「Nagi the combat princess 第2話『生徒会役員になる者共』1」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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生徒会。
下ネタ好きな役員共がいたり、目安ボックスを設置したり、
一存だったり極上だったりする、学園生活系統のストーリーでは欠かせないアレである。
しかし、この学校は出来たばかりであり、現在1年生しか在籍していない。
今日入学式で先生達から説明された訳でもない。
そのため普通に考えればまだ生徒会など存在するとは思えない。
「ええと……」
2人は返答に困ってしまう。
『……とりあえず、お前は何者だ』
ごもっともである。
まだ存在しないはずの生徒会に勧誘する、この少女はなんなのだろうか。
「おぉ、申し遅れたな」
何かに気付いたように、わざとらしくハッとする。
「私は、この学校の生徒会長だ!」
「え……」
生徒会、という言葉の時点で大体察していたハヤテたちであったが、実際に言われると疑問符だらけというレベルではない。
存在しないはずの生徒会の生徒会長、その謎はますます深まった。
「その気があるなら、ついてきてくれ。
君たちならば生徒会役員にふさわしい」
『……ふさわしい?』
「僕たちが?」
「そうだ」
自称生徒会長の少女は自信満々に言い放つ。
その自信はどこから来るのか、先程の神姫バトルがどう生徒会に関係するのか、2人はこの少女に対して疑問しか現れなかった。
「まあ、立ち話もなんだ。
生徒会室に案内しよう、お茶くらいならあるぞ」
「え、僕たち入ることになっちゃってるの?」
少々気弱な性格であるハヤテは押されると弱く、少女の言葉で心が揺らぐ。
ハヤテはナギの方をチラと見ると、するとナギもハヤテ事を見ており、思わず目が合った。
それでハヤテの心情を察したのか、ナギは溜息をついて自称生徒会長の少女に言い放つ。
『実態がわからないものに入る気はない』
「ナギ……」
高圧的な態度で迫る自称生徒会長にも物怖じせずにそう言い放つ彼女を、ハヤテはその時頼もしく思った。
『やはり無駄な時間だったようだな。
さあ、早く帰るぞハヤテ』
「う、うん……」
「な、いや、待ってくれ」
断られると思っていなかったのか、少女は少し動揺したようである。
「そ、そう言われると痛いのだが……
どうしても君たちには入ってほしい」
その少女は少し考え込み、こう言った。
「……言い方を変える。
ついて来てくれ、頼む」
そう言いなおすとその少女は頭を下げた。
『……人にものを頼む態度というものは分かっているようだな』
「上に立つ者のなんとか? なのかな。
でもなんだか、こんなこと言われるの初めてだな」
入学式の日に、初対面である生徒会長と名乗る少女に、生徒会に入ってくれと言われる体験をする者はいないであろう。
「……こんなに頼んでるんだし、少しくらいならいいんじゃない?」
「ほ、本当か?」
『えー、まだ残るのか?』
私が断ってやったのに、そんなナギの思いが聞こえてくるようだった。
『……私は正直嫌だぞ』
果てしなく不機嫌な顔でナギが言う。
「でも、ついて行くくらいならさ……」
さっきと思っていることが変わった。
ナギがあまりにもきっぱりと断ったので、この自称生徒会長の少女に悪いかと思うようになってしまったのである。
そして、そう思うと同時に一つ気になることが出てきたのだ。
『……まさかお前、乗り気なんじゃないだろうな?』
「え、いや……そんなんじゃないけど」
『けど?』
「……生徒会に興味はあるかな?」
『つまり乗り気なのではないか!』
「いや、僕が興味あるのは……」
ハヤテは少女の方を見る。
「……生徒会の正体?」
「なっ、正体とは失礼な、得体の知れない物を見るような言い方を……」
「いやだって、得体知れませんし……」
『ほっとけほっとけ、コイツが勝手に言っているだけだ。
得体の知れない生徒会など気にせず、早く帰ろうじゃないか』
「くっ……な、ならば、それこそ私についてくるといい!
その実態を余すところなく話してやる!!」
「あ……」
ハヤテはその言葉で察した。
着いてくるまで粘る気だ、と。
『……』
ナギも面倒ながら着いて行った方が早く帰れそうだ、と感じたようだ。
「『……』」
ハヤテとナギはお互いの顔を見合わせ、お互いの胸中を察した。
「……じゃあ、見学だけさせてもらいます」
『……仕方あるまい』
「本当か!」
杏子は顔をぱぁっと明るくした、さっきまでの尊大な態度を取っていた彼女からは想像できない表情である。
「よ、よし、早速行こう!」
そう言ってその表情のまま杏子はハヤテの両手を握る。
「あ、あの会長さん? 顔近いです……!」
「え? あ、ああすまない!」
杏子は恥ずかしそうにして手を放した。
『……ラブコメかこれは』
ナギが呆れ気味に言う。
「ん? 会長さん……?
あぁそうか、名乗ってなかったな」
杏子はオホンと咳払いをし、ハヤテを真っ直ぐ見つめた。
「私の名前は、&ruby(みその) {聖園} &ruby(きょうこ) {杏子}。
3組だ」
3組、ハヤテ達は1組である。
道理で今日見たことないわけだ、とハヤテは思った。
今までが同じ1組の生徒に会いすぎていたわけだが。
「あらためてありがとう鷹峰君、さぁ着いてきてくれ」
「えっ?」
鷹峰君、そう呼ばれハヤテは驚く。
「どうして……僕の名前を?
ナギはハヤテとしか呼んでないのに」
「全校生徒の名前くらい、憶えているに決まってるだろう?
なんてな」
彼女はそう言いながら扉の方を向いた、急な振り向きでポニーテールが大きく揺れる。
そしてハヤテの頭には、いつ覚える時間があったのだろうかという疑問が沸いたが、生徒会長ともなれば当然なのだろうかと思うことにした。
「それでは、ついてきてくれ」
杏子が屋上から出ると同時に、ナギはハヤテのポケットに入り、ハヤテは彼女の後ろについて階段を降りた。
「……今日まだ入学式だよ?
それで全校生徒の名前と顔を一致させるなんて、すごい記憶力だね……」
『本当だとすればな。
どう転ぼうとヒナギクには及ばんだろう、なんだかバカっぽいし』
「ヒナギクと違って高いところも好きみたいだしね」
ハヤテのごとく!に登場する完璧生徒会長、&ruby(かつら) {桂} ヒナギクは高所恐怖症という設定がある。
「何か言ったか?」
「なんでもないです!」
4月8日、入学式。
神姫である、ナギの密航。
初めての神姫バトルを勝利で飾った後、生徒会長と名乗る同級生の女の子に生徒会にスカウトされる。
こんな普通ではない出来事の連続する高校生活初日……
ハヤテの中には、困惑と期待の混じった感情が産まれていた。
第2話 「生徒会役員になる者共」
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生徒会。
下ネタ好きな役員共がいたり、目安ボックスを設置したり、
一存だったり極上だったりする、学園生活系統のストーリーでは欠かせないアレである。
しかし、この学校は出来たばかりであり、現在1年生しか在籍していない。
今日入学式で先生達から説明された訳でもない。
そのため普通に考えればまだ生徒会など存在するとは思えない。
「ええと……」
2人は返答に困ってしまう。
『……とりあえず、お前は何者だ』
ごもっともである。
まだ存在しないはずの生徒会に勧誘する、この少女はなんなのだろうか。
「おぉ、申し遅れたな」
何かに気付いたように、わざとらしくハッとする。
「私は、この学校の生徒会長だ!」
「え……」
生徒会、という言葉の時点で大体察していたハヤテたちであったが、実際に言われると疑問符だらけというレベルではない。
存在しないはずの生徒会の生徒会長、その謎はますます深まった。
「その気があるなら、ついてきてくれ。
君たちならば生徒会役員にふさわしい」
『……ふさわしい?』
「僕たちが?」
「そうだ」
自称生徒会長の少女は自信満々に言い放つ。
その自信はどこから来るのか、先程の神姫バトルがどう生徒会に関係するのか、2人はこの少女に対して疑問しか現れなかった。
「まあ、立ち話もなんだ。
生徒会室に案内しよう、お茶くらいならあるぞ」
「え、僕たち入ることになっちゃってるの?」
少々気弱な性格であるハヤテは押されると弱く、少女の言葉で心が揺らぐ。
ハヤテはナギの方をチラと見ると、するとナギもハヤテ事を見ており、思わず目が合った。
それでハヤテの心情を察したのか、ナギは溜息をついて自称生徒会長の少女に言い放つ。
『実態がわからないものに入る気はない』
「ナギ……」
高圧的な態度で迫る自称生徒会長にも物怖じせずにそう言い放つ彼女を、ハヤテはその時頼もしく思った。
『やはり無駄な時間だったようだな。
さあ、早く帰るぞハヤテ』
「う、うん……」
「な、いや、待ってくれ」
断られると思っていなかったのか、少女は少し動揺したようである。
「そ、そう言われると痛いのだが……
どうしても君たちには入ってほしい」
その少女は少し考え込み、こう言った。
「……言い方を変える。
ついて来てくれ、頼む」
そう言いなおすとその少女は頭を下げた。
『……人にものを頼む態度というものは分かっているようだな』
「上に立つ者のなんとか? なのかな。
でもなんだか、こんなこと言われるの初めてだな」
入学式の日に、初対面である生徒会長と名乗る少女に、生徒会に入ってくれと言われる体験をする者はいないであろう。
「……こんなに頼んでるんだし、少しくらいならいいんじゃない?」
「ほ、本当か?」
『えー、まだ残るのか?』
私が断ってやったのに、そんなナギの思いが聞こえてくるようだった。
『……私は正直嫌だぞ』
果てしなく不機嫌な顔でナギが言う。
「でも、ついて行くくらいならさ……」
さっきと思っていることが変わった。
ナギがあまりにもきっぱりと断ったので、この自称生徒会長の少女に悪いかと思うようになってしまったのである。
そして、そう思うと同時に一つ気になることが出てきたのだ。
『……まさかお前、乗り気なんじゃないだろうな?』
「え、いや……そんなんじゃないけど」
『けど?』
「……生徒会に興味はあるかな?」
『つまり乗り気なのではないか!』
「いや、僕が興味あるのは……」
ハヤテは少女の方を見る。
「……生徒会の正体?」
「なっ、正体とは失礼な、得体の知れない物を見るような言い方を……」
「いやだって、得体知れませんし……」
『ほっとけほっとけ、コイツが勝手に言っているだけだ。
得体の知れない生徒会など気にせず、早く帰ろうじゃないか』
「くっ……な、ならば、それこそ私についてくるといい!
その実態を余すところなく話してやる!!」
「あ……」
ハヤテはその言葉で察した。
着いてくるまで粘る気だ、と。
『……』
ナギも面倒ながら着いて行った方が早く帰れそうだ、と感じたようだ。
「『……』」
ハヤテとナギはお互いの顔を見合わせ、お互いの胸中を察した。
「……じゃあ、見学だけさせてもらいます」
『……仕方あるまい』
「本当か!」
杏子は顔をぱぁっと明るくした、さっきまでの尊大な態度を取っていた彼女からは想像できない表情である。
「よ、よし、早速行こう!」
そう言ってその表情のまま杏子はハヤテの両手を握る。
「あ、あの会長さん? 顔近いです……!」
「え? あ、ああすまない!」
杏子は恥ずかしそうにして手を放した。
『……ラブコメかこれは』
ナギが呆れ気味に言う。
「ん? 会長さん……?
あぁそうか、名乗ってなかったな」
杏子はオホンと咳払いをし、ハヤテを真っ直ぐ見つめた。
「私の名前は、&ruby(みその) {聖園} &ruby(キョウコ) {杏子}。
3組だ」
3組、ハヤテ達は1組である。
道理で今日見たことないわけだ、とハヤテは思った。
今までが同じ1組の生徒に会いすぎていたわけだが。
「あらためてありがとう鷹峰君、さぁ着いてきてくれ」
「えっ?」
鷹峰君、そう呼ばれハヤテは驚く。
「どうして……僕の名前を?
ナギはハヤテとしか呼んでないのに」
「全校生徒の名前くらい、憶えているに決まってるだろう?
なんてな」
彼女はそう言いながら扉の方を向いた、急な振り向きでポニーテールが大きく揺れる。
そしてハヤテの頭には、いつ覚える時間があったのだろうかという疑問が沸いたが、生徒会長ともなれば当然なのだろうかと思うことにした。
「それでは、ついてきてくれ」
杏子が屋上から出ると同時に、ナギはハヤテのポケットに入り、ハヤテは彼女の後ろについて階段を降りた。
「……今日まだ入学式だよ?
それで全校生徒の名前と顔を一致させるなんて、すごい記憶力だね……」
『本当だとすればな。
どう転ぼうとヒナギクには及ばんだろう、なんだかバカっぽいし』
「ヒナギクと違って高いところも好きみたいだしね」
ハヤテのごとく!に登場する完璧生徒会長、&ruby(かつら) {桂} ヒナギクは高所恐怖症という設定がある。
「何か言ったか?」
「なんでもないです!」
4月8日、入学式。
神姫である、ナギの密航。
初めての神姫バトルを勝利で飾った後、生徒会長と名乗る同級生の女の子に生徒会にスカウトされる。
こんな普通ではない出来事の連続する高校生活初日……
ハヤテの中には、困惑と期待の混じった感情が産まれていた。
第2話 「生徒会役員になる者共」
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