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**剣よ集え、神なる姫の元(後半)
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クララの綺麗な腕に“魔導刻印”なる模様を彫り込んだ、ナマモノ二匹を
粛正して……改めてクララの様子を見る。そう言えば連中、現実世界でも
云々と言っていたが……この実空間で“魔術”が使えると言う事なのか?
クララの“魔術”は“情報魔導学”、即ち電脳に作用して起こす現象だ。
原理的には、実空間では強力な電磁パルス以上の物ではないのだが……。
「クララや、その……“コライセル”か?少々使ってみてくれぬか」
「うん、いいよ。まずは“魔の刃”から展開してみるんだよ……ッ」
「う、うぉっ!?なっ……なんだ、この半透明なエネルギー刃は?」
「これだけじゃないもん。マイスター、驚かないでね……?ふッ!」
驚くな、とクララは前置きしたが……目の前のこれにはかなり驚きだ。
今までヴァーチャル空間内のみだった、環状魔法陣が展開されたのだ!
“魔術”の工程上、これは組み立てたコードが正しく世界に認識され、
発現の前段階が終了した事を示す、一種のシグナルとも言える。そして
32の魔法陣内部で、同じく32個産み出されるチタンベアリング弾!
「やっぱり……“アクセル・シェル”をマニュアル実行したんだよ」
「確か、弾を電磁浮遊システムの力学データで射出する魔術だな?」
「そうだよ。ちょっとこの感覚は慣れないけど……シュートッ!!」
「きゃっ!?わ、わぁ……そんな、実空間でチタン弾があんなに?」
アルマが呆然とするのも無理はないな。クララに支配された鋼の珠は、
正にUFOの様な軌道を描き、標的の空き缶を次々と撃ち抜いたのだ!
それは“電脳上の幻影”等でなく、間違いなく現実の力を備えていた。
先程“魔導”等という単語が出ていたが……恐らくはその効能だろう。
不可思議極まりないが、現実に起きている事を否定する事は出来ない。
「凄いが、実空間で“魔術”を全力全開にしてはクララも危うかろう?」
「そう、だね……マイスター、ボクには余波を防ぐ装備が必要なんだよ」
「分かった。開発中のアレにねじ込めるか、検討してみようではないか」
ならば現実にある問題……マテリアルの耐久限界を考慮せねばならん。
クララに負荷を掛ける事なく、この“魔剣”の真価を引き出せる防具。
その構想を思い描きつつ、最後の一振り……アルマ用のそれを出した。
黒い刀身に紅いグリッドが禍々しいが、緋色の柄と黒曜石の宝玉を戴く
銀の王冠を模した柄頭は、実に優美だ。形状的にはショートソードか?
「しかし、サイズの割には妙に重いな。アルマや、使いこなせるか?」
「え?ちょっと持たせてください……いえ、全然重くないですよコレ」
「何だと?……ひょっとしたら、お前以外に持たれたくないのかもな」
「……そう、かもしれません。ちょっと、待って下さい──────」
私の冗談に、しかしアルマは真面目に応え……剣を抱いて瞑目する。
鞘に収まったままのそれは、容易に封印を解かず……暫し時が経つ。
何事か呟いていたアルマが目を開いて腰に剣を下げても、“舞剣”は
決して自らを我々の前に晒そうとはしなかった。どういう事だ……?
「……マイスター、ごめんなさい。この子は、成長をしたがっています」
「この子だと?“魔剣”に相応しく、個性と自我をも備えているのか?」
「はい。あたしが“エルテリア”に認められる時までは、お預けですっ」
柄にMMS用共通ジョイントを備えるその剣は、持ち主を試す気らしい。
何とも大胆だが、意志を持つ剣とは面白い。アルマの成長に期待しよう!
だが覚醒の時まで彼女を補佐するパートナーが、アルマには必要の様だ。
何が起こるかを楽しみにしつつ、私は“妹達”の共通武装を取り出した。
先日作ったβバージョンを若干調整し、正式にバージョン2とした物だ。
「ではアルマや、代わりにこれを使うといい。鞘に仕掛けを加えたぞ」
「え、えっと……鞘に?追加は、電磁加熱機構だけじゃないんです?」
「そうだ、そこのギミックを起動させてみるが良い。刃が飛び出すぞ」
「は、はい……きゃっ!これ、鞘もダガーとして使えるんですね……」
「わたしの追加ギミックは、前のトーナメントで使った弾薬ですの?」
「ボクの“ヘル”は中継リング類の追加だね、使いやすくなったもん」
弟二世代型補助アーマー“シルフィード”に仕込んだ豊胸用胸パッド、
正確にはパッド型補助バッテリーだが……によって、艶っぽさの増した
三姉妹が、自分達の“魔剣”及び追加武装の談義に花を咲かせ始める。
武器がネタとは言え、何ともその談笑は可愛らしく……私は見惚れる。
……そしてこれらを見て、私の中では色々とアイデアが纏まっていく!
「よし、その可憐な姿に見合った装備を考える。気長に待っていろッ!」
「きゃっ……ま、マイスター鼻息が荒いですよ!落ち着いてくださいっ」
「だってなぁ、お前達がこんなにも可愛いのに……落ち着けるかッ!?」
「……マイスター、顔真っ赤だもん。もう……しょうがない人なんだよ」
「でも、そういう真っ直ぐなマイスターも可愛くて大好きですの~っ♪」
「かっ、可愛い言うな!お前達の方がずっとず~っと、可愛いんだぞ!」
──────それに私の全ては、貴女達のためにあるんだからね。
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