「戦うことを忘れた武装神姫-7」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「戦うことを忘れた武装神姫-7」(2007/01/11 (木) 23:24:07) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
**戦うことを忘れた武装神姫 その7
-----------
・・・[[その6 >戦うことを忘れた武装神姫-6]]の続き・・・
神姫オーナーがよく来ることで名のしれた、T市のとある居酒屋。
情報交換の場でもあり、久遠もちょくちょく訪れている。
「・・・で。今日の相談なんだけど。」
カウンター席で、イオの手にしたぐい飲みに自らのコップから酒を分け注ぎながら、久遠が話を切りだした。
「実は神姫バトルする事になっちゃってね・・・」
「なんだ、そんな事か。やっちゃえばいいじゃないか。 あ、オヤジさん、唐揚げ一皿追加ね。」
と、バリバリ食べ物を注文してはモリモリ消費するDr.CTa。 彼女の神姫、沙羅とヴェルナも同様に、どんどん食べている。
「いやー、それがさぁ。M町のセンターのトップとやるんだよ。」
「ふーん。それで? ・・・おねーさーん、生中一杯追加おねがいしまーす。」
「それでって・・・。」
ため息ひとつ、久遠は手元の酒を飲み干すと、経緯をCTaに説明した。
・・・
それは、久遠がリゼを連れて、神姫関連の雑誌をM町のセンターへ買いに行った時の事だった。たまたまフィールドでは、草リーグの試合が開催中。。。
騎士子VS猫子、しかし猫子は戦い慣れていないのか、一方的な試合内容だった。半泣きの顔つきで防戦一方の猫子に、容赦ない攻撃を次々に加える騎士子。
やがて、研爪(ヤンチャオ)が跳ね飛ばされ、防壁(ファンビー)が粉砕され- 騎士子は、独特の形をした太刀-おそらく、オーナーが自作した物であろう-を振りかざし、追いつめられて戦意を喪失しきった猫子の右腕を-
斬り落とした。
盛り上がるギャラリー。フィールドのシールドが解除されると、まだ中学生くらいの猫子のオーナーの女の子は倒れて動かない猫子を拾い上げ、ごめんね、ごめんね・・・と、大粒の涙をこぼし、店の隅でしゃがみ込んでしまった。
一方の騎士子のオーナーと思しき人物は、勝って当たり前と言わんばかりの態度で、ギャラリーと歓談。
どうにも納得がいかない表情の久遠は、その場を離れ猫子のオーナーの元へ。
「・・・大丈夫。ウチのリゼが治せると思うよ。」
声をかけると一瞬警戒した猫子のオーナーだったが、久遠のボックスから出てきたリゼの姿に、泣くことを止めた。
「どもー。久遠にくきゅうレスキュー隊のリゼでーす。お怪我をした神姫はどの子かなぁ?」
妙に明るいノリで出てきたリゼは、いわゆるナースルック。手にはご丁寧に注射器とバインダー。
「・・・ということ。こう見えても結構な腕前を持っているから・・・。」
久遠はセンターのレンタル作業台を借り、まだ不信感を抱く女の子を後目にリゼと作業にかかる。
「どう?」
「うーん・・・やぁ、大したことは無さそうだよ。あたしは外傷を診ておくから、ヌシさんはクレイドル経由でデータ損傷のチェックをかけて。」
「ほいきた。」
久遠はCTaから貰った試作のクレイドル「さわやかしんさつしつ」を取り出すと、そこへ猫子を移動させ、診察台に寝かせた。
リゼは、白衣の下から次々に工具や補修パテ、タッチペン等々を取り出し、猫子の傷を瞬く間に修復。斬り落とされた腕も、久遠のストックパーツを用い見事に修復完了。 その間に久遠は、慣れた手つきでデータの検査。
それも数分で終わり・・・
「はーい、お姉ちゃん。おまたせ〜。 破損部品も全部純正で補修したから、これで完璧、もとどおりだよー。 さぁ、再起動かけてあげて。」
女の子に、猫子をリゼが抱きかかえて手渡す。 マニュアル通りの手順で再起動をかける。
「・・・ふえ? あー、かえでちゃん・・・ にゃー!!!怖かったよ〜!!」
「ティナ・・・ごめんね、あたしがやってみたいって言ったばっかりに・・・」
「ううん、かえでちゃんの所為じゃないよ・・・わたしが弱かったから・・・」
わんわんと鳴く一人と一体の横で、冷静に状況判断の久遠。
「ふむ・・・きちんと再起動したねぇ。」
「そりゃそうさ。あたしが治したんだもの。どうやらデータも問題無いっぽいね。よかったよかった。」
と、リゼも満足そうな笑みを浮かべていた。・・・久遠が、クレイドルを片付け終わるころには、かえでと呼ばれた猫子・ティナのオーナーも、落ち着きを取り戻していた。
「本当にありがとうございました。雑誌で読んで、対戦をしてみようとはじめてやってみたら、いきなりここで一番強い人とやることになってしまったんです。」
「私からも御礼を申し上げます。右腕どころか、身体の細かい傷の補修までしていただきまして・・・。」
深々と頭を下げるかえでとティナ。かえでは財布をごそごそ・・・と、その手を止める久遠。
「いや、そんなにしなくてもいいから・・・。 趣味の延長なんだから、タダでいいって。なぁ、リゼ。」
「そうそう。あたしだって、好きでやってることなんだし。ねー、ヌシさん。」
その二人の会話に、思わず笑みがこぼれるかえで。
「おぢさまとそのストラーフさん、仲がいいんですね。」
「お、おぢさまって・・・」
ちょっとガックリ来ている久遠の肩の上では、リゼが必死に笑いをこらえている。
「・・・しかし、最近のバトルもずいぶんと質が落ちたもんだ。」
ぼそっと久遠が呟くと、かえでが訊いてきた。
「そうなんですか? もっと激しい試合だったんですか?」
「ちがうちがう、その逆。最近の試合が殺伐としすぎているんだよ。 さっきの君たちの対戦だって・・・終了間際には、もうティナちゃん・・・だっけ?戦意喪失していたのに、トドメを刺してきたじゃないか。」
頷くかえでとティナ。久遠は続けた。
「俺が武装神姫をいじり始めたときなんて、それこそ礼に始まって礼に終わる、互いをいたわり尊敬する、のんびりとした感じだったんだけどね・・・。」
「そんなんじゃロクな武装神姫にならないっすよ。」
中途半端に太い声が、久遠達の後ろから響いてきた。振り返ると、そこには先の勝者-すなわちM町のトップ神姫使い-が立っていた。
・・・>[[後編>戦うことを忘れた武装神姫-8]]へ続くっ!!>・・・
----
[[<その6 へ戻る<>戦うことを忘れた武装神姫-6]]
[[>その8 へ進む>>戦うことを忘れた武装神姫-7]]
[[<<トップ へ戻る<<>戦うことを忘れた武装神姫]]
**戦うことを忘れた武装神姫 その7
-----------
・・・[[その6 >戦うことを忘れた武装神姫-6]]の続き・・・
神姫オーナーがよく来ることで名のしれた、T市のとある居酒屋。
情報交換の場でもあり、久遠もちょくちょく訪れている。
「・・・で。今日の相談なんだけど。」
カウンター席で、イオの手にしたぐい飲みに自らのコップから酒を分け注ぎながら、久遠が話を切りだした。
「実は神姫バトルする事になっちゃってね・・・」
「なんだ、そんな事か。やっちゃえばいいじゃないか。 あ、オヤジさん、唐揚げ一皿追加ね。」
と、バリバリ食べ物を注文してはモリモリ消費するDr.CTa。 彼女の神姫、沙羅とヴェルナも同様に、どんどん食べている。
「いやー、それがさぁ。M町のセンターのトップとやるんだよ。」
「ふーん。それで? ・・・おねーさーん、生中一杯追加おねがいしまーす。」
「それでって・・・。」
ため息ひとつ、久遠は手元の酒を飲み干すと、経緯をCTaに説明した。
・・・
それは、久遠がリゼを連れて、神姫関連の雑誌をM町のセンターへ買いに行った時の事だった。たまたまフィールドでは、草リーグの試合が開催中。。。
騎士子VS猫子、しかし猫子は戦い慣れていないのか、一方的な試合内容だった。半泣きの顔つきで防戦一方の猫子に、容赦ない攻撃を次々に加える騎士子。
やがて、研爪(ヤンチャオ)が跳ね飛ばされ、防壁(ファンビー)が粉砕され- 騎士子は、独特の形をした太刀-おそらく、オーナーが自作した物であろう-を振りかざし、追いつめられて戦意を喪失しきった猫子の右腕を-
斬り落とした。
盛り上がるギャラリー。フィールドのシールドが解除されると、まだ中学生くらいの猫子のオーナーの女の子は倒れて動かない猫子を拾い上げ、ごめんね、ごめんね・・・と、大粒の涙をこぼし、店の隅でしゃがみ込んでしまった。
一方の騎士子のオーナーと思しき人物は、勝って当たり前と言わんばかりの態度で、ギャラリーと歓談。
どうにも納得がいかない表情の久遠は、その場を離れ猫子のオーナーの元へ。
「・・・大丈夫。ウチのリゼが治せると思うよ。」
声をかけると一瞬警戒した猫子のオーナーだったが、久遠のボックスから出てきたリゼの姿に、泣くことを止めた。
「どもー。久遠にくきゅうレスキュー隊のリゼでーす。お怪我をした神姫はどの子かなぁ?」
妙に明るいノリで出てきたリゼは、いわゆるナースルック。手にはご丁寧に注射器とバインダー。
「・・・ということ。こう見えても結構な腕前を持っているから・・・。」
久遠はセンターのレンタル作業台を借り、まだ不信感を抱く女の子を後目にリゼと作業にかかる。
「どう?」
「うーん・・・やぁ、大したことは無さそうだよ。あたしは外傷を診ておくから、ヌシさんはクレイドル経由でデータ損傷のチェックをかけて。」
「ほいきた。」
久遠はCTaから貰った試作のクレイドル「さわやかしんさつしつ」を取り出すと、そこへ猫子を移動させ、診察台に寝かせた。
リゼは、白衣の下から次々に工具や補修パテ、タッチペン等々を取り出し、猫子の傷を瞬く間に修復。斬り落とされた腕も、久遠のストックパーツを用い見事に修復完了。 その間に久遠は、慣れた手つきでデータの検査。
それも数分で終わり・・・
「はーい、お姉ちゃん。おまたせ〜。 破損部品も全部純正で補修したから、これで完璧、もとどおりだよー。 さぁ、再起動かけてあげて。」
女の子に、猫子をリゼが抱きかかえて手渡す。 マニュアル通りの手順で再起動をかける。
「・・・ふえ? あー、かえでちゃん・・・ にゃー!!!怖かったよ〜!!」
「ティナ・・・ごめんね、あたしがやってみたいって言ったばっかりに・・・」
「ううん、かえでちゃんの所為じゃないよ・・・わたしが弱かったから・・・」
わんわんと鳴く一人と一体の横で、冷静に状況判断の久遠。
「ふむ・・・きちんと再起動したねぇ。」
「そりゃそうさ。あたしが治したんだもの。どうやらデータも問題無いっぽいね。よかったよかった。」
と、リゼも満足そうな笑みを浮かべていた。・・・久遠が、クレイドルを片付け終わるころには、かえでと呼ばれた猫子・ティナのオーナーも、落ち着きを取り戻していた。
「本当にありがとうございました。雑誌で読んで、対戦をしてみようとはじめてやってみたら、いきなりここで一番強い人とやることになってしまったんです。」
「私からも御礼を申し上げます。右腕どころか、身体の細かい傷の補修までしていただきまして・・・。」
深々と頭を下げるかえでとティナ。かえでは財布をごそごそ・・・と、その手を止める久遠。
「いや、そんなにしなくてもいいから・・・。 趣味の延長なんだから、タダでいいって。なぁ、リゼ。」
「そうそう。あたしだって、好きでやってることなんだし。ねー、ヌシさん。」
その二人の会話に、思わず笑みがこぼれるかえで。
「おぢさまとそのストラーフさん、仲がいいんですね。」
「お、おぢさまって・・・」
ちょっとガックリ来ている久遠の肩の上では、リゼが必死に笑いをこらえている。
「・・・しかし、最近のバトルもずいぶんと質が落ちたもんだ。」
ぼそっと久遠が呟くと、かえでが訊いてきた。
「そうなんですか? もっと激しい試合だったんですか?」
「ちがうちがう、その逆。最近の試合が殺伐としすぎているんだよ。 さっきの君たちの対戦だって・・・終了間際には、もうティナちゃん・・・だっけ?戦意喪失していたのに、トドメを刺してきたじゃないか。」
頷くかえでとティナ。久遠は続けた。
「俺が武装神姫をいじり始めたときなんて、それこそ礼に始まって礼に終わる、互いをいたわり尊敬する、のんびりとした感じだったんだけどね・・・。」
「そんなんじゃロクな武装神姫にならないっすよ。」
中途半端に太い声が、久遠達の後ろから響いてきた。振り返ると、そこには先の勝者-すなわちM町のトップ神姫使い-が立っていた。
・・・>[[後編>戦うことを忘れた武装神姫-8]]へ続くっ!!>・・・
----
[[<その6 へ戻る<>戦うことを忘れた武装神姫-6]]
[[>その8 へ進む>>戦うことを忘れた武装神姫-8]]
[[<<トップ へ戻る<<>戦うことを忘れた武装神姫]]
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: