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**Elysion 第2話 「学園」
#center{[[Back:第1話 「邂逅」>Elysion_a01]] | [[Elysion トップ>Elysion]] | [[Next:第3話「饗宴」>Elysion_a03]]}
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私立&ruby(はなゆり){華百合}学園
ここは全国でも珍しい、神姫を受け入れた学校である。
この学校では、生徒の所持する神姫にも制服を着せ登校させるという、
極めて異例のシステムが存在する。
隣接する敷地内に高等部、大学部を持ち高大一貫教育を行っている。
「&ruby(ゆりはら){百合原}さ~ん」
その日の放課後、帰り支度を始めていた百合原さんに声をかけた。
「ちょっといいかな?」
「あら香織ちゃん、どうしたの?」
「実はさ~、神姫を買ったんだけど・・・・学校の手続きとか解らなくて」
「あ、ついに買ったんだー!ねね、どこで何を買ったの?」
「エリュシオンってとこで、エウクランテ型ってやつ」
「あ~、あそこ・・・・・ん・・・?エウクランテ?」
「店舗用サンプルを売ってもらったの」
「そっかー・・・あ、手続きだったら事務室に行って用紙をもらえばOKだよ」
百合原さんとは高等部3年のいままであまり親しく話したことはなかったんだけど、
こういうときは頼もしい委員長さんである。
とりあえず・・・と、内線で事務に話を通してくれた。
「ねぇ、今日もそこ行くの?」
「うん、帰ったらね・・・・それじゃありがと~~!」
早く帰りたい私は、居ても立ってもいられず事務室へ走った。
「うん、また後でね~」
そして百合原さんは、廊下は走らないでね、と笑って付け加えた。
「ただいまー!リルハ、着替えたら出かけるよ~」
家に帰った私は、さっそくクレイドルで寝ていた私の神姫、リルハを起こした。
「ん~・・・・カオリおかえり、どこ行くの~?」
まだ眠そうな目をこすりながら・・・・そんな仕草も超絶かわいいっ♪
「エリュシオン、リルハを買ったお店だよ~」
さっくりと着替えた私は、リルハを連れエリュシオンへ自転車を飛ばした。
駅から距離にして337m、徒歩ならおおよそ704歩くらい。
新東京神姫センターと書かれた大きな建物に隣接して・・・というより
ほぼ同化したそのお店の前で自転車を止めた。
「カオリ、ついた~?」
「うん、ここだよ~♪さ、中に入ろう」
「うん」
ウィ~ン
「いらっしゃいませ~」
店の中には大勢のお客さんと店長さん、そして
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あら、香織ちゃんどうしたの?」
「ななな・・・・なんで百合原さんがここに・・・」
「さっき言いましたよ、『また後でね~』って」
そんなこと言ってたっけ・・・・言ってたかも?
私と百合原さんがそんなやりとりをしていると、店長さんがそれに気づいて
「・・・・ん・・・知り合い?」
「あ、叔父様。ええ、クラスメートです」
「え・・ええ?おじさま??」
百合原さんって店長さんの親戚だったの??
なんてプチパニックしながらふとリルハの方を見遣ると、なにやらお客さん達が
リルハに群がっていた。
"おお、これが例の新型か~!" "かわいいな~"
"神姫もかわいいけど、おれは持ち主の女の子が・・・"
「あれ?え・え・え・・・?」
いつの間にか私までが、この店の男性客に取り囲まれていた。
いま気づいたけど、いま女性は私と百合原さんしかいないじゃん・・・!
百合原さ~ん、笑って見てないで助けてよ~~!
絶体絶命のピンチ(このときは本気でそう思ったんだよ!)に現れた小さなヒーローは
輪の中心、私とリルハのところへすぅっと降りてきて
「は~いみんな~、ブラッディ・カーニバルの餌食になりたいのは誰かな~?」
その&ruby(やみさばき){闇捌}の一言で、大勢の男性客は一斉に店内に散っていった。
「ところで香織ちゃん、どんなご用?」
「そうだった、リルハの事なんですが・・・」
そう言ってリルハを見せると、店長さんは少し難しい顔をした。
「どうしたの、叔父様?」
「う~ん・・・どうも製品版と違うような・・・・ちょっと調べていいですか?」
「え・・・あっはい」
「では、少しお借りします」
店長さんはそう言うと、脇の作業台にリルハをちょこんと座らせた。
「とりあえず、そこの雑誌の新型の紹介記事を見てみて下さい。」
「どれどれ・・・・あれ?・・・叔父様これって・・・・」
私はなにげなく見ていたが、百合原さんは何かに気づいたようだ。
「そうなんですよ・・・・外見にエウクランテとイーアネイラの特徴を持っているんです。」
「叔父様、それって・・・・?」
「やっぱり・・・香織さん、これを見て下さい。」
店長さんはそう言って、1枚の紙を寄越した。
「店長さん、何ですかこれ?」
「香織ちゃん・・・・ここと比べてみて。」
そう言われて見てみたが、数字が並んでるだけでさっぱり解らない。
「あの~・・・・・この数字が何か?」
「あのね~、香織ちゃん。これはスペック表と言って、ここにある程度の性能が書かれてるの。」
百合原さんが助け舟を出してくれたけど・・・・ごめん、やっぱわかんないや。
「他のも多少違いますが、問題はここ、水中特性。」
「あ・・・なんですか、この違い」
「そしてこちら側を見ると・・・・・」
「あ、数字が同じだ!」
「そうなんです、それぞれの数値で双方の性能の高い方が選択されているんですよ。」
「叔父様、と言う事はつまり・・・・?」
「多分、この2体共通のトライアル用プロトタイプですね・・・・」
ふたりでなにやら熱心に話していた・・・・っていうか、ふたりともいちいち私に説明してくれた
のだけど、私には半分も理解出来なかった。
「カオリ~、お買い物は~?」
そうそう、リルハに言われるまですっかり忘れてた。
「すみません、神姫用の服はどこですか?」
「こっちよ香織ちゃん」
「あっすみません、百合原さん」
「ねぇ香織ちゃん、そろそろその百合原さんって呼び方止めてもらえるかしら」
「えっ・・・でもなんて・・・・」
「名前でいいわよ、友達なんだし」
「う・・・うん」
呼び捨てはさすがにきついよね・・・・じゃあ・・・・
「さ・・・・&ruby(さゆき){沙雪}ちゃん、でいいかな?」
「ボクもサユキって呼んでいい?」
「ええ、いいわよ」
・・・・無邪気なリルハがちょっとうらやましい。
「サユキ、ボクに似合う服あるかなぁ?」
「もちろん♪」
そして服と、沙雪ちゃんおすすめの小物をいくつか買って私達は家路についた。
帰りがけに目にしたアルバイト募集の貼り紙のことを考えながら・・・
「やっぱ、バイトしよっかな~・・・・」
「カオリ・・・・・」
「ああ、お金じゃなくて知識ね。そりゃ、お金もあった方がいいけどさ・・・・」
「ってことは、さっきのお店?」
「そそ、喫茶&MMSショップ エリュシオン。知識も入るし、神姫持込OKも魅力」
付け加えると、時給もちょっと魅力♪
「ボクも一緒に行けるの?」
「もちろん、リルハも一緒に働くんだよ~」
「ボクもやってみたい!」
「よし、そうと決まったら明日学校から帰ったら行ってみよう」
「うん」
「それじゃ、今日もうはお風呂入って寝よう~」
「は~い」
そういえばリルハは水中特性が高いとかなんとか、ふとさっきの話を思い出していた。
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私立&ruby(はなゆり){華百合}学園
ここは全国でも珍しい、神姫を受け入れた学校である。
この学校では、生徒の所持する神姫にも制服を着せ登校させるという、
極めて異例のシステムが存在する。
隣接する敷地内に高等部、大学部を持ち高大一貫教育を行っている。
「&ruby(ゆりはら){百合原}さ~ん」
その日の放課後、帰り支度を始めていた百合原さんに声をかけた。
「ちょっといいかな?」
「あら香織ちゃん、どうしたの?」
「実はさ~、神姫を買ったんだけど・・・・学校の手続きとか解らなくて」
「あ、ついに買ったんだー!ねね、どこで何を買ったの?」
「エリュシオンってとこで、エウクランテ型ってやつ」
「あ~、あそこ・・・・・ん・・・?エウクランテ?」
「店舗用サンプルを売ってもらったの」
「そっかー・・・あ、手続きだったら事務室に行って用紙をもらえばOKだよ」
百合原さんとは高等部3年のいままであまり親しく話したことはなかったんだけど、
こういうときは頼もしい委員長さんである。
とりあえず・・・と、内線で事務に話を通してくれた。
「ねぇ、今日もそこ行くの?」
「うん、帰ったらね・・・・それじゃありがと~~!」
早く帰りたい私は、居ても立ってもいられず事務室へ走った。
「うん、また後でね~」
そして百合原さんは、廊下は走らないでね、と笑って付け加えた。
「ただいまー!リルハ、着替えたら出かけるよ~」
家に帰った私は、さっそくクレイドルで寝ていた私の神姫、リルハを起こした。
「ん~・・・・カオリおかえり、どこ行くの~?」
まだ眠そうな目をこすりながら・・・・そんな仕草も超絶かわいいっ♪
「エリュシオン、リルハを買ったお店だよ~」
さっくりと着替えた私は、リルハを連れエリュシオンへ自転車を飛ばした。
駅から距離にして337m、徒歩ならおおよそ704歩くらい。
新東京神姫センターと書かれた大きな建物に隣接して・・・というより
ほぼ同化したそのお店の前で自転車を止めた。
「カオリ、ついた~?」
「うん、ここだよ~♪さ、中に入ろう」
「うん」
ウィ~ン
「いらっしゃいませ~」
店の中には大勢のお客さんと店長さん、そして
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あら、香織ちゃんどうしたの?」
「ななな・・・・なんで百合原さんがここに・・・」
「さっき言いましたよ、『また後でね~』って」
そんなこと言ってたっけ・・・・言ってたかも?
私と百合原さんがそんなやりとりをしていると、店長さんがそれに気づいて
「・・・・ん・・・知り合い?」
「あ、叔父様。ええ、クラスメートです」
「え・・ええ?おじさま??」
百合原さんって店長さんの親戚だったの??
なんてプチパニックしながらふとリルハの方を見遣ると、なにやらお客さん達が
リルハに群がっていた。
"おお、これが例の新型か~!" "かわいいな~"
"神姫もかわいいけど、おれは持ち主の女の子が・・・"
「あれ?え・え・え・・・?」
いつの間にか私までが、この店の男性客に取り囲まれていた。
いま気づいたけど、いま女性は私と百合原さんしかいないじゃん・・・!
百合原さ~ん、笑って見てないで助けてよ~~!
絶体絶命のピンチ(このときは本気でそう思ったんだよ!)に現れた小さなヒーローは
輪の中心、私とリルハのところへすぅっと降りてきて
「は~いみんな~、ブラッディ・カーニバルの餌食になりたいのは誰かな~?」
その&ruby(やみさばき){闇捌}の一言で、大勢の男性客は一斉に店内に散っていった。
「ところで香織ちゃん、どんなご用?」
「そうだった、リルハの事なんですが・・・」
そう言ってリルハを見せると、店長さんは少し難しい顔をした。
「どうしたの、叔父様?」
「う~ん・・・どうも製品版と違うような・・・・ちょっと調べていいですか?」
「え・・・あっはい」
「では、少しお借りします」
店長さんはそう言うと、脇の作業台にリルハをちょこんと座らせた。
「とりあえず、そこの雑誌の新型の紹介記事を見てみて下さい。」
「どれどれ・・・・あれ?・・・叔父様これって・・・・」
私はなにげなく見ていたが、百合原さんは何かに気づいたようだ。
「そうなんですよ・・・・外見にエウクランテとイーアネイラの特徴を持っているんです。」
「叔父様、それって・・・・?」
「やっぱり・・・香織さん、これを見て下さい。」
店長さんはそう言って、1枚の紙を寄越した。
「店長さん、何ですかこれ?」
「香織ちゃん・・・・ここと比べてみて。」
そう言われて見てみたが、数字が並んでるだけでさっぱり解らない。
「あの~・・・・・この数字が何か?」
「あのね~、香織ちゃん。これはスペック表と言って、ここにある程度の性能が書かれてるの。」
百合原さんが助け舟を出してくれたけど・・・・ごめん、やっぱわかんないや。
「他のも多少違いますが、問題はここ、水中特性。」
「あ・・・なんですか、この違い」
「そしてこちら側を見ると・・・・・」
「あ、数字が同じだ!」
「そうなんです、それぞれの数値で双方の性能の高い方が選択されているんですよ。」
「叔父様、と言う事はつまり・・・・?」
「多分、この2体共通のトライアル用プロトタイプですね・・・・」
ふたりでなにやら熱心に話していた・・・・っていうか、ふたりともいちいち私に説明してくれた
のだけど、私には半分も理解出来なかった。
「カオリ~、お買い物は~?」
そうそう、リルハに言われるまですっかり忘れてた。
「すみません、神姫用の服はどこですか?」
「こっちよ香織ちゃん」
「あっすみません、百合原さん」
「ねぇ香織ちゃん、そろそろその百合原さんって呼び方止めてもらえるかしら」
「えっ・・・でもなんて・・・・」
「名前でいいわよ、友達なんだし」
「う・・・うん」
呼び捨てはさすがにきついよね・・・・じゃあ・・・・
「さ・・・・&ruby(さゆき){沙雪}ちゃん、でいいかな?」
「ボクもサユキって呼んでいい?」
「ええ、いいわよ」
・・・・無邪気なリルハがちょっとうらやましい。
「サユキ、ボクに似合う服あるかなぁ?」
「もちろん♪」
そして服と、沙雪ちゃんおすすめの小物をいくつか買って私達は家路についた。
帰りがけに目にしたアルバイト募集の貼り紙のことを考えながら・・・
「やっぱ、バイトしよっかな~・・・・」
「カオリ・・・・・」
「ああ、お金じゃなくて知識ね。そりゃ、お金もあった方がいいけどさ・・・・」
「ってことは、さっきのお店?」
「そそ、喫茶&MMSショップ エリュシオン。知識も入るし、神姫持込OKも魅力」
付け加えると、時給もちょっと魅力♪
「ボクも一緒に行けるの?」
「もちろん、リルハも一緒に働くんだよ~」
「ボクもやってみたい!」
「よし、そうと決まったら明日学校から帰ったら行ってみよう」
「うん」
「それじゃ、今日はもうお風呂入って寝よう~」
「は~い」
そういえばリルハは水中特性が高いとかなんとか、ふとさっきの話を思い出していた。
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