「届かぬ思い」(2012/12/04 (火) 23:38:08) の最新版変更点
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ここにある分全部引き取りってことで成立だな。しかし何だ、最近の連中はなってないね。リセットもせずに神姫を捨てるなんてな。しかもご丁寧に自分のパーソナルデータだけはかき消して。おかげでここにいる奴らはマスターの顔も覚えてないくせに毎晩マスターマスターって泣きやがるんだぜ。そういうアプリも出回ってるし何ともやるせない世の中になったもんだ。ま、ペットと違って本当に生きてるわけじゃないし、あの事件以降売るにも色々面倒になったから持ってたくないって考える連中がいるのも分かるさ。そのおかげでこの仕事も成り立ってるんだしな。
-保護される野良神姫は2039年以降急増した。しかし現実にはその3倍以上の神姫が遺棄されていると考えられている
連続神姫ラジオ
浸食機械
17:届かぬ思い
「行くの?勝君、プルミエ」
清四郎が僕たちに声をかける。
<うん、僕の願いはみんなで無事に帰ることだから。もちろん楓も、清四郎も一緒に>
「やれやれ、初めて会ったときは泣き虫のちびっ子だったのに変われば変わるもんにぇー」
清四郎が苦笑しつつ頭をなでてくれる。僕はそれが無性にうれしくて思わずにやけてしまう。隣にあるプルミエの意識がむっとしているのを感じるが感情を抑えられない。不意に清四郎が僕たちをばっと抱きしめてきた。
「でもね、博愛主義もほどほどにしなさい。自分のことと、後楓のことを大事にして欲しい」
真剣な表情で僕たちを見る清四郎に僕もプルミエもドキリとした。
「あーし達は神姫で、あなたたちは人間なんだから」
そう言うといたずらっぽい笑みを浮かべてきびすを返した。
「さて、あーしは楓を慰めに行こうかしら。たぶん怒られるでしょうけどにぇ」
去っていく清四郎を見送ると僕も歩き出した。コウガのいるところはもうすぐそこだった。歩きながらいろいろなことを考える。なぜ自分はこんなにも神姫を助けたいのか、なぜこんなにも神姫と共にいる未来を望むのか。そして出会った人達について思い出す。付き合い方の違いこそあれ神姫様々な形で愛を注ぐ人達に思いをはせる。だからなぜ楓はあんなにも怒っていたのか・・・その答えはイメージできなかった。
次回:[[絶望の先]]に続く・[[戻る>浸食機械]]
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