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武装神姫のリン
第14話「無名」
「距離200.100.50....来る!!」
大きな砂煙を上げて敵の大型機動兵器が姿を現す、巻き上げられた砂煙によって完全な姿は分からないがシルエットで"ソレ"が球体であることが認識できた。
しかし…
「なに、この臭い!!」
「うっ…この臭気は……」
「鼻が、歪む」
「おねえさま コレは!」
「頭がくらくらする…」
「こういう兵器…なの??」
いままでに感じたことのないほど醜悪で、怖気さえ感じるおぞましい臭気が皆を襲う。
どうやら機動兵器から発せられているらしいが、ただの兵器にここまでの臭気を発生させられるのだろうか??
まだ敵は動かない。ならばと臭気に負けじとセリナがコンテナから2連装式のガトリングガンを引き出し、グリップを握る。
「ふぅ…みんな下がって! 先制攻撃行くよ!!!」
「ええ、セリナ。お願い。」
セリナは照準を球体のシルエットの中心に合わせ、トリガーを引いた。
先ほどまでの静寂な空気をまさに吹き飛ばすほどの大轟音が響き無数の弾丸が数秒で敵に打ち込まれる。
そして砂煙が晴れる…
そこに現れたのは全身を機械で覆った球体型の兵器ではなかった…皆の瞳に映るのは極彩色に彩られ、生物の臓物をぶちまけたかのような肉片が集まったような、そんな代物だった。
そしてその中心にそんなものとは無縁とも思える先鋭的なシルエットをもつ「ロボット」が埋め込まれるかのように存在していた。
ガトリングガンの弾は全てそのロボットの胸部に命中しその表面には無数の穴が開いていたかに思えたが、時間が巻き戻るように修復。さらに肉塊からずるりという音も無く滑り降るかのように抜け出し、降り立った。
その姿は巨大な鉄塔のようであるが、まぎれもないヒトガタ。
いや、しいて言えば腰より下がとてつもなく長いドレスを着込んだ女性のような鋼鉄の巨人だった。
「……ネームレス・ワン」
俺はソレの名前を自然と口にしていた。
「ああ、アレね。30年以上前のゲームでしたっけ」
静菜も知っているようだ。
コレの恐ろしさはよく知っている。
まあ確かに恐怖小説郡を元にしたゲーム…「デモンベイン」の中の存在ではあるがその能力は正に「機械仕掛けの神」という表現がふさわしい。
もちろん本体もそうではあるが、何より面倒なのは後ろに存在する肉塊。
あれはの恐怖小説郡の総称にもなっている狂った世界の神、「クトゥルー」だ。
あの姿、無限心母を取り込んだ状態…なら次に起こす行動は1つ。
おれはインカムを手に取って叫ぶ
「絶対触手に捕まるな!! 捕まると数秒で食われる!!」
俺が叫ぶと同時にクトゥルーから無数の触手が生え、SFFを襲う。
皆飛びずさりながら後退するがセリナだけは臭いにやられたのか、足を取られてしまう。
それを感知した触手は想像を絶する速度でセリナに迫る。一番動きが遅いと「本能」で感じたのもあるだろう。
「こ。こないで!!!」
必死にガトリングを撃つセリナだが触手の数は一向に減らない。そうして1本の触手がガトリングに触れ、溶かしていく。
そうして防御の策を失ったセリナにゆっくりと触手が近づく。
「セリナ!!」
触手をナイフで切り裂き何とかギリギリでファムがセリナを抱え上げて飛翔。
「リン、頼みます!!」
「ハイ!! 撃ち抜け、神雷!!!」
あの衣装を纏った燐が大剣、ザンバーフォームに変形したバルディッシュを大きく振りかぶり、思い切り横薙ぎに振りぬく。
"Jet Zamber"
巨大な黄金の刃が無数の触手を、そして巨人、クトゥルーまでもを切り裂いていく。
もちろんSSFメンバーおよび燐とティアの武装の公式戦用のリミッターは解除され、その上SSF独自のプラグインによって威力はあの事件の時よりも上がっている。
その威力を燐は存分に発揮させているがこれでも多分時間稼ぎにしかならないだろう。
クトゥルーの恐ろしさは何より常識外れの再生能力にある。
この力を借りた敵を倒すのは「デモンベイン」劇中でもたやすくは無かった…少なくともクトゥルー本体を完全に消滅させるレベルでなければ話にならない。
つまりコンテナの反対側に積まれた「切り札」を使わなければいけないのだが、この状況では使えない。
それは目標に接触しなければなんの意味もなさない。
ネームレスワンが身代わりになれば、そこで俺たちの敗北が決まってしまう。
まだ敵は修復中だが触手は範囲内に入ったものを捕食する自動プログラムなのだろう、キャルが適当に投げたガトリングガンの破片を瞬時に捉え、食す。
「これだと近づけないわね、どうする?」
「やっぱり"あれ"はまだ使わないほうが、起動から敵への到達までの時間をこのままだと稼げません。せめて後5人いたら…」「5人…望み薄。 後ろの部隊もまだドンパチやってるよね、静菜さん?」
エイナが静菜に確認する
「そうね、どう考えても貴女たちがいる階層に到達するのは今のペースなら3時間後。持たないわ。」
「ん?? 隊長。 識別不明の5機の兵器??を確認。 ものすごいスピードでこっちに向かってます!!」
「識別不明? 警戒して」
「はい……?? 突然反応が消えました。 ジャマーか何かを使用したとおもわれますが、ウチのセンサーから逃げるなんて」
「…」
静菜は顔を引きつらせる。
「ファム!! 皆、装備を整えなさい!!」
そう静菜が叫んだ瞬間、ネームレス・ワンの周りに5体の新たなヒトガタが出現した。
「なんともひねりが無い、逆十字の登場ね。」
現れたのはネームレス・ワンほど巨大ではないが神姫の3倍はある巨体。同じく「機械仕掛けの神」と呼ばれる存在だった。
ベルゼビュート、ロードビヤーキー、クラーケン、サイクラノーシュ、皇餓。
その5体は瞬時にSSF各メンバーに取り付いた。
ベルゼビュートはファム、ロードビヤーキーはエイナ、クラーケンはメイ、サイクラノーシュはセリナ、皇餓はキャルに。
そして…消えた。
「強制転送か!!」
「皆を追って」
「了解」
そうして一がキーボードを叩く。
「座標判明。 見事に5箇所に分断されてます。 お互いに助けに行くのは難しいです。」
「皆。自分の神姫のサポートに全力を尽くして。 私もコンソールに付きます。」
そうして隊長席から腰を上げた静菜は一の横の開いたコンソールに座る。
「もう、失うのはイヤだから…」
そう呟いた。
「亮輔、私もティアの助けになれるかな?」
俺の後ろで言葉を発さず見守っていた茉莉が言う。
「ああ、声だけでも十分だ。」
「わかった、私もがんばるね。」
そうしてSSF本部に設置されたの7つのコンソール全てが埋まった。
「燐、ティア。お前達が本命担当だ。 思いっきりやるぞ!」
「コテンパンにしちゃえ!」
「ハイ、マスター、茉莉!!!」
「ええ、分かってますわよ!!!」
~[[第15話 「無垢なる刃」]]~
武装神姫のリン
第14話「無名」
「距離200.100.50....来る!!」
大きな砂煙を上げて敵の大型機動兵器が姿を現す、巻き上げられた砂煙によって完全な姿は分からないがシルエットで"ソレ"が球体であることが認識できた。
しかし…
「なに、この臭い!!」
「うっ…この臭気は……」
「鼻が、歪む」
「おねえさま コレは!」
「頭がくらくらする…」
「こういう兵器…なの??」
いままでに感じたことのないほど醜悪で、怖気さえ感じるおぞましい臭気が皆を襲う。
どうやら機動兵器から発せられているらしいが、ただの兵器にここまでの臭気を発生させられるのだろうか??
まだ敵は動かない。ならばと臭気に負けじとセリナがコンテナから2連装式のガトリングガンを引き出し、グリップを握る。
「ふぅ…みんな下がって! 先制攻撃行くよ!!!」
「ええ、セリナ。お願い。」
セリナは照準を球体のシルエットの中心に合わせ、トリガーを引いた。
先ほどまでの静寂な空気をまさに吹き飛ばすほどの大轟音が響き無数の弾丸が数秒で敵に打ち込まれる。
そして砂煙が晴れる…
そこに現れたのは全身を機械で覆った球体型の兵器ではなかった…皆の瞳に映るのは極彩色に彩られ、生物の臓物をぶちまけたかのような肉片が集まったような、そんな代物だった。
そしてその中心にそんなものとは無縁とも思える先鋭的なシルエットをもつ「ロボット」が埋め込まれるかのように存在していた。
ガトリングガンの弾は全てそのロボットの胸部に命中しその表面には無数の穴が開いていたかに思えたが、時間が巻き戻るように修復。さらに肉塊からずるりという音も無く滑り降るかのように抜け出し、降り立った。
その姿は巨大な鉄塔のようであるが、まぎれもないヒトガタ。
いや、しいて言えば腰より下がとてつもなく長いドレスを着込んだ女性のような鋼鉄の巨人だった。
「……ネームレス・ワン」
俺はソレの名前を自然と口にしていた。
「ああ、アレね。30年以上前のゲームでしたっけ」
静菜も知っているようだ。
コレの恐ろしさはよく知っている。
まあ確かに恐怖小説郡を元にしたゲーム…「デモンベイン」の中の存在ではあるがその能力は正に「機械仕掛けの神」という表現がふさわしい。
もちろん本体もそうではあるが、何より面倒なのは後ろに存在する肉塊。
あれはの恐怖小説郡の総称にもなっている狂った世界の神、「クトゥルー」だ。
あの姿、無限心母を取り込んだ状態…なら次に起こす行動は1つ。
おれはインカムを手に取って叫ぶ
「絶対触手に捕まるな!! 捕まると数秒で食われる!!」
俺が叫ぶと同時にクトゥルーから無数の触手が生え、SFFを襲う。
皆飛びずさりながら後退するがセリナだけは臭いにやられたのか、足を取られてしまう。
それを感知した触手は想像を絶する速度でセリナに迫る。一番動きが遅いと「本能」で感じたのもあるだろう。
「こ。こないで!!!」
必死にガトリングを撃つセリナだが触手の数は一向に減らない。そうして1本の触手がガトリングに触れ、溶かしていく。
そうして防御の策を失ったセリナにゆっくりと触手が近づく。
「セリナ!!」
触手をナイフで切り裂き何とかギリギリでファムがセリナを抱え上げて飛翔。
「リン、頼みます!!」
「ハイ!! 撃ち抜け、神雷!!!」
あの衣装を纏った燐が大剣、ザンバーフォームに変形したバルディッシュを大きく振りかぶり、思い切り横薙ぎに振りぬく。
"Jet Zamber"
巨大な黄金の刃が無数の触手を、そして巨人、クトゥルーまでもを切り裂いていく。
もちろんSSFメンバーおよび燐とティアの武装の公式戦用のリミッターは解除され、その上SSF独自のプラグインによって威力はあの事件の時よりも上がっている。
その威力を燐は存分に発揮させているがこれでも多分時間稼ぎにしかならないだろう。
クトゥルーの恐ろしさは何より常識外れの再生能力にある。
この力を借りた敵を倒すのは「デモンベイン」劇中でもたやすくは無かった…少なくともクトゥルー本体を完全に消滅させるレベルでなければ話にならない。
つまりコンテナの反対側に積まれた「切り札」を使わなければいけないのだが、この状況では使えない。
それは目標に接触しなければなんの意味もなさない。
ネームレスワンが身代わりになれば、そこで俺たちの敗北が決まってしまう。
まだ敵は修復中だが触手は範囲内に入ったものを捕食する自動プログラムなのだろう、キャルが適当に投げたガトリングガンの破片を瞬時に捉え、食す。
「これだと近づけないわね、どうする?」
「やっぱり"あれ"はまだ使わないほうが、起動から敵への到達までの時間をこのままだと稼げません。せめて後5人いたら…」「5人…望み薄。 後ろの部隊もまだドンパチやってるよね、静菜さん?」
エイナが静菜に確認する
「そうね、どう考えても貴女たちがいる階層に到達するのは今のペースなら3時間後。持たないわ。」
「ん?? 隊長。 識別不明の5機の兵器??を確認。 ものすごいスピードでこっちに向かってます!!」
「識別不明? 警戒して」
「はい……?? 突然反応が消えました。 ジャマーか何かを使用したとおもわれますが、ウチのセンサーから逃げるなんて」
「…」
静菜は顔を引きつらせる。
「ファム!! 皆、装備を整えなさい!!」
そう静菜が叫んだ瞬間、ネームレス・ワンの周りに5体の新たなヒトガタが出現した。
「なんともひねりが無い、逆十字の登場ね。」
現れたのはネームレス・ワンほど巨大ではないが神姫の3倍はある巨体。同じく「機械仕掛けの神」と呼ばれる存在だった。
ベルゼビュート、ロードビヤーキー、クラーケン、サイクラノーシュ、皇餓。
その5体は瞬時にSSF各メンバーに取り付いた。
ベルゼビュートはファム、ロードビヤーキーはエイナ、クラーケンはメイ、サイクラノーシュはセリナ、皇餓はキャルに。
そして…消えた。
「強制転送か!!」
「皆を追って」
「了解」
そうして一がキーボードを叩く。
「座標判明。 見事に5箇所に分断されてます。 お互いに助けに行くのは難しいです。」
「皆。自分の神姫のサポートに全力を尽くして。 私もコンソールに付きます。」
そうして隊長席から腰を上げた静菜は一の横の開いたコンソールに座る。
「もう、失うのはイヤだから…」
そう呟いた。
「亮輔、私もティアの助けになれるかな?」
俺の後ろで言葉を発さず見守っていた茉莉が言う。
「ああ、声だけでも十分だ。」
「わかった、私もがんばるね。」
そうしてSSF本部に設置されたの7つのコンソール全てが埋まった。
「燐、ティア。お前達が本命担当だ。 思いっきりやるぞ!」
「コテンパンにしちゃえ!」
「ハイ、マスター、茉莉!!!」
「ええ、分かってますわよ!!!」
~[[燐の15 「無垢なる刃」]]~
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