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「鳳凰杯編 「武の花の咲く頃に」」(2007/04/08 (日) 14:34:09) の最新版変更点
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「フチがかなりほつれて来ているな・・・」
クイントスお気に入りの濃紺のマントは、もう既にあちこちが擦り切れて、ぼろぼろになって来ていた
川原正紀の神姫となってすぐの頃に、仕事に着いて行った先で買ってもらった物だ
彼女に対して川原がした最初の直接的物質的なプレゼントであり、彼女の性格を決定付けたアクセサリでもあった
が、リアルバトルの際は外しているとはいえ、長い事使っていれば修復も追い付かなくなる・・・試合が終わったら新しいのを買って貰いに行こうかな・・・と、柄にも無く思った
*鳳凰杯編 「武の花の咲く頃に」
ポッドに入る前に、兜を脱ぐ・・・熱気を孕んだ風を、人工皮膚で思い切り感じた
私には、戦場が与えられている
「どうしたんだいセロ?ポッドに入ってくれないと、もうすぐバトルは始まるが・・・?」
もともとマスターは、どちらかというとバトルには肯定的な方ではない。咎める様でも、急かす様でもない言い方だった
「マサキ、これはサイドボードにでも入れておいて貰えないでしょうか?」
兜を渡す。「何故?」という様なマサキの問いの表情を、私は黙殺した
代わりに、本来外して臨むつもりだった外套を羽織ったまま、ポッドに入る
ここでは私は挑戦者の一人に過ぎない
戦術的価値の薄いアクセサリのマントを付けて戦いに臨むというのは、「王者の余裕」を演出する上では効果的かも知れないが、今此処での相手からとってみれば、自信過剰の滑稽な猿芝居だろう
それも、かなり痛んだマントだ
・・・だが、今私は、この熱気を、気温ではなく、闘いの熱気を、戦場へ持ち込みたかったのかもしれない
ヴァーチャルの空へ、私の心を使って・・・
『バトル、スタート!!』
同時に、引き抜いた『神薙Ⅱ』を両手で掲げ、叫ぶ
「我が名は『クイントス』!完璧なる紺碧の剣なり!我が音速の剣閃を恐れぬならば、その全能全霊を持って掛かって来るが良い!!!」
ここ迄の舞台でその手の名乗りをしたのは、流石に初めてだった
相手のハウリンを見据える・・・喋っている内に襲い掛かって来ても対処しようと思っていただけに、沈黙が少し気になった
「・・・・・・ならば私も名乗ろう、私は『司狼』お前が音速の剣ならば、私は縮地だ・・・ゆくぞ、ナイヴスロッテ!!」
空気を爆発させて、『司狼』のダッシュブースターが火を噴く・・・機動力は外付け機器に頼るタイプか?確かに速いが『縮地』を名乗れる程のものとは思えない・・・否!
光が、私の視界の隅を通り過ぎた
ダッシュブースターに『押される』様に加速していた『司狼』が、途中から、ダッシュブースターを『引きずる』様に加速し、間合いを一気に詰めて一閃・・・武器を持っているのがこちらからはっきり見えなかったあたり、レーザーソードの類だというのはほぼ間違い無い
かわせたのは半ばは運だ、『司狼』のトップスピードは明確に音速を超えており、神姫の反射神経だけではこの密着距離で回避するのは恐ろしく困難なところだが、こちらのマントで私が僅かに膨らんで見えたのだろう。それで距離を測り間違えたのだ
データと感覚のギャップが生じると感覚を信じるタイプと見た
通り抜けた『司狼』を追う・・・ダッシュブースターの性能差で、追いつくのは不可能だが、サイドボード無しで、彼女ともう一度向き合ってみたかった
(次は、見切りに行く・・・!)
私は『神薙Ⅱ』を鞘に収め、居合いの構えを取った
----
「常盤平、あれ見ろ」
「なんスカ?先輩」
Dブロック最終予選の様子が映し出されたモニタを、年配のカメラマンは指差していた
Dブロック・・・サードランカーが最も多く混じり、ファーストランカーはゼロ、セカンドでも今ひとつパッとしない面子が集まっていたブロックだ
だが
(良い勝負をしてやがる・・・)
セカンドではあるが、大きい大会には滅多に顔を出さない『クイントス』も、全くの無名であった『司狼』も、当然マスコミの注目度は低かったのだ
「凄いッスね・・・あの無名、セカンド相手に一方的に攻めてますね」
「・・・」
違う・・・と年配カメラマンは感じた
一見『司狼』が『クイントス』を圧倒している様に見えるが、何かが違う
「常盤平、すぐ調べろ、二分だ!」
「はっ?ハイっ先輩」
超小型のノートパソコン(携帯ではない)を操作し始める後輩
データは、すぐ集まった
「出ました!あの『司狼』っての、ランキングじゃ無名ですが、ストリートの野良試合じゃ有名な奴らしいッスね・・・なんでもそのスジじゃ150戦不敗とかって・・・先輩?」
「・・・常盤平、行くぞ」
「えっ?何スカ?先輩?鶴畑 興紀へのインタビューはどうするんスカーっ!?」
年配カメラマンは既に走り出していた
----
『司狼』は加速していた
既に3度斬りつけ、一度外す度に技はより精緻に、ダッシュはより速く、クロックアップさせていた
一度目で全力を出さなかった訳ではない
だが今は、機体とダッシュブースタの限界をやや超えた所で攻撃を繰り出しているにも関わらず
(一度目は私のミスだ。二度目は当たりを外されて、神姫装甲の対レーザーコーティングでいなされた・・・それは判るが、さっきの三度目は何故だ?光剣があいつの機体をかすりもしなかったどころか、反撃を喰らいかけた・・・!?)
ダッシュブースターに再び火を入れる・・・胸当てに大きな焦げ跡を受けた状態でなお、『クイントス』は刀を今度は肩に担ぐ様に大上段に構え直し、両足を開いて『司狼』を待ち構えている
(・・・何故だ?)
「不可解か?」
突如、『クイントス』が言葉を発した
「はっきり言うが私はお前よりも速く走る事も出来無いし、単純な武器の切れ味ならばそちらの方が上だ・・・それでも尚勝てない事実が不可解ならば・・・」
「その疑問は、お前が今のお前の『本当の全力』を出し切った時に解けるだろう。少なくとも私は今迄そうやって闘い、勝ち、敗れ、多くのものを掴み取って来た」
クイントスは上半身の鎧を捨てた
「!?」
「驚くには値しない!私も何故さっきの反撃がお前に当たらなかったのかが不可解だから、現状の持ち駒で出来る事を試しているだけだ!!次こそは必ずお前を斬る為にッ!!」
『司狼』の顔に、知らずの間に笑みが浮かんだ
一気にダッシュブースターをフルパワーに、『司狼』が走る・・・!
併せて『クイントス』も走る。その速度は『司狼』からすれば並みの神姫とそう大差のあるものではなかったが、彼女が放つ気迫は、『司狼』が今迄出会ったどの神姫よりも凄まじい圧力だった
*「・・・ぐ・・・おおおおおオォォォォォォぉぉぉッ!!!」
吼える、走る、そして『司狼』は『クイントス』に接触する寸前に
ダッシュブースターを切り離した
交差する光と白刃
巨大なハンマーで殴られた様な衝撃で、『司狼』は吹き飛ばされ、その場に佇む『クイントス』は両腕が斬り飛ばされていた
「恐ろしい技の冴えだった・・・まさか切り結ぶ直前にダッシュブースターを自ら切り離すとはな・・・」
「・・・お前と・・・同じだ・・・私も私自身の力を信じ切れていなかった事に気付いただけさ・・・」
苦しげに呟く『司狼』、その体は既に白化が始まっており、少しずつ消え始めている
「・・・また会おう、ナイヴスロッテ・・・!」
「また会おう、縮地の」
完全にヴァーチャルスペースから消滅した強敵の居た跡に、入る前と同じ熱い空気を感じる
新しいマントは、決勝戦開始前に買って貰う事にしようと、決めた
----
「・・・グループA優出、『ミュリエル』。グループB、『レイア』。グループC、『ミチル』。グループD、『クイントス』。グループE、『ミカエル』。グループF、『燐』。グループG、『ハンゾー』。グループH、『ロッテ』。グループI、『花乃』。グループJ、『弁慶』。グループK、『ジル』。グループL、『エル』。グループM、『ルシフェル』。グループN、『ウインダム』。グループO、『アーサー』。グループP、『リュミエ』・・・か」
発表された決勝戦進出神姫の名を読んで、私は興奮と嫉妬、羨望と渇望を覚えていた
『れでぃ~~すえんどじぇんとるめん!!ようこそ盛大なる戦姫の祭りへ』
『さて皆さん、今ここに集いしは過酷な試練を超えた十六組の小さな姫とそのパートナー達であります。まずは苦難の道を勝ち抜いた彼らに賞賛の言葉を送りたいと思います…』
どっと沸く会場・・・もしかしたら私もあそこに居られたかも知れない・・・という想いが胸を締め付ける
順番に表示されていく優出神姫とそのマスターの顔写真
その中に『クイントス』『ウインダム』を見つけた時に、私は思わず跳ね上がった
「・・・っ!!」
だが、いかなる感情も仮定も、体を蝕むこの苦痛の前には無意味だった
『しかし、彼ら彼女らに待ち構えるは今までよりもさらに厳しい王者への道。己の名を広き世界へ轟かせる勝鬨を上げるものは誰なのか、しかと彼女らの放つ熱き輝きを目に焼き付けて欲しい。諸君に『五色の翼の杯』……聖杯の加護があらんことを……』
結局私は、医療クレイドルに身を横たえ、歯軋りしながらテレビで闘いを見守るしかないのだった・・・
『それでは皆さんご一緒に!! 武装神姫バトル! れでぃ~~~~っ……』
* 『ゴーーーーーーー!!!!』
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「フチがかなりほつれて来ているな・・・」
クイントスお気に入りの濃紺のマントは、もう既にあちこちが擦り切れて、ぼろぼろになって来ていた
川原正紀の神姫となってすぐの頃に、仕事に着いて行った先で買ってもらった物だ
彼女に対して川原がした最初の直接的物質的なプレゼントであり、彼女の性格を決定付けたアクセサリでもあった
が、リアルバトルの際は外しているとはいえ、長い事使っていれば修復も追い付かなくなる・・・試合が終わったら新しいのを買って貰いに行こうかな・・・と、柄にも無く思った
*鳳凰杯編 「武の花の咲く頃に」
ポッドに入る前に、兜を脱ぐ・・・熱気を孕んだ風を、人工皮膚で思い切り感じた
私には、戦場が与えられている
「どうしたんだいセロ?ポッドに入ってくれないと、もうすぐバトルは始まるが・・・?」
もともとマスターは、どちらかというとバトルには肯定的な方ではない。咎める様でも、急かす様でもない言い方だった
「マサキ、これはサイドボードにでも入れておいて貰えないでしょうか?」
兜を渡す。「何故?」という様なマサキの問いの表情を、私は黙殺した
代わりに、本来外して臨むつもりだった外套を羽織ったまま、ポッドに入る
ここでは私は挑戦者の一人に過ぎない
戦術的価値の薄いアクセサリのマントを付けて戦いに臨むというのは、「王者の余裕」を演出する上では効果的かも知れないが、今此処での相手からとってみれば、自信過剰の滑稽な猿芝居だろう
それも、かなり痛んだマントだ
・・・だが、今私は、この熱気を、気温ではなく、闘いの熱気を、戦場へ持ち込みたかったのかもしれない
ヴァーチャルの空へ、私の心を使って・・・
『バトル、スタート!!』
同時に、引き抜いた『神薙Ⅱ』を両手で掲げ、叫ぶ
「我が名は『クイントス』!完璧なる紺碧の剣なり!我が音速の剣閃を恐れぬならば、その全能全霊を持って掛かって来るが良い!!!」
ここ迄の舞台でその手の名乗りをしたのは、流石に初めてだった
相手のハウリンを見据える・・・喋っている内に襲い掛かって来ても対処しようと思っていただけに、沈黙が少し気になった
「・・・・・・ならば私も名乗ろう、私は『司狼』お前が音速の剣ならば、私は縮地だ・・・ゆくぞ、ナイヴスロッテ!!」
空気を爆発させて、『司狼』のダッシュブースターが火を噴く・・・機動力は外付け機器に頼るタイプか?確かに速いが『縮地』を名乗れる程のものとは思えない・・・否!
光が、私の視界の隅を通り過ぎた
ダッシュブースターに『押される』様に加速していた『司狼』が、途中から、ダッシュブースターを『引きずる』様に加速し、間合いを一気に詰めて一閃・・・武器を持っているのがこちらからはっきり見えなかったあたり、レーザーソードの類だというのはほぼ間違い無い
かわせたのは半ばは運だ、『司狼』のトップスピードは明確に音速を超えており、神姫の反射神経だけではこの密着距離で回避するのは恐ろしく困難なところだが、こちらのマントで私が僅かに膨らんで見えたのだろう。それで距離を測り間違えたのだ
データと感覚のギャップが生じると感覚を信じるタイプと見た
通り抜けた『司狼』を追う・・・ダッシュブースターの性能差で、追いつくのは不可能だが、サイドボード無しで、彼女ともう一度向き合ってみたかった
(次は、見切りに行く・・・!)
私は『神薙Ⅱ』を鞘に収め、居合いの構えを取った
----
「常盤平、あれ見ろ」
「なんスカ?先輩」
Dブロック最終予選の様子が映し出されたモニタを、年配のカメラマンは指差していた
Dブロック・・・サードランカーが最も多く混じり、ファーストランカーはゼロ、セカンドでも今ひとつパッとしない面子が集まっていたブロックだ
だが
(良い勝負をしてやがる・・・)
セカンドではあるが、大きい大会には滅多に顔を出さない『クイントス』も、全くの無名であった『司狼』も、当然マスコミの注目度は低かったのだ
「凄いッスね・・・あの無名、セカンド相手に一方的に攻めてますね」
「・・・」
違う・・・と年配カメラマンは感じた
一見『司狼』が『クイントス』を圧倒している様に見えるが、何かが違う
「常盤平、すぐ調べろ、二分だ!」
「はっ?ハイっ先輩」
超小型のノートパソコン(携帯ではない)を操作し始める後輩
データは、すぐ集まった
「出ました!あの『司狼』っての、ランキングじゃ無名ですが、ストリートの野良試合じゃ有名な奴らしいッスね・・・なんでもそのスジじゃ150戦不敗とかって・・・先輩?」
「・・・常盤平、行くぞ」
「えっ?何スカ?先輩?鶴畑 興紀へのインタビューはどうするんスカーっ!?」
年配カメラマンは既に走り出していた
----
『司狼』は加速していた
既に3度斬りつけ、一度外す度に技はより精緻に、ダッシュはより速く、クロックアップさせていた
一度目で全力を出さなかった訳ではない
だが今は、機体とダッシュブースタの限界をやや超えた所で攻撃を繰り出しているにも関わらず
(一度目は私のミスだ。二度目は当たりを外されて、神姫装甲の対レーザーコーティングでいなされた・・・それは判るが、さっきの三度目は何故だ?光剣があいつの機体をかすりもしなかったどころか、反撃を喰らいかけた・・・!?)
ダッシュブースターに再び火を入れる・・・胸当てに大きな焦げ跡を受けた状態でなお、『クイントス』は刀を今度は肩に担ぐ様に大上段に構え直し、両足を開いて『司狼』を待ち構えている
(・・・何故だ?)
「不可解か?」
突如、『クイントス』が言葉を発した
「はっきり言うが私はお前よりも速く走る事も出来無いし、単純な武器の切れ味ならばそちらの方が上だ・・・それでも尚勝てない事実が不可解ならば・・・」
「その疑問は、お前が今のお前の『本当の全力』を出し切った時に解けるだろう。少なくとも私は今迄そうやって闘い、勝ち、敗れ、多くのものを掴み取って来た」
クイントスは上半身の鎧を捨てた
「!?」
「驚くには値しない!私も何故さっきの反撃がお前に当たらなかったのかが不可解だから、現状の持ち駒で出来る事を試しているだけだ!!次こそは必ずお前を斬る為にッ!!」
『司狼』の顔に、知らずの間に笑みが浮かんだ
一気にダッシュブースターをフルパワーに、『司狼』が走る・・・!
併せて『クイントス』も走る。その速度は『司狼』からすれば並みの神姫とそう大差のあるものではなかったが、彼女が放つ気迫は、『司狼』が今迄出会ったどの神姫よりも凄まじい圧力だった
*「・・・ぐ・・・おおおおおオォォォォォォぉぉぉッ!!!」
吼える、走る、そして『司狼』は『クイントス』に接触する寸前に
ダッシュブースターを切り離した
交差する光と白刃
巨大なハンマーで殴られた様な衝撃で、『司狼』は吹き飛ばされ、その場に佇む『クイントス』は両腕が斬り飛ばされていた
「恐ろしい技の冴えだった・・・まさか切り結ぶ直前にダッシュブースターを自ら切り離すとはな・・・」
「・・・お前と・・・同じだ・・・私も私自身の力を信じ切れていなかった事に気付いただけさ・・・」
苦しげに呟く『司狼』、その体は既に白化が始まっており、少しずつ消え始めている
「・・・また会おう、ナイヴスロッテ・・・!」
「また会おう、縮地の」
完全にヴァーチャルスペースから消滅した強敵の居た跡に、入る前と同じ熱い空気を感じる
新しいマントは、決勝戦開始前に買って貰う事にしようと、決めた
----
「・・・グループA優出、『ミュリエル』。グループB、『レイア』。グループC、『ミチル』。グループD、『クイントス』。グループE、『ミカエル』。グループF、『燐』。グループG、『ハンゾー』。グループH、『ロッテ』。グループI、『花乃』。グループJ、『弁慶』。グループK、『ジル』。グループL、『エル』。グループM、『ルシフェル』。グループN、『ウインダム』。グループO、『アーサー』。グループP、『リュミエ』・・・か」
発表された決勝戦進出神姫の名を読んで、私は興奮と嫉妬、羨望と渇望を覚えていた
『れでぃ~~すえんどじぇんとるめん!!ようこそ盛大なる戦姫の祭りへ』
『さて皆さん、今ここに集いしは過酷な試練を超えた十六組の小さな姫とそのパートナー達であります。まずは苦難の道を勝ち抜いた彼らに賞賛の言葉を送りたいと思います…』
どっと沸く会場・・・もしかしたら私もあそこに居られたかも知れない・・・という想いが胸を締め付ける
順番に表示されていく優出神姫とそのマスターの顔写真
その中に『クイントス』『ウインダム』を見つけた時に、私は思わず跳ね上がった
「・・・っ!!」
だが、いかなる感情も仮定も、体を蝕むこの苦痛の前には無意味だった
『しかし、彼ら彼女らに待ち構えるは今までよりもさらに厳しい王者への道。己の名を広き世界へ轟かせる勝鬨を上げるものは誰なのか、しかと彼女らの放つ熱き輝きを目に焼き付けて欲しい。諸君に『五色の翼の杯』……聖杯の加護があらんことを……』
結局私は、医療クレイドルに身を横たえ、歯軋りしながらテレビで闘いを見守るしかないのだった・・・
『それでは皆さんご一緒に!! 武装神姫バトル! れでぃ~~~~っ……』
* 『ゴーーーーーーー!!!!』
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