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武装神姫のリン
第12,5話「進化の予兆」
これは俺とリンが小さな挑戦者を迎える前日の話である。
「う~ん……これはダメか」
「ダメですねぇ」
「じゃあ、こっちは?」
「コレもちょっと違和感が…」
「あーーー これで終わりか……」
俺とリンは戦闘スタイル、技に変化をつけるべくエルゴに行ったのだが、良いものが無く結局流通向けの神姫向け装備のカタログに目を通しきってしまった…
「だめかな??」
店長が話しかけてくる。
このエルゴの品ぞろえの豊富さ(数もさることながら厳選されていて、かつ比較的リーズナブルな品)を持ってさえ解決のしようが無い。
今回のお目当ては「空戦装備」
セカンドリーグともなると空を飛べないというストラーフでは当たり前のことでさえ戦闘での不安要素になってしまう。
例えばホーミングミサイルを次々と避けるのはステップだけではどうしても限界がある。
結果、ミサイルや射撃武器を扱う「やり手」が相手の場合は5割の確率でこっちが距離を詰める前に結構なダメージを負ってしまう。
なので思い切って飛行できるパーツを追加しようと思ったんだけど…カタログにはリンの好みに合うパーツが無かった。
アーンヴァルのユニットは直線方向には絶大な推進力を誇るがどうしてもユニットが大きめになるうえ、熟練しない限り小回りは期待できない。
今までのリンのスタイルはレッグユニットのばねを生かしたステップや宙返りなどで敵を翻弄する戦い方だ。
だから空戦でも膨大な推進力が必要なわけではなく、どちらかというとジャンプを補助する瞬間的な加速だ。
なので既存のパーツでは条件に合うものが無いという現状だ。
まあ個人ディーラー系なら条件に見合ったパーツも見つかるかもしれないが、高価だし破損時の保証が無い。
保障があれば格安で修理してもらえるが、保証がないと修理でも新品の6割ほどのお金が掛かる。これはリーグで闘う上で重要だった。
「う~んなかなか無いものだね~ 普通にコレをいれば見つかると思ったんだけど…」
店長もあきらめムードだった。
俺も朝から何時間もカタログとにらめっこを続けていたためか、結構肩がこってたりする。
まあそこは今リンがほぐしてくれてるんだけど
「今回はあきらめて改めてネットで情報収集してはいかがですか?」
肩のコリをひざた足を使ってほぐしながらリンが提案する。
「まあ、しょうがないか…」
そうしてエルゴを後にした。
とソコに電話が。表示を見ると係長と出ている。今日は休みなんだけどな。と思いつつ通話ボタンを押した。
「はい、藤堂です。」
「お、今日は早いな。」
「用件はなんでしょうか?」
「ああ、先日君が契約を取り付けた会社なんだが、君の提案したユニット内部のパーツだけじゃなくて神姫の装備品販売も視野に入れているとことらしい。で近々もう1度君と話をしたいそうだ」
「そうですか…分かりました。どうも」
何気なく電話を切りそうになったが俺はそこでピンと来た。
「あ、すみませんけどあちらさんの会社の方がいまそっちにいたりするんでしょうかね?」
「ああ、電話じゃなくて直接ウチの来てくれたよ。で君が休みでちょっと落胆してるな」
「分かりました30分ほどで行きますので、すみませんがよろしくお願いします」
「おい、来るのか? 仕事熱心だねぇ わかった伝えておくよ」
いそいで電話を切ると俺はリンを連れて走り出した。
そうしてすぐさま家に帰って、スーパーに出かけてる茉莉とティアにメモを残し、スーツに着替えてリンにはフォーマルっぽい服を着せて愛車を駆って会社へ向かった。
高速を使って会社へは20分ほどで到着。
そして俺は取引先にあるプランを持ちかける。
それは「島田重工製MMSの強化ユニット販売」だった。
具体的にはアーンヴァルとストラーフに一番効果の出る強化ユニットを製造し島田重工のライセンスをもらって販売するというわけだ。
島田重工の承認があればかなり大規模な展開が可能である。たしかに承認を取り付けるのは難しいと思うができればそれは大きな力になる。
強化ユニットの案はかなりの数が頭の中にあった。
というのもバトルをはじめてからというもの、エルゴに行く前から量販店では必ずリンに合うパーツを探すことを日課としていたためだった。
まあ捜索の結果は毎回散々だったけど…
この強化ユニットのプランを取引先も善処するということで今日は話を終えた。
その数日後、小さな挑戦者たちに初めて「烈空」を破られてしまった俺たちはトレーニングに励んでいた。
リンに向かって無数のミサイルが飛来する。
しかしリンは銃はおろかナイフ1本でさえ持っていない。
「そこ、バックステップから跳躍!」
「はい!」
「ランダムに連続ステップ!」
「!」
「そこだ、さいたまっは!!」
「ええぃい!!」
ディスプレイ上にはミサイルの着弾ギリギリから地面を滑るかの様に移動するリンの姿。ミサイルは誘導が切れて地面に着弾。次々と誘爆していった。
そうだ、次に俺たちが目指したのはあるアーケードゲームのテクニック。
その名も「さいたまっは」
詳しい説明は割愛しようw
現状の装備で敵のミサイル等の誘導の高い攻撃をできるだけ回避するために会得した技術だ。
まあこれはバーチャル限定なんだけど…セカンドなら通用すると思う。
そこに電話が、相手は取引先
「もしもし、藤堂ですが…」
「休暇中にいきなりですみません。」
「いえいえ、で話とは?」
「あの件なんですが…話はけっこうすんありと行きまして、島田重工さんはトライアルにあなたの神姫を使いたいそうです。」
「な、本当ですか?」
「はい、なんでも強化パーツは島田さん所でも近々プランを立ち上げようとしていた所だったらしいです。で強化のコンセプトもほぼ同じらしくトライアルで結果が出せれば藤堂さんのプランをそのまま採用するとのことです」
「分かりました、近く返答をしますと伝えてください」
俺は震えを押さえて電話を切った
「マスター?」
俺の様子を不思議に思ったリンが首をかしげる。
俺はそんなリンをいきなり抱きしめた。
「ちょっ、い、いきなりはダメですぅ」
「すまない、舞い上がっちゃって」
「で、なんだったんですか?」
「ああ、リンにも空が飛べるようになるって」
「本当ですか! でも飛ぶだけなら…」
「安心しろ。お前…というかストラーフに合った高機動型のユニットだ。」
「でもトライアルって」
「俺はリンのことを信じてる。お前も俺を信じてくれれば必ず結果は出るさ」
「マスター」
「明日からがんばるぞ!!」
「はい!」
そうして日が暮れていく中を俺はリン肩に乗せて歩く。
しかしそのパーツを別の場所で使うことになるとは、俺たちはそのときは全く考えもしなかったのだ。
13話に続く。
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武装神姫のリン
第12,5話「進化の予兆」
これは俺とリンが小さな挑戦者を迎える前日の話である。
「う~ん……これはダメか」
「ダメですねぇ」
「じゃあ、こっちは?」
「コレもちょっと違和感が…」
「あーーー これで終わりか……」
俺とリンは戦闘スタイル、技に変化をつけるべくエルゴに行ったのだが、良いものが無く結局流通向けの神姫向け装備のカタログに目を通しきってしまった…
「だめかな??」
店長が話しかけてくる。
このエルゴの品ぞろえの豊富さ(数もさることながら厳選されていて、かつ比較的リーズナブルな品)を持ってさえ解決のしようが無い。
今回のお目当ては「空戦装備」
セカンドリーグともなると空を飛べないというストラーフでは当たり前のことでさえ戦闘での不安要素になってしまう。
例えばホーミングミサイルを次々と避けるのはステップだけではどうしても限界がある。
結果、ミサイルや射撃武器を扱う「やり手」が相手の場合は5割の確率でこっちが距離を詰める前に結構なダメージを負ってしまう。
なので思い切って飛行できるパーツを追加しようと思ったんだけど…カタログにはリンの好みに合うパーツが無かった。
アーンヴァルのユニットは直線方向には絶大な推進力を誇るがどうしてもユニットが大きめになるうえ、熟練しない限り小回りは期待できない。
今までのリンのスタイルはレッグユニットのばねを生かしたステップや宙返りなどで敵を翻弄する戦い方だ。
だから空戦でも膨大な推進力が必要なわけではなく、どちらかというとジャンプを補助する瞬間的な加速だ。
なので既存のパーツでは条件に合うものが無いという現状だ。
まあ個人ディーラー系なら条件に見合ったパーツも見つかるかもしれないが、高価だし破損時の保証が無い。
保障があれば格安で修理してもらえるが、保証がないと修理でも新品の6割ほどのお金が掛かる。これはリーグで闘う上で重要だった。
「う~んなかなか無いものだね~ 普通にコレをいれば見つかると思ったんだけど…」
店長もあきらめムードだった。
俺も朝から何時間もカタログとにらめっこを続けていたためか、結構肩がこってたりする。
まあそこは今リンがほぐしてくれてるんだけど
「今回はあきらめて改めてネットで情報収集してはいかがですか?」
肩のコリをひざた足を使ってほぐしながらリンが提案する。
「まあ、しょうがないか…」
そうしてエルゴを後にした。
とソコに電話が。表示を見ると係長と出ている。今日は休みなんだけどな。と思いつつ通話ボタンを押した。
「はい、藤堂です。」
「お、今日は早いな。」
「用件はなんでしょうか?」
「ああ、先日君が契約を取り付けた会社なんだが、君の提案したユニット内部のパーツだけじゃなくて神姫の装備品販売も視野に入れているとことらしい。で近々もう1度君と話をしたいそうだ」
「そうですか…分かりました。どうも」
何気なく電話を切りそうになったが俺はそこでピンと来た。
「あ、すみませんけどあちらさんの会社の方がいまそっちにいたりするんでしょうかね?」
「ああ、電話じゃなくて直接ウチの来てくれたよ。で君が休みでちょっと落胆してるな」
「分かりました30分ほどで行きますので、すみませんがよろしくお願いします」
「おい、来るのか? 仕事熱心だねぇ わかった伝えておくよ」
いそいで電話を切ると俺はリンを連れて走り出した。
そうしてすぐさま家に帰って、スーパーに出かけてる茉莉とティアにメモを残し、スーツに着替えてリンにはフォーマルっぽい服を着せて愛車を駆って会社へ向かった。
高速を使って会社へは20分ほどで到着。
そして俺は取引先にあるプランを持ちかける。
それは「島田重工製MMSの強化ユニット販売」だった。
具体的にはアーンヴァルとストラーフに一番効果の出る強化ユニットを製造し島田重工のライセンスをもらって販売するというわけだ。
島田重工の承認があればかなり大規模な展開が可能である。たしかに承認を取り付けるのは難しいと思うができればそれは大きな力になる。
強化ユニットの案はかなりの数が頭の中にあった。
というのもバトルをはじめてからというもの、エルゴに行く前から量販店では必ずリンに合うパーツを探すことを日課としていたためだった。
まあ捜索の結果は毎回散々だったけど…
この強化ユニットのプランを取引先も善処するということで今日は話を終えた。
その数日後、小さな挑戦者たちに初めて「烈空」を破られてしまった俺たちはトレーニングに励んでいた。
リンに向かって無数のミサイルが飛来する。
しかしリンは銃はおろかナイフ1本でさえ持っていない。
「そこ、バックステップから跳躍!」
「はい!」
「ランダムに連続ステップ!」
「!」
「そこだ、さいたまっは!!」
「ええぃい!!」
ディスプレイ上にはミサイルの着弾ギリギリから地面を滑るかの様に移動するリンの姿。ミサイルは誘導が切れて地面に着弾。次々と誘爆していった。
そうだ、次に俺たちが目指したのはあるアーケードゲームのテクニック。
その名も「さいたまっは」
詳しい説明は割愛しようw
現状の装備で敵のミサイル等の誘導の高い攻撃をできるだけ回避するために会得した技術だ。
まあこれはバーチャル限定なんだけど…セカンドなら通用すると思う。
そこに電話が、相手は取引先
「もしもし、藤堂ですが…」
「休暇中にいきなりですみません。」
「いえいえ、で話とは?」
「あの件なんですが…話はけっこうすんありと行きまして、島田重工さんはトライアルにあなたの神姫を使いたいそうです。」
「な、本当ですか?」
「はい、なんでも強化パーツは島田さん所でも近々プランを立ち上げようとしていた所だったらしいです。で強化のコンセプトもほぼ同じらしくトライアルで結果が出せれば藤堂さんのプランをそのまま採用するとのことです」
「分かりました、近く返答をしますと伝えてください」
俺は震えを押さえて電話を切った
「マスター?」
俺の様子を不思議に思ったリンが首をかしげる。
俺はそんなリンをいきなり抱きしめた。
「ちょっ、い、いきなりはダメですぅ」
「すまない、舞い上がっちゃって」
「で、なんだったんですか?」
「ああ、リンにも空が飛べるようになるって」
「本当ですか! でも飛ぶだけなら…」
「安心しろ。お前…というかストラーフに合った高機動型のユニットだ。」
「でもトライアルって」
「俺はリンのことを信じてる。お前も俺を信じてくれれば必ず結果は出るさ」
「マスター」
「明日からがんばるぞ!!」
「はい!」
そうして日が暮れていく中を俺はリン肩に乗せて歩く。
しかしそのパーツを別の場所で使うことになるとは、俺たちはそのときは全く考えもしなかったのだ。
[[燐の13 「進攻」 ]]
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