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「武士娘って格好良いよね?」(2007/02/21 (水) 10:19:40) の最新版変更点
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正直な話、私・・・武士型MMS紅緒、個体名「華墨」・・・は悶々としている
理由は多々あるが、最大のものはやはり同型である「紅緒」の不人気である
最初にその事を感じたのは、起動した翌日に、マスターに伴われて行った大型玩具店だ
品切れ中の「ストラーフ」に対して、棚の上に山と積まれた「紅緒」・・・
その時に、自分はまだ幸運な方なのだと感じると同時に、言い様の無いやるせなさに襲われた
次に、バトルに興味を持った私の為に、マスターがネットでバトルについて色々調べてくれた時だ
綺羅星の如きセカンドリーグの面々。その中には「ハウリン」「ストラーフ」「マオチャオ」「アーンヴァル」がずらずら並ぶ
単にその型が強いだけなのかと思いもしたが、近所のバトルスペースに立ち寄った時、そこに居た「紅緒」は私だけだった
因みに、初めての対戦相手を買って出てくれた「ツガル」も同じ様な事を言っていたが、彼女は今やセカンドランカーの一人となり、彼女の影響で「ツガル」を手にする人が増えている事を最近知った
なんとも凹ましい事だ
そんな事ばかり考えていると偶々見つけた、マスターが私を購入した時のレシートには
『サムライMMSベニモロ』とでかでか誤植
本当に凹んだ
----
**頑張れ武士娘たん
----
バーチャル空間の廃墟に白刃が閃く
綺麗な弧状の残影を引き摺りながら舞ったそれはしかし、苦も無く、神姫の体にはやや大きな大剣「コルヌ」によってブロックされる
ならば、と刀身同士が噛み合った場所を支点に跳躍。相手「サイフォス・・・個体名セロ・・・」の背面を取る
「ほう!」
感嘆の声をもらす「セロ」・・・くそっ余裕かまされてる
着地と同時に大地を蹴り疾駆。太刀は肩の高さで切先を背側に流し、地面に水平に構える
懐に飛び込んで絶句。重装甲の癖に振り返りが速過ぎる
「はああああああっ!!」
勢いを殺さず(殺せず)突撃。セロの左手が右腰の斧を抜き放つ
空気を薙ぎ斬る様な猛撃。だが交差法だ、私の太刀が斧の柄を断つ
飛び込めたと感じた瞬間、セロが恐ろしい速さで身を引く。背面には槍・・・間合いを取られるととても困る
「かなり動けるようにはなったが、まだまだ荒いな華墨よ!受けるがいい我が奥義!!」
「蒼尖槍衝(ブラオシュピッツァー)!!」
なんか間違ってるっぽい上に厨臭い名称を絶叫するセロ。間合いを調整すべく走る私・・・が、時既に遅し、セロの背にしつらえられた高出力のスラスターが光を放ち、手にした槍もろとも一条の輝きと化して駆け抜ける
・・・無機質なアナウンスがセロの勝利を告げた時には既に、私の意識はクレイドルを介して本体に戻っていた・・・
「・・・また・・・負けた」
件のツガルの様に世間をあっと言わせるには、私はまだまだ未熟に過ぎる
地元のサードリーグで10試合、今の所戦績は4勝5敗1分けだ。正直、パッとしないと自分でも思う
「紅緒」の格好良さ、「紅緒」の凄さを伝えようにも、この成績では誰も注目してはくれないだろう
別に強さだけで「紅緒」を宣伝しようとかは、少なくとも私は思っていない・・・ただ単に「紅緒」の不人気が寂しいのだ
スペックで言ったら、各神姫毎に一長一短あるとは言え、標準装備で見た場合同じ白兵特化型の騎士型程重くなく、脚のグリップ力というか安定性においては他の追随を許さず、といった所か。正直、騎士型との差は微々たる物のような気がしないでも無いが、それだけに
「一体何がいけないのだろう・・・」
「猫跳びの後着地が一瞬もたついたからだろうな」
急にマスターの声がかかって周りを見渡す
何時の間にかマスターの部屋の中だ。深い思考の淵に居すぎたらしい
「まぁ、余り気に病むな。華墨はまだまだこれからなんだからな」
「ぁ・・・はい・・・心配掛けてすみませんマスター。私は大丈夫です」
マスターとの間にも何だかすれ違いが多い・・・気を張らなければならない関係と言うのは良くない気がするが、私はどうもそうしないと、自分の思考に没頭し過ぎてしまう悪癖があるようだな
「程々にな。風呂入って来るわ」
「はい、マスター。また後で」
ふぅ・・・少し落ち着こう
こういう時は素数を数えると良いんだっけ?否、身を隠すんだったか?身を隠してどうするんだ?落ち着け、私
駄目だ。思考には果てしが無い
止む無くマスターのパソコンでネットサーフしつつ、愛玩系マスターの神姫との甘々写真サイトとかを見てにやける・・・直後に、愛玩「されている」神姫の中にもまた、大して「紅緒」の数が多い訳では無いっぽい事にうなだれる
「私達では萌えないというのか?それは駄目なのか?それともアーンヴァルとかに比べて武器が大人しいから燃えないのか?」
いつしか居るのは若年向けのけれん味たっぷりのアニメやグッズの紹介ページだ
「ドリル付ければ良いのか?キャノン付ければ良いのか?とりあえず羽根付ければ良いのか?」
追い詰められた思考が行き着くのは安直な改造案や媚びた仕草だ・・・既に自分ひとりが目立ちたいのか「紅緒」を目立たせたいのかの境界すら超越している・・・成程神姫のAIはある意味非常に優秀だ
「そうか、必殺技だな!?皆をときめかせる格好良い必殺技が有れば受けるぞふへへ・・・」
早速付属品の太刀を構えて様々なポーズを取り始める
最初は一瞬、華墨がアニメでも見てるのかと思った
でも風呂上りの俺の耳に飛び込んできたのは明確な華墨の声で、しかもそれは「はぁぁぁっ!エターナルフォースブリザード!!」とか「受けるが良い!我が必殺の斬ゾイド刀!一文字切りぃぃぃぃ!!」とか言ってるんだ
正直俺は、彼女にもっと優しく細やかに接してやるべきだったのかも知れない
彼女はあんなにもいつも塞ぎ込んで、一人で何やら考え込んでいたじゃないか
もっと気遣ってやるべきだった・・・ってゆーかそのノートは俺の黒歴史ノートじゃないか?消防時代のほろ苦い思い出がつづられた・・・いや、詠唱とかまじ勘弁して欲しいんすけど、華墨さん
挙句華墨は模型用のデカールなんかを組み合わせて自分の腕に何やら紋章めいたモノを描き始めている
止めよう、止めてあげよう・・・止めなければ、俺も死ぬ
「竜王魔殺・・・」
「撃炎破は出ないぜ・・・華墨・・・」
振り向いた先にはあらゆる表情がない混ぜになって表情がなくなってしまったマスター
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
私は自分の思考に没頭し過ぎてしまうと周りはおろか自分自身すら見失ってしまう悪癖があるようだな
「・・・・・・・・」
「・・・・・あの、さ・・・」
見なかった事にして欲しい、むしろこれ以上見ないで欲しい、むしろ忘れて欲しい、むしろ誰か私を殺せ・・・
「そーいうの・・・好き・・・ならさ・・・その・・・好きでも良いんだけどさ」
「・・・・・」
「竜炎使い(俺が考えた超能力者)ごっこはさ・・・その・・・俺にとってもお前にとってもダメージが大きいっつーかリスキー過ぎるから・・・さ」
「・・・」
「残酷な言い方しか出来ないけど・・・痛いからやめとけ。な?華墨」
ごてごて色々組み替えて装備した装備品を落としつつ膝を付く私
衝撃で舞い散る例のレシートに「ベニモロ」の半角文字
この時私は一瞬真剣に「ただの人形になりたい」と思ってしまったが後の祭り
「成程・・・な」
泣く泣く事情と自らが辿った大まかな思考経緯を話してくれた華墨をなだめつつ
「正直な話、俺には紅緒の売れ行きをどうこう出来る力はない」
そんな涙目で見つめないで欲しい
「でも・・・そのだな、こっ恥ずかしいんだが」
後ろ頭をぽりぽり掻きつつ顔をしかめる
「俺は・・・お前以外の神姫と一緒に暮らそうとか、そういうのは考えられないし、想像出来ないんだわ・・・つまり何が言いたいかってぇと・・・だな」
「・・・お前の事すごく、気に入ってるぜ・・・華墨っていうお前が既に気に入ってるのに、俺の好みにマッチした紅緒だって事がさ・・・少なくとも俺は紅緒・・・好きだぜ」
「俺だけの紅緒、華墨・・・じゃ嫌か?」
「・・・」
黙って泣きながら抱きつかないで欲しい
取敢えず・・・優しく両手で包んで、なでなでしてあげよう
後日、冷静になって思い返してみると、その晩の発言こそが黒歴史ノートよりよっぽどな台詞だったかもなとか思ってダメージ受けてみたりする
正直な話、私・・・武士型MMS紅緒、個体名「華墨」・・・は悶々としている
理由は多々あるが、最大のものはやはり同型である「紅緒」の不人気である
最初にその事を感じたのは、起動した翌日に、マスターに伴われて行った大型玩具店だ
品切れ中の「ストラーフ」に対して、棚の上に山と積まれた「紅緒」・・・
その時に、自分はまだ幸運な方なのだと感じると同時に、言い様の無いやるせなさに襲われた
次に、バトルに興味を持った私の為に、マスターがネットでバトルについて色々調べてくれた時だ
綺羅星の如きセカンドリーグの面々。その中には「ハウリン」「ストラーフ」「マオチャオ」「アーンヴァル」がずらずら並ぶ
単にその型が強いだけなのかと思いもしたが、近所のバトルスペースに立ち寄った時、そこに居た「紅緒」は私だけだった
因みに、対戦相手を買って出てくれた「ツガル」も同じ様な事を言っていたが、彼女は今やセカンドランカーの一人となり、彼女の影響で「ツガル」を手にする人が増えている事を最近知った
なんとも凹ましい事だ
そんな事ばかり考えていると偶々見つけた、マスターが私を購入した時のレシートには
『サムライMMSベニモロ』とでかでか誤植
本当に凹んだ
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**頑張れ武士娘たん
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バーチャル空間の廃墟に白刃が閃く
綺麗な弧状の残影を引き摺りながら舞ったそれはしかし、苦も無く、神姫の体にはやや大きな大剣「コルヌ」によってブロックされる
ならば、と刀身同士が噛み合った場所を支点に跳躍。相手「サイフォス・・・個体名セロ・・・」の背面を取る
「ほう!」
感嘆の声をもらす「セロ」・・・くそっ余裕かまされてる
着地と同時に大地を蹴り疾駆。太刀は肩の高さで切先を背側に流し、地面に水平に構える
懐に飛び込んで絶句。重装甲の癖に振り返りが速過ぎる
「はああああああっ!!」
勢いを殺さず(殺せず)突撃。セロの左手が右腰の斧を抜き放つ
空気を薙ぎ斬る様な猛撃。だが交差法だ、私の太刀が斧の柄を断つ
飛び込めたと感じた瞬間、セロが恐ろしい速さで身を引く。背面には槍・・・間合いを取られるととても困る
「かなり動けるようにはなったが、まだまだ荒いな華墨よ!受けるがいい我が奥義!!」
「蒼尖槍衝(ブラオシュピッツァー)!!」
なんか間違ってるっぽい上に厨臭い名称を絶叫するセロ。間合いを調整すべく走る私・・・が、時既に遅し、セロの背にしつらえられた高出力のスラスターが光を放ち、手にした槍もろとも一条の輝きと化して駆け抜ける
・・・無機質なアナウンスがセロの勝利を告げた時には既に、私の意識はクレイドルを介して本体に戻っていた・・・
「・・・また・・・負けた」
件のツガルの様に世間をあっと言わせるには、私はまだまだ未熟に過ぎる
地元のサードリーグで10試合、今の所戦績は4勝5敗1分けだ。正直、パッとしないと自分でも思う
「紅緒」の格好良さ、「紅緒」の凄さを伝えようにも、この成績では誰も注目してはくれないだろう
別に強さだけで「紅緒」を宣伝しようとかは、少なくとも私は思っていない・・・ただ単に「紅緒」の不人気が寂しいのだ
スペックで言ったら、各神姫毎に一長一短あるとは言え、標準装備で見た場合同じ白兵特化型の騎士型程重くなく、脚のグリップ力というか安定性においては他の追随を許さず、といった所か。正直、騎士型との差は微々たる物のような気がしないでも無いが、それだけに
「一体何がいけないのだろう・・・」
「猫跳びの後着地が一瞬もたついたからだろうな」
急にマスターの声がかかって周りを見渡す
何時の間にかマスターの部屋の中だ。深い思考の淵に居すぎたらしい
「まぁ、余り気に病むな。華墨はまだまだこれからなんだからな」
「ぁ・・・はい・・・心配掛けてすみませんマスター。私は大丈夫です」
マスターとの間にも何だかすれ違いが多い・・・気を張らなければならない関係と言うのは良くない気がするが、私はどうもそうしないと、自分の思考に没頭し過ぎてしまう悪癖があるようだな
「程々にな。風呂入って来るわ」
「はい、マスター。また後で」
ふぅ・・・少し落ち着こう
こういう時は素数を数えると良いんだっけ?否、身を隠すんだったか?身を隠してどうするんだ?落ち着け、私
駄目だ。思考には果てしが無い
止む無くマスターのパソコンでネットサーフしつつ、愛玩系マスターの神姫との甘々写真サイトとかを見てにやける・・・直後に、愛玩「されている」神姫の中にもまた、大して「紅緒」の数が多い訳では無いっぽい事にうなだれる
「私達では萌えないというのか?それは駄目なのか?それともアーンヴァルとかに比べて武器が大人しいから燃えないのか?」
いつしか居るのは若年向けのけれん味たっぷりのアニメやグッズの紹介ページだ
「ドリル付ければ良いのか?キャノン付ければ良いのか?とりあえず羽根付ければ良いのか?」
追い詰められた思考が行き着くのは安直な改造案や媚びた仕草だ・・・既に自分ひとりが目立ちたいのか「紅緒」を目立たせたいのかの境界すら超越している・・・成程神姫のAIはある意味非常に優秀だ
「そうか、必殺技だな!?皆をときめかせる格好良い必殺技が有れば受けるぞふへへ・・・」
早速付属品の太刀を構えて様々なポーズを取り始める
最初は一瞬、華墨がアニメでも見てるのかと思った
でも風呂上りの俺の耳に飛び込んできたのは明確な華墨の声で、しかもそれは「はぁぁぁっ!エターナルフォースブリザード!!」とか「受けるが良い!我が必殺の斬ゾイド刀!一文字切りぃぃぃぃ!!」とか言ってるんだ
正直俺は、彼女にもっと優しく細やかに接してやるべきだったのかも知れない
彼女はあんなにもいつも塞ぎ込んで、一人で何やら考え込んでいたじゃないか
もっと気遣ってやるべきだった・・・ってゆーかそのノートは俺の黒歴史ノートじゃないか?消防時代のほろ苦い思い出がつづられた・・・いや、詠唱とかまじ勘弁して欲しいんすけど、華墨さん
挙句華墨は模型用のデカールなんかを組み合わせて自分の腕に何やら紋章めいたモノを描き始めている
止めよう、止めてあげよう・・・止めなければ、俺も死ぬ
「竜王魔殺・・・」
「撃炎破は出ないぜ・・・華墨・・・」
振り向いた先にはあらゆる表情がない混ぜになって表情がなくなってしまったマスター
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
私は自分の思考に没頭し過ぎてしまうと周りはおろか自分自身すら見失ってしまう悪癖があるようだな
「・・・・・・・・」
「・・・・・あの、さ・・・」
見なかった事にして欲しい、むしろこれ以上見ないで欲しい、むしろ忘れて欲しい、むしろ誰か私を殺せ・・・
「そーいうの・・・好き・・・ならさ・・・その・・・好きでも良いんだけどさ」
「・・・・・」
「竜炎使い(俺が考えた超能力者)ごっこはさ・・・その・・・俺にとってもお前にとってもダメージが大きいっつーかリスキー過ぎるから・・・さ」
「・・・」
「残酷な言い方しか出来ないけど・・・痛いからやめとけ。な?華墨」
ごてごて色々組み替えて装備した装備品を落としつつ膝を付く私
衝撃で舞い散る例のレシートに「ベニモロ」の半角文字
この時私は一瞬真剣に「ただの人形になりたい」と思ってしまったが後の祭り
「成程・・・な」
泣く泣く事情と自らが辿った大まかな思考経緯を話してくれた華墨をなだめつつ
「正直な話、俺には紅緒の売れ行きをどうこう出来る力はない」
そんな涙目で見つめないで欲しい
「でも・・・そのだな、こっ恥ずかしいんだが」
後ろ頭をぽりぽり掻きつつ顔をしかめる
「俺は・・・お前以外の神姫と一緒に暮らそうとか、そういうのは考えられないし、想像出来ないんだわ・・・つまり何が言いたいかってぇと・・・だな」
「・・・お前の事すごく、気に入ってるぜ・・・華墨っていうお前が既に気に入ってるのに、俺の好みにマッチした紅緒だって事がさ・・・少なくとも俺は紅緒・・・好きだぜ」
「俺だけの紅緒、華墨・・・じゃ嫌か?」
「・・・」
黙って泣きながら抱きつかないで欲しい
取敢えず・・・優しく両手で包んで、なでなでしてあげよう
後日、冷静になって思い返してみると、その晩の発言こそが黒歴史ノートよりよっぽどな台詞だったかもなとか思ってダメージ受けてみたりする
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