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「妄想神姫:外伝・その七(前半)」(2007/03/06 (火) 00:17:29) の最新版変更点
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**特殊戦闘訓練──あるいは神姫無双(前半)
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そこは、荒野というよりも砂漠という形容詞がしっくりくる場所だ。
不毛の大地には一つの高層ビルと、荒れ果て放棄されたハイウェイ。
朽ちたビルの一室に、“Heiliges Kleid”姿のロッテが佇んでいる。
彼女の周囲には、無数のぷちマスィーンズと無地の神姫素体が数体。
「よし、ではこれから集団戦闘の訓練と“SSS”の試験を行う」
「はいですの、マイスター!……この訓練用ポッドも久々ですの」
「大規模集団戦闘に対応するタイプへと買い換えたからな、有無」
「うんと、ロッテちゃん頑張ってくださいね?数は……108機」
「……ぷちが100機にネイキッドタイプが8機。物量は多いよ」
無論何の脈絡もなく、こんな世紀末的な状況に陥ったのではないぞ?
“鳳凰カップ”に備えて、私はロッテ用に追加武装を用意したのだ。
加えて今回のバトル、トップランカーと戦う可能性さえ十分にある。
そうなれば多少厳しくても、実効的な戦闘訓練を繰り返すしかない。
という訳で、新調した高機能型訓練用ポッドにロッテを入れたのだ。
「“Heiliges Kleid”だけでは弾薬が足りまい。指示はクララにな?」
「了解ですのッ!……じゃあ、クララちゃん指示をお願いしますの♪」
「……弟108dトレーニング開始するんだよ、エネミーは活動開始して」
凡そ“神姫”とは言い難いネイキッドタイプの鉄仮面に、光が灯った。
同時に、規格統一された訓練用のぷちマスィーンズが一斉に動き出す。
無論その場に留まっていれば、瞬時に蜂の巣か八つ裂きだろう。有無。
故にロッテは“やってのける”。包囲の薄い部分へ、走り出したのだ!
即座にぷちが反応するが、それよりも速く構えたライフルが火を噴く!
「せあああっ!退いてもらいますのッ!!」
『ギギギギギ……!?』
無機質な呻きを上げながら、ぷちが2~3機撃墜される。脚のローラー、
“アサルトキャリバー”で残骸を蹴飛ばしながら、彼女が包囲網を崩す。
手に構えたるはバスターライフル“ムラクモ”。精密狙撃も可能ならば、
ショットガンによる近接攻撃や、乱射による面制圧も可能な特殊銃器だ。
「巧く長い通路に出られましたの……さ、来てください?」
『Syaaaaaaaaaaaaaa!!!』
「匍匐姿勢を取って……2時、5時、9時ッ!」
『Ahhhhh!?』
個々の能力に於いて若干劣るのがこの手の複合武装によくある弱点だが、
ロッテを初めとした“三姉妹”には、地形を活かす戦術が備わっている。
この場合はビルの長い通路にぷちを誘い込んで、一機ずつ狙撃を行った。
バレルを変形させた狙撃用ライフルは、威力はさておき精度がばらつく。
その“クセ”を補正して、的確に相手を撃つ。アーンヴァルならではだ。
「……流石に数が多いですの、狙撃は止めますっ!」
『ギギッ!』
「後ろも取られますし……ねッ!」
『ギァッ!!?』
だが、流石に難易度の高い訓練だけはある。一体のネイキッドタイプが、
別の通路から伏せていたロッテを強襲したのだ!アーミーブレードによる
一撃を横回転でかわした彼女は、ソードオフ・ショットガンのトリガーに
手を掛けて……弾く。乾いた音と共に、訓練用のダミーヘッドが砕ける。
無論ヴァーチャル故に相手は破片さえ残さず、ポリゴンになって消えた。
「やっぱりこの姿は、火力面だと不利ですの……付いてきてっ!」
『ShaGyaaaaaaaaaaaaaaa!!!』
腰を据えた狙撃が出来ないと悟ったロッテは、そのままローラーによって
廃ビルを駆け上がり、屋上まで一気に到達する。その後を追って、ビルの
外壁から雲霞の如くぷちが押し寄せて、再びロッテは囲まれてしまった。
残り七機のネイキッドタイプはまだ来ぬが、留まっていれば肉薄される。
「……数を少々減らします、のッ!」
『Plug-out!』
『Gaaaaaaaaaaaaaa!?!』
だが流石は我が“妹”。ここでロッテは敢えて飛び込む手段を選んだ。
固まったぷちの集団、その直中で“Heiliges Kleid”をパージするッ!
飛来した無数の鋭利な刃に寄り集まっていたぷちが、次々と堕ちる!!
そして勢いを維持したまま、白き翼を広げたロッテが空中へと舞った。
「“アインホルン”チャージ……っ、く!邪魔ですの!?」
『Giiiiiiiii!!!』
天空を舞う戦乙女を撃墜せしめんと、ぷちと登ってきたネイキッドが
対空射撃を開始した。無数の弾やレーザーを、敢えて横方向安定性を
落とした滞空によってロッテがスムースに回避し……狙いを定める!
「“フライアークライス”固定……フォイエルッ!!」
『Graaaaaaaaaaaaaaa!!?』
『ギアァッ!!』
増幅されたレーザーによって、ネイキッドが1機戦闘不能に陥った。
ぷちも相当数が巻き込まれ、先程の特攻もあってか殆ど全滅状態だ。
それでも残りは14機も居る……まだ乱戦は避けられそうもないな。
「……そろそろ“SSS”を試してみますの、クララっ!」
「サイドボード、オープン。“SSS”投下するんだよ?」
──────それは、新たなる翼……更なる鎧、刃の盾。
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