不義理な扱いに繋がっているのだけどー、それだって直していけばいい。神姫は、人間だったら離れていくような行動をとっても、あくまでマスターについていく。君は君のシラヌイから人の付き合い方を学べばいい。ただ、彼女に甘えるなよ。学生だったらサークルのひとつにでも入って、そこで友達でもつくってー」
 「それは、無理ですよ。ソリの合わない人が多くて」
 「うん、でも、校内の学生全員と顔を合わせたわけじゃないだろ。騙されたと思って神姫サークルでも立ち上げたらどうだ」
 釈然とせずに僕は黙り込んだ。
 「ま、無理強いはしないが、動かないことにはどうにもならんだろ」
 確かに、そうだ。今日のことだって、最初に僕が帰っていたら、こういう展開にはならなかっただろうし。
 「はい。………学校には神姫のサークルがあるんで、明日、いってきます」
 「最初から、上手く行くとは考えないでな。軽く話しを合わせて、そんなもんだ」
 手の甲に、柔らかくひんやりとしたものが当たった。テーブルの上に置いた僕の手に、シラヌイが身を寄せていた。
 「私もお手伝いさせて頂きます、主」
 見上げるシラヌイに何と言ったら良いのかとちょっと考えて、答えた。
 「ありがとう。これからも迷惑をかけることになるかもしれないけれど、良いマスターになってみせるよ」
 「はい。私は常に主とともに居ります。これからも、主のために」
 お互いに黙り込んだまま見つめ合う僕らに気づいたマオチャオタイプが、矛先をこちらに向けた。
 「おお、なんかいい雰囲気なのだ」
 「ちょっと、お止めなさい。大事な場面なのですから」
 これは椿さん。とはいえ好奇心まるだしの表情でこちらを見ているのは何ですか。
 「うむ、マスターとしての自覚を新たにしたのであるな。それでこそー」
 ビール一杯で顔を真っ赤にしたヘッドギア男がまた、演説口調で話し始めた瞬間。
 「うるせーよ」
 「本当に、公共の場所での行動をわきまえない方ですね」
 「今、良いところなのだ、ひかえおうろうなのだ」
 「せっかく主と良い雰囲気でしたのに」
  一斉に非難の声が飛んだ。

 Das Ende.
 




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