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<明日の為に、其の10!>
どうも、エストです。精神修養の為に正座をしていますが、どうも神姫である私には痺れが来ないので無駄っぽいです。
今回師匠はコーンポタージュの飲みすぎでお腹のダムが決壊したとかで、トイレに篭っています。つまり師匠の声は全てトイレと言う名の聖域からな訳です。
「あ~、KAN○Nみたいな世界に行きてーなー。」
「そんなに教皇にあこがれてるんですか? それとも、単にアナザーディメンションが使いたいだけですか?」
「むしろお前の思考が常にアナザーディメンションだ。」
「我輩の検索能力によると、『うぐぅ』とか言うタイヤキ好きなヒロインや、ちょっと朝が弱い従兄弟が居たりする都合よくも甘美な世界のようだ。」
成る程、それならば私が願望を叶えてあげるべきでしょうか。
「UGUUUU!」
「そんな石の仮面がありそうな世界は要らん。」
何やら意味不明な事を口走ってますが、もしかしたら頭のネジも抜けてしまったのかもしれません。
ひょっとしてこれは前回の汚名を挽回するチャンス!?
「汚名は挽回するものでは無いぞ。」
「アン、人の心の声にツッコミ入れないで。聖域の入り口に貼り付けられたいなら別だけど。」
「我輩にはやる事があるのを思い出したので、この辺で失礼する。」
言うと今まで見たことの無い速度で逃げて行きました。あの速度を普段から出してくれれば良いのに。
「誰かさんの重量が凄くて、戦闘中はここまで速度が出せないのであ~る。」
とりあえず捕まえて貼り付けました。
「うわ、何か臭いが目に染みるのである。ゴメンナサイ、我輩が悪かったとマリアナ海溝よりも深く反省している所存であるので、つまり助けて下さいエスト様。」
「こら、そこまで言われると逆に俺が傷つくからやめろ。」
そろそろ師匠のMPも尽きて聖域の封印も解かれるとは思うのですが、機械の目に染みるとは、やはり師匠の放つ魔法はかなりの威力のようです。ところでアンの鼻は何処にあるのでしょうか。
おっと、そんなどうでもいい事よりも聞かなければならない事があったのでした。点数稼ぎの為にも。
「何か食べたい物とかってありますか?」
「タイヤキ。」
「わかりました、お腹のダムを修復する為にも雑炊を作ってみます。」
「お前は相変わらず人の話を聞かんな。」
「さーてさて、そんな感じで始まりました。初めてのお料理、助手はアンでーす。」
「ドアの前から開放されたのは素直に喜ばしいが、ファブ○ーズをかけるではなく漬けられるなんて侮辱である!!」
「だって、食べ物を扱うのに不衛生なままはダメでしょ。」
「そう思うなら最初から磔にせんでくれ。」
「細かい事気にしてないで、サクッと作っちゃうよ。」
「師匠の気持ちが少々理解できた気がする。で、その手にしている物で何をどうするのだ。」
「馬鹿だなー、使い慣れたこれで材料斬るに決まってるじゃないの。」
神姫用の包丁なんてこの家に無いんだし、一番馴染んだ長槍で斬るのは当然なのに、今更何を不思議がっているのかさっぱりです。
「材料は普通”斬る”ではなく”切る”の筈だが、我輩の気のせいか?」
「口に入っちゃえば一緒なんだから、ニュアンスが一緒なら全然OKだよ。」
「この時点で我輩は物凄く嫌な予感がするぞ。」
日本人はお米族ー、つまり基本は米からですよ。師匠には綺麗なお米を食べてもらいたいし爽やかな風味をプレゼント、マ○レモンで洗えばバッチリですね。
「物凄い勢いで泡立っておるぞ。」
炊いている間にネギを切りましょう。長槍を分割してっと。
「その速度や正確さ、まな板まで切ってしまう威力から見て修行の成果が出てるのはわかるが、ネギを丸々1本も入れるのはどうかと…」
こんなちょっとネギ大目なだけの雑炊でマスターからお褒めの言葉をいただけるとは思えません。よって私という華麗な存在をアピールする為にもカレーのルゥを投入して華麗なる雑炊に。
「単なる駄洒落だろうが。しかももう雑炊では無くて珍妙なカレーだ。」
普通に溶いた卵を落とすなんて事は私のプライドが許しません。なので関西ナ○トスクープ直伝の爆弾卵をトッピングー。
「強襲、阻止限界点とかいう単語が脳裏に浮かんだぞ。」
「そしてこれが勝利の鍵です。」
どんなに手強い腹痛もピタリと止める、まさに最後の砦とも言える正露○を投入。
「短い付き合いだったが、心より冥福を祈っておる。」
さっきから横でブツブツとうるさいですね。助手の癖に何も手伝ってないじゃないですか。
「ところで味見とかはせぬのか?」
「別に私は物を食べたいとか思った事ないし、味見するまでも無く師匠が感動して涙を流す姿が目に浮かびます。」
「仮に涙が流れたとしても、それは苦痛から来る涙だと思うのだが。」
まだ聖域から出て来れないみたいですが、むしろそこで食してもらって離れられるようにしてみせましょう。
ドアの前に来ましたが、視覚的に言えば周囲の空気が黄色い色に染まっている感じがします。
「お主が手にしている鍋からは紫色の空気が見えるぞ。」
「近いうちにエルゴに行って、AIに不具合が無いかチェックしてもらう必要性がありそうですね。」
しかしこのままでは料理本来の風味が掻き消されてしまいます。よって強制消臭モード発動。
「ば、馬鹿、まだファブ○ーズ振り撒くとかなら可愛げもあるが、バル○ン焚いて中に放り込むな!!」遂に聖域の扉が開放され、咳き込んだ師匠がズボン半脱ぎで出て来ました。
「天照大神の天岩戸のシーンを再現している気分です。」
「俺は男だ。いや、それ以前にこんな無茶と日本神話を同等に扱うな馬鹿。」
相変わらず乱暴な物言いですが、その目にはうっすらと涙の後が見えます。何だかんだ言っても私の努力に感動しているのですね。
「また自分に都合の良いように解釈しておるぞ。」
「オー人事に電話したらコイツ引き取ってくれねーかなー。」
「やっぱり師匠もアンが邪魔なんですね。」
「やっぱりってどういう事であるか。そもそも今の話は流れからしてエストの事であろう。」
「ハイハイ黙っててね。師匠、冷めてしまう前に特製雑炊を召し上がってみてください。」
「ネギの山の中心にゆでたまごが1つ。そして雑炊と言いつつも周囲にかろうじて見えるのはカレー…」どうやら例の隠し味には気付いていないみたいですね。
「さあ一口食べてみてください。いやいや、一口と言わずに全て平らげて惜しみない賞賛の拍手を。」
「まあ頑張ったんだろうし、一口ぐらいなら何とかなるか? とりあえず一番害の少なそうな卵を。」
ボンッ
音がしたかと思うと師匠が口を押さえてしゃがみこんでしまいました。声が出ないほど美味しかったようです。
「それではメインのご飯をどうぞ。」
「やめるなら今のうちだと思うぞ。」
「関西人の血をひく者として、ここでやめたら負けた気がするんだよ。」
パクッ シャリシャリシャリ
ネギを噛む音がしてますが、早くご飯まで到達して下さい。
モグモグモグ ガリッ
「…この口の中に広がる苦味と独特の臭い、糖衣じゃ無い方の正○丸か?」
「お腹の調子が悪いようでしたので隠し味として入れてみました。」
「隠したまま投入しないで欲しかっ…た。」
言うなり師匠が口から泡を吹いて倒れてしまいました。
気絶するほど美味しかっただなんて、神姫料理人としてデビュー出来るのではないでしょうか。
「容姿性格に問題無く料理の腕前までパーフェクト。何て罪作りな女(神姫)なのかしら。」
「馬鹿な事言ってないで、早く救急車を呼ぶのである!!」
俺が目を覚ました時には真っ白なみしらぬ天井があり、ここが病院で胃の洗浄までされた事を悪友が教えてくれたのは3日経った後だった。
けれども本当に絶望するのは、臭いが篭ったままの家に帰り、散らかり放題の台所の惨状を見た時だった。
敷金よグッバイフォーエバー。
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[[師匠と弟子>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/84.html]]
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