「第四話:宙走姫」(2013/03/18 (月) 01:09:51) の最新版変更点
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第四話:宙走姫
スタートダッシュで先手を取ったのは紫貴だった。やはりキャッツアイの高機動はこのアクセルロンドでは圧倒的に有利に働く。様々な追加装備を施してあるリーヴェにトライクの通常機動力で差を付けられる荒業は驚嘆に値する。
だが、油断はできない。追加装備がどういった能力なのかはまだ不明だ。二周目で何か仕掛けてくるだろう。
『紫貴。差をできる限り稼ぐんだ。武装からして二周目で仕掛けてくるのは明らかだ』
「全力疾走ならお任せよ!」
『リーヴェ。グリスジェリーで何とか差を離されない様にして。スキルは攻撃に回すから』
「何とかやってみま~す」
その発言は俺の考えの裏付けだった。リーヴェはグリスジェリーで加速をしてきた。まだ紫貴に及ばないが、ただ走っているだけでは差は離せないまでには速度が上がっている。
それを見た紫貴は浮遊して走行を邪魔するアステロイドの中をフルスロットルで走り出す。アステロイドが邪魔してくるが、それをドリフトや片腕による払い除けで走る。
リーヴェもノーマルモードのサブアームを用いて同様にアステロイドを払い除ける他にサブアームでアステロイドを蹴って、逆に利用する手を用いる。
『カーブだ。転ぶなよ?』
「誰に物を言ってんのよ。見てなさい!!」
そういうと紫貴はその大口に恥じぬコーナリングで最初のコーナーを曲がりきる。ご丁寧にインサイドを取っての最短コースだ。それからすぐに速度を取り戻すべく、アクセルをかける。
「あ~らよっとです」
一方のリーヴェはサブアームの蹴りで奇妙な動きでまがってみせる。アステロイドならではのコーナリングという事であるらしい。しっかり差が詰まっているため、侮れる動きではなさそうだ。
続いて、そのままウェーブ上のコースが迫る。紫貴はアステロイドを避けて走り、リーヴェはアステロイドを蹴る変則的な飛行で紫貴との差を離させない。
『なるほど。味な真似をする』
俺は感心してヘアピンカーブを抜けるリーヴェの走行をみる。単純にアルトレーネとしての機動力を倍加させるだけでなく、こうした変則的な行動も可能としているらしい。
装備自体は確かに重いが、出力でそれを補っている。もしアステロイドでなくともそれで追いかけてきただろうが、今回のステージで得をしているのは間違いなく彼女だ。
「面倒になってきたわね」
ヘアピンカーブの先にあるウェーブを駆け抜けている紫貴が考えを織り混ぜた言葉を俺に返す。彼女もわかっていた。不利な展開になってきた事を。
『だから急ぐ。加速するぞ』
「ええ」
迷っている暇もない。俺は紫貴に差を付ける指示を出す。アクセルをかけると再び出てきたストレートコースで、すぐにリーヴェを突き放してみせる。
「あ! 待てー!!」
『リーヴェ。相手もきっとグリスジェリーを使ってるわ。どうにか食らい付いて。二周目まで持ちこたえるのよ』
リーヴェも負けじとグリスジェリーを追加して追いかけてくる。移動スキルを使ってないので差を詰められていないが、引き離しをできる限り小さくしている。
カーブを曲がり、一周目最後のストレートになった。現状はリーヴェにかなりの差をつけて紫貴の独走状態だ。
考えを巡らせている内に紫貴が二周目に突入する。ここからはお互い、攻撃が可能になる。ここからが本番だ。
「二周目突入ー」
『やっとね。リーヴェ! 攻撃開始よ!』
「はーい」
リーヴェも遅れて二周目に入ってくるとサブアームを展開する。それで何をするのかと思ったらなんと、紫貴に向かって隕石を投げつけてきた。
彼女はそれを何とか回避するが、スピードを思うように出せなくなってくる。このままでは前でも後ろでも邪魔はいるおかげで走行に集中することができない。そのうち追い付かれるだろう。
走りながら回避を行う紫貴にリーヴェはサブアームを振りかぶって彼女へと突き刺しに掛かる。紫貴はトライクを変形させて、それを受け流す。さらにそうしながらいつの間にか取り出したアサルトカービンを放つ。
思わぬ反撃にリーヴェは一瞬、動きを止めてしまう。
『ブラッドウィンド!』
「はっ!!」
それを逃すことなく、紫貴はそのまま変形してアサルトカービンで殴り、そのまま至近距離で連射する。さらに左のサブアームをバネに跳んで体勢を戻すと追撃の右のサブアームクローを見舞う。
「うっ!?」
ブラッドウィンドで体勢を崩され、無防備をさらけ出されたところを殴打されるリーヴェは思わず呻き声を上げる。サブアームでとっさの防御はしていたが、少なくないダメージを受ける事になった。
ダメージで動けなくなっている彼女を確認もせず、紫貴は逃走を開始する。ここではゴールも勝利条件だ。速度でアドバンテージのあるこちらにとってはそっちの方が、都合がいい。
『逃がさないわよ! ゲイルスケイグル!』
「キラッ☆……なん~てね」
逃げに走ろうとする紫貴にリーヴェはこれまで温存していたSPを使って大きな槍を投げつける大型スキル ゲイルスケイグルを放った。こんな流れ星に当たったら願いが叶うどころか粉砕されるだろう。
『紫貴! インサイドに沿って走れ!!』
「はい!」
とっさの指示を出すと紫貴はインサイド側による。そうすると。大量の隕石が射線上に入ってゲイルスケイグルを阻んだ。いくらかは消滅したが、紫貴にたどり着かずに済む。
「あっぶな~。ミコちゃん、サンキュー」
『油断するなよ。奴らは色々と隠し玉がある様だからな』
紫貴の感謝に答えながら状況をみる。
彼女は現状、十分に差を付け、順調にコースを進んでいる。レーヴェはアーンヴァルmk.IIのアルヴォPDW11とアルヴォLP4ハンドガンを連射し、追い上げを見せるが、やはり元々の機動力が大きく、隕石を障害になっていてそれは若干の域を越えない。
三周目に突入する。トップは依然として紫貴だった。リーヴェは加速していても速度は紫貴には及んでいない。
『リーヴェ! モードオブワルキューレ!!』
それが本命か。峰山の下した命令はアルトレーネの切り札となるバトルモードを発動させる。しかもそれはただのモードオブワルキューレではなかった。それを発動させるためのバックユニット ニーベルングが二基両方ともが輝きを放っていた。つまり、二倍の出力で追ってきた。紫貴の速度に追いつき、距離を縮め始める。
「くっ。……紫貴! インサイドを走って距離を稼ぐんだ! 恐らくはこの一周に全てを賭けてきているぞ!」
「りょ、了解っ!!」
俺は上空を舞うリーヴェの動きを警戒しながら、指示を飛ばす。アステロイドなど弾き飛ばして真っすぐ突っ込んでくる。
ここで少しでも距離を稼いでおかねばこちらが不利だ。
「追撃よ! マシンガンを連射!!」
「ほいさ~」
その動きを察したか、リーヴェはマシンガンを紫貴にばら撒いて速度を落とそうとする。弾幕は紫貴を容赦なく、襲い掛かった。紫貴は回避を行ってその攻撃を避けるが、その行動は速度を殺し、リーヴェがさらに追い詰めてくる。
続けてデブリをサブアームで紫貴に向かって投げ飛ばす。彼女は別のデブリを盾にし、防御してみせたが、飛来してくるデブリは一個だけではなく、防ぎきれずにトライクがどんどん傷ついていく。
「ここまで来るとは思わなかったわ……」
『トライクが持ちそうにないか。なら、勝負だ』
「OK」
俺の対応の言葉に紫貴は素早く変形すると両腕のサブアームを構えてデブリを足場に加速し、接近する。
動きを変えてきたのを見たリーヴェは紫貴を迎撃すべく、マシンガンを放つ。彼女はそれを見るや否やサブアームを盾にし、それを弾きながらなおも前進する。
「せいっ!!」
懐に飛び込んだ紫貴はエアロヴァジュラで掛け声と共に気合の一閃を叩き込む。リーヴェはジークムントを掲げて防御し、ブラオシュテルンを持ったサブアームを側面から放つ。それに対しては紫貴もサブアームで掴んで動きを止める。さらに蹴りを入れる。
それを見るとリーヴェも足を出して防御してみせる。
「そいな~」
リーヴェは硬直を隙と見て、懐からアルヴォPDW11を仕掛ける。回避が間に合わないかに見えたが紫貴は違った。
リーヴェのサブアームを握りつぶして、役に立たなくした上で防がれた足を足場にして上へと飛ぶ。
「はぁっ!」
そのまま、デブリを足掛かりにサブアームで姿勢を立て直すと返しのアサルトカービンを放つ。リーヴェは壊れているサブアーム二つを盾にしてそれを防ぎ、その攻撃が止んだ直後に完全に使い物にならなくなったサブアームをパージする。
「まだまだ!!」
間髪入れずに紫貴はエアロヴァジュラでウィングを一つ斬り飛ばす。それによって機動力をまず一つ、奪う。
「もらいっと」
だが一方、タダではそれをもらえず、リーヴェはブラオシュテルンを取り出してそれを突き出してきた。このままサブアームのタイヤを破壊されてしまったら、これでは走行ができなくなる。
紫貴はそれに反応してサブアームで逸らそうと動かす。だが、それは間に合わず、リーヴェの狙い通り、タイヤが破壊されてしまう。
「しまった!? けど!!」
タイヤに剣が刺さったサブアームを展開し、無理やり攻める。それはもう一つの翼をつかむとそれをもぎ取る。
反撃を受けたリーヴェは体勢を崩すが、足を突き出して、紫貴に蹴りを入れる。無防備だった紫貴はその攻撃に吹き飛ばされる。
それを確認することもなく、リーヴェは紫貴を置き去りにして、飛び去っていく。足を奪ったのだから翼が残っている自分が走破すれば勝てる。そう踏んだのだろう。
その直後、モードオブワルキューレが切れて失速したが、さしたる問題ではないらしく、そのまま飛行を続ける。
『やれやれ。結構やられたわね。リーヴェ、被害は?』
「ニーベルングが一基壊れましたぁ。パージしちゃいますね」
『ええ。そうして』
紫貴によって破壊されたニーベルングをパージし、身軽になるとさらに加速をする。これならばトライクを使えない紫貴を引き離せる。そういう算段だ。
リーヴェは念のため、後ろを振りむく。追いつくわけがない。そう思いながら。しかし……。
「まだまだぁ!!」
デブリを踏み場にして飛び、コースを走って紫貴が追いかけてきていた。トライクは捨て、自らの足だけで、疾走している。
「ええっ!? トライクないのに!!?」
彼女の化け物のような所業にリーヴェは驚きつつもアルヴォPDW11をばらまいてけん制する。
『ちょっと! あのイーダ!! チートとかイリーガルじゃないの!!?』
『いや、れっきとしたノーマルだ、……CSCを除いてな』
『CSC……まさか……!!?』
『そのまさかだ! 走れ! 紫貴!!』
そう。峰山はようやくきづいた。紫貴のCSCがキャッツアイ三つだという事に。彼女の予想したグリスジェリーなど一個も使っていないのだ。
「道理でイーダ一式だけでリーヴェの装備に追いつけるわけだわ……。ならこの状況もおかしくないってわけね。……リーヴェ!!」
右手のアルヴォPDW11と左手のアルヴォLP4ハンドガンを構え、放つ。ばら撒かれる弾丸に紫貴は跳躍して回避し、よけきれない分はデブリを盾にして防ぐ。
続けてデブリの間からアサルトカービンを使って攻撃する。
「だったら!!」
ゲイルスケイグルを放つ準備にかかる。投擲には適さない近距離に近づきつつある。何をしようというのだろうか。
「そいや!!」
なんと、地面にそれをたたきつける。そうすると光とともに爆発し、デブリが紫貴に襲い掛かる。
紫貴が行く手を阻むデブリに真っ向から突っ込む。正確にはその言葉は適切ではない。ある時は回避し、そうできない時はエアロヴァジュラで斬り抜けて、距離を詰めていく。リーヴェはそれに驚きを隠せない様子でゲイルスケイグルを回収すると、そのままアルヴォPDW11を放とうとする。しかし、弾切れで銃弾が出てこない。
『やむを得ないわ。ジークムントで迎撃よ!』
逃げる事を諦めた峰山はリーヴェに臨戦態勢に移るように命令を飛ばす。彼女は少しでも紫貴の体力を削るために連射を続ける。
迫る紫貴はエアロヴァジュラを前に出して可能な限り攻撃を防ぎつつ、突進していく。
「決める!」
ブレードを前面に突き出し、リーヴェに打突を放つ。彼女は事前に用意していたジークムントでその攻撃を逸らすと反撃のアルヴォPDW11を構える。
しかし、それは反応した紫貴の蹴り上げで弾き飛ばされ、リーヴェの手から落ちた。これで手持ちはブレードのみの斬り合いになる。
彼女は空いた片手も使った両手もちで紫貴を薙ぎ払う。紫貴は通りがかったアステロイドに足場を移して避けると無重力を活かして縦に体を回し、大回転斬りを仕掛けた。
「ゲームセットにはまだまだ~」
上から迫る攻撃をリーヴェはブレードで受け止め、そのまま弾き飛ばす。飛ばされた紫貴はアステロイドに足を付いて止まると、それを蹴り、跳躍から再攻撃に入る。
今度は先ほどと打って変わって下段からの斬り上げだ。
リーヴェはそれに対して自分の方が攻撃では有利と踏んだのか、攻めによる迎撃として袈裟斬りを放つ。
「読んでたわ!」
その言葉の通り、紫貴はそれを予想した軌道にブレードを掲げて受け流すと大振りのブレード特有の大きな隙を作り出した。
「おおおぉぉっ!!」
掛け声と共に全力の斬り上げを放つ。気合の一閃は戦乙女を斬り裂き、戦闘不能に追い込んだ。無重力化で倒れたことでリーヴェは宙に浮いたまま動かなくなり、無数のグラフィック粒子となって四散した。
『DESTROY!!』
『危なかったな』
「全くね。いくら足が速いからって何度もやりたいことじゃないわ」
今回のギリギリは堪えた。キャッツアイの恩恵のおかげでトライクがなくなった時点でアウトがなかったとはいえ、バックユニットが完全な状態でエンゼライゼをやられていたら負けていた。
「だ~!! リア充野郎に負けたー!!」
「どうどう。いい勝負だったんだからいいじゃないですかー」
「確かに勝ててたかもなとこだったけど、普通、猫目3の大当たりなんて出てくるのは予想外過ぎよ!!」
試合終了後、峰山はリーヴェに慰められながら大声で悔しがる。やはりキャッツアイの事はわかったようだ。そしてそれはまずありえないというような口ぶりだった。
「別に俺がセットアップした訳じゃないんだが、初耳だ。そうなのか?」
「そうよ。それのために何十回とリセットするバカがたっぷり出てくるぐらいにね」
峰山曰く、キャッツアイの高機動は素の機動力そのものが驚異的なものとなる。移動スキルでもない限り、その神姫から逃れることができないぐらいだ。そんな性能を神姫単体に有することができるのだからそれを魅力に感じないオーナーはおらず、手段を選ばない場合は何度となく神姫をリセットする恐るべき道をたどることとなる。
杉原はいったいどういう経緯で紫貴を起動したのか知らないが、この話を聞くとろくでもない事に違いないのは想像に難くなかった。
「起動した奴は知っているから、何とも言えんもんだな。さて……」
今回の戦いの主催者にして厄介者 コタマを見る。彼女はマスターの竹櫛の肩の上で驚いている様子だった。理由はわかる。
「これで一対一だ。わからなくなってきたぜ?」
「てめぇ……! ニーキの技を何で使えんだ!?」
やはり、自分の知り合いである一ノ傘の神姫 ニーキの技である『血風懺悔』を紫貴がそっくり使った事に驚いていた。確かに友達の技を真似られるというのはあまりいい気分ではないだろう。
「ほぅ。やはり関係者にはわかるか。ニーキとはやり合ったことがあってな。その時に失敬させてもらったのさ。アサルトカービンがいい得物になるしな。そうそう、エルのデーモンロードクロウ。あれも良かった。紫貴の技に入れさせてもらったぜ」
「んだと!?」
「よく、あれを真似られるもんやね……。結構、難しそうに見えるんやけど……」
「それだけ相手の技が有用だから苦労したって所だ。さすがに特殊な必殺技は真似られんがな」
「だが、所詮パクリはパクリ。劣化コピーにしかならねぇし、そんなに多くはねぇだろ」
「……面白い事を教えてやる。蒼貴は紫貴以上に芸達者だ。お前の期待に十分に応えてくれるだろう」
「へっ。そりゃ、楽しみだな」
「じゃ、コタマ。行こっか。戦ってみればわかるやろ」
これ以上は口喧嘩でグダグダになると読んだのか、竹櫛は話を切ってコタマをシミュレータにセットする。
「行くぜ。蒼貴」
「いつでもいけます。技はいくらでも披露いたしましょう」
俺も竹櫛に応じ、蒼貴をセットして、システムを起動させる。
『System AccelRondo Complete』
アクセルロンドの画面からコンピュータによって決定されたフィールドが表示される。ラストは砂漠地帯であるデザートというコースだ。砂嵐も吹き荒れるフィールドで車両型には不利なコースとなる。
そこに蒼貴とコタマが転送される。蒼貴はいつものミズキ装備に加え、不死鳥の翼と尾をバックユニットとして装備している。今回用意したアクセルロンド用の装備がこれだ。
一方、コタマはレラカムイの装備に加え、飛行のために飛鳥タイプのバックユニットと腰パーツに換装した空戦仕様の装備だ。さらに両脇にガントレットを装備した接近戦用の人形、ライフルを装備した後衛役の人形を従えていた。どちらもコタマの異名『ドールマスター』の戦い方を象徴するものだった。
「どうも、コタマさん。蒼貴です」
「おう。芸達者か何か知らねぇが、アタシは負けねぇからな」
「お手柔らかにお願いいたします」
勝利宣言と挨拶を交わすと互いにスタートラインに立つ。両者ともに空へと舞い上がる。蒼貴は翼で、コタマは飛行ユニットでスタートダッシュの準備に入る。
『Get Ready!! ……3……2……1』
カウントが終わると同時にスタートのシグナルが甲高く鳴る。それと同時に蒼貴とコタマが空へと駆け出し、最後の戦いが始まった。
完全な一騎打ち。この勝敗でチームとしても勝ち負けも決まる事になる。
俺は絶対に、勝つ。勝って正体を隠し通してみせる。
[[前へ>第三話:飛戦姫]]
第四話:宙走姫
スタートダッシュで先手を取ったのは紫貴だった。やはりキャッツアイの高機動はこのアクセルロンドでは圧倒的に有利に働く。様々な追加装備を施してあるリーヴェにトライクの通常機動力で差を付けられる荒業は驚嘆に値する。
だが、油断はできない。追加装備がどういった能力なのかはまだ不明だ。二周目で何か仕掛けてくるだろう。
『紫貴。差をできる限り稼ぐんだ。武装からして二周目で仕掛けてくるのは明らかだ』
「全力疾走ならお任せよ!」
『リーヴェ。グリスジェリーで何とか差を離されない様にして。スキルは攻撃に回すから』
「何とかやってみま~す」
その発言は俺の考えの裏付けだった。リーヴェはグリスジェリーで加速をしてきた。まだ紫貴に及ばないが、ただ走っているだけでは差は離せないまでには速度が上がっている。
それを見た紫貴は浮遊して走行を邪魔するアステロイドの中をフルスロットルで走り出す。アステロイドが邪魔してくるが、それをドリフトや片腕による払い除けで走る。
リーヴェもノーマルモードのサブアームを用いて同様にアステロイドを払い除ける他にサブアームでアステロイドを蹴って、逆に利用する手を用いる。
『カーブだ。転ぶなよ?』
「誰に物を言ってんのよ。見てなさい!!」
そういうと紫貴はその大口に恥じぬコーナリングで最初のコーナーを曲がりきる。ご丁寧にインサイドを取っての最短コースだ。それからすぐに速度を取り戻すべく、アクセルをかける。
「あ~らよっとです」
一方のリーヴェはサブアームの蹴りで奇妙な動きでまがってみせる。アステロイドならではのコーナリングという事であるらしい。しっかり差が詰まっているため、侮れる動きではなさそうだ。
続いて、そのままウェーブ上のコースが迫る。紫貴はアステロイドを避けて走り、リーヴェはアステロイドを蹴る変則的な飛行で紫貴との差を離させない。
『なるほど。味な真似をする』
俺は感心してヘアピンカーブを抜けるリーヴェの走行をみる。単純にアルトレーネとしての機動力を倍加させるだけでなく、こうした変則的な行動も可能としているらしい。
装備自体は確かに重いが、出力でそれを補っている。もしアステロイドでなくともそれで追いかけてきただろうが、今回のステージで得をしているのは間違いなく彼女だ。
「面倒になってきたわね」
ヘアピンカーブの先にあるウェーブを駆け抜けている紫貴が考えを織り混ぜた言葉を俺に返す。彼女もわかっていた。不利な展開になってきた事を。
『だから急ぐ。加速するぞ』
「ええ」
迷っている暇もない。俺は紫貴に差を付ける指示を出す。アクセルをかけると再び出てきたストレートコースで、すぐにリーヴェを突き放してみせる。
「あ! 待てー!!」
『リーヴェ。相手もきっとグリスジェリーを使ってるわ。どうにか食らい付いて。二周目まで持ちこたえるのよ』
リーヴェも負けじとグリスジェリーを追加して追いかけてくる。移動スキルを使ってないので差を詰められていないが、引き離しをできる限り小さくしている。
カーブを曲がり、一周目最後のストレートになった。現状はリーヴェにかなりの差をつけて紫貴の独走状態だ。
考えを巡らせている内に紫貴が二周目に突入する。ここからはお互い、攻撃が可能になる。ここからが本番だ。
「二周目突入ー」
『やっとね。リーヴェ! 攻撃開始よ!』
「はーい」
リーヴェも遅れて二周目に入ってくるとサブアームを展開する。それで何をするのかと思ったらなんと、紫貴に向かって隕石を投げつけてきた。
彼女はそれを何とか回避するが、スピードを思うように出せなくなってくる。このままでは前でも後ろでも邪魔はいるおかげで走行に集中することができない。そのうち追い付かれるだろう。
走りながら回避を行う紫貴にリーヴェはサブアームを振りかぶって彼女へと突き刺しに掛かる。紫貴はトライクを変形させて、それを受け流す。さらにそうしながらいつの間にか取り出したアサルトカービンを放つ。
思わぬ反撃にリーヴェは一瞬、動きを止めてしまう。
『ブラッドウィンド!』
「はっ!!」
それを逃すことなく、紫貴はそのまま変形してアサルトカービンで殴り、そのまま至近距離で連射する。さらに左のサブアームをバネに跳んで体勢を戻すと追撃の右のサブアームクローを見舞う。
「うっ!?」
ブラッドウィンドで体勢を崩され、無防備をさらけ出されたところを殴打されるリーヴェは思わず呻き声を上げる。サブアームでとっさの防御はしていたが、少なくないダメージを受ける事になった。
ダメージで動けなくなっている彼女を確認もせず、紫貴は逃走を開始する。ここではゴールも勝利条件だ。速度でアドバンテージのあるこちらにとってはそっちの方が、都合がいい。
『逃がさないわよ! ゲイルスケイグル!』
「キラッ☆……なん~てね」
逃げに走ろうとする紫貴にリーヴェはこれまで温存していたSPを使って大きな槍を投げつける大型スキル ゲイルスケイグルを放った。こんな流れ星に当たったら願いが叶うどころか粉砕されるだろう。
『紫貴! インサイドに沿って走れ!!』
「はい!」
とっさの指示を出すと紫貴はインサイド側による。そうすると。大量の隕石が射線上に入ってゲイルスケイグルを阻んだ。いくらかは消滅したが、紫貴にたどり着かずに済む。
「あっぶな~。ミコちゃん、サンキュー」
『油断するなよ。奴らは色々と隠し玉がある様だからな』
紫貴の感謝に答えながら状況をみる。
彼女は現状、十分に差を付け、順調にコースを進んでいる。レーヴェはアーンヴァルmk.IIのアルヴォPDW11とアルヴォLP4ハンドガンを連射し、追い上げを見せるが、やはり元々の機動力が大きく、隕石を障害になっていてそれは若干の域を越えない。
三周目に突入する。トップは依然として紫貴だった。リーヴェは加速していても速度は紫貴には及んでいない。
『リーヴェ! モードオブワルキューレ!!』
それが本命か。峰山の下した命令はアルトレーネの切り札となるバトルモードを発動させる。しかもそれはただのモードオブワルキューレではなかった。それを発動させるためのバックユニット ニーベルングが二基両方ともが輝きを放っていた。つまり、二倍の出力で追ってきた。紫貴の速度に追いつき、距離を縮め始める。
「くっ。……紫貴! インサイドを走って距離を稼ぐんだ! 恐らくはこの一周に全てを賭けてきているぞ!」
「りょ、了解っ!!」
俺は上空を舞うリーヴェの動きを警戒しながら、指示を飛ばす。アステロイドなど弾き飛ばして真っすぐ突っ込んでくる。
ここで少しでも距離を稼いでおかねばこちらが不利だ。
「追撃よ! マシンガンを連射!!」
「ほいさ~」
その動きを察したか、リーヴェはマシンガンを紫貴にばら撒いて速度を落とそうとする。弾幕は紫貴を容赦なく、襲い掛かった。紫貴は回避を行ってその攻撃を避けるが、その行動は速度を殺し、リーヴェがさらに追い詰めてくる。
続けてデブリをサブアームで紫貴に向かって投げ飛ばす。彼女は別のデブリを盾にし、防御してみせたが、飛来してくるデブリは一個だけではなく、防ぎきれずにトライクがどんどん傷ついていく。
「ここまで来るとは思わなかったわ……」
『トライクが持ちそうにないか。なら、勝負だ』
「OK」
俺の対応の言葉に紫貴は素早く変形すると両腕のサブアームを構えてデブリを足場に加速し、接近する。
動きを変えてきたのを見たリーヴェは紫貴を迎撃すべく、マシンガンを放つ。彼女はそれを見るや否やサブアームを盾にし、それを弾きながらなおも前進する。
「せいっ!!」
懐に飛び込んだ紫貴はエアロヴァジュラで掛け声と共に気合の一閃を叩き込む。リーヴェはジークムントを掲げて防御し、ブラオシュテルンを持ったサブアームを側面から放つ。それに対しては紫貴もサブアームで掴んで動きを止める。さらに蹴りを入れる。
それを見るとリーヴェも足を出して防御してみせる。
「そいな~」
リーヴェは硬直を隙と見て、懐からアルヴォPDW11を仕掛ける。回避が間に合わないかに見えたが紫貴は違った。
リーヴェのサブアームを握りつぶして、役に立たなくした上で防がれた足を足場にして上へと飛ぶ。
「はぁっ!」
そのまま、デブリを足掛かりにサブアームで姿勢を立て直すと返しのアサルトカービンを放つ。リーヴェは壊れているサブアーム二つを盾にしてそれを防ぎ、その攻撃が止んだ直後に完全に使い物にならなくなったサブアームをパージする。
「まだまだ!!」
間髪入れずに紫貴はエアロヴァジュラでウィングを一つ斬り飛ばす。それによって機動力をまず一つ、奪う。
「もらいっと」
だが一方、タダではそれをもらえず、リーヴェはブラオシュテルンを取り出してそれを突き出してきた。このままサブアームのタイヤを破壊されてしまったら、これでは走行ができなくなる。
紫貴はそれに反応してサブアームで逸らそうと動かす。だが、それは間に合わず、リーヴェの狙い通り、タイヤが破壊されてしまう。
「しまった!? けど!!」
タイヤに剣が刺さったサブアームを展開し、無理やり攻める。それはもう一つの翼をつかむとそれをもぎ取る。
反撃を受けたリーヴェは体勢を崩すが、足を突き出して、紫貴に蹴りを入れる。無防備だった紫貴はその攻撃に吹き飛ばされる。
それを確認することもなく、リーヴェは紫貴を置き去りにして、飛び去っていく。足を奪ったのだから翼が残っている自分が走破すれば勝てる。そう踏んだのだろう。
その直後、モードオブワルキューレが切れて失速したが、さしたる問題ではないらしく、そのまま飛行を続ける。
『やれやれ。結構やられたわね。リーヴェ、被害は?』
「ニーベルングが一基壊れましたぁ。パージしちゃいますね」
『ええ。そうして』
紫貴によって破壊されたニーベルングをパージし、身軽になるとさらに加速をする。これならばトライクを使えない紫貴を引き離せる。そういう算段だ。
リーヴェは念のため、後ろを振りむく。追いつくわけがない。そう思いながら。しかし……。
「まだまだぁ!!」
デブリを踏み場にして飛び、コースを走って紫貴が追いかけてきていた。トライクは捨て、自らの足だけで、疾走している。
「ええっ!? トライクないのに!!?」
彼女の化け物のような所業にリーヴェは驚きつつもアルヴォPDW11をばらまいてけん制する。
『ちょっと! あのイーダ!! チートとかイリーガルじゃないの!!?』
『いや、れっきとしたノーマルだ、……CSCを除いてな』
『CSC……まさか……!!?』
『そのまさかだ! 走れ! 紫貴!!』
そう。峰山はようやくきづいた。紫貴のCSCがキャッツアイ三つだという事に。彼女の予想したグリスジェリーなど一個も使っていないのだ。
「道理でイーダ一式だけでリーヴェの装備に追いつけるわけだわ……。ならこの状況もおかしくないってわけね。……リーヴェ!!」
右手のアルヴォPDW11と左手のアルヴォLP4ハンドガンを構え、放つ。ばら撒かれる弾丸に紫貴は跳躍して回避し、よけきれない分はデブリを盾にして防ぐ。
続けてデブリの間からアサルトカービンを使って攻撃する。
「だったら!!」
ゲイルスケイグルを放つ準備にかかる。投擲には適さない近距離に近づきつつある。何をしようというのだろうか。
「そいや!!」
なんと、地面にそれをたたきつける。そうすると光とともに爆発し、デブリが紫貴に襲い掛かる。
紫貴が行く手を阻むデブリに真っ向から突っ込む。正確にはその言葉は適切ではない。ある時は回避し、そうできない時はエアロヴァジュラで斬り抜けて、距離を詰めていく。リーヴェはそれに驚きを隠せない様子でゲイルスケイグルを回収すると、そのままアルヴォPDW11を放とうとする。しかし、弾切れで銃弾が出てこない。
『やむを得ないわ。ジークムントで迎撃よ!』
逃げる事を諦めた峰山はリーヴェに臨戦態勢に移るように命令を飛ばす。彼女は少しでも紫貴の体力を削るために連射を続ける。
迫る紫貴はエアロヴァジュラを前に出して可能な限り攻撃を防ぎつつ、突進していく。
「決める!」
ブレードを前面に突き出し、リーヴェに打突を放つ。彼女は事前に用意していたジークムントでその攻撃を逸らすと反撃のアルヴォPDW11を構える。
しかし、それは反応した紫貴の蹴り上げで弾き飛ばされ、リーヴェの手から落ちた。これで手持ちはブレードのみの斬り合いになる。
彼女は空いた片手も使った両手もちで紫貴を薙ぎ払う。紫貴は通りがかったアステロイドに足場を移して避けると無重力を活かして縦に体を回し、大回転斬りを仕掛けた。
「ゲームセットにはまだまだ~」
上から迫る攻撃をリーヴェはブレードで受け止め、そのまま弾き飛ばす。飛ばされた紫貴はアステロイドに足を付いて止まると、それを蹴り、跳躍から再攻撃に入る。
今度は先ほどと打って変わって下段からの斬り上げだ。
リーヴェはそれに対して自分の方が攻撃では有利と踏んだのか、攻めによる迎撃として袈裟斬りを放つ。
「読んでたわ!」
その言葉の通り、紫貴はそれを予想した軌道にブレードを掲げて受け流すと大振りのブレード特有の大きな隙を作り出した。
「おおおぉぉっ!!」
掛け声と共に全力の斬り上げを放つ。気合の一閃は戦乙女を斬り裂き、戦闘不能に追い込んだ。無重力化で倒れたことでリーヴェは宙に浮いたまま動かなくなり、無数のグラフィック粒子となって四散した。
『DESTROY!!』
『危なかったな』
「全くね。いくら足が速いからって何度もやりたいことじゃないわ」
今回のギリギリは堪えた。キャッツアイの恩恵のおかげでトライクがなくなった時点でアウトがなかったとはいえ、バックユニットが完全な状態でエンゼライゼをやられていたら負けていた。
「だ~!! リア充野郎に負けたー!!」
「どうどう。いい勝負だったんだからいいじゃないですかー」
「確かに勝ててたかもなとこだったけど、普通、猫目3の大当たりなんて出てくるのは予想外過ぎよ!!」
試合終了後、峰山はリーヴェに慰められながら大声で悔しがる。やはりキャッツアイの事はわかったようだ。そしてそれはまずありえないというような口ぶりだった。
「別に俺がセットアップした訳じゃないんだが、初耳だ。そうなのか?」
「そうよ。それのために何十回とリセットするバカがたっぷり出てくるぐらいにね」
峰山曰く、キャッツアイの高機動は素の機動力そのものが驚異的なものとなる。移動スキルでもない限り、その神姫から逃れることができないぐらいだ。そんな性能を神姫単体に有することができるのだからそれを魅力に感じないオーナーはおらず、手段を選ばない場合は何度となく神姫をリセットする恐るべき道をたどることとなる。
杉原はいったいどういう経緯で紫貴を起動したのか知らないが、この話を聞くとろくでもない事に違いないのは想像に難くなかった。
「起動した奴は知っているから、何とも言えんもんだな。さて……」
今回の戦いの主催者にして厄介者 コタマを見る。彼女はマスターの竹櫛の肩の上で驚いている様子だった。理由はわかる。
「これで一対一だ。わからなくなってきたぜ?」
「てめぇ……! ニーキの技を何で使えんだ!?」
やはり、自分の知り合いである一ノ傘の神姫 ニーキの技である『血風懺悔』を紫貴がそっくり使った事に驚いていた。確かに友達の技を真似られるというのはあまりいい気分ではないだろう。
「ほぅ。やはり関係者にはわかるか。ニーキとはやり合ったことがあってな。その時に失敬させてもらったのさ。アサルトカービンがいい得物になるしな。そうそう、エルのデーモンロードクロウ。あれも良かった。紫貴の技に入れさせてもらったぜ」
「んだと!?」
「よく、あれを真似られるもんやね……。結構、難しそうに見えるんやけど……」
「それだけ相手の技が有用だから苦労したって所だ。さすがに特殊な必殺技は真似られんがな」
「だが、所詮パクリはパクリ。劣化コピーにしかならねぇし、そんなに多くはねぇだろ」
「……面白い事を教えてやる。蒼貴は紫貴以上に芸達者だ。お前の期待に十分に応えてくれるだろう」
「へっ。そりゃ、楽しみだな」
「じゃ、コタマ。行こっか。戦ってみればわかるやろ」
これ以上は口喧嘩でグダグダになると読んだのか、竹櫛は話を切ってコタマをシミュレータにセットする。
「行くぜ。蒼貴」
「いつでもいけます。技はいくらでも披露いたしましょう」
俺も竹櫛に応じ、蒼貴をセットして、システムを起動させる。
『System AccelRondo Complete』
アクセルロンドの画面からコンピュータによって決定されたフィールドが表示される。ラストは砂漠地帯であるデザートというコースだ。砂嵐も吹き荒れるフィールドで車両型には不利なコースとなる。
そこに蒼貴とコタマが転送される。蒼貴はいつものミズキ装備に加え、不死鳥の翼と尾をバックユニットとして装備している。今回用意したアクセルロンド用の装備がこれだ。
一方、コタマはレラカムイの装備に加え、飛行のために飛鳥タイプのバックユニットと腰パーツに換装した空戦仕様の装備だ。さらに両脇にガントレットを装備した接近戦用の人形、ライフルを装備した後衛役の人形を従えていた。どちらもコタマの異名『ドールマスター』の戦い方を象徴するものだった。
「どうも、コタマさん。蒼貴です」
「おう。芸達者か何か知らねぇが、アタシは負けねぇからな」
「お手柔らかにお願いいたします」
勝利宣言と挨拶を交わすと互いにスタートラインに立つ。両者ともに空へと舞い上がる。蒼貴は翼で、コタマは飛行ユニットでスタートダッシュの準備に入る。
『Get Ready!! ……3……2……1』
カウントが終わると同時にスタートのシグナルが甲高く鳴る。それと同時に蒼貴とコタマが空へと駆け出し、最後の戦いが始まった。
完全な一騎打ち。この勝敗でチームとしても勝ち負けも決まる事になる。
俺は絶対に、勝つ。勝って正体を隠し通してみせる。
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