本文を読む前に、幻を紡ぐ少年(修理屋氏作)をお読みください。
「ただいまぁ~……」
御影市にあるアパートの一角、上岡修也の家に、気の抜けたような少女の声が響いた。
「あれ、お帰り。ずいぶん早いな」
「お帰りなさい、梓さん」
この家の主たる修也と、彼の神姫であるリュミエが、たった今帰宅した梓を迎える。
昨日、彼女の電話を(あくまで偶然に)聞いたところによると、センターの前に居座る不審な男について調べに行くらしかったのだが。
「もぉ、聞いて下さいよ修也さん!」
さっきまで気が抜けていたかと思えば、今度は修也相手に結構な勢いで愚痴をこぼす。全く、元気な事だった。
「……どうか、したんですか?」
「聞かないでやって欲しいです。にゃぁ……」
神姫達は、そんな会話をしてたとか。
御影市にあるアパートの一角、上岡修也の家に、気の抜けたような少女の声が響いた。
「あれ、お帰り。ずいぶん早いな」
「お帰りなさい、梓さん」
この家の主たる修也と、彼の神姫であるリュミエが、たった今帰宅した梓を迎える。
昨日、彼女の電話を(あくまで偶然に)聞いたところによると、センターの前に居座る不審な男について調べに行くらしかったのだが。
「もぉ、聞いて下さいよ修也さん!」
さっきまで気が抜けていたかと思えば、今度は修也相手に結構な勢いで愚痴をこぼす。全く、元気な事だった。
「……どうか、したんですか?」
「聞かないでやって欲しいです。にゃぁ……」
神姫達は、そんな会話をしてたとか。
「まったく、慎一君も慎一君ですよ! 一応刑事さんってことだったけど、そんな簡単に付いてくなんて」
「……要するに、星野君を取られたのが気に食わない、と。や~、青春してるねぇ」
梓は一瞬、その意味をはかりかねて、
「……!!? ちょっ、ち、違いますっ!! そういうんじゃなくてっ!!」
顔を真っ赤にして反論した。
「マスター、親父モード入ってます」
リュミエが努めて冷静に、修也に言う。
「はは、冗談冗談」
「もぉ……」
「でも、そういう状況だったら行かざるを得ないだろうな。もしネロのことを隠して、あとでバレたら面倒だし」
親父モードを解除した修也が、梓に言った。
「それは……そうですけど」
「それよりもだ。さっき、研究所が狙われてるって話があったな?」
「……要するに、星野君を取られたのが気に食わない、と。や~、青春してるねぇ」
梓は一瞬、その意味をはかりかねて、
「……!!? ちょっ、ち、違いますっ!! そういうんじゃなくてっ!!」
顔を真っ赤にして反論した。
「マスター、親父モード入ってます」
リュミエが努めて冷静に、修也に言う。
「はは、冗談冗談」
「もぉ……」
「でも、そういう状況だったら行かざるを得ないだろうな。もしネロのことを隠して、あとでバレたら面倒だし」
親父モードを解除した修也が、梓に言った。
「それは……そうですけど」
「それよりもだ。さっき、研究所が狙われてるって話があったな?」
修也とリュミエは、御影市神姫センターへと向かっていた。
「かすみさんや高明さんが心配ですか?」
「んなわけないだろ。かすみもあのタヌキも、殺したって死にゃしないような奴だからな」
とか言いつつセンターに向かっているのは、やっぱり心配だからなんだろうなとリュミエは思った。
「あいつも伊達に修羅場くぐってきてるわけじゃないし」
「……かすみさんのあの伝説、ですか」
リュミエは、修也から聞いたかすみに関するいくつかの話を思い出した。
特に壮絶なのが、高校時代に銀行強盗に遭遇した時らしい。工業高校(ちなみにその年度で唯一の女子入学生だった)に通っていた彼女は、偶然持っていたいくつかの機材を使って、強盗を取り押さえてしまったという。何をどう使ったかは、リュミエはもちろん修也にも想像がつかない。
最近だと、鳳凰杯の時に「違法神姫狩り」とともに何かやっていたらしい。もちろん本人が何も言わないので、確かめようがないが。
「っと、あれは……」
「慎一さん?」
そんな彼らの目に、最近知った少年が映った。
「かすみさんや高明さんが心配ですか?」
「んなわけないだろ。かすみもあのタヌキも、殺したって死にゃしないような奴だからな」
とか言いつつセンターに向かっているのは、やっぱり心配だからなんだろうなとリュミエは思った。
「あいつも伊達に修羅場くぐってきてるわけじゃないし」
「……かすみさんのあの伝説、ですか」
リュミエは、修也から聞いたかすみに関するいくつかの話を思い出した。
特に壮絶なのが、高校時代に銀行強盗に遭遇した時らしい。工業高校(ちなみにその年度で唯一の女子入学生だった)に通っていた彼女は、偶然持っていたいくつかの機材を使って、強盗を取り押さえてしまったという。何をどう使ったかは、リュミエはもちろん修也にも想像がつかない。
最近だと、鳳凰杯の時に「違法神姫狩り」とともに何かやっていたらしい。もちろん本人が何も言わないので、確かめようがないが。
「っと、あれは……」
「慎一さん?」
そんな彼らの目に、最近知った少年が映った。
インターホンの間延びした音が、上岡家に来客を告げた。
「どちらさまですかー?」
宅配便か何かだと思い、梓は玄関に出る。
玄関先のモニターに映っていたのは、
「って、し、慎一君?」
「う、うん」
数時間前に別れた少年だった。
「どちらさまですかー?」
宅配便か何かだと思い、梓は玄関に出る。
玄関先のモニターに映っていたのは、
「って、し、慎一君?」
「う、うん」
数時間前に別れた少年だった。
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