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「神姫も寄らばかしましい」(2007/01/09 (火) 23:47:39) の最新版変更点
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今晩は、ジェネシスです。ジェニーの方が通りが良いでしょうか。
私は今、繁華街の喫茶店に来ています。
少し、相談したい事がありまして。そして、私の目の前には…
「ジェニーちゃん、レーコ頼んでええ?」
「どうぞ」
ラストさんが居ます。男性としてのマスターを一番知っている方だと思うのですが。
「で?ウチに相談て何やのん?身体の事?」
「いえ、そうでは無いんですが…」
「んー?ちゃうのん?てっきりその話やと思たけど」
アイスコーヒーをストローで掻き回しながらラストさんがこちらを見ています。
愛想笑いなど浮かべつつどう話を切り出そうか迷っていると、向こうから話題が
振られてきました。
「そういえばジェニーちゃん元の身体もあるんやろ?どないして身体換装しとるん?」
「いや、それを言うならラストさんも。前から疑問だったんですけど」
神姫の素体とコアは基本不可分です。無論、そのシステムの盲点をつくような改造で
換装を可能としてる個体も居るのですが。
私達がお互いどういうシステムで動いてるのか。興味はあります。
「ウチは単純に身体を二つ持っとるんよ。神姫のボディとインターフェースのボディ」
「で、暗号化した専用の信号でデータを遣り取りしてデータ上の人格…人間で言うと
なんやろな?心とか魂とか?を共有してるねん」
「二つのボディで性格や喋り方が変わるんはそのせい。で、片方がこうして起動
しとる時、もう片方は寝とるんよ。こないな感じで」
そう言ってラストさんが胸ポケットから取り出した手帳ほどのケースには彼女の身体が
眠っていました。成る程。
「私の方はもっと簡単ですよ。こうですから」
後ろ髪を上げてうなじの部分をラストさんに見せます。
私の首にはリンクコアがあり、そこに本体が直接収納、接続されているのです。
つまり、このボディは異常に大きな外装扱いなワケです。
「ああ、なるほどなぁ…また変わったテを。らしいちゅうか、なんちゅうか…」
快活に笑うその笑顔につられて笑みを浮かべます。
「そういえば、その身体どうやって誤魔化したん?店とか出たんやろ?」
「はい。まぁ、二日ぐらいでしたから…メンテという事にして、代理の教師として
なんとか」
「ほっほぉ?偽名とか興味あるなぁ。何て名乗ってたん?」
「秋月 兎羽子(あきづき とうこ)ですね。苗字は由来がなんとかで名前は語呂で」
「へぇ…ちゃんと可愛い名前やん。てっきりフィーナ・ファム・アーシュライトとか
ディアナ・ソレルとか月野うさぎとかかと思うて期待しててんけど」
「…流石にソレは。却下しました」
「候補には上がってたんかい。流石、夏はんは空気読めんなぁ…」
呆れたのか感心したのか解らない唸り声を上げながらラストさんが頷いています。
「ラストさんは…偽名とか持ってらっしゃるんですか?」
人間世界で生活するならそのぐらいは用意してるんでしょうか…?
「へ?ウチ?犬吠埼 凛奈(いぬぼうざき りんな)」
なるほど。ハウリンだから…
「…秋奈さんですか?」
「姉弟合作や」
神姫に歴史あり。でしょうか。あの人達は昔から…
「あー、ごめんごめん。ゼンゼン話ブレとんな。改めて、相談て何やのん?」
急に本題に戻られてこちらが面食らったり。
「ええと…マスターの、事なんですが…」
「夏はんの?」
きょとんとした感じで尋ね返すラストさんに頷きます。
「じ…実は先日、マスターに…その、こ、告白をしたんですがっ」
「ああうん、知っとるよ」
思い切って会話を切り出したんですが。え?
「し…知って?」
「いや実はな。あの時隣の部屋にウチとボスおってん」
「な…な!?にゃー!?」
「いや、んな判り易くパニくらんでも」
なだめるようにチョイチョイと手を振るラストさん。
いや、ちょっと冷静じゃ居られないんですが。
「いやぁ、何回掛けても夏はん携帯に出ぇへんし、こらマズいんちゃうかと思って
行ったんやけどな?したら二人とも爆睡しとるし」
「まぁ、疲れてるんやろ思て隣のボスの部屋で待っててんけど。したら何ですか、何か
隣の部屋からドラマチックな台詞聞こえてくるやん?」
「いやぁ、エエもん聞いたで。ウチもあんなん言うてみたいわぁ」
「な…な…」
大ダメージというか…ぐうの音も出ません。
「ああ、これ発見なんやけどガラスコップって意外と音集めるねんなぁ」
「ら…ラストさんっ…もういいです、勘弁してください」
「いや、勘弁も何も他意はないで。んで、告白してどないしたん?」
「そんなに簡単に気持ちを切り替えられませんてば。ちょっと待って下さい」
ゆっくりと紅茶を口に含み気分を落ち着けます…
聞かれてたのは恥ずかしいですが、これはこれで話が早いか。ポジティブシンキング。
「で…それ以来、マスターも少し優しくなったんですが…その、そういう男女の間に
起こる事態と言いますか…進展が無くてですね。ど…どうしたらいいでしょうか?」
「成る程。ウチが呼ばれた理由がよう解ったわ」
「すいません…他に相談出来る人居なくて」
「ええよええよ。で、ジェニーちゃんはどないしたいん?」
「私ですか?…それは、その…普通の恋人みたいにですね…」
「抱かれたいと」
ストレートな一言に思わずむせたり。
「ごほっ、ごほ!…ええと、そうなんですけど…言い方って物が」
「犯されたい、か。情熱的やなぁ、ジェニーちゃん」
「逆ですっ!!」
「うわ。しー。静かにせなアカンよ。目立ちたい話ちゃうやろ」
「う…はい。って、私のせいですか?」
指を立ててジェスチャーするラストさんにジト目で反論しながら、お互い顔を近づけて
声のトーンを落とします。
「で、逆っちゅう事は犯したいんか。そらナンボ何でもハシャギ過ぎちゃうか?」
「いい加減そのネタから離れて下さい?」
私の雰囲気を察したのかラストさんが咳払いを一つ。
「ええと。まぁ…夏はん根っからスケベやけどヘンなトコで真面目やで?」
「はい。なんか視線は感じるんですけど、我慢してるみたいで」
「…ちっとキモいなぁ。ソレ」
「…色々仕方ないんじゃないかと。考えさせないで下さい」
「まぁ、積極的かと思うくらいで丁度ええよ、夏はんみたく身体より頭が先に動く
タイプ相手には」
「はい…そうですね」
言われてみれば。
頷き、カップに口をつけて答えます。
「ま、しっかりせな。見敵必殺の神姫さんたるモンが」
「オタオタしとったら、ウチが貰ってまうで?夏はんの事はよう知っとるしー」
からかい口調でこちらを挑発してくるラストさん。
挑発に乗るのもどうかとは思いますけど…しっかりと見据えて。
「…マスターが誰を選ぶかなんて解らないですけど。引き下がりはしませんよ」
「私だって、あの人を…あ、愛してるんですから」
「ん、その意気や。どもらんかったらなおええ」
「はい…」
照れはそう簡単には消えないです。うう…
「ま、それはそれとして。ウチも夏はんにコナ掛けよかな?」
「なっ!?」
突然の宣戦布告(?)に再び混乱の只中へ。
「ウチは家庭とかに幸せを感じられんタイプやから本妻は狙ってへんけど。まぁ、愛人
はアリやなー、とか」
「か、勝手に話を進めないで下さいっ!!」
「まぁまぁ、実際ウチみたいなんが居た方が間も持つし変化もあるで?花はジェニー
ちゃんに持たすし?」
「いや、でも、それは…普通の恋愛から遠ざかっていくようなっ!?」
「スデに普通やないでー、神姫とマスターの禁断の恋愛」
「う…」
「まぁ、色々役に立つよって。任せとき。なんなら二人纏めて相手してもええよ?」
「…せめて最初は普通がいいです」
「後々はアブノーマルなプレイもアリ、か。発展家やなぁ」
「だから何でそうなるんですかっ!?」
結局、押し切られた私はラストさんの同居提案に協力する事になりました。
…毒を食らわば皿まで、という感じでしょうか。
しかしこれだって…今後の騒々しい共同生活のまだ一端に過ぎなかったのです。
私、本当に普通の恋愛は出来るんでしょうか…?
疑問は汲めども湧き出る泉の如し。でした。
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