「第拾幕 「G」」(2007/04/02 (月) 14:31:15) の最新版変更点
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二次予選にて待ち構える一桁ランカーは、いずれもセカンド級の実力を持つ強豪揃いである
ランカー9位、背負った二本の折りたたみ式実砲とジャンプ戦術のストラーフ「ジルベノウ」
8位、無武装素手で闘うNINJAファイター、フブキの「ホークウインド」
7位、青竜刀の武神、カスタムハウリンの「仁竜」
6位、怒涛の勝ち上がりを見せた修羅神姫、限定版アーンヴァルの「G」
5位、全身これ武器の塊、ミサイルと銃弾の芸術家、ヴァッフェバニーの「タスラム」
4位、クレバーな狙撃スタイル、インビジブルハンマーの異名を取る砲撃神姫、フォートブラッグの「ストリクス」
3位、音速の女神、可変機構搭載の高速神姫、最早タイプに意味は無い「ズィータ」
2位、白い閃光、万能の非公式武装主義者、アーンヴァルの「リフォー」
対する「ナインブレイカー」は
元ランカー10位、ローラーダッシュによる高速移動とパイルバンカー、ヘビーマシンガンによる凄まじい攻撃力がウリの特攻神姫、サイフォスの「テスタ」・・・強さ評価値9
延長し、可動範囲も拡張したパワードアームを装備した格闘神姫、マオチャオの「ヤンギ」・・・評価値5
精緻にて多彩な銃器操作の銃撃神姫、ストラーフの「ニビル」・・・評価値6
圧倒的な空中機動力と速さで勝ち上がってきた元「ナイン」、アーンヴァルの「ウインダム」・・・評価値10
新製品の変則性を生かした花、種ミキシングビルド神姫、ジュビジーの「モア」・・・評価値7
機銃装備によって弱点である中距離を補い、隙の無い戦闘を展開する鉄板神姫、ツガルの「サチ」・・・評価値8
独特の戦術でならす注目の新人、ハウリンの「ヌル」・・・評価値3
そして、同じく新人、剣闘神姫(ナイブス・ロッテ)紅緒の「華墨」・・・評価値4である
スイスドロー方式で、強さ評価に応じた「ナイン」と戦い、それぞれに勝利した8名で、真の「槙縞ランキングチャンピオンカップ争奪戦」・・・それは『クイントス』への挑戦権を掛けた戦いとも言える・・・が行われる
実質、下位ランカーが『クイントス』に挑むにはこの方法で勝ち上がるしかないというのが槙縞ランキングの現状だ
(厳し過ぎやしねぇか・・・?この方式)
言っては何だが、「雑魚の中で一番強い奴」と、「ランカーの中で二番目に強い奴」との差は天と地、月と鼈なのではなかろうか?
今回は、そんな状況でも勝ち抜いていけそうな『ウインダム』が居るには居るが・・・
其処までして本当に強い奴を選定しなけりゃならん理由でもあるのだろうか?
(余程「弱い奴とは戦いたくない」んだろうなァ・・・『クイントス』ちゃんは)
なら、振り向かせるだけの力を示してやろうじゃねーか
正直、俺も華墨も、自分達に下された「強さ評価4」がかなり気にいらなかった
「俺達はもっと強い筈だ」という思いがかなりあった
「上でふんぞり返っている奴らに目にもの見せてやろうな、華墨!」
「応!!」
*第拾幕 「G」
「姉さま!二次予選の対戦相手が決定したらしい」
ヌルに急かされるまま、自身に下された評価値と、対応する「ナイン」を見比べる
「・・・『G』って・・・あの『メイ』ちゃんよね」
「そうらしい・・・凄い戦績で一気にここ迄ランクを伸ばしたと聞いてるが・・・知ってるの?姉さま」
「・・・貴女が私の所に来る前からは想像も出来無い・・・そういえばランクを伸ばし始めてから一回も会ってないわ」
「どんな子なの?」
「おとなしい・・・というかあがり性気味の可愛い子よ?」
「・・・」
「もう、むくれないの。別にコナかけたりなんかしてないから・・・この子には大好きなマスターが居るんだから」
「・・・姉さまはたらしだ・・・」
「何?何か言った?」
「・・・何でもない。それよりも、どうなの?勝てる?」
「記録があんまり無いのよねぇ・・・ただ、『ホークウインド』と『仁竜』を瞬殺したらしいわ」
「『仁竜』を・・・瞬殺・・・!?」
驚くのも無理は無い。『仁竜』は『タスラム』の一斉射撃にも耐えた事があると噂される、槙縞ナイン中最高の装甲の持ち主だ
その仁竜が、現在の戦闘スタイルに落ち着いてから、一桁秒間無いし一撃で倒したのは『G』を除いては『ストリクス』の狙撃と『クイントス』の音速剣のみである
確かに、「アーンヴァル」は仁竜の苦手な超遠距離から、現存する神姫中最大威力の砲撃を行う事が可能な神姫ではある
(・・・何にせよ、戦闘能力はともかく、攻撃力はこの両者に匹敵するって事ね)
どうも私の中でも、不気味な戦力を発揮する『G』と、可愛らしい『メイ』が一致していない
(・・・『当たる』迄にデータをなるべく集めた方が良いな)
だが、サイドボードや強化パーツを使った戦術は、私には・・・厳密には私のマスターには・・・出来無い
戦闘がどうなっているのか見えないのでは、正直話にならない
そもそもうちのマスターは余りバトルには興味が無いのだろうし、今迄も私はマスターサポート無しで闘ってきた
それが武装神姫にとって相当な戦力ダウンになる事は判ってはいるのだが
(いつかは解決しなければならない問題ではあるなぁ・・・)
それは、マスターである私と闘う可能性も孕んだヌルにも言える問題ではある
(マスターの為に闘うだけが武装神姫ではないでしょう)
それが私の下した結論だ
少なくとも私は、私自身がそう望んでいるから闘っているし、いずれはプロの格闘家の様に、ファイトマネーで自活したいと思っている(勿論何人も可愛い神姫をはべらせて・・・だ)
正直、この感覚は私が嫌う『クイントス』と全く同じである
(川原さんの影響なのかなぁ・・・?)
クイントスの本来のマスターである、長髪の好青年の笑顔が脳裏をよぎった
「貴女は今はそれよりも、『ジルベノウ』との闘いの事を考えた方が良いわ。彼女、貴女の苦手なタイプよ?」
「・・・そっか・・・姉さまのサポート無しで『ナイン』と闘わなきゃならないんだな・・・」
「そうよヌル。準決勝で会いましょ」
----
「これが『G』の戦闘データだよ」
師匠にもらった「『G』vs『仁竜』」の映像データを見て、私は只ひたすらに驚愕していた
そこには私が想像していた「高出力レーザーで砲撃するアーンヴァル」は写っておらず
(正気なの・・・!?)
左腕と胸、両脚に装甲を履いた状態で、武器すらその身に帯びていない黒いアーンヴァルが写っていた
素手による白兵戦・・・武装神姫の闘いでは、必ずしも絶無とは言えず、現にそれを極めんとする『ホークウインド』の様な神姫もゼロでは無いと聞く
聞きはするが・・・
(アーンヴァルでそのスタイルとは・・・たまげたわ)
『仁竜』が動く。得意の大刀を振りかざし、きらびやかな甲冑を輝かせながら走るその姿は、まさに古式ゆかしい武人そのものだ
彼女と『クイントス』との闘いが非常に盛り上がると言われた理由を、私は今更ながらに噛み締めていた
対する『G』は・・・目を、閉じている・・・?
構える気配すら見えない
唸りを上げて殺到する大刀・・・斬られる!と私が感じたその瞬間、『G』は目を見開いた
・・・恐怖を、感じた
『クイントス』の戦闘映像を見ている時にも、こういうのは感じた事は無い
その目は、私が知っている「あがり性のメイ」のものでは在り得ない
獣・・・狂気を孕む程に血に飢えた魔獣だ
そして、大刀の刀身は真ん中から真っ二つにへし折れていた
「な・・・っ!?」
自分のあげた声に一瞬びっくりしてしまった
見えなかった?何をしたんだ今?
「大刀の刀身に斜めから拳をあわせたのさ・・・そして粉砕した、一種の交差法だね」
そして・・・
『G』の右拳が握りこまれた
右脚を引いて、露骨な逆突きの構え
だが、そんなテレフォンパンチを、『仁竜』は回避出来なかった・・・理由は簡単
パンチの速度が、弾丸より速かったからだ
『G』の拳は、『仁竜』の胸を甲冑ごとぶちぬいていた・・・
「・・・」
沈黙は、バトル映像が終了してから、実に30秒以上も続いていた
「判っただろうニビル。メイは手に入れたのさ・・・あんたと同じオーバーロード、『Gアーム』をね」
----
大会当日になって、急にスケジュールの変更が告げられた
「ナインブレイカー」と「ナイン」の闘いは、全て同じタイミングで、店内の8つの筺体全てを使って行われる筈だったのだが、七台が故障したとかで、一台だけを使って一試合ずつ行われる事になった
明らかに不自然な理由だが、逆に言うと他の試合をじっくり見る事も出来る訳だから、それ程に動揺はなかった
「華墨の試合は・・・6番目・・・大分先だな。少し休んどくか?」
「否・・・マスター。少なくともこの試合は私は見ておきたい」
「・・・あぁ、ニビルか」
「そうだ。彼女がどんな闘いをするのか、しっかり見ておきたい」
「そうだな。おっけい!あそこの席のまわりだけ何故か空いてるから、見ようぜ」
座る時に、隣に居たロン毛+ミラーシェードのにーちゃんに会釈する・・・肩に何か蒼い神姫が座ってた様な・・・
ステージは、円形闘技場だった
異様な軽装で佇む『G』
いつもの防弾マントで身を包み、相変わらず装備が判然としないニビル
「軽装同士か・・・面白そうだぜ」
「そうだな。殆ど素体に近い格好で何処までやれるのか・・・実に興味がある」
フッ・・・と言う様な声が、隣のにーちゃんから漏れた
「何が可笑しいんだよ?にーちゃん」
「失礼。ただ、あの二人は軽装なんかじゃない」
「?」
「二人とも、超絶の武器を持っている・・・すぐに判るさ」
皆川さんが店の奥から現れる
「第二次予選にようこそ!全ての神姫達はその全力をもって闘いに臨んで欲しい・・・最強の神姫を決定する為に・・・!」
その挨拶の直後に、バトルスペースから開始十秒前のコール
皆の視線が一気に皆川さんから画面に釘付けになる中、何故か隣のにーちゃんだけが皆川さんの方を見ていた
ミラーシェードで表情は読めないが。その口元は硬く引き締められている
つられて俺も皆川さんの方を見る
去り際の横顔しか見えなかったが、何故かその時の表情が、俺にはひどく禍々しく見えた
『バトル、スタート』
二人の神姫は、同時に地を蹴った・・・!
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二次予選にて待ち構える一桁ランカーは、いずれもセカンド級の実力を持つ強豪揃いである
ランカー9位、背負った二本の折りたたみ式実砲とジャンプ戦術のストラーフ「ジルベノウ」
8位、無武装素手で闘うNINJAファイター、フブキの「ホークウインド」
7位、青竜刀の武神、カスタムハウリンの「仁竜」
6位、怒涛の勝ち上がりを見せた修羅神姫、限定版アーンヴァルの「G」
5位、全身これ武器の塊、ミサイルと銃弾の芸術家、ヴァッフェバニーの「タスラム」
4位、クレバーな狙撃スタイル、インビジブルハンマーの異名を取る砲撃神姫、フォートブラッグの「ストリクス」
3位、音速の女神、可変機構搭載の高速神姫、最早タイプに意味は無い「ズィータ」
2位、白い閃光、万能の非公式武装主義者、アーンヴァルの「リフォー」
対する「ナインブレイカー」は
元ランカー10位、ローラーダッシュによる高速移動とパイルバンカー、ヘビーマシンガンによる凄まじい攻撃力がウリの特攻神姫、サイフォスの「テスタ」・・・強さ評価値9
延長し、可動範囲も拡張したパワードアームを装備した格闘神姫、マオチャオの「ヤンギ」・・・評価値5
精緻にて多彩な銃器操作の銃撃神姫、ストラーフの「ニビル」・・・評価値6
圧倒的な空中機動力と速さで勝ち上がってきた元「ナイン」、アーンヴァルの「ウインダム」・・・評価値10
新製品の変則性を生かした花、種ミキシングビルド神姫、ジュビジーの「モア」・・・評価値7
機銃装備によって弱点である中距離を補い、隙の無い戦闘を展開する鉄板神姫、ツガルの「サチ」・・・評価値8
独特の戦術でならす注目の新人、ハウリンの「ヌル」・・・評価値3
そして、同じく新人、剣闘神姫(ナイブス・ロッテ)紅緒の「華墨」・・・評価値4である
スイスドロー方式で、強さ評価に応じた「ナイン」と戦い、それぞれに勝利した8名で、真の「槙縞ランキングチャンピオンカップ争奪戦」・・・それは『クイントス』への挑戦権を掛けた戦いとも言える・・・が行われる
実質、下位ランカーが『クイントス』に挑むにはこの方法で勝ち上がるしかないというのが槙縞ランキングの現状だ
(厳し過ぎやしねぇか・・・?この方式)
言っては何だが、「雑魚の中で一番強い奴」と、「ランカーの中で二番目に強い奴」との差は天と地、月と鼈なのではなかろうか?
今回は、そんな状況でも勝ち抜いていけそうな『ウインダム』が居るには居るが・・・
其処までして本当に強い奴を選定しなけりゃならん理由でもあるのだろうか?
(余程「弱い奴とは戦いたくない」んだろうなァ・・・『クイントス』ちゃんは)
なら、振り向かせるだけの力を示してやろうじゃねーか
正直、俺も華墨も、自分達に下された「強さ評価4」がかなり気にいらなかった
「俺達はもっと強い筈だ」という思いがかなりあった
「上でふんぞり返っている奴らに目にもの見せてやろうな、華墨!」
「応!!」
*第拾幕 「G」
「姉さま!二次予選の対戦相手が決定したらしい」
ヌルに急かされるまま、自身に下された評価値と、対応する「ナイン」を見比べる
「・・・『G』って・・・あの『メイ』ちゃんよね」
「そうらしい・・・凄い戦績で一気にここ迄ランクを伸ばしたと聞いてるが・・・知ってるの?姉さま」
「・・・貴女が私の所に来る前からは想像も出来無い・・・そういえばランクを伸ばし始めてから一回も会ってないわ」
「どんな子なの?」
「おとなしい・・・というかあがり性気味の可愛い子よ?」
「・・・」
「もう、むくれないの。別にコナかけたりなんかしてないから・・・この子には大好きなマスターが居るんだから」
「・・・姉さまはたらしだ・・・」
「何?何か言った?」
「・・・何でもない。それよりも、どうなの?勝てる?」
「記録があんまり無いのよねぇ・・・ただ、『ホークウインド』と『仁竜』を瞬殺したらしいわ」
「『仁竜』を・・・瞬殺・・・!?」
驚くのも無理は無い。『仁竜』は『タスラム』の一斉射撃にも耐えた事があると噂される、槙縞ナイン中最高の装甲の持ち主だ
その仁竜が、現在の戦闘スタイルに落ち着いてから、一桁秒間無いし一撃で倒したのは『G』を除いては『ストリクス』の狙撃と『クイントス』の音速剣のみである
確かに、「アーンヴァル」は仁竜の苦手な超遠距離から、現存する神姫中最大威力の砲撃を行う事が可能な神姫ではある
(・・・何にせよ、戦闘能力はともかく、攻撃力はこの両者に匹敵するって事ね)
どうも私の中でも、不気味な戦力を発揮する『G』と、可愛らしい『メイ』が一致していない
(・・・『当たる』迄にデータをなるべく集めた方が良いな)
だが、サイドボードや強化パーツを使った戦術は、私には・・・厳密には私のマスターには・・・出来無い
戦闘がどうなっているのか見えないのでは、正直話にならない
そもそもうちのマスターは余りバトルには興味が無いのだろうし、今迄も私はマスターサポート無しで闘ってきた
それが武装神姫にとって相当な戦力ダウンになる事は判ってはいるのだが
(いつかは解決しなければならない問題ではあるなぁ・・・)
それは、マスターである私と闘う可能性も孕んだヌルにも言える問題ではある
(マスターの為に闘うだけが武装神姫ではないでしょう)
それが私の下した結論だ
少なくとも私は、私自身がそう望んでいるから闘っているし、いずれはプロの格闘家の様に、ファイトマネーで自活したいと思っている(勿論何人も可愛い神姫をはべらせて・・・だ)
正直、この感覚は私が嫌う『クイントス』と全く同じである
(川原さんの影響なのかなぁ・・・?)
クイントスの本来のマスターである、長髪の好青年の笑顔が脳裏をよぎった
「貴女は今はそれよりも、『ジルベノウ』との闘いの事を考えた方が良いわ。彼女、貴女の苦手なタイプよ?」
「・・・そっか・・・姉さまのサポート無しで『ナイン』と闘わなきゃならないんだな・・・」
「そうよヌル。準決勝で会いましょ」
----
「これが『G』の戦闘データだよ」
師匠にもらった「『G』vs『仁竜』」の映像データを見て、私は只ひたすらに驚愕していた
そこには私が想像していた「高出力レーザーで砲撃するアーンヴァル」は写っておらず
(正気なの・・・!?)
左腕と胸、両脚に装甲を履いた状態で、武器すらその身に帯びていない黒いアーンヴァルが写っていた
素手による白兵戦・・・武装神姫の闘いでは、必ずしも絶無とは言えず、現にそれを極めんとする『ホークウインド』の様な神姫もゼロでは無いと聞く
聞きはするが・・・
(アーンヴァルでそのスタイルとは・・・たまげたわ)
『仁竜』が動く。得意の大刀を振りかざし、きらびやかな甲冑を輝かせながら走るその姿は、まさに古式ゆかしい武人そのものだ
彼女と『クイントス』との闘いが非常に盛り上がると言われた理由を、私は今更ながらに噛み締めていた
対する『G』は・・・目を、閉じている・・・?
構える気配すら見えない
唸りを上げて殺到する大刀・・・斬られる!と私が感じたその瞬間、『G』は目を見開いた
・・・恐怖を、感じた
『クイントス』の戦闘映像を見ている時にも、こういうのは感じた事は無い
その目は、私が知っている「あがり性のメイ」のものでは在り得ない
獣・・・狂気を孕む程に血に飢えた魔獣だ
そして、大刀の刀身は真ん中から真っ二つにへし折れていた
「な・・・っ!?」
自分のあげた声に一瞬びっくりしてしまった
見えなかった?何をしたんだ今?
「大刀の刀身に斜めから拳をあわせたのさ・・・そして粉砕した、一種の交差法だね」
そして・・・
『G』の右拳が握りこまれた
右脚を引いて、露骨な逆突きの構え
だが、そんなテレフォンパンチを、『仁竜』は回避出来なかった・・・理由は簡単
パンチの速度が、弾丸より速かったからだ
『G』の拳は、『仁竜』の胸を甲冑ごとぶちぬいていた・・・
「・・・」
沈黙は、バトル映像が終了してから、実に30秒以上も続いていた
「判っただろうニビル。メイは手に入れたのさ・・・あんたと同じオーバーロード、『Gアーム』をね」
----
大会当日になって、急にスケジュールの変更が告げられた
「ナインブレイカー」と「ナイン」の闘いは、全て同じタイミングで、店内の8つの筺体全てを使って行われる筈だったのだが、七台が故障したとかで、一台だけを使って一試合ずつ行われる事になった
明らかに不自然な理由だが、逆に言うと他の試合をじっくり見る事も出来る訳だから、それ程に動揺はなかった
「華墨の試合は・・・6番目・・・大分先だな。少し休んどくか?」
「否・・・マスター。少なくともこの試合は私は見ておきたい」
「・・・あぁ、ニビルか」
「そうだ。彼女がどんな闘いをするのか、しっかり見ておきたい」
「そうだな。おっけい!あそこの席のまわりだけ何故か空いてるから、見ようぜ」
座る時に、隣に居たロン毛+ミラーシェードのにーちゃんに会釈する・・・肩に何か蒼い神姫が座ってた様な・・・
ステージは、円形闘技場だった
異様な軽装で佇む『G』
いつもの防弾マントで身を包み、相変わらず装備が判然としないニビル
「軽装同士か・・・面白そうだぜ」
「そうだな。殆ど素体に近い格好で何処までやれるのか・・・実に興味がある」
フッ・・・と言う様な声が、隣のにーちゃんから漏れた
「何が可笑しいんだよ?にーちゃん」
「失礼。ただ、あの二人は軽装なんかじゃない」
「?」
「二人とも、超絶の武器を持っている・・・すぐに判るさ」
皆川さんが店の奥から現れる
「第二次予選にようこそ!全ての神姫達はその全力をもって闘いに臨んで欲しい・・・最強の神姫を決定する為に・・・!」
その挨拶の直後に、バトルスペースから開始十秒前のコール
皆の視線が一気に皆川さんから画面に釘付けになる中、何故か隣のにーちゃんだけが皆川さんの方を見ていた
ミラーシェードで表情は読めないが。その口元は硬く引き締められている
つられて俺も皆川さんの方を見る
去り際の横顔しか見えなかったが、何故かその時の表情が、俺にはひどく禍々しく見えた
『バトル、スタート』
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