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「バレットエンジェル1」(2007/03/13 (火) 20:42:55) の最新版変更点
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「・・・・・・完成、したことはしました」
珍しく心配そうな表情のかすみが、修也に言った。
「本気で使うんですか?」
「ああ」
答える修也の表情には、微塵の揺るぎもない。
そんな彼は、かすみの手からあるものを受け取る。
「おまえが設計して、秋が造って、舞が試したんだろ? だったら大丈夫だ」
「そうですよ、かすみさん」
修也の肩に乗る天使型神姫リュミエも、彼に同意する。
「私は皆さんを信じてますから」
・・・・・・とは言ったものの。
「不安がないわけじゃないんだよなあ・・・・・・」
かすみが自分の研究室に戻った後、修也はそう呟いた。
事実、受け取ったもののとんでもなさは、彼自身よく知っている。製作を頼んだのは、他でもない修也なのだから。
『純正品の倍の推力を持つエクステンドブースター』
この提案をした時のかすみの顔は、文字通り「開いた口が塞がらない」だった。
その後「4基装備するよりも、同じ推力で2基の方が軽い」という修也の言葉、加えて「本気で、勝ちたいんです」というリュミエの願いもあって、結局聞き入れてはくれたが。
そもそも、自分たちの戦法がいかに無茶苦茶なものかは、修也もリュミエもよく理解していた。もともとが、純正装備のアーンヴァルを撃破するために編み出した戦法なのだから。
試合開始と同時に、全力で加速して遠距離からの第一撃をかわす。そのまま急接近して、二撃目が来る前に、ハンドガンかライトセイバーで急所に一撃。それだけ。
しかしながら、バトルリーグの規模が拡大し、数多くの戦術が構築されていくにつれ、この戦法で戦い続けるのは困難になっていった。それでも彼らは、この戦い方にこだわった。
「・・・・・・で、たどり着いた結論がこれだからな」
一撃必殺。しかもその一撃目を外したら、ほぼ負け。
一撃目が外れたら、その勢いのまま離脱する。・・・・・・大体、失敗するが。
「鳳凰杯、か」
「ご主人」
研究室に戻ったかすみは、秋葉に声をかけられた。
「どうしました、秋?」
「いえ、その・・・・・・」
秋葉が言いよどむなど珍しい。よほど心配そうな顔をしているのだろうか、と思う。
そりゃ、心配は心配である。それはもう、とっても。
そもそもなぜ、いきなり鳳凰杯に出るつもりになどなったのだろうか。
・・・・・・まあ、いきなり喫茶店「LEN]のブースで臨時アルバイトするつもりになった自分が言えることではないのだが。
「・・・・・・お祭り、か」
そういえば彼は好きだったな、そういうの。案外、そんなものなのかもしれない。
「なんでしょうか?」
「いえ、別に」
ふと出た独り言は、しっかり秋葉に聞かれていた。
「しかしご主人」
「?」
「上岡さんには言わなくていいのですか?」
そういえば、言うのを忘れていた。
「・・・・・・いいんじゃ、ないですか?」
自分の事でしょうに、と秋葉が言った・・・・・・気がした。
鳳凰杯まで、あと3日。
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