「それは剣を持つ者」(2007/03/30 (金) 18:18:40) の最新版変更点
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[[凪さん家の弁慶ちゃん]]
**第二話 それは剣を持つ者 2-1
時間は放課後、場所はホビーショップエルゴのバトルスペース。
『試合終了、勝者弁慶、義経組』
その戦いを見ていた男女がいた。その格好は千空や未来と同じ、私立黒葉学園の制服だった。
「いくわ」
眉を吊り上げ、しかし笑顔で女は言った。
「本気か?」
やっぱりか、とでも言うように男が言う。
「冗談とでも言いたいの?」
「いや、別に」
「じゃあ何よ」
「ただ、セカンドクラスの俺達がサードの試合に乱入して良いのかね?ってことだ」
「乱入しちゃいけない理由が無いわ」
「そりゃそうだが…まるでどこぞの鶴畑じゃねえか」
「あら、アレは単なる弱いものいじめでしょ?これは違うわ」
「じゃあ何だ」
「試験よ」
「試験?」
「そ、我が黒葉学園神姫部に相応しい人材か試すためのね」
「ふぅ…そうかい」
「なんか不満なの?」
「毎度毎度無理やりだな。あいつらは入りたいとは言って無いぞ?」
「分かってるわよ。でもどちらにしろ技量は見ておかないと」
「見ただろう?今。サードにしてはよくやる。もうすこしで上位に食い込む位だから当然と言えば当然か」
「はぁ?あんなの相手が弱かっただけよ。本当の力は発揮できて無いわ」
「何故分かる」
「見てみなさい。あの二体」
「は?」
「退屈そうじゃないの!」
「はぁ…」
「だから行くわよ!用意は良い?アーサー?」
「はい、いつでもいけます」
学校鞄の中から鎧を身に纏った神姫が出て来る。その手に持つのは一本の剣のみ。
「仕方ない…ハンゾー」
「よっしゃ、出番だな!」
ハンゾーと呼ばれた猫型の神姫は回りに光る目を八つ従えて気合を入れた。
「行くぜお前ら!」
『オォォォォォォン!!』
「さぁ、出陣よ!」
・
・
・
「…つまらん」
勝ったのに不機嫌そうな僕の神姫、弁慶。
「あはは、お疲れ様。弁慶」
その隣から。
「たいした事はありませんでしたね」
じゃきんと武装脚部の音を鳴らして未来の神姫、義経が出てきた。
「まぁこんな日もあるよね」
「でもこれでポイント加算で…もう少しで上位だね」
僕は手元のモバイルで計算して確認した。
「ほんとだ。やったね」
未来も確認する。
「だが、面白く無い」
どかっと座り込む弁慶。そんなに退屈な戦いだったかな…?
「私は良いですが、弁慶は不服でしょうね」
「あぁ、その通りだ」
「まぁまぁ、今日は仕方ないってことで。ね?」
「もう一戦やるぞ」
「うん、もうエントリーしてあるよ」
「よし」
「じゃあ次も同じ調整具合で良いかな」
「そうですね。お願いします」
『エントリー確認。対戦相手に選択されました』
「お、次はどんな神姫?」
「ちーちゃん!見て」
「え?って…」
「何だどうした」
「?」
「セカンドクラスじゃないか…」
「アーサーと…ハンゾー…天使型と猫型だね」
「セカンド?格上か」
「サード叩きでしょうか」
「サード叩き…」
「ちーちゃん、どうするの?」
「う~ん」
どうしよう…。相手はセカンド、こっちはサード。この二体のマスター…ほんとにサード叩きなのかな…。
「おい、おい!」
「え、何?弁慶」
「まさか棄権とか考えて無いだろうな?」
鋭い目つきでこっちを見る弁慶。
「…」
「ちーちゃん…」
「千空さん、ここは」
「…いや、やるよ」
僕はしっかりと弁慶を見て言った。
「よし」
「ちーちゃん!?無理だよ勝てないってば」
「技量差が開きすぎてます。勝つことは困難ですよ?」
「でもここで帰るのはなんかやだ」
「その通りだ。退屈していた所だからな」
「う~ん、まぁセカンドと当たる事自体ほとんど無い機会だし」
「弁慶がやるなら私も」
「よし、行こう!」
「うむ」
「はい」
カタパルトアクセスポッドに入る弁慶と義経。そのままエレベーターで目下のバトルエリアに移動する。
ステージはさっきと同じく高層ビル街。
中央を貫く大通りの先に対戦相手も到着したみたい。
「…騎士?」
はるか遠くに見えるのは青い鎧に金髪の神姫とヘッドバイザー以外の武装がない猫型。
「いえ、あれは…なんでしょう」
義経も解析に困ってる。
「ちーちゃん…」
「うん、見た感じ今度発売される騎士型っぽいけど…頭部は…天使型?でも髪形違うし」
「そしてあちらの猫型…ほとんど素体…?」
「ふん、舐められたな」
「そうでしょうか…」
「とにかくやるぞ」
「はい」
『アーサー・ハンゾー組VS弁慶・義経組、ステージ高層ビル街。セットアップ』
「とにかく全力で、何があるか分からないよ」
「あぁ、弁慶に手抜きは無い」
「いってらっしゃい。義経」
「はい、お嬢様」
『レディ…ファイト!』
「ではまた、後で」
「あぁ」
ブースターを吹かし、横方向へ移動する義経
「はっ!」
どん、と一気に加速する弁慶。狙ってるのは騎士の方かな。
「ふ、来ましたね」
「よし、暴れるぜぇ!」
猫型のハンゾーが動き出した。でも弁慶は無視して通り過ぎる。そして。
「甘く見ないほうが良いぜ?」
「ん?」
と言い残してはるか後方へ消えていった。
「始めまして。弁慶といったか」
「?あぁ、確かに弁慶だ」
「よろしく」
「…」
「ふ、やけに自信のこもった目ですね」
「当たり前だ。勝つ気だからな」
「その自信が…」
「?」
「剣しか持っていない…という油断から来るものなら今すぐに撤回したほうが良い」
ちゃきんと剣を構えるアーサー。
「ふ、弁慶はいつでも誰に対しても容赦しない。そして」
弁慶は手にした二挺のハンドガンをくるりと回して持ち直す。
かちゃん…。
「慢心もしない…!」
腰を低くして構える。
「ふ、良い心がけです。気に入りました」
「来い…!」
「では、お言葉に甘えさせていただく!この剣の誇りにかけて!」
オーラのような物が一気に広がる。これがセカンドの力?
「行くぞ、兄弟…!」
弁慶は兄弟「ウルフ&フェンリル」ハンドガンに口付けをした。気合を入れなおした合図だ。
どん、と遠ざかるアーサー。剣しか持たないはずなのに何故か後ろにステップを踏む。
「?」
「はぁぁぁぁぁ!」
アーサーは地面に剣先を突き刺し、何も無い空間を一気に切り上げて叫んだ。
「行くぞ!魔神剣!!」
「!?」
その軌跡から放たれる剣圧は大地を割りながら弁慶を目指して突き進む。
「く」
その青白い刃を避けつつハンドガンで応戦する弁慶。でも青い鎧には通用していないようで、全てが弾かれている。
「ふ、そんな豆鉄砲で!」
アーサーは剣を真っ直ぐ構えて叫ぶ。
「守護方陣!」
すると光のオーラがアーサーを包み周囲を吹き飛ばした。ハンドガンから吐き出された弾丸はその動きを止め、そして吐き出した本人に帰っていく。
「くぅ…!」
思わぬ反撃に防御が遅れる弁慶。
「ふ、まだまだ!次!!」
「…!」
「秋沙雨!」
今度は距離を詰めてきた。剣の構えが変わり激しい突きが弁慶を襲う。が
がきぃぃぃぃぃん…。
「ほう…」
「ふん」
弁慶の手にはアーミーブレードが握られていた。
「はぁ!」
「む!」
「アイン!ツヴァイ!ドライ!」
右、左、そして足に装備した三本のアーミーブレードを駆使した連撃。
「ファング!」
最後に全てのアーミーブレードと共に体を一回転させてアーサーを切り裂く。
「ふ!ぬぅぅぅ…!!」
ぐ、と踏ん張り、その爪を受け止めるアーサー。
「ち…」
後方に回転しつつ、距離を開ける弁慶。
「ふぅぅ…」
「サードにしては…良い腕だ。今ので分かる」
「そっちこそ、舐めていたんじゃないだろうな」
「まさか…この私が?ありえないな!」
「…!」
気付けば目の前に青い騎士。
「…速い」
「これで終わりだ!」
「は…ふん!!」
「…!」
弁慶は手にしたアンカーを射出、ビルの壁に突き刺して自分の体を預ける。
弁慶がいた空間を切る剣。弁慶はビルの壁に張り付いていた。
「ぬぅ…」
「ふん…まだまだ…」
「滑稽な…」
「なんとでも言え」
どぉぉぉぉん…どこかで轟音。
「ふ、ハンゾーも派手にやっているようだ」
「…義経…」
弁慶は珍しく戦闘中にその名を呟いた。
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[[凪さん家の弁慶ちゃん]]
**第二話 それは剣を持つ者 2-1
時間は放課後、場所はホビーショップエルゴのバトルスペース。
『試合終了、勝者弁慶、義経組』
その戦いを見ていた男女がいた。その格好は千空や未来と同じ、私立黒葉学園の制服だった。
「いくわ」
眉を吊り上げ、しかし笑顔で女は言った。
「本気か?」
やっぱりか、とでも言うように男が言う。
「冗談とでも言いたいの?」
「いや、別に」
「じゃあ何よ」
「ただ、セカンドクラスの俺達がサードの試合に乱入して良いのかね?ってことだ」
「乱入しちゃいけない理由が無いわ」
「そりゃそうだが…まるでどこぞの鶴畑じゃねえか」
「あら、アレは単なる弱いものいじめでしょ?これは違うわ」
「じゃあ何だ」
「試験よ」
「試験?」
「そ、我が黒葉学園神姫部に相応しい人材か試すためのね」
「ふぅ…そうかい」
「なんか不満なの?」
「毎度毎度無理やりだな。あいつらは入りたいとは言って無いぞ?」
「分かってるわよ。でもどちらにしろ技量は見ておかないと」
「見ただろう?今。サードにしてはよくやる。もうすこしで上位に食い込む位だから当然と言えば当然か」
「はぁ?あんなの相手が弱かっただけよ。本当の力は発揮できて無いわ」
「何故分かる」
「見てみなさい。あの二体」
「は?」
「退屈そうじゃないの!」
「はぁ…」
「だから行くわよ!用意は良い?アーサー?」
「はい、いつでもいけます」
学校鞄の中から鎧を身に纏った神姫が出て来る。その手に持つのは一本の剣のみ。
「仕方ない…ハンゾー」
「よっしゃ、出番だな!」
ハンゾーと呼ばれた猫型の神姫は回りに光る目を八つ従えて気合を入れた。
「行くぜお前ら!」
『オォォォォォォン!!』
「さぁ、出陣よ!」
・
・
・
「…つまらない」
勝ったのに不機嫌そうな僕の神姫、弁慶。
「あはは、お疲れ様。弁慶」
その隣から。
「たいした事はありませんでしたね」
じゃきんと武装脚部の音を鳴らして未来の神姫、義経が出てきた。
「まぁこんな日もあるよね」
「でもこれでポイント加算で…もう少しで上位だね」
僕は手元のモバイルで計算して確認した。
「ほんとだ。やったね」
未来も確認する。
「おもしろくない」
どかっと座り込む弁慶。そんなに退屈な戦いだったかな…?
「私は良いですが、弁慶は不服でしょうね」
「その通り」
「まぁまぁ、今日は仕方ないってことで。ね?」
「もういっかい」
「うん、もうエントリーしてあるよ」
「よし」
「じゃあ次も同じ調整具合で良いかな」
「そうですね。お願いします」
『エントリー確認。対戦相手に選択されました』
「お、次はどんな神姫?」
「ちーちゃん!見て」
「え?って…」
「何?」
「?」
「セカンドクラスじゃないか…」
「アーサーと…ハンゾー…天使型と猫型だね」
「セカンド?格上…」
「サード叩きでしょうか」
「サード叩き…」
「ちーちゃん、どうするの?」
「う~ん」
どうしよう…。相手はセカンド、こっちはサード。この二体のマスター…ほんとにサード叩きなのかな…。
「おい」
「え、何?弁慶」
「棄権…無い」
鋭い目つきでこっちを見る弁慶。
「…」
「ちーちゃん…」
「千空さん、ここは」
「…いや、やるよ」
僕はしっかりと弁慶を見て言った。
「よし」
「ちーちゃん!?無理だよ勝てないってば」
「技量差が開きすぎてます。勝つことは困難ですよ?」
「でもここで帰るのはなんかやだ」
「うん。このままじゃ退屈」
「う~ん、まぁセカンドと当たる事自体ほとんど無い機会だし」
「弁慶がやるなら私も」
「よし、行こう!」
「うん」
「はい」
カタパルトアクセスポッドに入る弁慶と義経。そのままエレベーターで目下のバトルエリアに移動する。
ステージはさっきと同じく高層ビル街。
中央を貫く大通りの先に対戦相手も到着したみたい。
「…騎士?」
はるか遠くに見えるのは青い鎧に金髪の神姫とヘッドバイザー以外の武装がない猫型。
「いえ、あれは…なんでしょう」
義経も解析に困ってる。
「ちーちゃん…」
「うん、見た感じ今度発売される騎士型っぽいけど…頭部は…天使型?でも髪形違うし」
「そしてあちらの猫型…ほとんど素体…?」
「舐められた?」
「そうでしょうか…」
「とにかくやる」
「はい」
『アーサー・ハンゾー組VS弁慶・義経組、ステージ高層ビル街。セットアップ』
「とにかく全力で、何があるか分からないよ」
「うん、手抜き無い」
「いってらっしゃい。義経」
「はい、お嬢様」
『レディ…ファイト!』
「ではまた、後で」
「あぁ」
ブースターを吹かし、横方向へ移動する義経
「はっ!」
どん、と一気に加速する弁慶。狙ってるのは騎士の方かな。
「ふ、来ましたね」
「よし、暴れるぜぇ!」
猫型のハンゾーが動き出した。でも弁慶は無視して通り過ぎる。そして。
「甘く見ないほうが良いぜ?」
「ん?」
と言い残してはるか後方へ消えていった。
「始めまして。弁慶といったか」
「?あぁ、弁慶」
「よろしく」
「…」
「ふ、やけに自信のこもった目ですね」
「当たり前…勝つ」
「その自信が…」
「?」
「剣しか持っていない…という油断から来るものなら今すぐに撤回したほうが良い」
ちゃきんと剣を構えるアーサー。
「無い」
弁慶は手にした二挺のハンドガンをくるりと回して持ち直す。
かちゃん…。
「いつも本気…!」
腰を低くして構える。
「ふ、良い心がけです。気に入りました」
「来い…!」
「では、お言葉に甘えさせていただく!この剣の誇りにかけて!」
オーラのような物が一気に広がる。これがセカンドの力?
「行く、兄弟…!」
弁慶は兄弟「ウルフ&フェンリル」ハンドガンに口付けをした。気合を入れなおした合図だ。
どん、と遠ざかるアーサー。剣しか持たないはずなのに何故か後ろにステップを踏む。
「?」
「はぁぁぁぁぁ!」
アーサーは地面に剣先を突き刺し、何も無い空間を一気に切り上げて叫んだ。
「行くぞ!魔神剣!!」
「!?」
その軌跡から放たれる剣圧は大地を割りながら弁慶を目指して突き進む。
「く」
その青白い刃を避けつつハンドガンで応戦する弁慶。でも青い鎧には通用していないようで、全てが弾かれている。
「ふ、そんな豆鉄砲で!」
アーサーは剣を真っ直ぐ構えて叫ぶ。
「守護方陣!」
すると光のオーラがアーサーを包み周囲を吹き飛ばした。ハンドガンから吐き出された弾丸はその動きを止め、そして吐き出した本人に帰っていく。
「くぅ…!」
思わぬ反撃に防御が遅れる弁慶。
「ふ、まだまだ!次!!」
「…!」
「秋沙雨!」
今度は距離を詰めてきた。剣の構えが変わり激しい突きが弁慶を襲う。が
がきぃぃぃぃぃん…。
「ほう…」
「ふん」
弁慶の手にはアーミーブレードが握られていた。
「はぁ!」
「む!」
「アイン!ツヴァイ!ドライ!」
右、左、そして足に装備した三本のアーミーブレードを駆使した連撃。
「ファング!」
最後に全てのアーミーブレードと共に体を一回転させてアーサーを切り裂く。
「ふ!ぬぅぅぅ…!!」
ぐ、と踏ん張り、その爪を受け止めるアーサー。
「ち…」
後方に回転しつつ、距離を開ける弁慶。
「ふぅぅ…」
「サードにしては…良い腕だ。今ので分かる」
「そっちも…手抜き?」
「まさか…この私が?ありえないな!」
「…!」
気付けば目の前に青い騎士。
「…速い」
「これで終わりだ!」
「は…ふん!!」
「…!」
弁慶は手にしたアンカーを射出、ビルの壁に突き刺して自分の体を預ける。
弁慶がいた空間を切る剣。弁慶はビルの壁に張り付いていた。
「ぬぅ…」
「ふん…まだまだ…」
「滑稽な…」
「なんとでも」
どぉぉぉぉん…どこかで轟音。
「ふ、ハンゾーも派手にやっているようだ」
「…義経…」
弁慶は珍しく戦闘中にその名を呟いた。
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