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「Gene16 浜茶屋」(2007/05/27 (日) 19:26:27) の最新版変更点
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己の城、自分だけのかっこいー店を建てるのは、それだけで至上の喜びでしょう。けれども、ただ店さえ建てれば繁盛するなどという上手い話なんてありはしません。だったら脱サラおぢさんもみんな億万長者で安泰ですよね~。屋台店しかり、訪問販売しかり、客を得る為には、時には店の趣にこだわらず、客の居る場所、居る時機へ自ら乗り込んでいくがめつさも必要だったりします。さてここにも例に習い、そりゃもーみすぼらしい掘っ立て小屋ながらも、海水浴客相手に大銭稼ごうと目論む一軒の海の家がありました・・・が。
「客、来ないよなぁ」
「そうですわねえ」
それでも、お聞きの通り閑古鳥なのでありました。
しかしどうして繁盛しないのでしょうかねぇ? 見たところ空も海も青くて、砂浜もきれいでいい日照り。絶好の海水浴日和じゃありませんか。もしかしてこの浜茶屋の経営状況が悪いんでしょうか? ちょっと監察してみましょう。
「あ゛~、空がクソ青くて海もムダに青くて、そんでもって砂浜なカラカラなせいだ客来ないのは!! イースもそう思うだろ?」
おやおや、この浜茶屋の店主さん、いきなり客の来なさに逆ギレし出しましたよ? それってさっき私が言った好条件ですってば。
「カラカラがいけません? そうですねえ、当方といたしましても、カラカラよりカラっと揚げたカレーパンのほうが好ましいですわ」
・・・ってそこのイラネーさん、もといイーアネイラの貴女もビミョーにツッコみ所間違えてますよ!
「カレーパンかぁ・・・。アレ意外に揚げるの面倒なんだよなあ」
店主さんもソコで乗らない!
「・・・しかしそれにしてもよぉ、海水浴客自体1人も見えないってどうなんだろうな。やっぱり塩水より真水のプールの方がいいって言うのかよ」
そう言えば、店主さんの言う通り、白い砂浜はいくら見渡してもヤドカリくらいしか見えませんねぇ。一体どうして・・・
「海水浴客はどうでもいいですけれど、パンをこねるには塩水の方が必要ですわよ?」
「・・そだよなあ。ケーキだって塩必要だっつうのによ。なんかそう考えたらムカツクな海水浴客」
イヤイヤイヤイヤ、海の家に海水浴客は必須ですよお二方!!気にしましょうよ!! 何なんですか、この頭痛くなるボッケボケぶり・・・。
「・・・所で、何でパンなんだよ? 魚女には一生無縁そうなカテゴリだろ?」
あ、店主さん今度はちゃんとツッコみましたねぇ。魚人型なら魚介類の方が好きなんじゃ・・・あ、それは友食いですか。ともかく普通なら海好きの筈ですもんね。
「あら~? でも当方がお姉様に聞いた所では、主様は昔『ボク、大きくなったら世界一のパン屋さんになるんだい!』と言っていらしたそうじゃありませんか?」
「・・・いつの間に聞いたんだよ・・・」
「ですけれど、素敵な夢ではありませんか?」
「・・・夢で儲けられるか? 夢で建てれば店は絶対繁盛するのか? 神姫のお前には判らないと思うけどな、俺が海の家やってるのはな、海にあるってだけでマズいメシも売れるからだよ」
う、意外に痛く切実な意見ですねぇ。(結局繁盛してませんが)
「ですけれど、企業努力も出来ない店舗は衰退して然りではありません? 当方は不味いラーメンが売れるよりも不味い創作パンが売れない事の方が好ましいですわ」
「・・・俺が売れない創作パン作った事まで聞いたのかよ!? あの青汁パンを!」
作ったんですか店主さん!?
「いえ、当方が作りましたのよ。くさやパン」
作ったんですかイースさん!?
「・・・何時? 俺は見てねえぞ!」
「アルバイトの際に少々。どうして売れないんでしょうねえ」
「う~んと、味の割にコスト高かったんじゃねえのか?」
イヤ店主さん! 根本的に匂いとか外見とかからレッドゾーンでしょう! それ以前にイースさんがバイトしてる事とかバイト代とかバイト先とかそれ依然に話が逸れてきてる所とかツッコむところは山程・・・
「ところで、バイト先って何処?」
・・あ、今度こそちゃんとツッコみましたね。ほっとしまし・・
「それはナイショのノノちゃんですわ」
「・・・ちっ、主人になら紹介してくれたっていいだろ」
うわぁ、誉める前に落胆させないで下さいよぉ。しかも人間の威厳まで捨てないで下さいってば!
「でも、魚人型ってどう考えたってパン作り向かないだろ? クビにならねえのお前?」
よし!今度こそちゃんと最後まで押し負けないで下さい店主さん。大体どう考えたって魚人型なら水族館のバイトとかの方が適材適所ですもん。まあ、店主さんが『その後釜にありつきたい』オーラばりばりなのは目を瞑りましょう。
「あら、当方は普通のパンでしたら得意ですわよ?」
いえいえ、そんな筈無いですって。言ってやってください店主さん。例えば・・・
「だって足ヒレとか邪魔じゃねえかよ? 外してやんのか?」
「むしろ必須ですわ。ヒレのスナップでパンをこねれば人間並みの練りを出せますわ。そもそも魚人の足ヒレは半分飾りですわ。変形でもするならともかく、上半身人間型では抵抗が多すぎますし、ヒレで泳ぐというのも非効率なのですわ」
「う・・、だけど、水中用なら防水加工してあるだろうし、神姫なら呼吸も必要ないんだ、水に潜るのは得意じゃねえか! それ活かせよ!!」
「結局フレームは一般と大して変わらないのですから、水圧に耐えられませんわ。ですから生活防水に毛が生えた程度にしか役に立ちませんわ。それなあ水も伴うパン練りの方が適材ですわ。それに呼吸が必要ない事も、嫌気で醗酵するイースト菌の経過を見るのに好都合なんですわ」
「いや・・けどよ、魚とパンは別物の食べ物じゃねえか! おかしいだろ色々と!」
「魚は食物以外で醗酵調理方法のある数少ない食物ですわ。醗酵させてから焼くパンとは関係が無くもありませんわ」
「・・・百歩譲ってそうだとしても! お前のパンが売れる理由にはなら・・」
「・・・そう言えば、結構この大きなムネの弾力も、パン練りに使えるのですわ。結構こなれて、気持ちもいいのですわよ?」
「・・・負けました。」
・・・だめだこりゃ、言いくるめられちゃったよ店主さん。しかも鼻血出しながら降伏かよ!
「・・・そりゃ、俺だって出来ればパン作りてえよ。けど今店が・・・」
「どうせお客様は来ておりませんわ」
「・・・けども材料が・・・」
「コナモノ用の小麦粉がありますわ。卵も、バターもですわ」
「でもイースト菌は無いだろ? それじゃあ・・・」
「あら? イースト菌というのは植物の表皮などに普遍的に生息する菌であるのをご存知有りませんか? ですから、冷蔵庫のフルーツで十分代用できますわ」
「だけど、釜も・・・」
「飯盒でもパンは焼けますわ。バーベキューの貸し出し用に倉庫にあったものを確認しておりますわ」
「そんなこと言ったって、結局売れなかったら・・・」
「天然素材をふんだんに使ったパンというだけで売れますわ。それが人間の心理と聞きましたわ。いざとなれば、当方が海洋深層水を取って参りますわ」
「あん? さっき潜れないとか言って・・・」
「心意気を言ったまで、ですわ」
「・・・作るか?」
「作られますか?」
「俺は作りたいと思ってたんだよ、都合よくな」
「当方も、挑戦したく思っておりましたわ」
「そうか」
「そうですわ」
「・・・ふっふっふ」
「・・・ふふっ」
「よし、イース、材料かき集めてくれ! 俺は飯盒とか道具探すぜ!」
「かしこまりました、ですわ♪」
・・・うっわー、結局全力で海の家を無視して、本当にパン作り始めちゃいましたよお二人。これじゃお客なんて来るわけないで・・・あれ? この看板・・・何々・・・『海開きは10日後です』・・・あ。ミナカッタコトニシトコ。
その10日後、件の店は美味しくて愉快でちょっぴりエロティックな海のパン屋さんとして大繁盛してました。・・・パン食べる前から胃の痛くなるダブルボケは健在でしたが(ゴフ)。
ちゃんちゃん。
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己の城、自分だけのかっこいー店を建てるのは、それだけで至上の喜びでしょう。けれども、ただ店さえ建てれば繁盛するなどという上手い話なんてありはしません。だったら脱サラおぢさんもみんな億万長者で安泰ですよね~。屋台店しかり、訪問販売しかり、客を得る為には、時には店の趣にこだわらず、客の居る場所、居る時機へ自ら乗り込んでいくがめつさも必要だったりします。さてここにも例に習い、そりゃもーみすぼらしい掘っ立て小屋ながらも、海水浴客相手に大銭稼ごうと目論む一軒の海の家がありました・・・が。
「客、来ないよなぁ」
「そうですわねえ」
それでも、ダメなトキはダメなのでありました。まー世の中って不公平ですし~(酷)。
しかしどうして繁盛しないのでしょうかねぇ? 見たところ空も海も青くて、砂浜もきれいでいい日照り。絶好の海水浴日和じゃありませんか。もしかしてこの浜茶屋の経営状況が悪いんでしょうか? ちょっと監察してみましょう。
「あ゛~、空がクソ青くて海もムダに青くて、そんでもって砂浜なカラカラなせいだ客来ないのは!! イースもそう思うだろ?」
おやおや、この浜茶屋の店主さん、いきなり客の来なさに逆ギレし出しましたよ? それってさっき私が言った好条件ですってば。
「カラカラがいけません? そうですねえ、当方といたしましても、カラカラよりカラっと揚げたカレーパンのほうが好ましいですわ」
・・・ってそこのイラネーさん、もといイーアネイラの貴女も思い切りツッコみ間違えてますよ!
「カレーパンかぁ・・・。アレ意外に揚げるの面倒なんだよなあ」
店主さんもソコで乗らない! どうしてそこでボケるんですか!?
「・・・しかしそれにしてもよぉ、海水浴客自体1人も見えないってどうなんだろうな。やっぱり塩水より真水のプールの方がいいって言うのかよ」
そう言えば、店主さんの言う通り、白い砂浜はいくら見渡してもヤドカリくらいしか見えませんねぇ。一体どうして・・・
「海水浴客はどうでもいいですけれど、パンをこねるには塩水の方が必要ですわよ?」
「・・そだよなあ。ケーキだって塩必要だっつうのによ。なんかそう考えたらムカツクな海水浴客」
イヤイヤイヤイヤ、海の家に海水浴客は必須ですよお二方!!気にしましょうよ!! 何なんですか、この頭痛くなるボケ倒しぶり・・・。見ていてもどかしすぎるぅ・・・
「・・・所で、何でパンなんだよ? 魚女には一生無縁そうなカテゴリだろ?」
あ、店主さん今度はちゃんとツッコみましたねぇ。魚人型なら魚介類の方が好きなんじゃ・・・あ、それは友食いですか。ともかく普通なら海好きの筈ですもんね。
「あら~? でも当方がお姉様に聞いた所では、主様は昔『ボク、大きくなったら世界一のパン屋さんになるんだい!』と言っていらしたそうじゃありませんか?」
「・・・いつの間に聞いたんだよ・・・」
「ですけれど、素敵な夢ではありませんか?」
「・・・夢で儲けられるか? 夢で建てれば店は絶対繁盛するのか? 神姫のお前には判らないと思うけどな、俺が海の家やってるのはな、海にあるってだけでマズいメシも売れるからだよ」
うぅ、店主さん、意外に痛く切実な意見言いますねぇ。(結局繁盛してませんが)
「ですけれど、企業努力も出来ない店舗は衰退して然りではありません? 当方は不味いラーメンが売れるよりも不味い創作パンが売れない事の方が好ましいですわ」
「・・・俺が売れない創作パン作った事まで聞いたのかよ!? あの青汁パンを!」
作ったんですか店主さん!?
「いえ、当方が作りましたのよ。くさやパン」
作ったんですかイースさん!?
「・・・何時? 俺は見てねえぞ!」
「アルバイトの際に少々。どうして売れないんでしょうねえ」
「う~んと、味の割にコスト高かったんじゃねえのか?」
イヤ店主さん! 根本的に匂いとか外見とかからレッドゾーンでしょう! それ以前にイースさんがバイトしてる事とかバイト代とかバイト先とかそれ依然に話が逸れてきてる所とかツッコむところは山程・・・
「ところで、バイト先って何処?」
・・あ、今度こそちゃんとツッコみましたね。ほっとしまし・・
「それはナイショのノノちゃんですわ」
「・・・ちっ、主人になら斡旋してくれたっていいだろ」
うわぁ、誉める前に落胆させないで下さいよぉ。しかも人間の威厳まで捨てないで下さいってば!
「でも、魚人型ってどう考えたってパン作り向かないだろ? クビにならねえのお前?」
よし!今度こそちゃんと最後まで押し負けないで下さい店主さん。まあ、店主さんが『その後釜にありつきたい』オーラばりばりなのは目を瞑りましょう。大体どう考えたって魚人型なら水族館のバイトとかの方が適材適所ですもの。
「あら、当方は普通のパンでしたら得意ですわよ?」
いえいえ、そんな筈無いですって。言ってやってください店主さん。そう、例えば・・・
「だって足ヒレとか邪魔じゃねえかよ? 外してやんのか?」
「むしろ必須ですわ。ヒレのスナップでパンをこねれば人間並みの練りを出せますわ。そもそも魚人の足ヒレは半分飾りですわ。変形でもするならともかく、上半身人間型では抵抗が多すぎますし、ヒレで泳ぐというのも非効率なのですわ」
・・・え?
「う・・、だけど、水中用なら防水加工してあるだろうし、神姫なら呼吸も必要ないんだ、水に潜るのは得意じゃねえか! それ活かせよ!!」
「結局フレームは一般と大して変わらないのですから、水圧に耐えられませんわ。ですから生活防水に毛が生えた程度にしか役に立ちませんわ。それなあ水も伴うパン練りの方が適材ですわ。それに呼吸が必要ない事も、嫌気で醗酵するイースト菌の経過を見るのに好都合なんですわ」
・・・言われてみれば、そうですよね・・・でも・・・。
「いや・・けどよ、魚とパンは別物の食べ物じゃねえか! おかしいだろ色々と!」
「魚は食物以外で醗酵調理方法のある数少ない食物ですわ。醗酵させてから焼くパンとは関係が無くもありませんわ。スカシカシパンという海洋生物もおりますのよ」
いや! その海洋生物むかん・・・
「・・・百歩譲ってそうだとしても!」
・・譲らないで下さい!
「それでも! お前のパンが売れる理由にはなら・・」
「・・・そう言えば、結構この大きなムネの弾力も、パン練りに使えるのですわ。結構こなれて、気持ちもいいのですわよ?」
「・・・負けました。」
・・・はなぢ出して轟沈しちゃった、店主さん。ダメだぁ・・・。
「・・・そりゃ、俺だって出来ればパン作りてえよ。けど今店が・・・」
「どうせお客様は来ておりませんわ」
「・・・けども材料が・・・」
「コナモノ用の小麦粉がありますわ。卵も、バターもですわ」
「でもイースト菌は無いだろ? それじゃあ・・・」
「あら? イースト菌というのは植物の表皮などに普遍的に生息する菌であるのをご存知有りませんか? ですから、冷蔵庫のフルーツで十分代用できますわ」
「だけど、釜も・・・」
「飯盒でもパンは焼けますわ。バーベキューの貸し出し用に倉庫にあったものを確認しておりますわ」
「そんなこと言ったって、結局売れなかったら・・・」
「天然素材をふんだんに使ったパンというだけで売れますわ。それが人間の心理と聞きましたわ。いざとなれば、当方が海洋深層水を取って参りますわ」
「あん? さっき潜れないとか言って・・・」
「心意気を言ったまで、ですわ」
「・・・作るか?」
「作られますか?」
「俺は作りたいと思ってたんだよ、都合よくな」
「当方も、挑戦したく思っておりましたわ」
「そうか」
「そうですわ」
「・・・ふっふっふ」
「・・・ふふっ」
「よし、イース、材料かき集めてくれ! 俺は飯盒とか道具探すぜ!」
「かしこまりました、ですわ♪」
・・・うっわー、結局全力で海の家を無視して、本当にパン作り始めちゃいましたよお二人。これじゃお客なんて来るわけないで・・・あれ? この看板・・・何々・・・
『海開きは10日後です』
・・・あ。ミナカッタコトニシトコ。
・・・その10日後、件の店は美味しくて愉快で時折バクチ要素の創作パンも楽しめる海のパン屋さんとして大繁盛してました。・・・パン食べる前から胃の痛くなるダブルボケは健在でしたが(ゴフ)。
ちゃんちゃん。
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