「弾丸神姫」(2007/01/18 (木) 23:03:17) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
それは、武装神姫バトルサービスが始まって間もないころの話。
バトルフィールドには、一種異様な光景が展開されていた。
天使型対悪魔型という、三通りしかない組み合わせのうちのひとつ。悪魔型は、サブアーム・ユニットを中心とするデフォルトの装備なのに対し、天使型は本体側にはバイザーと胸部アーマー、そして背中のウィングユニットとブースター、そして武装はハンドガンだけというかなりの軽装備だった。
そして、天使型はその軽さと推進力の高さを生かした一撃離脱戦法で戦い、悪魔型はあまりのスピードにすれ違う瞬間にしか攻撃できず、迂闊に動けないという、本来この構図ではありえないような戦闘が展開されている。
天使型・・・・・・リュミエは、何度かの交錯を経て、「この組み合わせ」での相性の悪さを感じていた。
というのも、リュミエのこの装備は、本来デフォルト装備の天使型に勝つために彼女のマスターが考えたものなのだから。
遠距離からの狙撃を圧倒的なスピードでかわして急速接近し、相手の頭部か首に、ハンドガンで一撃。個体差なのか、もともと他の神姫にくらべて視覚情報の処理能力が高いリュミエには、高速飛行中に急所への攻撃をすることは、それほど難しいことではなかった。
・・・・・・しかし、どうやらマスターの頭の中には、悪魔型と対戦した場合の対処法は用意されてなかったようで。
(どーしてこう、変なところで抜けてるんですかね、マスターは)
それに気付かなかったリュミエもずいぶん間抜けではあるのだが。
いずれにせよ、地上にいる悪魔型が相手だと、どうも感覚が狂ってうまく弾を当てられない。それに、ブースターの燃料もそろそろ切れる。
「勝負どころ・・・・・・、です、ねっ!」
これが最後のつもりで、リュミエはブースターを全開にする。
みるみるうちに、相手との距離が詰まる。と、
「・・・・・・っ!?」
眼前に、悪魔型のサブアーム・ユニットが飛び込んできた。
(・・・・・・間に合わない!)
激突。そこで、リュミエの意識は途切れた。
リュミエが気付いた時には、バトルは終わっていた。
どうやら相手は、片側のサブアームを外し、槍投げの要領で投擲したらしい。リュミエ自身のスピードとあわせて、相対速度はかなりのものになっていたはずだ。
「残念だったな。・・・・・・まあ、ストラーフ相手じゃ、仕方ないか。装備、変えてみるか?」
というマスターの言葉に、
「いえ・・・・・・、今の装備で戦い続けます」
と、リュミエは答える。
「マスターが考えてくれた装備ですから」
嬉しい事言ってくれるな、とマスターは思った。
その後もリュミエはこの装備で戦い、いつしかその戦い振りから「弾丸神姫」という二つ名が定着した、とか。
[[単発作品用トップページ]]へ。
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: