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「徒然続く、そんな話。 第七節。」(2007/02/28 (水) 22:58:09) の最新版変更点
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「儂を呼んだか、主?」
「呼んだ呼んだ―――手、貸してくれるか?」
「マ、マイロード、その、私は?」
尻尾をたれ下げて、上目遣い。
「……碧鈴に、まだ戦闘はさせられん」
自制し、なんとか言い返す。
「なら、儂ならよいのか?」
からかうように、ディスが呟く。
「そ、そーいうわけじゃないじゃないが、うん」
大事に思ってる、だから……
「そう、ですか」
尻尾が下がったままで、下の階へ。
「ごめんな、碧鈴」
ぽつ、と呟いた……こんな言葉じゃ届かない、って分かってるけど――――今は分かってる、気分を切り替え。
「―――ディス、いけるか?」
「儂は、常在戦場、じゃぞ?」
「いい返事だ、乱入すんぞ」
「―――うむ」
飛び込むは、電子の戦場。
0と1で構成される、荒野、戦場。
「へっへっへ、片付いちまったなあ、雑魚の相手もここまでかぁ!?」
癇に障るリアルサイドの声。
「当然でゴザルよ、そろそろ終りにするでござる」
相手の、小さな子供が操るマオチャオは返事も出来ずに呻いている。
ログアウト敗北の無い程度に、痛めつけている、何せ子供で初心者だ、ギブアップすら威圧されて出来ない。
「―――止めといこうぜぇ!?」
ストラーフが、その大きな異形の腕を振り下ろす刹那に。
――――斬。
その場に居た誰もが言葉を失った。
いきなり、ストラーフの腕が、斬り飛ばされた。
相手は見えず……気づけばマオチャオの姿も無い。
「ど、どこにいったでゴザル?」
「てめえ、俺の神姫にっ!」
想定外の事態で慌てる2体の神姫、どーやら、感情を消されてる、というか……考えなくさせられている。
「ふん、この程度の雑魚とはな」
不敵に、砂塵舞う荒野に―――白い悪魔と白い刃。
ずいぶんと、遠くから攻撃したらしいが、相手のストラーフに出来ているのは切断面、巨大なブレードで切り刻んだような
綺麗な切断、おそらく高速で接近し切り刻んで離れたのだろう。
「なんだと、やっちまえっ!」
「やるでゴザルよっ!」
ストラーフが大地を蹴り、アーンヴァルが空中から狙い撃ち、上等パターンだ、勝てる、そう思い込んだ。
「ふん」
巨大な刀を、投擲。
「使うまでも無いわ、来るがよい」
大地を蹴る―――最初からフルスピード。
ゼロから無限へ、一瞬だ。
その一瞬で空中へ跳躍。
空を舞うアーンヴァルを、蹴り飛ばす。
落下地点にストラーフ。
狙い定めて叩き落した。
「ふん、他愛も無い」
「……ん、だとぉぉぉ!?」
いらついたように、敵のストラーフが、短剣を投擲。
「死ぬでゴザル、逝って良しでゴザルっ!!」
アーンヴァルもウィングを捨て、拳銃を乱射してくる。
白いストラーフが落ちる地点を狙って撃った、当たる、必中の一撃。
そのはずだった、勝った、いつものように、あざ笑ってやろうと思った。
――――にやり。
「―――きめちまえ、ディス」
「了解、主」
笑ったと思うと、落ちる、と思った寸前に、何かが、滑り込む。
それは、投げたはずの刀。
「ようやく温まったか、烈龍刀よ」
白い刃には、しっかりとした、龍の紋。
「では―――逝くが良い」
超高速
そして
空中へ舞い上がって
「巨刃大津波(ビッグブレードウェーブ)」
すがすがしい宣言と共に、2体まとめて貫き、電子のグリットに返す。
「……わあ」
今まで見ていた。
あの白い悪魔の戦いを、一階のモニターから
白い刃を持った同類の少女。
彼女は2体一でも楽勝に勝利し。
羨ましい、強いわけでも、ましてや、積極的にもなれない
あの人のそばに、私はいて良いのだろうか。
「なんや、置いてけぼりか?」
「あ、えと、凛奈、さん?」
「冷たいねな、はーちゃん、おいてけぼりにして」
「……えと、私が逃げたんです、その」
「嫉妬か、かーいいなあ、碧鈴ちゃん」
「……」
そう、この感情は嫉妬。
強く、しなやかで不敵で、きっと彼女ならマイロードを満足させてあげられる。
でも、私は、何も……出来ていないのだ。
「アレや、積極的にいかんと、思いはかなわんでー」
「あう、でもその私は、何にも……」
「そーいうの見る子じゃないやろ、はーちゃんは」
知っている、分かっている。
自分の身を案じてくれた事は。
絶対に勝たなきゃいけない状況な事も。
「知ってますよそんなの……」
ひざを抱えて、私は思考の渦に沈む事しか、出来なかった。
徒然続く、そんな話。 第七節
彼女の陰鬱。 節終
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「儂を呼んだか、主?」
「呼んだ呼んだ―――手、貸してくれるか?」
「マ、マイロード、その、私は?」
尻尾をたれ下げて、上目遣い。
「……碧鈴に、まだ戦闘はさせられん」
自制し、なんとか言い返す。
「なら、儂ならよいのか?」
からかうように、ディスが呟く。
「そ、そーいうわけじゃないじゃないが、うん」
大事に思ってる、だから……
「そう、ですか」
尻尾が下がったままで、下の階へ。
「ごめんな、碧鈴」
ぽつ、と呟いた……こんな言葉じゃ届かない、って分かってるけど――――今は分かってる、気分を切り替え。
「―――ディス、いけるか?」
「儂は、常在戦場、じゃぞ?」
「いい返事だ、乱入すんぞ」
「―――うむ」
飛び込むは、電子の戦場。
0と1で構成される、荒野、戦場。
「へっへっへ、片付いちまったなあ、雑魚の相手もここまでかぁ!?」
癇に障るリアルサイドの声。
「当然でゴザルよ、そろそろ終りにするでござる」
相手の、小さな子供が操るマオチャオは返事も出来ずに呻いている。
ログアウト敗北の無い程度に、痛めつけている、何せ子供で初心者だ、ギブアップすら威圧されて出来ない。
「―――止めといこうぜぇ!?」
ストラーフが、その大きな異形の腕を振り下ろす刹那に。
――――斬。
その場に居た誰もが言葉を失った。
いきなり、ストラーフの腕が、斬り飛ばされた。
相手は見えず……気づけばマオチャオの姿も無い。
「ど、どこにいったでゴザル?」
「てめえ、俺の神姫にっ!」
想定外の事態で慌てる2体の神姫、どーやら、感情を消されてる、というか……考えなくさせられている。
「ふん、この程度の雑魚とはな」
不敵に、砂塵舞う荒野に―――白い悪魔と白い刃。
ずいぶんと、遠くから攻撃したらしいが、相手のストラーフに出来ているのは切断面、巨大なブレードで切り刻んだような
綺麗な切断、おそらく高速で接近し切り刻んで離れたのだろう。
「なんだと、やっちまえっ!」
「やるでゴザルよっ!」
ストラーフが大地を蹴り、アーンヴァルが空中から狙い撃ち、上等パターンだ、勝てる、そう思い込んだ。
「ふん」
巨大な刀を、投擲。
「使うまでも無いわ、来るがよい」
大地を蹴る―――最初からフルスピード。
ゼロから無限へ、一瞬だ。
その一瞬で空中へ跳躍。
空を舞うアーンヴァルを、蹴り飛ばす。
落下地点にストラーフ。
狙い定めて叩き落した。
「ふん、他愛も無い」
「……ん、だとぉぉぉ!?」
いらついたように、敵のストラーフが、短剣を投擲。
「死ぬでゴザル、逝って良しでゴザルっ!!」
アーンヴァルもウィングを捨て、拳銃を乱射してくる。
白いストラーフが落ちる地点を狙って撃った、当たる、必中の一撃。
そのはずだった、勝った、いつものように、あざ笑ってやろうと思った。
――――にやり。
「―――きめちまえ、ディス」
「了解、主」
笑ったと思うと、落ちる、と思った寸前に、何かが、滑り込む。
それは、投げたはずの刀。
「ようやく温まったか、烈龍刀よ」
白い刃には、しっかりとした、龍の紋。
その上に、足を乗せ。
「では―――逝くが良い」
超高速
そして
空中へ舞い上がって
「巨刃大津波(ビッグブレードウェーブ)」
すがすがしい宣言と共に、2体まとめて貫き、電子のグリットに返す。
「……わあ」
今まで見ていた。
あの白い悪魔の戦いを、一階のモニターから
白い刃を持った同類の少女。
彼女は2体一でも楽勝に勝利し。
羨ましい、強いわけでも、ましてや、積極的にもなれない
あの人のそばに、私はいて良いのだろうか。
「なんや、置いてけぼりか?」
「あ、えと、凛奈、さん?」
「冷たいねな、はーちゃん、おいてけぼりにして」
「……えと、私が逃げたんです、その」
「嫉妬か、かーいいなあ、碧鈴ちゃん」
「……」
そう、この感情は嫉妬。
強く、しなやかで不敵で、きっと彼女ならマイロードを満足させてあげられる。
でも、私は、何も……出来ていないのだ。
「アレや、積極的にいかんと、思いはかなわんでー」
「あう、でもその私は、何にも……」
「そーいうの見る子じゃないやろ、はーちゃんは」
知っている、分かっている。
自分の身を案じてくれた事は。
絶対に勝たなきゃいけない状況な事も。
「知ってますよそんなの……」
ひざを抱えて、私は思考の渦に沈む事しか、出来なかった。
徒然続く、そんな話。 第七節
彼女の陰鬱。 節終
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